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桑原 茂一 OCT 17,2019

Look Book Cook Records No.46


ご覧の画像は、サルバドール・ダリの作品によるフランス製のトランプである。

おフランスでは、トランプのことを、「carte à jouer / キャルト・ア・ジュエ」といい。
英語の「playing cards」ともに「遊戯用カード」という意の一般的な表現である。
(Wikipedia)

で、主題は「JOKER」。

JOKE に「R」で、JOKER

JOKE は 冗談、洒落, 戯言, 戯れ, 諧謔、
辞書からは愉快で知的な世界が広がります。

そのJOKEにたった一文字 R をプラスすると、JOKER。
JOKER とは、戯け者(たわけ者)とか 「fool」(バカ)と蔑まされる人のこと。
そうです。時代劇ではおなじみの、お殿様が家来に向かって、たわけもの!(戯け者)
その由来は、田を分けるの語源から、
家長が自分の子供の人数に合わせて田を分けてしまうと、
公平に見えるが畑がどんどん小さくなって収穫も減り家そのものが衰退する。
そんなバカなことをするものを田分けと呼んだ。
しかし、たわけの言葉には、バカげたこと、ふざけたこと、の意味する動詞「戯く」の連用形の名詞となった言葉である為、
いつしか洒落て戯け者になったとか。

で、トランプの JOKER とは切り札なのか?

それとも、JOKER はルールそのものを超えたルールか?

a playing card, typically bearing the figure of a jester, used in some games as a wild card.
ジョーカーは通常は道化師の姿をしており、ゲームではワイルドカードとして使用されます。

ワイルドカード 
何かが起こりそうなムードを醸し出します。

日本語では「トランプ」と呼ぶ習慣になっているが英語のtrumpは本来は幾種類かのゲームのルールにある切り札の意味で、
なぜそれがカードを指して使われるようになったかはあまりはっきりしないそうです。
また、フランスのカードの場合は「1」から始まる。あくまで「1」であって「A」ではない。
「1」〜「10」の次は valetヴァレ(=侍者、従者)、dame ダーム(=女王)、roiロワ(=王) であり、
インデックスにも通常「V・D・R」の文字が記されている。(Wikipedia)

フランスでは「King」が「R」( roi ・王様 )。
やはり一文字といえどもアルファベッドの[R]には底知れぬパワーがあったのです。
で、私が Paris で入手した「carte à jouer / キャルト・ア・ジュエ」では王様は、
何故か尼僧の姿です。きっとなんらかの意味が隠されているに違いありません。
しかも「joker」に至っては、淑女の髑髏と裸体のハーフ&ハーフ。となれば他のカードはもっとインモラルな世界が予想されます。
よって洗練の極みを求道するこの連載での紹介は出来かねます。

それにしてもこんな怪しいものを paris の一体何処で私は入手したのだろうか?
で、アメリカ製の「JOKER 」とフランス製の「JOKER 」並べてみると、
トランプが大統領の米国製のカードは大きすぎて扱いにくく手に余る存在だ。
しかも覗き趣味というか世界をまるで監視しているかのようです。それに比べ、
長い歴史を有するヨーロッパのカードは一見好色家秘蔵のアートを装っていますが、
手の内をおいそれとはみせない老獪さを感じます。
いったい私はなんの話をしたいのだ。

で、トランプ・コレクションの中でも特に気に入っているのが最近入手した
現代美術の作家「TOM SACHS」のプレイカードだ。

こうして見比べて分かることは、ユーモアーこそがJOKERから「R」を消し去る唯一の方法だということです。

さて、トランプ・コレクションはこれくらいにして、
連載46回目は今話題の映画「ジョーカー」です。

https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=56017

泣きました。
泣くような映画じゃ無いだろう。と突っ込みが入りそうですが、
クライマックスの暴動シーンで、遂に死んだかと思われたジョーカーが息を吹き返し、
暴徒からヒーローに祭り上げられ、躊躇いながらも次第に笑顔を浮かべ拳を突き上げる瞬間、

