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桑原 茂一 FEB 09,2021

Look Book Cook Records No.71


ColorとMonochromeの戯れ書簡

for M
電光石火のごとく始まった京都暮らしも、はやひと月半か、
依りによって壊滅寸前の大正時代建築町屋を棲家に選ぶものだから、
隙間風ちんちん・凍れる日々を過ごすのは、軽佻浮薄な君らしい判断だったと、
ここは一度釘を刺しておく。
加えて、
釘を、まっすぐ打てない君への助言。
錆びついた使い古しの
釘を使ってはいけない。
打つなら、まっさらな釘を選び、
打つ前にそっと石鹸か油を塗っておく。
すると面白いほどまっすぐ打てる。
お試しあれ。

for C
その昔取材で訪れたバリ島のある村では、
未だに藁人形にドスン釘を打って相手を呪い殺すという。
従って君の釘を刺す心を打つ助言は
針灸を受ける極楽助言と受け取った。
その所為でもないだろうが
京都で不思議な夢を見た。
発作的に頭を丸刈りにした夜のことだ。
ここからは夢の話。
寝る前に身体を温めようと熱いシャワーを浴びていたのだ、
東京で使っていたカルキ臭を軽減させる黒くて幾分太いシャワーヘッドを
首振り自由に固定できる、
i-toolアイツール ユニバーサルシャワーフック ホワイト 3779
に差し込んで使っていたのだが、
なぜか、的を得ない。
頭を真っ直ぐ直撃して欲しいのだが、
的が外れる。
その度に、黒くて幾分太いシャワーヘッドを握って的へ向けて移動させるのだが、
外れる。向ける!外れる!向ける!外れる!向ける!
を繰り返しているうちに、
イラッついて、黒くて幾分太いシャワーヘッドを力一杯握っった瞬間!
シャワーヘッドはボーカル・マイクに変身していた。
すかさず私は、声を張り上げ、こう叫んだ。

“ みんな、乗ってるか〜 ”

for M
そんな夢なら
そのまま冷めないで欲しいものだ・
丸刈りのロッカー in Kyoto か、

やっぱりそれは、 nightmare だ。

さて君の住むエリアには
神宮道、銀閣寺道、哲学の道がある
道には神様の道を初め、茶道、華道、香道と、さまざまな道があるが、
京都で暮らすには
風の道が最も大切だと聞いた。

つまり京都盆地の地形的特徴から
滞留する熱を逃すには、
耐え難い京都の夏を雅に過ごすには、
風の道が必要だというのだ。

風の道 

君は聞いたことがあるかい?

for C
実は私も眠れない夜の携帯で
偶然出会ったドキュメント番組で、
風にまつわる雅の真髄に触れた。

京都 ふしぎの宿の物語 「俵屋旅館」

創業してから300年。
京都で最も古い旅館「俵屋」。
サルトルやヒッチコック、スティーブ・ジョブスも定宿としてきた。
日本の「おもてなし」文化の根底ともいえるものだ。
俳優の本木雅弘さんを案内役に、
通常は撮影が許されない老舗旅館の一年を記録。

以下は本木さんのナレーションから、

「京都では 木々が吸い上げる水も白粉のにおいがする」。

かの文豪 芥川龍之介が残した言葉です。

多くの日本人が 特別な思いを抱く京都。

私も大好きな町の一つです。

こちらが 今回の舞台 俵屋旅館。

創業は 江戸時代の中頃。

300年以上の歴史を持つ
京都でも 最も古い旅館です。

俵屋旅館の玄関から入った先に
見事な坪庭があってね。
その庭には職人が俵屋の為だけに
育て上げた木花を
俵屋11代目当主佐藤年さん自ら、
およそ一月ごとに模様替えをするそうなんだ。

花をいけるとはどういうことか?

