外部サイトへ移動します
落合のダッチワイフ FEB 15,2021

Hey!凡な日々 Vol.43 日記


1月1日
実家にて正月を迎える。コロナ渦の中帰省していいものかどうか迷わずに帰った。落合家は今悲惨な極まりない状況に陥っていて、悲惨極まりない状況なのだなと理解したのは十一月の中旬に、ドラッグストアの駐車場の車中で紆余曲折あって、母の口から放たれた「こんな人生PS5も転売したくなるわ!!!」という怒号がきっかけである。「どんな人生だよ!」と思わずツッコミそうになったが、こんな人生か、と思うと悲しくて言葉がそれ以上出なかった。その後の車の中で運転している母が「メルカリの使い方、私が分かると思う?」と笑いながら言っていたが、そういう問題ではない。母は何も悪くない。そんな訳で母を抱きしめに帰省したのである。

母は元旦から仕事らしく、朝の五時に起床して毎年恒例のおせちを作っていた。俺が目覚めた頃に彼女はもう出勤していた。温まるといけないからと玄関の靴箱の上に置かれた重箱の最上段を手にした俺は、なんかエモーショナルな気持ちになりながらガツガツ食った。ガツガツ食う度に味が全くしないなと思った。毎年食べているから分かる。ああコロナだ、と不安になり急いで冷蔵庫からコーラを取り出し飲むとそれは間違いなくコーラだった。帰宅した母にこのことを伝えると、「例年より酢を抑えてみました!」とのことで、なんでそんなことをするのだろうと疑問に思いながら、ああ~そうなんだ~と言った。夜はリク(犬)と寝た。

1月2日
昨晩リクと三人でドライブをしようということになり、八時に起床。風呂に入り煙草を吸って、リクと俺が着替え終わる。リクは服を着るとお出かけであることを理解するらしく、その場でくるくると回転していた。母が透明なビニール袋にばかうけやキットカットなどを詰めているのを見ておかしな気持ちになった。本当に心の底から温かいものを感じながら、虚しさのような感情が湧き上がってくる。昔いとこの家族と海に出掛けたことがある。いとこの家族+俺だけという構図だった。ファミリーカーの中でドリカムが延々流れていて、俺はそれを聞きながら貧乏くせえなと思っていた記憶がある。海でしたことといえば、岩の隙間に糸で結ばれたスルメイカを垂らし蟹をゲットするという遊びだったかと思う。「楽しい~~」と何度も声に出して言ったが、それは自分に対して死ぬ程楽しくないということの証明でもあった。だからこそ自己催眠をかけるように、ハシャグのである。リクも本当はお出かけなどしたくないのかもしれない。いとこは我が家の何千倍も金持ちである。
出掛ける直前に母が「次の家は自分で決めるから口を出さないでよ。」と言った。これは昨日殴り合いに発展しそうな程に互いに熱くなった議題であり、このタイミングで放り込んでくる辺りが俺の母だって感じだ。気持ちがよく分かる。俺から「分かったよ。」という返事をもらうことで、これからのドライブを何気兼ねなく楽しもうという魂胆。俺が首を横に振ればまた昨日のような怒鳴り合いに発展しまうことは互いに分かっていて、だからこそ母はこれからのドライブを担保にしたのだ。俺は迷わずに「無理です。」と答えた。その結果俺はその日の午後十三時には東京の自宅にいたのである。
帰りの電車で号泣した。カネコアヤノを聞いていたからかもしれない。

1月4日
夜中の三時マヂカルラブリー寄席を見る。永野の「おい男~~~」が滅茶苦茶面白かった。
ふとTwitterで「みんな違って、みんないい」という言葉を見かけ、ある意味思考停止だなと思った。その程度。

1月5日
出勤早々店長に激怒される。昨日の新年一発目のバイトで、店の売り上げデータを誤って飲料メーカーにFAXしていたらしい、俺が。俺は確認病だ。何度も何度も同じことを確認する。例えば家から出るとき。まず最初にきちんと煙草が消火されているか灰皿の確認、確認後灰皿にコップ一杯分の水をかける、そして水がかかっているかを確認、その後コタツの電源が切れているかを確認、確認している最中に他のことに気が行ってしまうと(誰かから電話がきたり、トイレに行きたくなる等々)また一から灰皿の確認から始めなくてはならない。そうしなければ、火事になってしまうのである。自分でもこれらの確認行動の何がおかしいかは分かっているので、もうこんなことは2021年で辞めにしようと昨日のFAX時に宛先を確認しなかった(去年まではしていた)のである。その結果がこれである。全く信用ならない。どうすればいい。