最後の最後にみせた本物のスクリーンいっぱいの笑顔に対峙した私は込み上げてくる刹那を抑えることができませんでした。
しかしそれは涙ではなく、心に大きな穴が空いたような無情感とでも申しましょうか、別の言い方をすれば、突然ガード下で身ぐるみ剥がされた男のような喪心状態とでも、、うん?ちょっと離れたか、でその茫然自失の私の左隣で学校帰りに仲間と観に来た高校生の男子が映画の最中からずっと食べ続けていたポップコーンをついにはバケツの水を頭から浴びるようにのど奥へと流し込んでいた。彼はこの映画をどう観たのだろうか?ちょ〜やべ〜で終わらせるのだろうか。それとも隣に座った同じ高校の女子と爾汝の交わりに向かうのだろうか。然もなくば戦後の伝染病とでもいうべきバカント病(考えることが出来なくなる病)に犯された高校生の思考では2度と開かない重い扉の内に収容されたピエロのペーソスなど分かるはずもないじゃんか。
空っぽからの脱出といえば、私の場合は音楽を聴く事に尽きます。もちろんチャンネルはいくつかあるが、我を忘れた時は、AIに選択させて聞くのもありかと「youtube・music」へ Blue tooth.

曲は、 エクソダス! Exodus / Bob Marley&TheWailers

Open your eyes and look within:
目を開けて心の中を見てみろ
Are you satisfied with the life you’re living? Huh!
自分の人生に満足しているのか?
We know where we’re going;
何処へ向かうのか、俺たちは分かっている
We know where we’re from.
どこから来たのかも分かっている

https://youtu.be/pS3ccI1xxpI
Exodus / Bob Marley&TheWailers

と、自分ならBob Marley を選曲するはずだが、今のところただのパターンでしかない残忍なAIが選んだ曲はこれだった。

トニー・ベネットの「 The Good Life 」

おお、裕福な生活、楽しいことだらけの理想的な生きかた
ああ、裕福な生活は君が感じるすべての悲しみを隠してくれる
君は本当の恋に落ちることはないよ、君はチャンスをつかめない人だから
だからお願いだから自分に正直になって、恋してるふりをしようとしないで


作詞(英歌詞): ジャック・リアドン Jack Reardon
作曲・仏歌詞: サッシャ・ディステル Sascha Distel (原曲名 La Belle Vie)
出典: 伊-仏映画「新・七つの大罪」 “Seven Deadly Sins” (1962) より。

アリカではトニー・ベネットが63年に録音しヒットさせた。

甘いメロディーに堰を切ったように涙が溢れ出した。
いったい自分は何に対して泣いているのか?老人性多汗症か?それは汗だ。
まるで懺悔でもしているような涙に、そしてAIのおバカにも、どうにもこうにも合点がいかない。
すべての愛から遮断されたジョーカーの怒りに私は酔っているのだろうか、か?

CUT! CUT! CUT!

ははは、AIさんはまったく冗談がお好きなんだから、もちろん僕だって恋愛の歌好きだしさ、
年齢的にはこの辺り、っていうAIさんの気持ちもわからなくはないけでどさ、
でもさ、JOKERの鑑賞後に私が
この曲聴きたい?

Yesterday Once More / CARPENTERS

When I was young
I’d listen to the radio
Waitin’ for my favorite songs
When they played I’d sing along
It made me smile.

幼かった頃、
ラジオを聞いていた
大好きな曲を待ちながら
その曲が流れたら、一緒に歌って、
笑っていたの

Those were such happy times
And not so long ago
How I wondered where they’d gone
But they’re back again
Just like a long lost friend
All the songs I loved so well.

とても幸せなときだった
遠い昔じゃないけど
どこに行ってしまったんだろうと思う
でも戻ってきた
古くからの友人のように
私の大好きな歌が

Every Sha-la-la-la
Every Wo-o-wo-o
Still shines
Every shing-a-ling-a-ling
That they’re startin’ to sing’s
So fine.

http://lyricsgaga-translation.blogspot.com/2015/08/carpenters-yesterday-once-more.html

でもなけちゃうんだよね。この曲で泣いてしまう私が情けない。しかもなんで俺はさっきから言い訳しながら泣いてるんだよ。
私の涙はそんな通俗的なもんじゃなくてさ、もっと、なんていうか、
人間という存在の、ほら、デッカーじゃなくて、はい、デカー、
だから存在とは、そもそも何を意味するのか?
存在者は多様に語られるひとつの実在との関係において・・・いつの間にか曲がスネークインしてくる

