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落合のダッチワイフ AUG 31,2021

Hey!凡な日々Vol.54
看護師に全くモテない話


僕は病院内にある売店でバイトをしている。お客さんの半数以上が医療従事者であり、その内の8割が看護師、2割が医者である。
今年で勤務歴が4年になるので、顔見知りの人も増えてきて最終的にLINEを交換するにまで至った看護師が数人いる。その数人が全員店に来なくなる。連絡先を交換する程ではないが、遠くで目が合ったら手を振ってくれるような関係値までは築けている看護師達も、ほんの少し時間に身を任せれば一切店に来なくなるのである。なにをどう考えても僕に原因があるとしか思えないのでその理由を考えてみたいと思う。

KOC一回戦覇者であることが上手く伝わっていない

僕はまずモテない。将来性が全くもって感じられない売れないお笑い芸人をやっているのが原因なのだろうか。否、そんなことはない。なぜなら今年のキングオブコントで1回戦を突破しているからである。2回戦はハンデとして右足に70キロの重りをつけながらコントをしていたこともあってか、敗退してしまった訳だけどもそれでも凄い。実のところ1回戦は2回戦より通過率が低いのである。3000組の応募の中から合格を貰えるのはわずか300組だけ。通過率はわずか1割、漫画の世界みたいな話だ。
そしてもっと漫画なのは、我々プールサイドは所属フリーであること、カッコよく言い換えると「無に所属している」と書いて無所属であること、去年のキングオブコント以来人前で一切コントをしてないこと、つまりぶっつけでやったネタで奇しくも2700組をぶち抜いてしまったこと、1回戦で30分遅刻していること、等々ある。どう考えても4巻で主人公属するチームにワンサイドゲームをするし、17巻で僕達は負けるし、32巻で共闘するに違いない。プールサイドが主役ではないのは、主人公は遅刻をしないし事務所にも所属しているからである。俺達はブリーチで言うところの剣八であり一護ではないのである(※追記 納品直前に読み直して気付いたのだが、よく考えたら一護こそ無所属って感じだったのでこの例えは完全に間違えています)。
つまり僕達は今4巻にいる訳で、ここから32巻まで確実に出番がある時点で僕の将来性というものは担保されている訳である。
黙ってレジに突っ立っているだけじゃ僕の将来が実に明るいことを伝えることができないので、会計にきた喋ったことのある看護師さん達全員に「キングオブコントの一回戦通ったよ。」とお伝えした。そして必ず「3000組の応募の中から合格を貰えるのはわずか300組だけ。通過率はわずか1割、漫画の世界みたいな話だね。」とも言った。だから避けられているのかもしれない。

「うんこ」としての自覚

僕は自分が「モテない男」であることを自覚している。ぶっちゃけ「あの人よくない?」みたいな感じで数人の看護師集団からキャッキャしてもらったことが何度かあるし、「あのもう閉店ですか?」とか「○○ってジュース入れないんですか?笑」とか「おはよう〜(笑)」などとわざわざ口にする必要がないことを口にしてまで、僕と話すきっかけを作りたがる看護師もちらほらいる。それなのにその二週間後に忌み嫌われるということは、僕の内面に問題があるということになる。
なので、具体的に言うと「内面がモテない男」であることを自覚している。
「モテない男=勘違いしがち」みたいな構文をよく耳にするので、そうならないように自覚的な態度でいるのだが逆にそれがよくない結果を招いてしまっていることに気が付いた。
というのも例えば自分のことを「うんこ」だと思うことにする。「うんこ」は誰がどう考えても絶対にモテない。基本的に嫌われているので自分から話し掛けたりしても、相手に不快感を与えるだけであり、おとなしくしていなければならない。だからワタクシはレジでうんことして、若干不貞腐れたような態度で鎮座している訳である。
医者がレジに持ってきた商品のバーコードをスキャンしている最中に、脇の方から看護師が寄ってきて、
看護師「先生!!!きゃぴきゃぴきゃぴ(笑)」
医者 「ったく。きゃぴきゃぴきゃぴきゃぴ((笑))」
看護師「きゃぴ?きゃぴきゃぴ~(笑)」
医者 「じゃあ早く持ってきてよ。奢るから。」
みたいなくだりが滅茶苦茶ある。医者は看護師に奢りたがる傾向がある。この時間うんこであるワタクシは、医者の商品全てにバーコードスキャン済みであり、あとは看護師が商品を持ってくるのを頭上で蠅をたからせながら待機している。医者自らレジを離れて、看護師が奢ってもらいたいと思う商品を決めたらもう一度最後尾から並びなおせばよいのに、どうやらそれができないらしい。頭が悪いのだと思う。看護師が商品を選んでいる間、ワタクシと医者の間で沈黙が生まれる。
間に耐えられくなった医者が看護師に向かって大きな声で「おい!早くしろよ!店員さん待ってるだろ!!笑」と言うと、看護師が小走りで頭の悪そうなカラフル色の炭酸飲料を持ってきて「すいませ~ん笑」と俺に言う訳である。「あ、大丈」くらいで二人はまた「きゃぴきゃぴ」を繰り返し俺の返事を聞いてすらいない。でもワタクシはうんこであるので、ただひたすらに耐え忍ぶだけなのである。心の底では「割りたい」と思っている。なにかを。
誰もワタクシのことを見えていない。当然だ、道端に落ちている「うんこ」に話し掛ける人間が一体どこにいるというのだここです!!僕が務めている病院内にいます!!

