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桑原 茂一 JUL 31,2020

Look Book Cook Records No.61


オルタナティブ・ROMAN (小説)への誘い。

どこがオルタナティブか?

きっかけは 自撮りから始まる自画像作り。

無秩序に自分自身の自画像をアプリで生み出す楽しみ。

AI画伯とFaceAppから発現される予期せぬケッタイ顔に魅了されたのだ。

魅了の源泉はケッタイ顔に私自身の顔が含まれていること。

そんなしょうもないことを面白がるのは阿呆。

阿呆は煙突に登る 自画像作りから始まる

「クワバラ家・ファミリー・ツリー」

まったく けじめがない 思考が自堕落。

そんな奴を私はスカタンと呼ぶ。

そう私はスカタン猿です。猿のもは追わず。

そして物語は始まる。

スカタン猿から生まれた「KUWABARA家」のファミリー・ツリー

ご覧のように時代も性別も様々

折角なら無秩序無分別な私の分身に
命を与えよう

 alternative =けじめがない

 ROMAN =・稗官・小説

それではみなさまを五里霧中の世界へ
お連れしましょう

実験的なCUT UP 小説もどきの始まりです

原題 [Skatan Monkey Tea Room]
邦題 「スカタン猿の茶室 」

始まり・始まり・

選曲 1 Elizete Cardoso — Manha do Carnaval (Black Orpheus)
https://youtu.be/Lr44DAw4aT0

「丸坊主のカツラはいけませんや。」

「今夜の夜会は丸坊主がドレス・コードなんだよ。」

「それではちょっと形をつけて差上げましょう。
どうせ夜会までは帽子をお冠りなさるんだろうから
帽子を脱ぎなすったとき
ほかの皆様方よりおまはんが格段に男ぶりが上って見えなさるように。」

髪結の入れてくれる櫛目に
隔靴掻痒・付和雷同
髪油の匂い槿花一朝
鏡に映る坊主よ、
君が眉には憂愁(うれひ)あり
二十三歳の清顕の頭は
青く見えるほどに涼しく
刈り上げられていた。

選曲 2 Marpessa Dawn – Le petit cuica
https://youtu.be/JOt3-sU9zug

「ねえ、鮫島。僕は今日ひとつ失敗をしたんだ。
お父様にもお母様にも内緒にしてくれたら教えてあげよう。」

「何ですか。」

「僕、今日、彼女顔に見惚れて、ちょっとつまずいてしまったんだ。
彼女はにっこりして恋して下さったよ。」

鮫島はその言葉の浮薄、その責任感の欠如、その潤んだ目にうかぶ恍惚をことごとく憎んだ。

「風邪を引きますよ。もう脹脛を揉まれたほうがよかとです。」

選曲 3 Elie Semoun – Mademoiselle A
https://youtu.be/Fvo4p7x-MNk

「すばらしい日だな。
こんなに何もなくて、
こんなにすばらしい日は、
一生のうちに何度もないかもしれない。」

「貴様は幸福という意味を知っているのか。」

「そんなことを言った覚えはないよ。」

「僕には、幸福という言葉
とても怖くて言えない。
貴様はきっとひどく欲張りなんだ。
欲張りは往々悲しげな様子をしているよ。
貴様はこれ以上、何が欲しいんだい。」

「何か決定的なもの・・・
それが何だかはわからない。」

選曲 4 Jorge Ben Jor – O Telefone Tocou Novamente
https://youtu.be/qh8iJMsOXw0

西洋の法の定言命令は、
あくまで人間の理性にもとづいていたが

マヌの法典は、
そこに理性ではおしはかれない宇宙的法則。

『マヌ法典』(マヌほうてん、サンスクリット語: मनुस्मृति)は、紀元前2世紀から紀元後2世紀にかけて成立したと考えられている法典(ダルマ・シャーストラ)。世界の創造主ブラフマーの息子にして世界の父、人類の始祖たるマヌが述べたものとされている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/マヌ法典

すなわち「輪廻」を、いかにも自然に、
いかにも当然のことのように

いかにもやすやすと提示していた。

「行為は身・語・意から生じ
善悪いずれの結果をも生ずるものである。」

「心はこの世で肉体と関連し
善・中・悪の三種の別がある。」

「人は心の結果を心に、語の結果を語に
身体的行為の結果を身体に享ける。」

「人は身体的行為のあやまちによって
来世は樹草になり
語のあやまちによって鳥獣になり
心のあやまちによって低い階級に生れる。」

「すべての生物に対し、語・意・身の三重の抑制を保ち
又、完全に愛慾と瞑志を制する者は、成就、すなわち究極の解脱を得る。」

「人は正に自らの叡智によって個人の霊の、法と非法にもとづく帰趣を見きわめ
つねに法の獲得に意を注がなくてはならない。」

ここでも亦、自然法のように
法と善業とは同義語をなしていたが
それが悟性では “どうしてもつかまえにくい輪廻転生”にもとづいている点がちがっていた。

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫 2002年)
三島 由紀夫

選曲 5 亡き王女のためのパヴァーヌ 冨田勲

ロンドンではお茶の時間に

ミルク・ファースト? ティー・ファースト?

