外部サイトへ移動します
牧野 広志 DEC 20,2019

下町。Vol.24

下町とメメントモリ。


五条楽園またの名を五條楽園。

筆者の若き日の楽園、

諸先輩達がおり、梅湯で風呂に入りキコク食堂で串カツを食う。〆は中華そば。

数件飲み屋をハシゴする、

当時は普通にここを通る人も少なかった。

いつ頃からか、

以前にもこの地区の変化を書いたことがある、

やはりエフィシュだと。

そのエフィシュが最近幕を閉じた。営業と言う幕を閉じた。

ただその存在は深く私や地域の人、全国の人の記憶だけでは無いどこかに残っている。

五條楽園は、大人の楽園であった、

エフィシュができてその楽園の層は広がった、

私はこの地区をずっと五條楽園と呼び続けた、

しかし別れは突然やってくる、

たくさんの人にエフィシュは見送られその場所から形だけが立ち退いた。

お店と言う形はなけれどそこには歴史が作られた。

ただ私にとっての楽園は無くなってしまった、、、

これからここを五條楽園と呼ぶことはないのかも、なぜなら楽園が無いからである。

張りぼての楽園風は一部の人にとっては必要ではない。

少なくとも昔の時代を知っている人にとっては楽園と呼べる場所ではないからである。

唯一、私が一つ思う事は、サウナの梅湯が京都にあって良かったと思う事、

今も続けられている事が「らしさ」や「風」では無く京都であると言う事。

五條楽園はサウナの梅湯が楽園であると若い次世代が感じてくれれば幸いである。

そして私もきっと今の梅湯に通えば再び楽園が戻ってくるのだろう、

と、ふと思う。

令和のはじめにもやもやとした黒い霧。

そこはタブーである、

アンタッチャブル。

空を見上げればクレーンとシート、

売る側も買う側もギリギリの選択の様な気がする、

バブルははじけてる?まだ続いてる?

「一部はもうハジけてしまったよ」「これからはババ抜きだよ」と誰かがそんな事を言っていた。

80年代終わりから90年初頭のバブル、思いっきりハジけババを引いて消えていった人もいた・・・

またそんな日が来てしまうのか・・

楽園入り口近くにある先輩の家が高値で売れた、
そしてどんどん値が上げられ転売を繰り返し、今「売物件」と言う看板が下がっている。

転がされ過ぎて買い手が出なくなったのだろうか、、、

よく遊びに行った家だけに、前を通る度に人の気配がなく古くなった姿を見るのがとても悲しい、、。

目には見えない理想の街づくり、地域活性と言う合言葉で、地域に触れていない人達が地域街づくりをイメージと理想で作り上げる。

そこには本来の京都らしさは無く勝手に作られた古い京都らしさが組み込まれていく、目に余る表現力はその町を知り尽くした人にとっては負のレガシーである、

どうしちゃったんだ京都?
ずっとその言葉が頭の中をループする、

今この街はもう疲れている。

デッドゾーンに来ているのか、

最近は飯を食うのにも一苦労する、

安くて美味しいお店が地上げ賃上げによりどんどん姿を消しているからだ、、

そりゃそうだ、「安くて量が多くて美味い」をやる家賃では無いのだ、、、

誰の為の京都?

きっと地域住民達は皆んなそんな事をそろそろ本気で思っている頃だろう。

かと言って楽しい事や素晴らしい物もでき、新たなコミュニケーションやコミュニティーが生まれ斬新な中にも古き大切な文化を残す本気の事柄も無いわけでは無い、

新しく移り住む人々、入洛者、国内海外からの観光客、

非常にバランスが難しい、

海外からの観光客が多過ぎて、国内からの観光客が減っている様に思う、

なんとなく危険な理論があちこちで交わされている。

耳にする言葉には頷ける事も多い、

しかし、観光都市と言われ続けているだけに仕方の無い事もたくさんある、

観光をなりわいにし生きている人達もたくさんいるので、一言で駄目とは言えない次第である。

最近こんな言葉を聞いた、「笑いは緊張からの解放」、いい言葉だ。
ただ笑い続けて欲しい。

京都のあっち側は静かに大きく動いている。

メメントモリ。そう言っている。

そして今年も残りあと僅か、街はクリスマス。

PROFILE

牧野 広志 TRAVELING COFFEE 店主

1966年生まれ。
94年渡仏、90年代をパリ ルーアン リヨンで暮らす。
2002年 帰国後、京都の新しい情報発信空間の提案者として文化と地域に密着中。

-TRAVELING COFFEE -
昭和2年築の木屋町 元・立誠小学校 職員室で営業していたTRAVELING COFFEE が耐震補強工事の為に高瀬川沿いに建てられた仮設の立誠図書館内で営業。
図書館の選書はブックディレクター「BACH」幅允孝氏。
珈琲はブレンド2種類に加え、シングルオリジンは京都府内の焙煎所を毎月選び焙煎家と話し合い常にオリジナルを4種類程オーダーメイド。

FEATUREおすすめしたい記事

page top