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牧野 広志 AUG 13,2019

下町。Vol.21

祇園祭後祭とメロウマッドネス。


絶好調にうなぎ登りの暑さの中、夏の始まりを告げる祭りの続きが始まった。

実際には7月の頭のから1カ月間続いており、「続きが始まった」と言う表現はちょっと違うのだが、、、

京都以外の人には非常にわかりやすいだろう。

そうです、

祇園祭前祭の終了と共に、祇園祭後祭がスタートしたのです。

祇園祭後祭、私は個人的には前祭より後祭派なのだ、

「なんで?」と、よくみんなに聞かれるのだか、、、。

前祭は非常に どメジャーであり、派手である。
テキ屋も出たりで鉾町はもうどうにもこうにも動けない状態であり暑さ倍増、、

それこそ山程巡行は長刀鉾を筆頭にスター揃いでゆっくり拝観するのも大変だ、、、

入洛者、観光客の数も半端ではないのです。

それにひきかえ、後祭は、地域との密着がより強く感じその地域ごとでの結束力が前祭とは違った形で見えてくる。

テキ屋も出ない、そのかわりその町内町内に隣接する飲食店などや、お店の前が非常にローカル感溢れる雰囲気で居心地が良いのである、

メロウな感じで始まる、メロウな祭り。

だけどその奥には、やはり祇園祭と言う重みと看板と歴史を背負っており、前祭に引けを取らない熱いモノがある、

町の人たちはそう言う祭りを作っているのだろう。

私は、祇園祭後祭をメロウマッドネスと呼んでいる。

前祭ほど観光客がたくさん来るわけでは無いのだか、その為に入洛している方や、その為の観光客はかなり玄人であり、一つ一つの山鉾、山笠をゆっくりと拝見し、動く美術館と呼ばれる意味を噛み締めているように思える。

さて、私の後祭は毎年 三条新町の八幡山で夜から飯と飲みである、

八幡山にある「楽酒菜まゆめ」で京料理、祇園祭の料理を楽しむ。

まゆめの大将も当然 八幡山の保存会で粽を用意してくれたり、山の組み立て解体片付けや引き始めをしたりと、ガッツリ祇園祭の男なのだ、

そして、連日の様にレジェンド北観音山の若い衆たちが座敷で呑み呑み呑み、、、

八幡山と北観音山は新町通りで並びである為、暑さと腹ペコさを凌ぎに皆さん大将のお店にやってくる、

私も当然食う、鱧、ハモ、はも、。

鱧の焼霜降り。最高です。

宵々々山から始まり、宵々山、宵山、
宵山の夜中には、南観音山の「あばれ観音」を観る、

鱧に、トウモロコシ天ぷらに、薩摩地鶏に、尾崎牛うに乗せ、京野菜に食って食って食いまくり、飲む、呑む、飲む、

まゆめさんは日本酒の品揃えも良く人気店、

後は、日和神楽を待ちその後の あばれ観音 を待つのみ、

もうかなりオカルトの世界であり、その地域、その山鉾で数々の知られざる行事が行われているである、

さて、そんな夜にいつものごとく友人達と「まゆめ」で あばれ待ち、

「日和神楽が来たで」の声でお店の外に出て神楽を見送る、

勢いつき過ぎて気がつくと、そろそろ始まる時間に・・・

「おい!そろそろ南観音山に行かなぁ!」と声を掛け新町通りを南に向かう、

が、途中途中に魔の手があるわけでして、やれビールだ、やれハイボールだワインだと、、、

たった数百メートル行くのに何分かかるんだ・・

まさにメロウマッドネス。

ようやく、北観音山を越え南観音山が見えてきた、

おー、人も賑わいそろそろ出てくるか あばれ観音 と思いきや、、、

南観音山の前で「チャチャチャンチャチャチャンチャチャチャンチャン・・・」と手拍子の音が新町通りに響き渡る、、、

ん?