わざわざ お一人 お一人に
お聞きいたしますのよ。

ミルクを先に注ぐか 茶を先に注ぐかは

国の政治よりももっと緊急重大な
問題だとか。

スプーンを回せば同じことですが

その人のスタイルを

大げさにいえば 個人の生き方そのものを

大切に尊重する社会なんだと思います。

が 自虐的な思考が身についた私には

ただ 面倒な儀式に思えます。

「イギリス人に憧れる
クワバラさんらしいご意見だったと
記憶に留めておきましょう。
はっきり申しますが、あの人は人間じゃない
頑固な去勢馬と同じでございます。」

選曲 6 Entre Dos Aguas (Remastered 2014)
https://youtu.be/0vq3qZwaXrw

「おや、きれいな金いろの白鳥だこと。お前はどこから飛んできたの。」

「私はお前の父親であった者だ。
死後 白鳥に生まれ変ったが
こうしてお前たちに会いに来たからには
苦しい暮しを楽にしてやろう。」

と白鳥は膨大な羽根を残して飛び去りました。
こうして白鳥が時折やって来ては
大量の羽根を残して飛び去るので
仕方なく母子は羽毛布団で財を成しました。

ある日のこと、母親が娘に言うには

「私の青春を奪った
お前のお父様の
生まれ変わりだという白鳥も
いつ来なくなるかわからない
スカタンだ。
恋人の不誠実さを嘆くお前に
白鳥になった男の心など
わかるはずもない。
今度お前のお父様だと名乗る
白鳥来たら
羽毛布団屋の仕事はしんどいから
今度は金の卵を運んでくれと
言うがいい。」

「ああ、むごいお母様!」

選曲 7 UnKown Famous Yoichiro Ito

「それでは、思想や精神が、死後も人々へ伝えられるのはどうしてなんだ。」

とジャオ・ピーは物しずかに反対した。

本多は、頭のよい青年の逸り気から
やや軽んずるような口調で断定した。

「それは生まれ変わりの問題とはちがいます。」

「なぜちがう」とジャオ・ピーは穏やかに言った。

「一つの思想が、ちがう個体の中へ
時を隔てて受け継がれてゆくのは
君も認めるでしょう。

それなら又、同じ個体が、別々の思想の中へ時を隔てて受け継がれてゆくとしても
ふしぎではないでしょう。」

「猫と人間が同じ個体ですか?
さっきのお話の
人間と白鳥と鶉と鹿が

きっと生まれ変わりの考えは
それを同じ個体と呼ぶんです。

肉体が連続しなくても
妄念が連続するなら
同じ個体と考えて差支えがありません。

個体と云わずに、
『一つの生の流れ』と呼んだら
いいかもしれない。」

本多はその言葉を聴き流しながら
さっきジャオ・ピーが言ったふしぎな逆説について思いに耽っていた。

たしかに人間を個体と考えず
一つの生の流れととらえる考え方は
ありうる。

静的な存在として考えず、流動する存在としてつかまえる考え方はありうる。

そのとき王子が言ったように、一つの思想が別々の「生の流れ」の中に受けつがれるのと
一つの「生の流れ」が別々の思想の中に受けつがれるのとは同じことになってしまう。

生と思想とは同一化されてしまうからだ。

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫 2002年)
三島 由紀夫

選曲 8 Alexandre Desplat Mr Moustfa
https://youtu.be/voX15vG2gOk

「毎日毎日、あしたがもう終りだろう
取り返しのつかぬことが起こるだろう。
と思って寝みますと、ふしぎに安らかに眠れますの。
もうこんなに、取り返しのつかぬことをしておりますのに。
罪もあまり重くなれば、やさしい心を押し潰してしまいます。
そうならぬうちに、あと何度お目にかかれるか、数えていたほうがましでございます。」

「君はのちのちすべてを忘れる決心がついているんだね。」

「ええ。どういう形でか、それはまだわかりませんけれど。
私たちの歩いている道は、道ではなくて桟橋ですから
どこかでそれが終わって、海がはじまるのは仕方がございませんわ。」

選曲 9 GRADISCA AND THE PRINCE / NINO ROTA
https://youtu.be/9i3WqLqZ1cQ

Amarcord Nino Rota From the original sound track

考えてみれば、それは二人が終末について語ったはじめであった。

「もうこの世では会わんと決めたら
そのときに御髪を丸坊主に剃れて進ぜるが、後悔しやしたら悪いさかいに。」

「はい、後悔はいたしません。この世ではもうあの人とは、二度と会いません。
お別れも存分にしてまいりました。
ですから、どうぞ……。」

と聡子は清い、ゆるぎのない声で言った。

僕はもう陶酔の道具を失くしてしまった。

物凄い明晰さ、爪先で弾けば全天空が繊細な玻璃質の共鳴で応じるような、
物凄い明晰さが

今世界を支配している。……しかも、
寂象は熱い。

何度も吹かなければ口へ入れられない熱い澱んだスープのように熱く

いつも僕の目の前に置かれている。

その厚手の白いスープ皿の

蒲団のような汚れた鈍感な厚味と来たら!

