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河合 桂馬 OCT 18,2021

~On The Road~ 車の生活 Vol.32
バンライフの愛用品#2「バブアー ワックスパーカー」

家に住むことを辞め、
車で生活していたDJ河合桂馬のVanlifeレポート。
(第32話)バンライフの愛用品#2「バブアー ワックスパーカー」


「人間は、無しで済ませる物が多いほど、それに比例して豊かなのだ」
〜ヘンリー・デイヴィッド・ソロー〜

「バックパッキングとは、何を持っていかないかの策略のことである」
〜シェリダン・アンダーソン〜

この2つの哲学のもと、
人間が生きるために本当に必要なものはなにかという答えを探るべく、
家に住むことを辞め、
1年5ヶ月間、
車中泊仕様にカスタムしたハイエースで生活した。
荷物が限られるバンライフにおいて、
自分が厳選した愛用品を紹介していく。

さあ、まず着るものからはじめよう!

「さあ、まず着るものからはじめよう!」

アメリカの思想家であるヘンリー・デイヴィッド・ソローは、著書「森の生活」にて、
上記を第1章の冒頭のテーマとして掲げている。

ソローは、1845年7月4日から約2年2ヶ月という期間、

“生きるために本当に必要なものは何か?”

という疑問の答えを探るべく、
工業化が進み、大量生産大量消費文化が当たり前になっていた当時のアメリカ社会から身を遠ざけ、森の中にセルフビルドした簡素な丸太小屋に住み、自給自足の生活を送った。

その、ある意味実験的な暮らしで得た知見をまとめたものが「森の生活」という書物なのだが、その著書でソローは、人間に本当に必要なものは、

・ 食料
・ 住居
・ 衣服
・ 燃料

の4つであると言っている。
これに加えて、

・ ナイフ
・ 斧
・ 鋤(すき)
・ 手押し一輪車
・ その他いくつかの道具

勉強したいなら
・ ランプ
・ 紙
・ 文房具
・ 数冊の本

以上が生活に必要なものであり、それ以外のものはほとんど全てのものが必要ないことを発見したと記述している。

これを踏まえて、今回はバンライフで自分が着ていた衣服を紹介する。

バブアー ワックスパーカー

バブアーのワックスパーカーを手に入れたのは、自分がフリークス ストアの新卒の社員として入社した1年目である2007年だった。
(私の経歴の詳細はVol.1 河合桂馬の人生年表を参照)

当時の先輩達が、バブアーの2大定番モデルである、ビデイルやビューフォートを着ているのを見ていたが、20代のひよっこの私には、正直なんだかおっさん臭いそのスタイルのどこがカッコイイのかよくわからなかった。

しかしある時、フリークス ストア原宿店にバブアーのワックスパーカーが入荷し、
そのモデルを見た瞬間、一目惚れしてしまったのだ。

前回のVol.31でも記述した通り、大学生であった20歳のころからアウトドアギアの魅力に目覚め、少しずつギアやウェアを買い足していたので、マウンテンパーカー型のワックスパーカーは自分の好みのど真ん中を突いてきた。

早速試着してみると、アウトドアウェアにしては細身の身頃で、着丈が膝上ほどまで長いというところも上品な印象で、気分はすっかり英国紳士。

新入社員の自分には高価な買い物なので少し躊躇したが、先輩スタッフの強烈な勧めもあり、私はそのワックスパーカーを購入した。

100年以上の歴史を持つ英国伝統のカントリーウェアであり、厳格な審査のもとに選ばれる、英国王室御用達の証であるロイヤルワラントを、フィリップ公、エリザベス女王、チャールズ皇太子と、3人から授かっている稀有なブランドであるバブアーのジャケットを手に入れて、私は意気揚々とワックスパーカーを毎日の通勤時に着用した。

しかし、しかしだ、

バブアーの最大の特徴であるワックスドコットンは、表面がワックスでべとついているので、満員電車に乗るときはジャケットを脱いで裏返しにしなければいけないし、

防水ジャケットなので梅雨時期に着用してみたものの、生地が厚く、尚且つコットンの裏地がついているので蒸れるし、

他の衣類とくっつくとワックスがついてしまうのでクローゼットにも入れられないし、

家では風通しの良いところに保管しないとカビるし、

カビてしまっても洗濯できないし、

バブアー専門のところでないとクリーニングにもだせない。

と、はじめはバブアーのジャケットの扱いにくさに辟易した。

街なんかで着るもんじゃないんだってことがよくわかった。

ある晩秋の季節、キャンプでバブアーを着てみると、その機能性を充分に発揮してくれたのだ。

丈夫なコットン生地は、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維に比べて焚き火の火の粉に強く、穴が開きづらい。