アラレちゃん、現る!!!

「おはよ~~(笑)」と遠くから手を振ってくれる看護師さんがいるのである。道端に落ちている「うんこ」に手を振る人間がここにいたのだ。また「あのもう閉店ですか?」などと「うんこ」に閉店時間を聞くという訳の分からない看護師までいる。僕は店の隅っこの方で大人しく「うんこ」を全うしていた。ちょっかいを出してきたのは、棒でツンツンしてきたのは看護師達の方なのである。
ここで「ちょっと棒でツンツンされたくらいで好意を持たれたと思うのがキモい。勘違い男、モテない男の真骨頂!!」みたいなことを言われたら僕はもう適わない。
今一度、本気で自分が「うんこ」だと思い込んでみてほしい。普段は人から蔑まれているし、相手にもされない。そんな時「ツンツン」と誰かが棒でつついてきたらどうだろう。そして「うんこさん。おはよう(笑)」と微笑みかけてくれたら、皆さまはどう思いますか?

「絶対私のこと好きじゃん。」

となるのです。

ミリオン再生!!

自分は自分に対して狭くて深いイメージを持っているいわばパクチー的な存在、多くの人が敬遠しがちだけど、好きな人は超好き、だからこの子は僕のことが超好きなんだ!と思ってしまうのである。
そして普段から「おはよう(笑)」と言われる機会が極めて少ない僕は、頭の中でそれを何度も何度もリピートする。次に挨拶をしてくれたその人が目の前に現れるまで、永遠に味がするのである。
1回の挨拶を頭の中で100回繰り返すと、当然それはもう100回挨拶を交わしたことになる。
次その人とどこかで出くわした時、実質2回目の挨拶となる訳だが、自分の中では100回も挨拶を交わしたことのある仲の人だと、脳味噌が誤った認知をしてしまっていて距離感を間違えた会話をしてしまうのである。
そして3回目の挨拶を済ませたくらいの時には、頭の中ではもう何千回と挨拶を終わらせていて「彼女は僕に完全なる好意を持っている。何故なら何千回も「おはよう」と微笑んでくるから」などというなんともキテレツな思考になってしまっている。そうなると僕は途端に恥ずかしくなってきて、シャイな部分が出ちゃって、その人と全く会話することができなくなってしまう。
すれ違う時に「おはよう(笑)」と言われても、「あ、俺のこと好きな人だ!!!」と思ってしまい、恥ずかしさのあまり真顔で無視をして素通りしてしまう訳である。でもそれじゃいけないと思って、その次に会った時はきちんと挨拶をする。またその次に恥ずかしくなったら無視をする。それを繰り返している内に「情緒不安定なヤバい人」と認定され誰も近寄ってこなくなる訳である。

PROFILE

「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
プールサイドというコンビ名で活動中。
毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。

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