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牧野 広志 NOV 25,2020

下町。Vol.32

元崇仁小学校とシグナル。


灰色の空はどこまでもどこまでも、どこまでも続くとは限らない。

少子化により無くなる物もあれば、新しく生まれてくる事柄もある。正解は無い。

ただ親しんだ場所や、そこに込められた想い出と言う過去が無残に消えて行くのは間違いなく悲しい事だろう。

但しそれも人によってではあるが、、。

さて、元崇仁小学校がいよいよ解体の日を迎えようとしている、そんな春、夏、、

私は学校の中に入って来た。
正確には学内を利用しアートや地域、昔々話し、ありえない、あってはならなかった昔話の事実コーナーなど、最後にこの学校を使っての展示などがあったのだ。

そう言えば何年か前に、近所の人が言っていた。

施設を利用していたのだが、急にシャワーが出なくなった、あれがこうなった、これがあぁなったと日に日に使い勝手が微妙に悪くなってきたと、、、

じわじわゆっくりいろいろ使い勝手を悪くしているのだと、、、

私にはそれが真実かどうかは判断できないし、勝手な意見も言えないわけです。

でもおそらく・・・

地域利用として回りにはいろいろな施設が設けられている、

小さいブロックに、消防署、交番、郵便局、地域利用の銭湯、揃いに揃っており住めば都とはまさにこの事かも・・

但しそれは外部から見た感覚であろう。

じわじわじわじわ回りの建て壊しが速度を上げ、団地に住んでいた人達は慌ただしく引っ越しに追われ、新しく建てられた数十メートル先へと移り住んで行った、、。

そんな引っ越しも束の間、タイミングを同じくして小学校の解体も進められていく、、

この学校を卒業した人達は、どの様な思いなのだろうか。

特別は地域と位置づけされているだけに、卒業した小学校への思いもまた他とは違う意味合いがあるのかもしれない、、歴史的にも、、

私は数年前に経験した、通い親しみ卒業した小学校が形を変えて行く瞬間を始まりから終わりまで目の前で見て地域の人や卒業生の方々の話しを聞いたり、、決して表に出る事のないだろと言う思いを聞いたり、

そこには悲しさもあれば先への楽しみと言うか、違った形で残りゆく文化への期待、

また、新しくなりそこを改めて利用し活用していく発信への思い、

そう言った気持ちが言葉になって出てくる、
時には態度によって表現される、

それは、その人達の持つ特権であり、必要なものだと私は思う。

そうして完成を迎えたのが木屋町の元立誠小学校の跡地である。

現在もその思いは現在進行形であり、私はあくまでも脇役である。と認識しております。

同時進行で街のど真ん中と、京都の下町を行ったり来たりして両方を見てきた私ですが、感じる事はたくさんありますよね。

なぜなら、そこに杭を打ち一緒に考え私なりの着地点を提案し身体を動かしてきたのが事実であるからです、、

さて、

崇仁地区の開発はまた街中の開発とは少し違う、

大学が来ると言う形を基本と基礎に持って来ており、
ある意味期待感は今までのその地域とは全く違うものだろう、

眠っていた土地、塩漬けの土地と言われ続けた場所が動くと言うのはやはり不安も大きいが、そのぶん期待も大きい、

公園や壁や公衆トイレなんかに書かれている落書きとは、なんらかのシグナルなんですよね。

ちょっとこの近辺を歩くと昔昔はそのシグナルが存在していたと記憶する、

露骨な方が意外とかわいかったりするのだが、かわいさをはるかに越えた事もある、今は形を変えてシグナルが生まれる事が多いと率直に感じます。

シグナル、それはどこにでも存在するがこの地にとっては非常にナーバスだったのかもしれない・・・

そして、

この地域を愛する人達は非常にナイーブな気がするのは私だけだろうか?
話しているうちにだんだんとうち解けていき、身内の様に気を使ってくれたり、見えにくい優しさを出してくれたり、そしてどこか人懐っこかったり、非常に人間らしいのだ。

会話は愉快であり、笑いが絶えない、面白さの破壊力は天然には勝てないのだ。

その天然さとは、どこの地域にも存在し、その地区地区ごとで違いがある、

なぜなら、日常の行動範囲に寄って生まれる事柄、いわゆる行き場により会話や物事、文化の違いが日常会話に詰め込まれる為、やはり学区ごとに話題の中心は変わるだろう、、

で、この崇仁学区はなかなか破壊力があるわけです、、、

団結力も強い、沈黙力も強い、そして人間力が強い。

噂の伝達により間違った事や行き過ぎた事が発信されてしまい行ったらあかん地域になってしまったのかもしれない歴史、

その歴史の中で通った小学校が解体されて行く姿はやはり悲しいの一言だろう。

春から夏、

この地の季節観測は桜や紅葉、寒さや暑さでは無く月ごとに変化する町の形成だろう。

気がつけばもう秋。

秋空は青空、一本の木が残されたかの様に高く伸びていた、真っ直ぐ生きろと言っている様に。

PROFILE

牧野 広志 TRAVELING COFFEE 店主

1966年生まれ。
94年渡仏、90年代をパリ ルーアン リヨンで暮らす。
2002年 帰国後、京都の新しい情報発信空間の提案者として文化と地域に密着中。

-TRAVELING COFFEE -
昭和2年築の木屋町 元・立誠小学校 職員室で営業していたTRAVELING COFFEE が耐震補強工事の為に高瀬川沿いに建てられた仮設の立誠図書館内で営業。図書館の選書はブックディレクター「BACH」幅允孝氏。
現在、元・立誠小学校をリノベーションした複合施設「立誠ガーデンヒューリック京都」内にて営業。
京都府内の焙煎所を常に6軒毎月選び焙煎家と話し合いシングルオリジン、オリジナルブレンドをオーダーメイド。
スペシャルティコーヒーをハンドドリップで提供。

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