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桑原 茂一 MAR 26,2020

Look Book Cook Records No.56


みなさま如何お過ごしですか?

選曲家の桑原 茂→です

今回は私の本棚から無差別に選び出した言葉の cut&mix

音楽を選曲するように言葉を紡ギマス。

読みながら聴く

BOOK & Records 連載56回

もちろん、ラジオ・アーバンリサーチは、いつものノンストップ選曲です

では、最後までごゆっくりお楽しみください

「本はたくさん読むの?」

「まあまあね。朗読してもらう方がいいわ」

彼女はぼくを見つめた。

「それももう終わりになっちゃうのね?」

「どうして終わりにする必要がある?」

そう言ったものの、ぼくは彼女にこれからもカセットを送るとか

会って朗読するとかいう相談はしなかった。

「君が字を読めるようになって、とても嬉しかったし感心したよ。

なんて素敵な手紙を送ってくれたんだろう!」

「旦那様、着けていただけますでしょうか?」

自分にそんな大胆なことが言えるとは、ついぞ思わなかった。

旦那様も同じ気持ちらしい。何か仰ろうと口を開きかけたけれど、

何も仰らない。

私の椅子に近づいていらした。

顎が強張ったものの、頭は何とか動かさずにすんだ。

手を差し伸べ、そっと耳朶にお触れになる。

水の下で長く息を止めた後のように、私は喘いだ。

腫れた耳朶を親指ともう一本の指で撫ぜてから、耳朶を引っ張る。

もう一方の手で耳飾りの金具を孔に差し入れ、押し込む。

火のような痛みに貫かれ、目に涙が溢れた。

「噛むのは、その男だけか。」

「そうよ。」

「君は誰とでも寝るんだな。だからこうやって俺と寝ているんだ。」

「・・・」

「金を呉れる男とは、誰とでも寝るんだな。だから、こうやっておれと寝てるんだ。」

「・・・・・」

「淫売と同じじゃないか。」

彼は京子の耳に口を寄せ、ときどき耳朶を軽く噛みながら、

そういう言葉を耳の穴に注ぎ込む。

あの頃はいつもこう言っていたんだ。

「 暗殺のオペラ 」は実際の人生に、

「 暗殺の森 」は映画に影響を受けたものだ、と。

実際のところ、

ぼくのほうから映画の話を選ぶわけではないことはよく承知している。

映画がぼくを選ぶのだ。

一九八三年 七月 十一日 月曜日

ヴィレッジを歩いたあと、タワー・レコードへ行って、

ラウンシェンバーグがカヴァーを手がけた

トーキング・ヘッズのアルバムを買った。

ラウンシェンバーグは二千ドルしかもらわなかったといって

憤慨していた。

ぼくは彼に二万五千ドルもらって当然だよといった。

水は黒く暖かく彼が振り向いて水のなかで両腕を伸ばすと

水はあくまでも黒く絹のようにさらさらとしていたが

その黒い静かな水面の向こうの彼女が馬のそばに立っている岸に目をやると

彼女は衣服を脱ぎ捨ててさなぎのように青白い、

青白い裸身を現わし、水の中にはいってきた。

黒い髪が彼女の周囲に浮いていた。

解けた髪が水にふんわりと浮いていた。

時間と肉体を盗むゆえに、

裏切り行為を犯すゆえに一層増す甘美さ。

菅の茎のあいだで一本足を立てて眠りについている鶴が

ほっそりした嘴を羽の下から抜きとり二人をみた。

メ・キエーレス 私が欲しい?