植木職人さんたちに、
当主、佐藤さんの指示が飛ぶ。

“ ふわっと風が
もみじ中を吹き通っていくよな
感じにしよう ”

“ 風が吹いてないじゃない 、
人が活気を感じる時、
やはり風の気配がね、 ”

「風」と「雅」

「京都の雅を知るには、
風の道を知ること。」

風はひとつではない。

青嵐(あおあらし、せいらん)
初夏の青葉の頃に吹く、やや強めの風のことです。


荒く激しく吹く風、あるいは荒れ狂うような風雨(=暴風雨)をいいます。

大風(おおかぜ)
激しく吹く強い風
大風(たいふう)は中国に伝わる伝説上の動物で、巨大な鳥の姿をしています。
その翼で強い風を起こして、人々を苦しめたといわれています。

海風(かいふう)
昼間に海から陸に向かって吹く風、あるいは海の上を吹く風のことをいいます。

空っ風(からっかぜ)
激しく吹く湿度の少ない風で、雨や雪をともないものをいいます。

木枯らし
秋の終から冬の初めにかけて吹く風のことで、「凩」とも表記されます。

そよ風
そよそよと吹く風のことで、「微風」と表記されることもあります。

松風
松に吹く風のことで、その音を意味することもあります。

台風
南洋の海上で発生して、アジア大陸の東部や日本列島にやって来る暴風雨のことをいいいます。
「台湾を越えて来る」という意味から名付けられました。

向かい風
進んで行く前方から、こちらに向かって吹いて来る風のことで、逆風と同義です。

風上に置けない
性格や行動の卑劣な人間をののしる言い方です。

風前の灯
滅ぼされる運命が、すぐ目の前に迫っている状態を表現する言葉です。

https://idea1616.com/kaze/
風の種類30 より 一部引用

300年の伝統は風の道でもあった。

“ 「伝統」とは、
人の心に受け継がれていくものです。 ”

俵屋11代目佐藤 年さんはそう語る。

眠れない夜、
俵屋の日々を描く映像に耽溺するうちに、
30代に体験した私の俵屋が蘇ってきた。
と同時にそれまで曖昧だった
京都移住への釈明が,
freedom dictionary を何故?
京都で発行するのかへの弁明が、
乾くと消える明礬水で書いた文字が
蝋燭の炎で炙り出されるように
露呈された。

答えは「俵屋旅館」だった。

受け継がれしもの「俵屋相伝」
佐藤 年

この本の帯には、こう書かれている。

俵屋は、
日常的な生活空間の中で、
文化を体感していただく
場なのかもしれません。

俵屋11代目当主・佐藤 年

受け継がれしもの「俵屋相伝」 佐藤 年著 より

身一つのバリアを張れる場があれば、
頭を垂れ、胸に嵐を抱いても、
心は解き放たれるだろう。

願うならば、その精神の
ほんの一部でも
私は引き継ぎたい。

for M

ゴッホの自画像(AI画伯処理)

この奇妙な画像の発露は、
敬愛する・ヒロ杉山さんの作品、
「BLACK GOGH PORTRAIT」

不埒にもゴッホのオリジナルをアプリAI画伯でバーチャルな世界を遊んでみたが、
結果、杉山さんのペイティングの強烈なストレートが私の顔面をヒットした。
完全にノックアウトだ。
これもある意味バーチャル時代の恩恵なのかも知れない。
つまり私の PLAY はアートではない。
アートには血の沸騰を感じる
ソウルがある。

やっぱり生がいい。

「BLACK GOGH PORTRAIT」ヒロ杉山

for C
最近知ったのですが、
ゴッホの切り落とされた耳は、
「再現」されているとか。

ディームット・シュトレーベという
現代アーティストが
ゴッホ家の子孫の
リウーウェ・ファン・ゴッホの
耳から採種した
軟骨細胞を利用して、
3Dプリンターで形成。
形成されたその耳は生きており、
しかも音に反応するといいます。

その耳は、現在ドイツの美術館に
展示されているそうです。
https://muterium.com/magazine/stories/gogh/ear/

for C

拾ってきた話をそのまま伝えるのは
恐縮だが、

MP3 圧縮音源は、

「ミステリアス」「恥ずかしい」「怖い」「悲しい」
といったネガティブな感情的特性を強め、

「幸せ」「英雄的」「ロマンチック」
「こっけい」「穏やか」といった
ポジティブな感情特性を弱めることが明らかになっている。

そして、「怒り」という感情特性は MP3 圧縮の影響をほとんど受けないことが明らかになっています。

だそうだ。

forM

経済優先の人類の進歩とは
何んだったのか?

