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落合のダッチワイフ JUL 31,2021

Hey!凡な日々
Vol.52 めちゃめちゃ怒ってます


病院内にあるコンビニでバイトをしている。僕は最近、レジ袋の有無を客に問うことを辞めた。なぜなら「聞かない」で統一した方が効率がよいからである。レジ袋を持参している人のほとんどが自ら「持っています」と伝えてくるし、持っていない人は「袋ください」と言ってくる。大抵の人が店員側から聞く前にレジ袋の有無に関しての発言をする訳なので、一々こちらから質問するのは時間と体力の無駄ということになる。
そして袋の有無について明かさない人達はほぼ確実と言っていい程に袋が不要である。
しかしごくたまに、袋が必要なのにも関わらずそれを明かさない阿呆がいる。最早隠しているのではないかとすら思う。
先日何も言われなかったのでいつも通り「袋は不要」だとみなし会計を終えると、「おい袋は?」と言われた。柄の悪いおっさんだった。続けて「袋がいるかどうか聞けよ」「テメェ何考えてんだよ。」とこの男はほざきやがったのである。俺は言われた通り自分が何を考えていたのかを即座に考えた。それが先程述べたことである。
「お前が何も言わなかったから袋を不要だとみなした。」に尽きる。
おっさんが購入した商品はりんごジュースとおにぎりであった。否、おっさんの主観的には「りんごじゅーす」だったかもしれない。それくらい頭が悪そうな面構えをしていた。とにもかくにも飲料とおにぎり一個であったら袋はいらないであろうと、本来僕が考えてやる必要がないことまでした上で(仮にジュースが5本であれば袋が必要であるか聞いてやった)袋は不要だと判断したのである。にも関わらず「テメェ何考えてんだよ。」というのは一体どういった了見であろうか。
そもそも「袋がいりますか?」と店員に聞かれるまで、自分が購入した商品を会計後にどのようにして目的の場所まで運んでいくかということを考えていないというのは流石にどうかと思う。仮にレジに辿り着くまでの間に「俺は袋がいるんだ!!!!!」と意気込んでいた場合、それは当人しか知りえないことなので発言してもらわなければこちらとしては知ったこっちゃないに尽きる。僕は客に興味がないので。成人を超えて本格的に社会と接するようになってから「あの時言えなかったけど本当はこう思ってたんです!」なんてことが通用したためしが今まで一度でもあっただろうか。「説明してもらえることが当然!!」「分かってくれているはずだ!!」と本気で思っているのであれば、というかこのおっさんはそういう考えの持ち主であることがこの時点で確定していて、つまりは「まじでダメな人」なのである。

ここまでに書いたことを4秒で考えそれを丸々発言しようとおっさんの顔を睨みつけたところで、僕は少し冷静になってしまった。というのもおっさんの右目が真っ青に腫れあがっていたからである。これは紛れもなく人様に殴られた証であり、つまりはおっさんが人様を殴ったことの証明でもあるのだ。「一方的に殴られただけでは?」とも考えてみたが、現状どうだろう。おっさんはきっとどこでもこのような態度、つまりは「俺様が○○と考えているのだから、お前らは分かって当然だろう」的なイカれた世界観の中で生活している訳であり、だからこそ「テメェ何考えてんだよ」なんてことを初対面の僕に言える訳である。初対面の人に「テメェ」と言える人は決まって人を殴ります。誰彼構わず。おっさんが多くの言語を持ち合わせていないことは風貌や纏っている空気感から分かる。恐らく「テメェ、カレーライス、喧嘩、りんごじゅーす、ご飯、ウメぇ、もう寝る、明日やるわ」くらいの言葉を巧みに使い回しながらここまでやってきたに違いない。ボキャブラリーの限界地点がそいつの世界観のもっとも外側、輪郭の部分であるとしたら、おっさんの世界は学生が最初に住む部屋程の狭さであり、その4畳半の中で浅い暴力が渦巻いているのである。つまり短絡的な思考の持ち主であるということだ。
彼はその世界観の中に僕を巻き込もうとしている。僕だけではない、これまでにもこのような横柄な態度を様々な場所で横たわらせてきたのだ。
僕は頭がいいのでおっさんの世界観には関わらずに済む。回避できるのである。ではおっさんの世界観に巻き込まれる人間はどのような阿呆なのかというと、このおっさんと全く同じ世界観を持った人間である。想像して欲しい。このおっさんをもう一人増やして鉢合わせてみて欲しい。
「テメェ何考えてんだよ!!!」
「テメェ何考えてんだよ!!!」
「いやテメェが何考えてんだよ!!!!!」
「いやテメェが何考えてんだよ!!!!!」

どちらか一方だけが殴られることがあり得るだろうか?あり得ない。おっさんは自分と同じようなおっさんと出会い、殴られ、殴ったのである。
よって俺は「殴られたくない」と思い「すいませんでした。」と言って首を垂れ、3円の会計をしなおしたのである。

俺はこれを「負け」だと思っている。賢い判断はしたと思うが、悔しい気持ちが残っている。できることならば、僕もあのおっさんのようにこのおっさんを殴りたかった。
このようなことが起きると「どのお客様に対しても必ず店員側から袋が必要か否か聞くように」というルールが制定される。
あなたが普段使っているサービスの中で「なんの意味があんだよ」「効率悪いな」「無駄だよ」と感じるようなルールがあったとしたら、それは全てこのおっさんの責任であることは間違いない。やはり世の中は馬鹿に合わせて作られている。
残念でならない。
コメカミに銃口を突き付けられ「おっさんに何か一つ感謝しなければお前を射殺する。」と脅された場合に限り、俺はおっさんに言わなければならない礼がある。
それはお前みたいな阿呆が俺の目の前に現れてくれたおかげで、コラムが容易にできたということだ。
ありがとう、あんたが自分の生き方を真剣に考えてこなかったおかげで、マジで生きている俺の懐に金が入りました。

PROFILE

「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
プールサイドというコンビ名で活動中。
毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。

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