エジプト綿に植物性のオイルを染み込ませた独自の表生地は、荒野での枯れ木や生い茂った草の中を藪漕ぎしてもトゲがささらないソーンプルーフとうたっているだけあって非常に強く、森の中で薪を拾う時も安心。

防水性があり、ワックスパーカーにはフードもついているので突然の雨もなんのその。

ハンドウォームポケットが2つ、マチとフラップがついた大きなポケットが2つ、ジップ付きのインナーポケットが1つ、面ファスナー付きのインナーポケットが1つと、大容量のポケットを備えているので、必要なものをすぐ手に取れる。

大きめの引き手を配した金属製のフロントジップは、手袋をしたままでも着脱しやすく、ダブルジップなので、しゃがみこむ時や椅子に座る時には下からジップを開ければ動きやすい。

などなど、もともと漁師や農夫、猟師やライダーなどに愛用されてきたウェアだけに、バブアーがその本領を発揮するのは、やはりアウトドアフィールドだったのだ。

そして今年、14年の付き合いになるワックスパーカーに2度目のリプルーフを施した。
リプルーフとは、ソーンプルーフドレッシングと呼ばれるバブアー独自の植物性オイルを表生地に塗り込む作業のこと。
これを行うことによって、長年の使用によってオイルが抜けて防水性が弱くなった表生地を復活させ、強度も高まるのだ。

リプルーフのコツは、真夏にやること。
固まりやすいオイルを溶かしやすいし、生地に塗り込んだ際も暑さでよくなじみ、乾きやすい。
冬に行う際は、部屋を暖かくし、オイルを充分に湯煎で溶かし、生地に塗り込んだあとはドライヤーで熱を加え染み込ませる。

何と言ってもバブアーの最大の魅力は、このリプルーフによって永続的に機能性を保ち、使うごとに増えていく傷やシワが深みとなって、自分だけの1着に育っていくことだ。

化学繊維の洋服やアウトドアウェアは、買った時が一番機能性が高く、経年劣化により徐々に機能性が落ちていく。

しかし天然素材のそれは、経年変化により味わいが増し、どんどん愛着が湧いていく。

安物をどんどん買い換えてゴミにしていくよりも、
購入する時は高価であっても、
1つのモノを永く大事に使うことは、地球に優しいし、結果的にお財布にも優しい。

パタゴニアの創設者であるイヴォン・シュイナードや、自然派作家の故・田渕義雄氏らの言葉を借りると、
「裕福でない人は、安物を買うお金は無い」

格言でも
「安物買いの銭失い」
と言うように、安価なものはすぐに壊れて使えなくなる一方、機能性が高く、丈夫なものは高価であることが多く、シンプルで上質な素材で作られたものは、メンテナンスしながら永く使えるので、結果的には経済的であるし、自分によく馴染んだ洋服や道具は、着心地も良く、使い勝手も良くカッコイイ。

でも、気をつけないといけないのは、自分のような物欲人間は、一度その魅力がわかると、若い時には触手が伸びなかったビデイルやビューフォート、インターナショナルなど、他もモデルも欲しくなってしまうのだ。

ソローの思想にはまだまだ程遠いわたし。。。

もちろんゴアテックスや他の防水透湿メンブレンを使用した高機能アウトドアウェアも持っているけど、それらは自分のクローゼットの中で何度も入れ替わってきた新参者。

アウトドアウェアの中では最長老であるバブアーはいまだに現役で、
バンライフでは、雨のフェス会場や、キャンプ場に泊まる際に活躍してくれた。

現在の森暮らしでは、薪ストーブ用の薪運びや薪割りをする際など、外仕事で着用する機会が多く、バブアーに袖を通すことが増えて嬉しい。

庭の木々たちも色づきはじめ、秋が深まってきた。
今年もバブアーを着る季節が到来した。

文・写真:河合桂馬

PROFILE

2002年、club青山MIXにてHOUSE DJとしてのキャリアをスタート。
GREENROOM FESTIVALなど全国さまざまな野外フェスに出演し、日本最大級のキャンプフェスGO OUT CAMP最多出演アーティスト記録更新中。近年活動の幅を海外フェスにも広げている。TOYOTA HIACE ウェブCM、KIRIN生茶広告など多数メディアに出演中。

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