Look Book Cook Records No.49
「フリー・ペーパー・ディクショナリー」
ご存知ですか? 2
今年で31年目になります。発行は偶数月の10日年6回発行しています。
今回紹介するのは、2019年12月10日発行最新の191号です。
特集
Special feature
SAIKO OTAKE




最新号191 SAIKO OTAKE 特集
表紙から数点作品を紹介しました。
さて連載第49回は、「free paper dictionary 191 を選曲するその1」です。
最新号191号の紹介と同時に選曲番組「 海賊船・PirateRadio 」を聴く。
聴きながら読む。読みながら聴く。
まず、以下のリンクを開き、この連載名「 LBCR49 」をクリックして海賊船にgo乗船ください。
初出航は12月20日金曜日の夜11時を予定しています。
聴きながら呟く「 CLUB・海賊船 」
Twitter #ckpirate 全国のリスナーと集う。
この番組の楽しさはリスナーと繋がること。
乗船の際にTwitterを開きハッシュタグ “ #ckpirate ”を記して頂ければその夜の乗船客と自由に交流ができます。
出航開始の11時から番組終了まで、そこはリアルな、「 CLUB PIRATE(海賊船)」なのです。
では選曲です。
クリスマスにはこの曲。
The Ronettes – Sleigh Ride (Audio)

お聴き頂いたのは、永遠不滅のクリスマス・アルバム・フィル・スペクターの [ A Christmas Gift for you ]からThe Ronettes – Sleigh Ride でした。
クリスマスには外せない曲満載の必須アルバムです。
そしてこの曲も外せません。泣きそうになるほど可愛いこの声は、あのマイケル・ジャクソンです。
日本でいえばまだ小学一年生になる頃の声でしょうか?
この時代のモータウン・レコードの世界も、ある意味、日本の歌舞伎の世界と同じようなものでしょうか?
マイケルの家族は全員芸能人ですんもんね。多分、マイケルくんは学校に行く時間はなかったのではないでしょうか?
では、キッスの録音が秀逸な名曲。
Jackson 5 I Saw Mommy Kissing Santa Claus (Kids Version)

魅惑の声といえば、この女性歌手のミラクルヴォイスも永遠不滅です。
確か、『BOOM FOR REAL:THE LATE TEENAGE YEARS OF JEAN-MICHEL BASQUIAT』
ジャン=ミシェル・バスキアのドキュメント映画にもアーサー・キットは登場してましたね。
きっと、キットはバスキアと仲良しだったのでしょうね。
そういえばこのドキュメント映画と同じ頃ニューヨークでバスキアのうちにPLASTICSのチカ&トシと遊びに行ったのを思い出します。それがキッカケで、その後、クラブ・ピテカンにも何度か遊びに来てくれたいつも凛としたジェントルマンでした。そんな思い出が蘇る、アーサー・キット・サンタ・ベイビー。
Eartha Kitt – Santa Baby (Audio)

声(こえ、英語:voice)とは、ヒトを含む動物の発声器官(主として口、喉)から発せられる音のことである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/声
これは私の勝手解釈ですが、人の声はその人の人間性を素直に表す最高の発声器官だと思っています。
何故なら、これまでたくさん俳優さんたち、また様々な分野の方々と番組づくりやインタビューなどで彼らの個性ある声に接したせいかもしれません。素敵な声の人は、つまり歌手のいい声とは別の、顔がそれぞれ異なるように、その人にしかない魅力的な声の人はそれぞれの分野で成功すると思うのです。
性格判断も色々ありますが、声風で人を判断する研究も、もっと進んで欲しいものです。
で、私の解釈で話せば、3.11の時にSNSに多くの見識者や専門家が衝撃の発言をバラマキました。
もしあのつぶやきが本人の肉声だったら?つまり真実は声に表れると思うのです。
メイルなら騙されても、携帯なら嘘がバレやすいと思いませんか?
もちろん視覚の時代では耳の感性が弛緩している恐れもあるかもしれません。
その場合は私の話は絵空事に聞こえるかもしれません。
では、ここで選曲。「嘘は罪」
様々な声の違いを楽しんでいただきましょう。
Tony Bennett. It,s A Sin To Tell A Lie.
Patti Page – It’s A Sin To Tell A Lie
The Ink Spots- It’s A Sin To Tell A Lie
Billie Holiday – It’s A Sin To Tell A Lie (Harmony Records 1942)



で、声の性質に関して今回話を広げた理由は、
SAIKO さんの特集を印刷所に入稿する際に、携帯で交わした声のやり取りに端を発しています。
彼女の声には躊躇いが無い。なんという爽やか声なんだ。才能は声に表れる。
声の表情、日常の仕草、容姿、そのすべてが複雑に交差しながら個性は生まれている。
そして同じようにあらゆるものが複雑に交差しながら一枚の作品が誕生する。
すべては人が生み出すもの。魅力的な人が魅力的な作品を生み出すのだと・・。
当たり前のようですが、つい私たちは作品と人を分けてしまいがちです。
思い返せば、音楽もそうだった。アルバムを聴いて感動し、その音楽家にあってその感動に納得したものでした。
アート作品と作家を切り離していけない。声の魅力への気づきは、その大切さを再認識させてくれたのです。
これを読んだあなたももう一度周りの声に耳を澄ましてみてください。きっと新たな発見があるはずです。
ここで選曲です。
AKAKAGE ALBUM [ Fighissima ] LoveIy day feat Georgia Carter Blue Side 7インチカット

