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桑原 茂一 JAN 10,2020

Look Book Cook Records No.51


LOVE/SEX/DEATH/MONEY/LIFE
2018
DUMB TYPE ACTION+REFLECTION
ダムタイプ アクション+リフレクション

東京都現代美術館

ダムタイプは、ヴィジョアル・アート、建築、コンピューター・プログラム、音楽、映像、
ダンス、デザインなど多様な分野の複数のアーティストによって構成されるグループである。
1984年に京都で結成以来、集団による共同制作の可能性を探る独自の活動を続ける。
美術、演劇、ダンスといった既成のジャンルにとらわれない、あらゆる表現の形態を横断するその活動は、プロジェクト毎に作品制作するメンバーが変化するなど、ゆるやかなコラボレーションによって、現代社会における様々な問題への言及をはらむ作品を制作してきた。
1995年にグループの中心的存在だった古橋悌二がエイズによる感染症の為35歳で急逝するまでの初期の作品から、その後、高谷史郎のディレクションのもとで制作された現在までの作品を包括する形で、今回の展覧会は行われている。

みなさま、あけましておめでとうございます。
今年最初のLBCR51は展覧会鑑賞報告です。

正月三ヶ日の1月3日に電車で1時間近くかけて清洲白河の駅から徒歩15分の東京都現代美術館、通称「現美」に、「DUMB TYPE」をこのコラムに紹介すべく出かけた。で、時計の針をいきなり高校生に戻せば、家庭環境のせいで働らかざるを得なかった私にはぶっちゃけアートは金持ちの道楽であり、高学歴エリートたちの、昭和の香りが漂う当時の流行り言葉を引用すれば、“インテリのお遊び“ だと思っていたのだ。そんなマヌケな認識の高校生だから、喩えれば、同じく正月三ヶ日に自宅の仕事場で鑑賞した久々に高校時代の熱い音楽愛に鳥肌がたった映画「ノーザン・ソウル」の主人公たちのように、ダンス・ミュージックのレア盤シングル・レコードを必死に探す世界の方がアート様より身近だったというわけだ。そんなノータリンな私の青春は、19才でスナックを任され、ツテを辿り洋楽をリリースするレコード会社周りの日々から想定外の巡り合わせがあの、アメリカのカウンター・カルチャー誌「ローリング・ストーン」との関わリだ。編集長がドラッグでUSAで逮捕され、廃刊の憂き目を経験するが、その流れで始めたラジオ番組がいつしか話題となりその勢いを担いでまだ誰もやらなかったクラブ♣️カルチャーごっこを始め、お陰で負債の荒波に揉まれ漂流し辿り着いたのが アートの花咲く「Quiet Village」だったという誠にDUMBなコメディな人生だったといって憚りない。

映画「ノーザン・ソウル」公式サイト
http://northernsoul-film.com/
注釈:「DUMB TYPE」のDUMBの意味は、マヌケ、ウスノロ、バカげた、などの意味がある。

では、ここで一曲、J.B’S/DOING IT TO DEATH

さて、アートに無教養な私がいつしか踊れるシングル盤を探すようにアートを楽しむようになっているが、変わらないのは、

そのアートからイイ音楽は聞こえるか?

私とアートの関係はそこに尽きるといってイイ。
で、DUMB TYPEのことは以前から噂を聞いていて強い興味を抱いていた。
というのもYMOとの関係があったあの頃、教授(坂本龍一)から、“ 京都に行くといつも彼らと一緒だよ ” 系話しがどこか記憶に残っていたことと、その中心メンバーがエイズで急逝したとの噂から、スネークマン・ショーのアルバム「戦争反対」に使用させてもらうため、ニューヨークに出向いてクラウス・ノミに会って弁護士にも会ってお願いした「cold song」のクラウス・ノミやロンドンのクラブ・カルチャーを「バッファロー」ブランドで沸騰させたスタイリストで、レーベル・スタジオ・ワンのコレクターでもあったレイ・ペトリたちを、DUMB TYPE の古橋悌二と同じくエイズで失った残念な思いとつながっていたからだ。
といってダムタイプを知らない私が展覧会報告するわけにはいかないから、彼らの書籍を購入し関係者の証言に接し、また会場で頂いたパンフレットなども参考にし、気になったフレーズをカットアップ(太字)してみた。

ヒエラルキーのない協働、コレクティヴ

一人のヒーローが支配するファシズム的なクリエイティブではなく、同じ目的の人々とのフラットな関係からこそ自由で生き生きとしたクリエイティブが生まれるということだろうか?