以下の引用は、
根本原理がほとんど変わらない。
というその一点に反応して紹介する。

「俳句と地球物理」 
寺田寅彦著

一部抜粋しておく。

話は変るが、一九一〇年頃伯林近郊の有名な某電機会社を見学に行ったときに

同社の専売の電信印字機を見せて貰った。発信機の方はピアノの鍵盤のようなも

のにアルファベットが書いてあって、それで通信文をたたいて行くと受信機の方

ではタイプライターが働いて紙テープの上に其の文句をそっくりその儘に印刷し

て行く仕掛けである。此の機械の主要な部分は発信機と受信機と両方に精密に同

時に回転する車輪である。凡ての仕掛けは此の車の同時調節によって有効になる

ので、試みにわざと一寸ばかり此の調節を狂わせると、

もう受信機の印刷する文句はまるきり訳の分からぬ

寝言にもならない活字の行列になってしまうのである。

此の二十世紀の巧妙な有線電信機の生命となって居る

同時調節(シンクロニゼーシヨン)の応用も、

その根本原理に於ては前記の古代ギリシアの二千何百年前の無線光波通信機の

原理と少しも変ったことはないのである。

写真電送機械の機構にも矢張り同様な原理が応用されて居る。

此の場合には土器を漏れる水の代りにフィルムを巻いた回転円筒が使われ、

棒に刻んだ線を人間が眼で見て燈火を挙げる代りに

真空光電管の眼で見た相図を電流で送るのである。

自働電話の送信器の数字盤が廻るときのカチカチ鳴る音と自働連続機のピカピ

カと光る豆電灯の瞬きも矢張り同じような考えを応用して出来た機構の産物であ

ると見れば見られなくはないであろう。

此のように、二千年前の骨董の塵の中にも現代最新の発明の種があるとすれば、

同じ塵の中には未来の新発明の品玉がまだいくらでも蔵されて居るかも知れない。

引用以上

う〜ん、引用したのはいいが、
物理学者の考えることは
私には難解だ。すまん。

京都の雅を想えば、
私には三島由紀夫さんの装飾体と呼ばれる美しいフレーズが浮かぶ。

また、美文体(figurative style)、
荘重体(grand style)などと
呼ばれることもあるらしい。

ところが、最近気が付いたのだが、
雅とはべつの、ユーモアが
お好きな方だったのではないか?

そのくだりを引用しておこう。

久松裁判長

飯沼に訊くが、決行前に所持の日本刀をみな短刀に買い代えさせたのは、

暗殺の目的のためだったのだな。

飯沼

はい。左様でございます。

裁判長

それは何月何日のことだ。

飯沼

十一月十八日のことと記憶いたします。

裁判長

そのとき日本刀二口(ふたふり)を売って、その金で短刀六口を買ったのだな。

飯沼

はい。

裁判長

お前が自分で買い代えに行ったのか。

飯沼

いいえ。同志二人にたのみました。

裁判長

その同志とは誰々か。

飯沼

井筒と井上であります。

裁判長 なぜ一口ずつ別々に売りに行かせたのか。

飯沼

若い者が刀を売りに行くのですから、
二口では目立つと思い、

なるたけ明るく柔和な印象を与える両名を選んで、

土地の離れた別々の刀屋へ行かせ、

もし刀屋で理由をきかれたら、
居合をやっていたのだが、
もうやめたので、
白鞘の短刀の幾口かに買代えて、
兄弟で分けることにしたのだ、

と言えと申しました。
二口売って短刀六口が買えれば、

それで、今まであった六口と合せて、
十二人みなに行き亘るのです。

裁判長

井筒。その売りに行ったときの
状況を述べてみよ。

井筒

はい。麹町三丁目の村越刀剣店へ行きまして、なるたけ何気ない顔で、

刀を売りたいのだ、と申しました。

小さなおばあさんが
猫を抱いて店番をしていましたが、

三味線屋じゃ猫も居辛いだろうが、
刀屋ならそんなこともあるまいと
ふと考えました。

裁判長

そんなことはどうでもよろしい。

「豊饒の海 第二巻 奔馬」三島 由紀夫著 より一部引用

for C
で、今私は、真っ赤な鳥居の250メートル先で借家暮らしを始めているのですが、
2月3日水曜日午後4時頃、
コロナ禍の早期退散をご祈祷する
儀式に偶然遭遇し、
なんとも言えない安らぎを感じだのです。
一体この感じは何処からくるのだろうか?