紹介した心が弾む曲は、AKAKAGE の LoveIy day でした。
で、この曲の作者 AKAKAGE こと伊藤陽一郎が、なんと画家として、初の個展 [NEW FACE]を開いたのです。
実は彼がまだ多摩美の学生の頃出会い、いくつかのプロジェクトで曲を提供してもらいました。その頃からアートワークのセンスも良かったので今回の画家としての初個展はもちろん納得ですが、これまで彼はDJ/プロデューサーとして、はたまたラーメン博士としても活躍中だったので、チョイと不意を突かれた感じもあります。
とはいえアーティストの新たな表現はいつ開花するかわかりません。観客は展覧会でその作品に触れ快哉を唸るのみです。
で、今回の展覧会の作品からは色々な音楽が聞こえてくるので、その場で質問してみました。
Q: 描く時は音楽聴いてるの?
A: 音楽作りながら描いてますね。
誠に納得尽くめのまな板で鯛が跳ねるような生きのいい天晴れな展覧会でした。

続いて、伊藤陽一郎ことAKAKAGEの曲をもう一曲紹介しましょう。
同じく、 ALBUM [ Fighissima ]
Blue SideとYellow Side 7インチカットより
“ U make it real feat. Sadat x Telmary ” Yellow Side


今年のベストムービー「JOKER 」を彼の展覧会で見つけたのでiphone画像させてもらいました。
この作品タイトルは分かりませんが、図録の50番です。
そうそう、この図録に掲載されている、友人のサイモン・テーラーと伊藤くんのインタビューの締めくくりに、伊藤くんはこういって締めた。
「作品が完成すると音が聞こえるんだよね、”ヴォォォォ”とかってね。」
「選曲です。Joker- Send in the Clowns by Frank Sinatra

free paper dictionary 191 を選曲するその1」
そろそろ終わりの時間も迫ってきたようです。
今回、最後に紹介するアーティストは わたなべろみ さんです。
嬉しいことに彼女の連載中の「 vogue blog 」でFPD191号を紹介してくれてます。
https://blog.vogue.co.jp/posts/7419617


そういえば、特集の大竹彩子さんもわたなべろみさんも共にロンドン留学組です。
誰もやらなかったことを誰とも違う方法でクリエイトする。
これは私がロンドンのクラブ・カルチャーから学んだことです。
先のアート集団トマトのサイモン・テーラーもクラブカルチャー華やかし頃に知り合った一人です。
そんなクラブ・カルチャー隆盛期に生まれた free paper dictionary も今年31歳
未来への希望は過去に学ぶことから始まる。とか、
これから先も、アーティストの視点で世界を見続けることがこのメディアの役割だと信じています。
そしてこれからも時代の証言者でありたいと思います。
選曲です。クラブカルチャーの魅力の一つに、名曲を蘇らす。があります。
この曲もレア・グルーヴの時代に蘇生された名曲です。多分。
Timmy Thomasは、60年代から活躍するミュージシャンだそうですが途中から教職に就く為に学生に戻り、丁度あの当時のベトナム戦争のニュースに接し、不条理な政治の現実に衝撃を受け、「どうして我々は共に暮らすことができないんだ?(Why can’t we live together?)」と言ったとされています。そしてそのことが契機になり再び曲を書くようになったとか・・・素晴らしいメッセージの反戦歌ですが、オルガンの音色が心に染み渡る名曲です。
Timmy Thomas – Why Can t We Live Together (1973)

桑原 茂→
さて、いかがでしたでしょうか?
UB RADIO LOOK BOOK COOK RECORDS 49回
次回は「free paper dictionary 191 を選曲するその2」をお送りしたいと思います。
お別れの曲は、フィル・スペクターの [ A Christmas Gift for you ]から
DARLENE LOVE White Christmas
また毎週。
初代選曲家の桑原 茂→でした。
ごきげんよう。さようなら。
PirateRadio(海賊船)は12月20日金曜日の夜11時を予定しています。
https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/

情報
free paper dictionary 191
http://freepaperdictionary.com/
SAIKO OTAKE
https://www.saikootake.com/about
伊藤陽一郎
https://www.cinra.net/news/20191107-yoichiro
わたなべろみ
http://romiwatanabe.com/profile.html
選曲リスト
The Ronettes – Sleigh Ride (Audio)
Jackson 5 I Saw Mommy Kissing Santa Claus (Kids Version)
Eartha Kitt – Santa Baby (Audio)
Tony Bennett. It,s A Sin To Tell A Lie.
Patti Page – It’s A Sin To Tell A Lie
The Ink Spots- It’s A Sin To Tell A Lie
Billie Holiday – It’s A Sin To Tell A Lie (Harmony Records 1942)
AKAKAGE ALBUM [ Fighissima ]
LoveIy day feat Georgia Carter
U make it real feat. Sadat x Telmary
Joker-
Frank Sinatra – Send in the Clowns
Timmy Thomas – Why Can t We Live Together (1973)
DARLENE LOVE White Christmas