すべてのメンバーがプレゼンテーションを提出、合議によって決定される。
ヒエラルキーはなく、相互の価値観を確認し、接続点をみつけ、これを増幅していく。

もしそうなら、この考えは80年代のロンドンのクラブ・シーンで出会ったまるで村社会のようないくつかのオリジナリティーを発散するグループからも強く感じたことで、それはその後、東京の新たなカルチャーの発生を促し、今までになかった音楽シーンやファッション・マーケットが生れたのではないかと記憶している。

この瞬間が素晴らしいといった判断が重要で、その瞬間を死にものぐるいで現存させるために生じる様々な不協和音をいかに現場で “ モノ ” にできるかだと思う。(古橋悌二、とあるインタビューより)

古橋さんの絶体絶命のフレーズに心を打たれるが、エイズで急逝したアーティストの後が無い台詞だと思うのは私の早とちりで、モノづくりの現場は常にそうなんだろうと思う。
その瞬間に私は立ち会えなかったが、この展覧会では古橋悌二さんのいうその瞬間を追体験するまたは想像することは可能な気がする。
開催期間中にぜひ体験してほしい。

ダムタイプ|アクション+リフレクション
2019年11月16日(土)-2020年2月16日(日)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/dumb-type-actions-reflections/

以下は展覧会での印象を私のiPhoneで記録した画像だ。

「Dumb Typer Archive Book」

一人では抱えきれないほどの大きさの分厚いBOOKだが、DUMB TYPEのすべてが網羅されている。

この重い本のページをパラパラめくるだけで、Dumb Typerの世界を瞬時に感じることができる。
遠慮して通り過ぎるには貴重すぎる内容だ。見逃してはいけない。

小さな文字を丹念に読みとって欲しい。
宝石のような言葉が散らばっている。

個人で話す(自分の言葉で)
客観的な 誰が言っていた という話ではなく、
グループの意見というのではなく

“ 自分の言葉で ” という古橋悌二さんのメモに私のダムタイプへのリスペクトと共感を確信した。

「パンツをはいたサル・栗本慎一郎」さんの書籍がその昔話題になったが、表現することは自分を裸にすることだと思う。カッコマンの私などには当然出来ないが、パンツを脱いだダムタイプの古橋悌二の表現に唸った。もし今生きていたらどんな瞬間を生み出しただろうか?志し半ばで逝ったアーティストたちは「みんな天才だった。」と私は思う。

エイズのことは 1992年発行の free paper dictionary でも取り上げている。

私が制作したコメディ・アルバム「ブルー・フィルム」シリーズでも、エイズをテーマにしたコントが存在する。

マンドラゴラ / BLUE FILM

もし、死が本当に “ 一巻の終わり “ならば、
私たちは目を大きく見開いて、その事実に直面すべきでしょう。

イェール大学教授 シェリー・ケーガン ( 巻頭の言葉より一部CUTUP )

死とは何か?
最近読み始めたが誠に難解だ。

The Long And Winding Road

生きる上で何よりも大事なこのことを共に考えない日本の教育制度に血判状を叩きつけたいほどの異論はある。
私たちは生きてる限り誰もがきちんと向き合わなければならないテーマだと思う。
答えのない問題を考えつづける訓練をしなければ、やはり現代美術も楽しめないのではないか?
学びながら楽しむ現代美術に異論はないが、音楽を選曲するように感性に委ねる楽しみ方もあっていい?
Yeah,Yeah,Yeah,・・・

DUMB TYPE
[MEMORANDUM ON VOYAGE]
この映像表現に特に魅了された。
最新のテクノロジーは誰をも表現者に仕立てるが、そこに作家固有の思想やスタイルを発明するのは容易ではない。
作家の自我と観客との間に愛の交換は可能だろうか?
これもまた答えのない永遠のテーマなのかもしれない。

古橋悌二さんへの印象は、自分自身を観客と同等かはたまた下位において常に謙虚であろうとする作家である前に人としての姿勢に強く感銘を受けた。表現者がエゴをむき出しにしてはいけない。
天才と呼ばれる人ほど残していくものは無心だ。

聴きながら読む「ラジオ・URBAN RESEARCH」の今年の第一弾の選曲テーマは「DEATH」。
タイトルに「DEATH」が含まれているノンジャンルの楽曲を無差別に選曲しまくりかけまくりたいと思う。

うまく進めば1月10日金曜日夜11時
出航アップロードを予定している。

今年も海賊船・PirateRadioをお楽しみに。

Moichi Kuwahara Pirate Radio
[Mixcloud]
https://www.mixcloud.com/moichikuwahara/

みなさま今年もどうぞよろしくDEATH。

画像・文 桑原 茂→

PROFILE

初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長

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