誰が僕のためにこんなスープを注文したのか?

僕は一人取り残されている。

愛慾の渇き。運命への呪い。

はてしれない心の彷徨。

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫 2002年)
三島 由紀夫

選曲 10 Bathroom Dance / HILDUR GUDNADOTTIR
https://youtu.be/K61-tK7Xlzg

残念ながら、すでに私は人間という
あの奇妙で醜怪な生き物の一員だが

もし自分が自由な魂で、気に入った肉と血を自ら選んで身に付けられるなら

私は犬か猿か熊になりたい。
ともかく、合理的であることを大層誇りにしている

あの己惚れた動物以外なら何でもよい。

ロチェスター「ボワローの諷刺詩集第八篇に倣って」 より

選曲 11 Watchmen(OST 2009) – Pruit Igoe and Prophecies
https://youtu.be/J0RKpmjjpLQ

芭蕉は自らを「風羅坊」と呼びつつ

「狂句」に熱中し

打ち込み、迷い、やめようかと思いつつもやめられず

その果てに、西行、宗祇、雪舟、利休という日本の芸術、表現の巨匠たち

それぞれが和歌、連歌、山水画、茶の湯と、関わっているものは違うけれども

そこで取り組んでいること、心において働いているものは同じだと気づいたというのです。

つまりこの「風雅」に生きるということ。

「見るところ花にあらずといふことなし。思ふところ月にあらずといふことなし。」

という境地のなかで生きるということです。

すいません 分かりません。

心において働いているものは同じだと気づいたというのです。

私も毎日働いています。

心において働いているものは
同じと言われても

まったく分かりません。

「風雅」に生きるということ。

ってなんのことですか?

「見るところ花にあらずといふことなし。 思ふところ月にあらずといふことなし。」

いふことなしって言われても

私には言いたいことが一杯ありますし。 

選曲 12 CATERINA VALENTE Corcovado 1963_ ( in French ) Bossa -Nova-
https://youtu.be/9HxKmA_lcBs

「見るところ花にあらずといふことなし。 思ふところ月にあらずといふことなし。」

すべてのもを花を見るように見る。
あらゆる思いは月を愛でるように思う。

どんなに辛い暮らしをしていても

花と月に象徴されるような

美しい心を持って生きることを
風雅と言うんですね。

で、お嬢さんが分からないって言ったのは 福田和也著の「贅沢な読書」からの引用の
「読みたくなる古典」の章なんだけど もうチョツト読んでみるよ。

芭蕉によって自覚された文化的、文芸的な一貫性のなかで、今も私たちが生きているということ。

それを知識としてではなく、実感として識るということは
大事である、有益なことである、というよりも一番贅沢なものだと思っています。

贅沢というのは、それが生きているということそれ自体に幅と厚みをもたらし
また、それを人に伝えることが出来るからです。

贅沢な読書 (ちくま文庫 2006年)
福田和也

福田和也さんの「贅沢な読書」を拝読して大切なことに気がついたのです。

それは「けじめ」のなさが
大切だと言うこと。

「けじめ」が
私の思考を拘束していたのではないか?

福田さんはこう言います。

ついには文芸と造型の「けじめ」をも
なくしていく

そういう生成過程全体の楽しさ
あるいは美意識の発揮を集大成したのが

千利休の茶の湯だといっていいでしょう。
茶室という空間に

さまざまな美術品、古筆や花入れ
佂、茶碗などを配して演出される茶会は

まさしく現代のキュレーション・アートの
先駆であると同時に

享受と、それも全体的な享受と制作の
境目のなさ

「けじめ」のなさを、包括するとともに
洗練したのです。

それはこの「けじめのなさ」から広がってゆく情感に身を委ね

上下左右の立場や身分のみならず
人と生き物、山河と風水の境目も

今と昔、今日と明日の敷居をも超えて

楽しさに哀しさに、寂しく、また浮かれ

とめどなく纏綿していく経験に
ほかなりません。

「けじめのなさ」から広がってゆく情感に
身を委ね

贅沢な読書 (ちくま文庫 2006年)
福田和也

このフレーズに強い感銘を受けました。

オルタナティブ(無限の自由)を
賛美していると感じたのです。

けじめのなさ その美を私も学びたいと。

その瞬間 瞬間 消えていく
茶室での出来事。

目的地のない道を歩くように。

この連載もこの選曲も
茶室の中で繰り広げられる
出来事に過ぎない。

選曲も物語も 読み終え
聞き終えた瞬間から消えていく。

そして 白紙から 再び 茶の湯を沸かす。

選曲 13 Serge Gainsbourg & Jane Birkin – Je t’aime… moi non plus
https://youtu.be/GlpDf6XX_j0

つづく 

初代選曲家

桑原 茂→

ps:この連載の選曲は mixcloud PirateRadioで紹介致します。

https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/

PROFILE

初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長

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