選曲は、「Smile – Nat King Cole 」_ Joker soundtrack 2019 movie ( Traducida al español)(Visual lyrics)

Smile though your heart is aching
Smile even though it’s breaking
When there are clouds in the sky
You’ll get by

笑って たとえ君の心が痛んでも
笑って たとえその心が砕けそうでも
雲が空に浮かんでいれば
きっと何とかなる

「Smile – Nat King Cole 」_ Joker soundtrack 2019 movie ( Traducida al español)(Visual lyrics)

この曲はチャールズ・チャップリンの1936年の映画「モダン・タイムス」でインストで使われた。

その後ナットキング・コールによって歌詞付きで歌われた。

Smile Charlie Chaplin Modern Time 1936/ナットキング・コール
https://www.youtube.com/watch?v=YynxFjMXF1Y

俺の人生は悲劇だと思っていたけど、
そうじゃ無い。
俺の人生は喜劇だったんだ。

アーサーことジョーカーを演ずるホアキン・フェニックスの台詞だ。
どこかで聞いたような気もするが、長く生きた所為か今まで以上にこの言葉が胸に迫る。
そして、このスマイルという曲を何度プレイしたことだろう。

Stevie Wonder / Smie
https://youtu.be/8xqdGFV5rI8

初めてチャップリンの映画「モダンタイムス」で流れた時のスマイルは切ないよりもロマンチックに思えた。
あれから1世紀近い時が流れ、私をとりまく世界の貧しさは変わらないが、コメディで描くにはもうとっくに 世界は THE END だ。
つまり笑えないほど世界は DEAD END なのだ。
もうこうなったら世界に革命を起こすしかない!
大げさに語るなら、人類は新たな世界の誕生を待っているのではないか?
その空気感にジャストに対応するガス抜き映画を世界は待望しているのだと思う。
だからこの映画大ヒットしている。たぶん。

で、つまり私が主観で語るこの映画は非常にシンプルだ。

「なぜ人は幸せに生きることができないのか?」

この地球上で生きている人々のこのシンプルな問いかけを、知的サスペンスと今時のスペクタクルで描いた映画だったと思っている。

世界の不幸な人々は今何を望んでいるのか?

このマーケティングに素早く対応しバーチャルでもいいからリアルに体験させることが今日の映画制作のミッションなのだろう。
末期的資本主義の最後のあがきとも言える。が・・・・
純粋に映画を楽しむ立場から話せば、
優れた映画には必ず無数の名画が仕込まれている。
そして、いい映画には必ずいい音楽が添い寝している。

以下は私的解釈で恐縮だが、このジョーカーのバックグランドにひそむ過去の名作のほんの一部を列記し選曲してみようと思う。

https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=3294

『ミーン・ストリート』(Mean Streets)1973年公開 アメリカ映画
監督 マーティン・スコセッシ
出演者 ロバート・デニーロ ハーヴェイ・カイテル 

選曲
Be My Baby

Written by Jeff Barry, Ellie Greenwich (uncredited) and Phil Spector (uncredited)
Performed by The Ronettes
Courtesy of PHILLES Records
https://youtu.be/ZV5tgZlTEkQ

Those Oldies But Goodies
(1961)
Written by Paul Politi and Nick Curinga
Published by Maravilla Music (Now Paul Politi)
https://youtu.be/eFiWGhFWZQs

https://www.sonypictures.jp/he/2302

『タクシードライバー』(原題: Taxi Driver)1976年アメリカ映画
監督はマーティン・スコセッシ 脚本 ポール・シュレイダー
主演はロバート・デニーロ

選曲
Bernard Herrmann – Taxi Driver (theme)

https://youtu.be/Bx4aK-YsPeU

https://video.foxjapan.com/search/detail.php?id=16295

『キングオブコメディ』(原題:The King of Comedy)1982年アメリカ映画
監督 マーティン・スコセッシ 脚本 ポール・D・ジーマン
出演者 ロバート・デニーロ ジェリー・ルイス

