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河合 桂馬 NOV 16,2021

~On The Road~ 車の生活 Vol.33
バンライフの愛用品#3「イワタニ カセットフーマーベラス」

家に住むことを辞め、
車で生活していたDJ河合桂馬のVanlifeレポート。
(第33話)バンライフの愛用品#3「イワタニ カセットフーマーベラス」


「人間は、無しで済ませる物が多いほど、それに比例して豊かなのだ」
〜ヘンリー・デヴィット・ソロー〜

「バックパッキングとは、何を持っていかないかの策略のことである」
〜シェリダン・アンダーソン〜

この2つの哲学のもと、
人間が生きるために本当に必要なものはなにかという答えを探るべく、
家に住むことを辞め、
1年5ヶ月間、
車中泊仕様にカスタムしたハイエースで生活した。
荷物が限られるバンライフにおいて、
自分が厳選した愛用品を紹介していく。

イワタニ カセットフーマーベラス

人間を、人間たらしめるものとは何か?
この問いに対する1つの答えは、

「火を扱うこと」

ではないだろうか。

人間は、地球上で唯一火を扱うことに成功した生き物であり、この火を活用することによって、暖をとったり、調理をしたり、金属加工をしたりと、人類は火によって進化してきたと言っても過言ではない。

当連載で幾度となく引用してきたソローの言葉を借りると、
人間に本当に必要なものは、

・ 食料
・ 住居
・ 衣服
・ 燃料

の4つであると言っている。

よって、人間にとって火は、燃料によって起こされるエネルギーとして、生きるためになくてはならないものと言えるだろう。

バンライフにおいてももちろん火は必要なので、なにかしらの方法で火を確保する必要がある。
火を起こす方法はいくつかあるが、アウトドアで一般的なものをメリットとデメリットを併記して挙げていくことにしよう。
ちなみに、下記のストーブという意味は、いわゆる一般的な暖をとるストーブではなく、アウトドア界では、調理器具としてのコンロを意味する。

◆焚き火or炭火
これは特に説明は必要ないでしょう。一番原始的な方法。地面で直接焚き火をする直火は、ほとんどのキャンプ場で禁止されているので、焚き火台を使用するのが一般的。

→ メリット: 楽しい、火を見ると落ち着く、長時間高火力が得られる。
→ デメリット: キャンプ場や河原など、外でしかできない。車の中では絶対無理。

◆ガソリンor灯油ストーブ
燃料にガソリンもしくは灯油を使用し、燃料タンクにポンピングという行為で圧をかけ、燃料を気化させて火を起こすコンロ。

→ メリット: 寒い時期でも安定した火力を得られる。比較的燃料調達が容易。
→ デメリット: 外でしか使えない。燃料を持ち運ぶのに少し危険を伴う。

◆アルコールストーブ
燃料用アルコールを使用するコンロ。

→ メリット: 軽い、コンパクト、燃料調達が容易、故障が少ない。
→ デメリット: 火力調整が難しい、火力が弱い。

◆エスビット(固形燃料)
ドイツのアウトドア用品製造会社であるエスビット社の固形燃料に火をつけて使用。

→ メリット: 軽い、コンパクト、手軽。
→ デメリット: 火持ちが悪い、火力調整が難しい、火力が弱い。

◆OD缶ガスストーブ
Out Door専用のガス缶を燃料に使用するコンロ。

→ メリット: コンパクト、寒冷地用ガスカートリッジがあり火力が安定している。
→ デメリット: OD缶を入手するのがアウトドアショップやホームセンターに限られ困難、OD缶の値段が高い。

◆CB缶ガスストーブ
カセットガスボンベを燃料にするコンロ。

→ メリット: コンビニでもガス缶を入手できる、CB缶の値段が安い。
→ デメリット: 寒冷地で火力が弱くなることがある。

ざっとこんなところでしょう。
この中で、自分がバンライフで試した方法は、

・ 焚き火or炭火
・ OD缶ガスストーブ
・ CB缶ガスストーブ

だが結果は、

・ 焚き火or炭火
→ はじめは楽しいので、2泊3日程度の車中泊キャンプなら問題ないが、これが家無しバンライフともなると、毎日毎日片付けが面倒だし、火が起きるまで時間がかかるし、焚き火台も車内でかさばるしと、バンライフをはじめて早々に車内から焚き火台は脱落した。

・ OD缶ガスストーブ
→ アウトドアブランドSOTOのマイクロレギュレーターストーブを使用してみた。ストーブ自体は非常にコンパクトで良いのだが、登山用に開発されたものなので、基本的に軽さや携帯性を重視しており、毎日の使用には耐久性が少し不安で、なおかつOD缶の入手先も田舎では困難になるので、こちらも不採用となった。

・ CB缶ガスストーブ
→ 結論から言うと、このタイプのコンロである、
イワタニ カセットフーマーベラスが、我が家のバンライフにおける火床となった。
採用した一番の理由は、圧倒的な堅牢性であった。

何故なら、毎日使うのは基本的に調理担当の妻なのだが、
私の妻は、良く言えば豪放磊落、大胆不敵、ワイルド、スピーディーであり、小さいことは気にしない天真爛漫な性格なので、物をすぐ壊してしまうという特徴がある。