神社の存在をこんなに頼もしく思ったことは無かった。
困ったときだけ神頼みなんて、人間は随分と身勝手な生き物だと、
そんなわがままを聞いてくれる神様が居る国に住んでいる私は、なんと、
ありがたや、ありがたや、
いつの間にか手と手を合わせ
神頼を拝んでいる私があの日そこに居ました。
不思議の国 ニッポン。
少しこの国が好きになった瞬間でした。

さて、ここで大切なお知らせです。
このエレガントな女性を
ご存知でしょうか?

1953年に24歳でデビューした、
コラージュ・作家、
現在93歳の岡上淑子さんです。

このアーティスト写真では、
ご自身で作られたワンピースを
お召しになっています。

現在、彼女の展覧会が
大阪で開催されています。

岡上淑子「呼び声」
The Third Gallery Aya
2021.01.30 – 02.27
http://www.thethirdgalleryaya.com/

2018年の高知県立美術館での個展を皮切りに、2019年には東京都庭園美術館でも個展を開催し、再評価が進んでいる岡上淑子。
ギャラリーではコラージュからおこしたシルクスクリーンをこれまで2セットの合計10枚を制作してきました。
今回、それにプラスして、1セット5枚のシルクスクリーンを制作致しました。
岡上淑子自身のサインが入った貴重なものになります。
今回はそれら15枚を一堂に並べる展示を開催致します。

2021年1月30日(土)〜2月27日(土)
水曜—金曜 12:00〜19:00 / 土曜 12:00〜17:00 / 火曜 by appointment only

(c) OKANOUE Toshiko

岡上さんは、今から70年ほど前に制作を始められ、
3年ほど活躍されたのち
家庭に入られたそうです。
その後、40年近くのブランクがあり、
65歳頃、再び制作を再開されたとか。

ネットで検索したインタビューでの、
天真爛漫な発言に益々魅了されました。
アーティスト然とした過度な自負を持たないまま、
いつの間にか、
ご自身の作品がニューヨークのMOMAに所蔵されているという事実。

名誉や権威やお金の為に
作品を作ったわけではない。
楽しいからつづけた、私は幸運だったと。

アートの呪縛に囚われない
爽やかな姿勢に心を打たれます。

ではもう一人、
女性アーティストを紹介します。

その名は、三島喜美代さん。
1932年大阪府生まれ。

現在開催中の展覧会
2020年度 第4回コレクション展
会期:2020年12月24日(木)〜2021年3月7日(日)
会場:京都国立近代美術館 コレクションギャラリー
HP:https://www.momak.go.jp/Japanese/collectionGalleryArchive/2020/collectionGallery2020No04.html

from C&M
では最後に、
受け継ぐ事の大切さ
人生の先輩から、京都の文化から
私は生きる勇気をもらいました。
風の道、長くて曲がりくねった道、
膝を労わりながら歩いていきます。

カラーもモノクロも
今私の扱えるのは
オンリー・デジタル(画像)。
そこが私の Play in the forest
その森の中には
眠れぬ森の美女が潜んでいるのです。
しかし、森の美女は永遠の眠りを貪り
目を覚ますことはありません。
私はただみつめるだけです。

選曲はこちらから。
https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/545-moichi-kuwahara-pirateradio-moss-love-0115/

画像・文 選曲家 桑原茂→

PROFILE

初代選曲家、毎週金曜日夜11時 Mixcloud PirateRadio(海賊船)、
Editor-in-chief launching1988年 free paper dictionary → 2020年 freedom dictionary on going

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