外部サイトへ移動します
河合 桂馬 OCT 04,2021

~On The Road~ 車の生活 Vol.31
バンライフの愛用品#1「ダナーライト」

家に住むことを辞め、
車で生活していたDJ河合桂馬のVanlifeレポート。
(第31話)バンライフの愛用品#1「ダナーライト」


「人間は、無しで済ませる物が多いほど、それに比例して豊かなのだ」
〜ヘンリー・デヴィット・ソロー〜

「バックパッキングとは、何を持っていかないかの策略のことである」
〜シェリダン・アンダーソン〜

この2つの哲学のもと、
人間が生きるために本当に必要なものはなにかという答えを探るべく、
家に住むことを辞め、
1年5ヶ月間、
車中泊仕様にカスタムしたハイエースで生活した。
荷物が限られるバンライフにおいて、
自分が厳選した愛用品を紹介していく。

ダナーライト

このブーツを手に入れたのは、自分が二十歳のころだった。

自分の中学生時代は、ファッションの情報収集といったら、インターネットではなく、雑誌しかなかった。
90年代のアメカジブームの最中、BoonやGET ONを愛読していた埼玉の片田舎に住む少年は、誌面で幾度となく紹介されていたレッドウィングのアイリッシュセッターや、ティンバーランドのイエローヌバックブーツに思いを馳せていた。

その影響を受け、自分が中学生の頃に初めて手に入れたブーツは、ティンバーランドのイエローヌバックだった。

初めてブーツというものに足を入れ、嬉しさのあまり友達を道連れにして意味もなく歩き回った。
が、しかし、足が痛くてたまらない。
靴底が硬くて歩きづらい。
重くて疲れる。
靴擦れができて血が出る。

ブーツの洗礼を受けた少年は、いつしか履きづらいブーツから遠ざかり、エアマックス狩りという恐ろしい社会現象までをも巻き起こした、ナイキのスニーカーブームに乗っかり、歩きやすいスニーカーばかり履くようになっていた。

時は経ち、ファッションの流行も移り変わり、アウトドアファッション全盛の時代が到来。

足元はメレルのジャングルモックやナイキのエアモック、グラミチのクライミングパンツを履き、パタゴニアのジャケットを着て、グレゴリーのバックパックを背負い、カブーのキャップをかぶるというスタイルが一斉を風靡した。

このブームの最中、ダナーライトを知ることになる。

ダナーライトもまた、雑誌で当時のアウトドアファッションの定番品として紹介されており、おしゃれな人たちがこぞってこのブーツを履いていた。
影響されやすい自分は、いつしかこのブーツを手に入れたいと憧れるようになっていたが、当時学生だった自分には高価な靴なので、憧れのまま月日は流れていった。

高校を卒業し、1年間の浪人生活を経て大学に入学。
その日は、久しぶりに高校の友達と池袋を歩いていた。年明け間もない時期だったので、街は正月セールで賑わっていた。
たまたま通りがかったシューズショップの店頭でダナーライトを見つけたが、どうせ高くて買えないだろうと思いつつも値札を確認してみると、なんとセールで定価から約2万円ほど値引きされていた。
買えるだけの手持ちがなかったが、こんなチャンスを見逃してはならぬと、友達からお金を借りてまでして、憧れのダナーライトを手に入れたのだった。

久しぶりに履いたブーツは、少年時代に植えつけられたあの悪いイメージを覆した。

なんと、歩きやすいのだ。
靴底が柔らかく、クッション性に優れ、ブーツにしては軽量で、靴擦れができることもない。
世界初のゴアテックスを採用したシューズであり、完全防水なので雨の日は無敵の気分で街を闊歩した。
歩きやすさと、完全防水というスペックに惚れ込み、街では飽き足らず、山で履いてみたいという欲求が湧いた。

フェラーリを手に入れたらサーキットで走らせたくなるように、
(フェラーリもってないけど)
トレッキングブーツを手に入れたら、山で履きたくなったのだ。

話は逸れるが、登山といえば中学生の頃に母に連れられて、弟と3人で富士山に登ったのが初めてだった。母も登山初心者で、全く準備も無しにいきなり富士山に登り、母と弟はバテて途中から別行動になり、自分一人で登頂。しかし、携帯電話を持っていない時代で、はぐれた2人とは連絡がとれず、待ち合わせ場所も決めていなかったので、焦りながら小走りで下山した。
何合目かは忘れたが、下山途中にあった山小屋の前で母と弟が自分を待っており、無事に合流を果たした。もう辺りは真っ暗だったので、その山小屋に予約無しの飛び込みで宿泊し、あわや遭難という危機を免れたのだった。

という訳で、それ以来人生で初めて自分で計画をして、富士山の教訓を活かし最低限の装備を整え、ダナーライトを履いて山に登った。

初登山に選んだのは、埼玉の伊豆ヶ岳という標高851mの低山。
登山道の途中に浅い沢があり、完全防水の性能を確かめるべく、その沢にブーツごと足を入れた。足首よりも浅い水深だったので、3分程度そのまま沢に足を入れていても、ブーツ内部には全く水は入ってこなかった。

このブーツのおけげで、アウトドアに目覚めた。

ダナーライトの機能性の高さに魅了され、アウトドアギアを集めたいという衝動に駆られてしまい、少しずつ道具を買い足しては、ギアの性能を試したいがために山に登った。そのうち、徐々にアウトドアアクティビティの魅力に気づき、純粋に登山やキャンプを楽しむようになっていった。

人生の節目にはいつもダナーライトを履いた。

初めての海外旅行で、大学の卒業旅行として一人でタイにバックパッキングに訪れた時、
就職活動でフリークス ストアの面接を受けた時、
今の妻とまだ付き合っていた当時、登山デートをしようと誘い、登山靴をもっていなかった妻に、ダナーライトを買わせた(笑)。情けないことに、カッコよく買ってあげられる財力は無かったのだ。

バンライフでは、雨の日の街履きはもちろん、特に野外フェスでDJをする際に活躍した。
雨でぬかるんだ泥だらけのキャンプ場でも問題なく歩けるのは心強い。

夫婦お揃いのダナーライトは、ハイエースの助手席の後ろが定位置で、一緒に旅をした相棒だ。

これからもよろしく。

文・写真:河合桂馬

PROFILE

2002年、club青山MIXにてHOUSE DJとしてのキャリアをスタート。
GREENROOM FESTIVALなど全国さまざまな野外フェスに出演し、日本最大級のキャンプフェスGO OUT CAMP最多出演アーティスト記録更新中。近年活動の幅を海外フェスにも広げている。TOYOTA HIACE ウェブCM、KIRIN生茶広告など多数メディアに出演中。

FEATUREおすすめしたい記事

page top