ちょ、

もしかして、、

そうなのです、、、メロウマッドネスに飲み込まれた結果、あばれ観音は終わっていたのです・・・。

毎年欠かさず見ていたのに、、、

令和一発目を見そびれました、、、、。

後ろ髪引かれながらまた来年を待ついつもの面子、、、

そして飲み直し・・・

ところで、あばれ観音とは。

北観音山の観音様は男性と言われ、南観音山は女性であると言ういい伝えがある。
いわゆる恋物語的な感じでしょうか、
巡行前日の深夜に南観音山の楊柳観音像を見えない様に布でぐるぐる巻きにし御輿に縛りつけ町内を3週する儀式が行われる。
これを「あばれ観音」とよぶのです。
要するに夜中にこっそり女性を男性に合わせに行き、巡行時に狂わない様にするのである・・
北観音山の観音さんへの恋心を鎮めるとも言われていますが、その説は定かではない。

しかし、地域の人も私もそれを信じ毎年恋沙汰の思いを深夜に見届けるのが何年も続いている。

と言うわけです・・・。

さて、

ちょっと話しを少し戻そう。

北観音山の事を私はレジェンドと呼んでいる、

なぜレジェンドなのか、

祇園祭前祭後祭と両方の山鉾山笠を含め、唯一物販をしていないのが北観音山だけなのだ、

北観音山の粽が欲しくても買えない、北観音山に乗りたくても乗れない、

なんらかのツテがある人のみが、粽を貰え北観音山に乗せてもらえる、

まさに京都らしい京都なのです。

一見さんお断り的な・・

これをレジェンドと呼ばずに何て呼ぶのだ、、、。

そして、有難い事に私事ながら粽を頂き乗せて頂いたりと非常に貴重な体験をさせて頂いております。

保存会の皆様本当にありがとうございます。

暑い熱い宵山の夜も終わり、翌日の巡行も終われば、、

さぁいよいよ夜には神輿が出る。

祇園祭の最終着陸に向かって日は過ぎてゆく、

還幸祭、これぞ祇園祭のクライマックスであろう。

前祭で四条御旅所に預けられた、3基の神輿が一斉に旅立ち、八坂神社を目指して行くのだ、

この時の神輿を担ぐ男達の熱気は尋常ではない、、、

八坂神社に還幸、ご神霊を本社に戻す。

市中を巡る、三若、四若、錦、の神輿はこの町に住み暮らす人々にとって、常に身近な神であり、信頼の塊であろう。

こうして町の人達は千年以上の歴史と一緒に動いているのだ。

これもまた京都の行動力学が生み出しす一つの証しであろう。

来年の祇園祭はもう動き出している。

全国の人が、世界中の人がそれを待っている。

そしてそんな中、後祭の町に一軒のコーヒースタンドがオープンした。

「here」

美味しいラテアートとカヌレを出す店、

そう、彼、ラテアート世界チャンピオン 山口氏の手掛けたホームとなるコーヒーショップだ、

コーヒーやラテが苦手な人もきっと美味しく飲めるだろう。

そして、カヌレは自信作、

ココでしか食べれないからココカヌレ。

間違いなく美味しい。

そして気がつくと本格的な夏が始まり、僕たちは気温38度の中にいた。

PROFILE

牧野 広志 TRAVELING COFFEE 店主

1966年生まれ。
94年渡仏、90年代をパリ ルーアン リヨンで暮らす。
2002年 帰国後、京都の新しい情報発信空間の提案者として文化と地域に密着中。

-TRAVELING COFFEE -
昭和2年築の木屋町 元・立誠小学校 職員室で営業していたTRAVELING COFFEE が耐震補強工事の為に高瀬川沿いに建てられた仮設の立誠図書館内で営業。
図書館の選書はブックディレクター「BACH」幅允孝氏。
珈琲はブレンド2種類に加え、シングルオリジンは京都府内の焙煎所を毎月選び焙煎家と話し合い常にオリジナルを4種類程オーダーメイド。

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