いくつかエピソードをお伝えすると、
まだ妻と結婚しておらず、付き合いたての頃、フジロックに一緒に行った時のこと。
それは電車で越後湯沢駅に到着し、駅周辺を散策して歩いていた時だった。

フジロックの会場でお酒を飲むために購入したお気に入りのスキットル(ウイスキーなど、主に蒸留酒を入れるための金属製の水筒のようなもの)を持ってきたのだが、会場まで我慢できずにウイスキーをあおり、妻にもすすめてスキットルを手渡した瞬間だった。
妻はそのスキットルをアスファルトの地面に落としてしまったのだ。
すると、スキットルの飲み口がまがり、付け根が割れ、中のウイスキーが漏れてしまった。

金、銀に次ぐ高価な金属である錫(すず)製のスキットルは、非常に柔らかく繊細なのだ。
もちろんわざと落とした訳ではないので、ここで怒っては男のうつわが測られてしまう。

内心は、会場に到着する前に使い物にならなくなった無残な姿のスキットルを拾い上げテンションガタ落ちだったが、そこはまだ付き合いたてだ、全然気にしないそぶりでフジロックを楽しんだ。

そして、後日全く同じものを買い直したのだった。
(Vol.32のトップ画像のバブアーのジャケットの向かって左ポケットにいれているものが買い直したスキットル)

他には、その丈夫さから、飲食店で業務用として使用されることの多いフランスのデュラレックス社のグラスを過去に何個も割っているし、
頑丈さが売りの時計であるGショック、厳しい品質試験をすることでも有名で「水中ボタン耐久試験」では、Gショックを水中に沈め、ボタンを数千から数万回押して不具合がないかチェックし、その過酷なテストに合格したものが製品となるのだが、
そのGショックのボタンさえも壊した。

まさに破壊王なのである。

という訳なので、妻の毎日の使用に耐えうるタフなコンロが必要だったのだ。

それをクリアしたのが、カセットフーマーベラスだった。

このカセットフーマーベラスの特長は、
ダッヂオーブンも置けるほどの耐久性をもつ頑丈なゴトクを備え、多孔式のバーナーは、炎口を小さく配置することにより、炎の長さを短くし風の影響を抑える。

取り外し可能なトップカバーは大きな風防になり、バーナーを取り囲むように風防リングと呼ばれる風除けがあり、野外で使用する際には心強く、車内で使用する際も、後方に火が直接回らないので安心感があった。

カセットボンベの弱点である、低温下で火力が弱まってしまうことも、独自のヒートパネルでボンベを温めることで克服し、ガスを使い切るまで火力を維持してくれる。
実際、真冬のバンライフでも問題なく稼働してくれた。

カセットボンベをセットするのも簡単なマグネット式で、使わない時はガスボンベを反対にして入れておけるので便利。

OD缶ガスストーブにありがちな、本体を組み立てる煩雑さもなく、トップカバーをガサっと開ければすぐに使用できるイージーさも魅力。

ただ唯一の弱点と言えば、
ちょっとデザインがダサいこと(笑)

自分が購入した頃は、グリーンかオレンジのモデルしかなかったが、購入後にカセットフーマーベラスⅡが登場し、シャンパンゴールドという少しマシなカラーがラインナップされた。
シャンパンゴールドのほうが、自分のグリーンよりカッコイイなぁと思いながらも、故障といえば点火ダイアルの表示板が外れたぐらいで、使用には問題無く、まだまだ壊れそうもないのでそのまま使い続けている。

ちなみにカセットフーの、フーとはフランス語らしく、feu(フー)は火を意味するそうだ。

カセットフーの1号機は、1969年に発売され、2019年に50周年を迎えた。
確かに子供のころから、カセットコンロのことを、
カセットフーと呼んでいた記憶がある。

カセットフーを販売する岩谷産業は、
1995年におきた阪神淡路大震災において、カセットコンロ3000台、カセット暖1000台、カセットガス10万本を寄贈し、
2011年におきた東日本大震災では、カセットコンロ14,112台、カセットガス85,152本、ガスマッチ9000本を被災地に無償提供したそうだ。
(Iwatani[カセットフーの歴史]より抜粋)

この企業姿勢も魅力のうちかなのかもしれない。

確かにカセットコンロはライフラインが絶たれた状況で頼もしい働きをしてくれる。
被災時にあたたかい食事がとれるのはありがたいし、火によって暖もとれるし灯りにもなる。

このカセットフーマーベラスは、バンライフというある意味社会からドロップアウトしたオフグリッドな暮らしかたの心強い相棒となった。

やはり人間には、火が必要なのだ。

文・写真:河合桂馬

PROFILE

2002年、club青山MIXにてHOUSE DJとしてのキャリアをスタート。
GREENROOM FESTIVALなど全国さまざまな野外フェスに出演し、日本最大級のキャンプフェスGO OUT CAMP最多出演アーティスト記録更新中。近年活動の幅を海外フェスにも広げている。TOYOTA HIACE ウェブCM、KIRIN生茶広告など多数メディアに出演中。

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