1月6日
KID FRESINOのアルバムがリリースされた。これまでとは全く違っていた。

1月7日
友人の長尾が撮影と編集をした乃木坂46の桶口日奈さんの動画が公開されていた。心から嬉しい。誰かが通用していると安心する。
コンビニで会計するとき小銭をすごろくの目の形にして置くようにしている。既視感のあるビジュアルにすることで店員さんが一々数えなくて済むようにだ。それなのに今日行ったコンビニの店員はその形を崩してから一つずつ数えていた。ストレス。
部屋の中からマグマのような音がすると思ったら、炊飯器の蓋が開いていた。二十分は蓋を開けたまま炊いてしまっていたので、不安になったが結果的に何も問題なく炊けた。
漢字の成り立ちについて考えていた。「どのような成り立ちでこの漢字が生まれたか」を説明することで人を勇気づけたりしようとする人をたまに見かける。
例えば「幸せの「幸」という字ありますよね?これまず最初に「土」が来るんです。じゃあ土の上にいつもいる動物ってなんですか?「羊」なんです。」みたいな。上手く再現できなかったけどまあこんな感じだ。
漢字の成り立ちを聞いて、感銘を受ける人の意味が全く分からない。漢字を作った人間は漢字のデザイナーだ。「漢字の成り立ちの説明」というのは漢字デザイナーが「この漢字ができるまでの創作過程」を発表しているのと同じではないのだろうか。つまり漢字が出来上がるまでの取っ掛かりを説明したところで、「本質」にはたどり着けないのにも関わらず、「真実」みたいな言い方で漢字の成り立ちを説明しやがるから俺は腹が立つんだ。怒ってばっかだ。

1月9日
KOKを見る。RAWAXXXに獲って欲しかった。生き様が好きなラッパーだ。ksmnさんの名前が画面一杯に出た時テンションが上がった。今年のKOKは空気感が独特でかなり渋かった。途中から全員が殺しに行っていた。

1月13日
プぺルを80回見る羽目になった青年が話題になっている。絵にかいたようなピンチをチャンスに変える場面が訪れた彼は、noteに80回分のプぺルの感想を書けるのだろうか。気になって仕方がない。二億円所持していてもプぺルを80回見ることはない。それが彼らの言うところの価値なのではないか。

1月20日
サニーデイサービスの「春の風」を聞いた。超良い。帰宅して中原昌也の「知的生き方教室」という小説を読む。ものすごい本だ。作中の男が、階段を登っている老婆を上から突き落とす。その時彼は「文学的達成感」のようなものを得る。街中の犬猫を殺して回るのも彼がサディストだからではなく、彼が思う「文学」への生贄とするためだ。とんでもない皮肉だ。保坂和志さんが何かの本に書いていた小説を書いている最中に起きる「ネガティブな磁場」について真剣に考える必要があると思った。

1月23日
霜降り明星のオールナイトニッポン0で採用されたネタがかなりウケた。地味に週300通送っている。今月の頭に送るのを辞めようと思ったが、辞めることができない。これは趣味なのかもしれない。自分の名前が読まれた時に脳内から湧き出る興奮剤のようなものがクセになる。気が済むまで送り続ける。
RAMさんがパーソナリティーを務めた「CITY CHILL CLUB」をずっとかけていた。テーマは「真夜中に聴くヒップホップ」。今月で今日が一番いい日だなと思った。

1月26日
あばれる君主催のポケモンの大会に出場する。この日のために結構な準備をしてきたが、大会途中で公式のメンテナンスが入り大会は中断。それに驚くあばれる君に爆笑した。
NASAが歴史的な発射台を取り壊して駐車場を作ったというニュースを見た。その理由が「駐車場のスペースが足りなかったから」らしく、なにそれ、超カッコいいじゃん、と思った。
「映画をたくさん見ている人の価値観がアップロードされていない、という真実」的なツイートが若干話題になっていた。「価値観のアップロード」という表現があまり好きではない。それはある意味、流行に乗るということと同義だ。思考されていない。俺達はiPhoneではない。自分が当然だと思っていることが毎日ちょっとずつ変化しているのだとしたら、それを毎朝毎晩自分の中で点検・修正する必要がある。そうすれば当然のところへと向かって価値観というものは自然と移り変わっていくのではないかと思う。
価値観をアップロードすることを目的に映画を見ている人間は、映画を手段として見ているということになる。それは不自然だ。揚げ足の取りすぎかしら。

1月27日
バイト先に向かっている最中一人の老婆が階段から突き落とされる瞬間を目撃した。俺はマッハ9の速度でダッシュし老婆をダイレクトキャッチ。階段を見上げるとその頂上で男がこちらを見下ろしている。背後から老爺が近づいていることを知らずに。
老爺は後ろから男の肩を叩き、階段の下へと降りるように指示をした。男が少し笑ったように見えた。
二人は無言で向かい合っていた。痺れを切らしたように「なんだよ」と男が言った。老爺は正面から男の腹へとタックルをし、倒れた男の上に乗っかるとひたすら男の顔を殴り続けた。俺はそれを見ながら、止めるべきか否かを考えていた。結果的によく分からないという決断に至り、そのままバイト先へと向かった。

PROFILE

「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
プールサイドというコンビ名で活動中。
毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。

FEATUREおすすめしたい記事

page top