選曲
Ray Charles – Come Rain or Come Shine

https://youtu.be/Pxs3jGy9k9w

Talking Heads – Swamp
https://youtu.be/aVo-Rr-KKbk
https://youtu.be/k3SgfVn-_3A

まさにこの3作品こそこの映画の肝ではないか?
監督、マーティン・スコセッシ 出演、ロバート・デニーロ いづれも時代の闇を描いた才人たちの映画だ。
で、この作品の監督は、トッド・フィリップス(Todd Phillips )アメリカ合衆国 映画監督 脚本家 映画プロデューサー
ニューヨークのブルックリンで生まれ、ニューヨーク大学で映画を学んだ生粋のニューヨーカーだ。
同じくニューヨーカーのマーティンとロバートに強い影響を受けていることは明快だろう。

で、この監督は、2009年の「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のヒットで人気を得ている。
というので、この原稿のために鑑賞したが私には笑えない雑なアメリカ人好みのコメディーだと思う。

選曲はパス。

https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=53321

また、2016年『ウォー・ドッグス』(WAR DOGS)
実際に起きた詐欺事件を元に、ローリング・ストーン誌に掲載されたガイ・ローソンの記事が原作の映画。

こちらはとても黒い笑いがうまく処理された楽しめる作品で、アメリカの戦争がいかに国が儲かる為の戦争でしかなく、
その為に多くの自国民の貧乏人たちが優先的にゴミのように使い捨てられている事実がよく分かる映画である。
こちらも、今作品「ジョーカー」に繋がる強いメッセージ映画でもあると思う。

選曲
War Dogs Everybody knoes / Leonard Cohen
https://youtu.be/hWEsMem1rYM

https://www.toho.co.jp/dvd/item/html/TBR/TBR23239D.html

2012年アメリカ映画
『ザ・マスター』(The Master)
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
主演 ホアキン・フェニックス フィリプ・シーモア・ホフマン

選曲
フィリプ・シーモア・ホフマンが歌う「Slow Boat to China」

https://youtu.be/3H4i9gpAWrs

エラ・フィッツジェラルドの「Get Thee Behind Me Satan」
https://youtu.be/VipNWSdQaYw

https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=4570

『インヒアレント・ヴァイス』(Inherent Vice)2014アメリカ映画
トマス・ピンチョンの小説『LAヴァイス』を原作。
監督 ポール・トーマス・アンダーソン 
主演 ホアキン・フェニックス

選曲
Les Fleurs / Minnie Riperton | Inherent Vice (Original Motion Picture Soundtrack)

坂本九 / SUKIYAKI

俳優・ホアキン・フェニックスとは。

ホアキン・ラファエル・フェニックス(Joaquin Rafael Phoenix、旧姓:ホアキン・ラファエル・ボトム/Joaquin Rafael Bottom、1974年10月28日 – )は、アメリカ合衆国の俳優。かつてはリーフ・フェニックス(Leaf Phoenix)の芸名で活動していた[1]。役者一家として知られるフェニックス家の次男で、早世した映画俳優リバー・フェニックスは兄、女優レイン・フェニックスは姉、女優サマー・フェニックスは妹にあたる。また妹がベン・アフレックの実弟であるケイシー・アフレックと結婚した事から、アフレック家とも一族関係にある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ホアキン・フェニックス

なんでもロバート・デニーロのような俳優になりたかったとか、この映画でもの演技は素晴らしかった。
この作品で共演できたことでもしかしたらひとつの目標を達成したのかもしれない。
父親を喪失した少年は映画俳優を目指すことが多い。そんな話しを思い出す。
この映画にはそんなトラウマが仕込まれているのかも知れません。
それにしても、俳優とは何か?
歴史に残る俳優は常に過去の歴史と向かい合っている。まるで世界一の山を制覇するかのように、そしてまた映画の役割も時代共に変化する。
この地球に暮らす「人類」というタイトル名の映画もそろそろエンドマークがつきそうだ。
それでもなお、私たちは笑顔を忘れずに痛い。痛いを感じるうちはまだ生きているから・・・・

画像・文・桑原茂→

今回の連載のラジオ風番組はこちらから。
https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/

PROFILE

初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長

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