と彼女がいった。

ああ欲しい、

と彼はいった。

一日は
鳥たちの声で始まる

そのように詩が始まったら何とすてきなことだろう

むろん

そんな時代は終わってしまったのだ

という直裁な、つまりぶっきらぼうな諦念を読むことができる。

そして、

これを受けてこの断章を締め括っている数行は、

詩人が深い気鬱の底からほとんど聴きとれないような低い声で

呟いてみた、

彼自身の詩のためのもっとも美しいマニフェストであるように思われる

一日の終わりを

鳥たちは

沈黙してしまうことだけで示す

詩は一日中ひらいている死の目ゆめの目

暗い部屋に住むことを余儀なくされてきた日本人は、

陰翳のうちに美を発見し、

美の目的にそうように陰翳を利用するにいたった。

紙の障子を透してほの明るく忍びこむ、

間接の、鈍い、わびしい、はかない光こそ、

日本座敷の美の要素であった。

日本人は何でもないところに陰翳を生ぜしめて、

美を想像する。

美は物体にあるのではなく、

物と物との作りだすあやにある。

ある日当たりのいい日に倉地とさし向かいで酒を飲んでいると

苔香園の方から藪鶯の啼く声が聞こえた。

葉子は軽く酒ほてりのした顔を挙げて倉地を見やりながら、

耳では鶯の啼き続けるのを注意した。

「春が来ますわ」

「早いもんだな」

「何処か行きましょうか」

「まだ寒いよ」

「どうしたんですか?」

「皆目わからんよ。我々は、動員解除されたんだ。列車に乗るつもりだったのかい?
民間人用の列車はないよ」

「煙草を買いにちょっと出てきただけなんですよ。商店が閉まっているので」

兵士は一箱の煙草をリュカに差し出す。

「この煙草をやるから、家に帰りなさい。通りをうろうろしていると危険だ」

リュカは帰宅する。

子供が起きている。

二人は、いっしょにラジオを聴く。

たくさんの音楽と、いくつかの短い演説。

“われわれは革命を勝ち取った。人民は勝利した。
政府は、人民の敵を排除するため、わが国の偉大な庇護国に援軍を要請した。”

また、こんなアナウンス。

“平静を保ってください。二名以上の集会は禁じられています。酒類の販売は禁止されています。
新たな指令のあるまで、レストランおよびカフェは閉鎖されなければなりません。
鉄道またはバスによる個人の移動は禁止されています。夜間外出禁止令を守りましょう。
日没後は、外に出てはいけません”

わたしの行くすべてがわたしの墓です。

ある夜のパンチライン

〈想定外〉はなぜ起こるのか。〈知っている〉ことが見えなくなるのはなぜか。

ありえないことが現実になるとき。賢明な破局論に向けて
ジャン・ピエール・デュピュイ著

今回はおもいつくままに曲を選んで聴くように

言葉の cutup・mix から生まれるイメージ・コラージュ

一人暮らしの自由時間は本と映画と選曲三昧

最近はNETFLIXのドラマシリーズ「フロイト」に嵌っています

英語圏以外初となるオーストリア産ドラマシリーズ『Freud(原題)』

同国の精神分析学者として有名なジークムント・フロイトを主人公にした作品

8話構成の本作でメガホンを取るのは、オーストリア出身で『ABC・オブ・デス 2』で監督を務めたマーヴィン・クレン。彼は、ホラー映画『ベルリン・オブ・ザ・デッド』『パラサイト・クリーチャーズ』でタッグを組んだベンジャミン・ヘスラーと、ステファン・ブロナー(『Tatort(原題)』)と脚本も担うことになっている。

面白ければ言語は問わないNの制作姿勢に未来のエンターテイメントへの希望を感じます

ドイツ語を聴く体験は 彼らの物の考え方を理解する上でも貴重な機会ではないでしょうか

ドイツ語に限らず、意味を理解することとはまた別の

翻訳ではないオリジナル言語からの感性体験は

コミニケーション能力をより高める深める役割に繋がるのではないか・・・

とにかくこの作品は脚本映像選曲配役演技衣装美術演出あらゆる面でシニアレベル(ハイグレード)です

ぜひ

画像・文

初代選曲家 桑原 茂→

ps:この回はラジオ・アーバンリサーチとしてアップロードします。

PROFILE

初代選曲家、毎週金曜日夜11時Mixcloud PirateRadio(海賊船)、 創刊1988年 free paper dictionary編集長

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