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落合のダッチワイフ MAR 30,2020

Hey!凡な日々 Vol.30
~イライラ~


全ては「あの人カッコよくない?」のために

現在時刻は23時。ファミレスにて、このコラムを書いている。気が付けば今回で第30回目らしく、何を書いてきたか記憶を辿ったがほどんどのことが思い出せない。
「とうとう、遂に、第30回目になりました!」的なめでたいコラムを書こうと思ったのだが、「知らんがな」とすら思われないだろうなと思い、粛々と通常通りのテンションで文字を進めることにする。隣の席の女子大生二人がうるさくて一向に集中することが出来ない。最近よくこのファミレスを使用するので分かるのだが、今日僕を入口で迎えてくれた店員はまだ入ってまもないド素人であった。彼女は僕をどの席に座らせればよいのか明らかに悩んでいた。結果的に90席の内84席は空いているというのにも関わらず、店内で一番やかましい席へと誘導されてしまったのだ。6を一か所に固めるのはこの店の方針か、ド素人店員の怠慢なのか、よく分からない。便意を催している。席についたらすぐに用を足すつもりでいたのだが、隣の席には女子大生が二人もいるのでそうはいかない。
「あいつうんこだったんだ。」と思われてしまったら何もかもが水の泡なのである。何のために髪を切り、何のために服を着て、何のためにMac Book Airを開き、何のために難しそうな顔をして時に首を傾げたりしながらキーボードを叩いているのか訳が分からなくなってしまう。
今ドリンクバーを取って参りました。ミニッツメイドのぶどうです。
席を立ちドリンクバーへと向かっている最中、店の中腹辺りで、もし隣の女子大生達にこのパソコンの画面を見られてしまったらどうしようかと不安になり、わざわざ戻ってパソコンを閉じて、またドリンクバーへと向かった。
「誰が見んだよ((笑))」
と聞こえた気がした。

うるせえ。女子大生うるせえ。「周りからはよくすっぴんの方がいいって言われるけど、私自身はそう思わないの話」いつまですんだよ。どっちでもお前らはめちゃくちゃ可愛いよ。ちくしょう~。今日は朝から不吉な予感がしていたんだ~~。

VS 婆

朝、バイト前にイカした喫茶店にでも行って優雅なひとときでも送ろうかしら、なんてことを思い、早めに家を出て駅へと向かって歩いていると、一台のバスが目の前を通って行った。行き先が書いてあるはずの電光掲示板には「教習車」という文字が表示されていた。黒猫を見たような気分になった。珍しいという意味でだ。
喫茶店に付くと、隣の席にマスクをしたおばあさんが座ってきた。他に幾らでも席が空いているというのに、どうして私の真横に座るのだろうか。二人席。もうここは居間だ。僕はこういう人間の気が知れない。
最近の若者はおじいさんやおばあさんのことを、「おじいさん」「おばあさん」という一つの概念として捉えてはいないだろうか。おじいさんやおばあさんは、自分達が若者から「おじいさん」「おばあさん」だと思われていることを重々承知している。そこに甘んじで自ら「おじいさん」「おばあさん」然とするのだ。
真横に誰かが座った時、僕の優雅な時間がバラバラと崩れていく音が聞こえた。どんな阿呆なのか面を見てやろうと、隣の席に目を向けるとそこにはおばあさんがいた。その瞬間「あ、おばあさんなら仕方ないか」と僕は思ってしまった。おばあさんもおばあさんで、「仕方ないでしょう。おばあさんだもの。」というような表情を浮かべていた気がする。
他に空席があるというのにも関わらず、誰かの真隣に座る行為というのは「おばあさんだから仕方ない。」の適用外だ。
僕は本を読みながら、おばあさんを視界の端で確実に捉え続けていた。もう本は読んでいないに等しい感じだった。
彼女の元にサンドウィッチが届いた。「何でだよ!」と思ったが、それは僕がおかしい。別にサンドウィッチを頼んだっていいのだ。若干の咀嚼音は気になったが、許容範囲内だったので本に戻ることにした。
それからしばらくしてから、彼女は突如咳をしだした。猛烈に咳き込みだした。マスクは顎にかけている。ただ、真っすぐ前を見つめながら猛烈に咳き込んでいる。最近職場の人に教えてもらった「コロハラ」という単語が頭に思い浮かんだ。ネーミングセンスがいかにも「世間」って感じで、それがあまりにも不快だったのでその時のことはよく覚えている。
「ちょっと咳き込んだだけで、白い目で見られることを言うんだって。」
と職場の人が言っていた気がする。実際に合っているのかどうかは分からない。
僕は花粉症なのでたまに電車の中でくしゃみをしてしまうことがある。マスクをしているのにも関わらず、くしゃみの音が響いた途端、車内の雰囲気が張り詰めるという経験を何度もした。あれは「コロハラ」に近い現象だったのかもしれない。だとしたら、今僕が彼女のことを見たり、彼女の咳を気にするような素振りをしたら、僕は彼女に「コロハラ」という新型のハラスメントをお見舞いしてしまうことになってしまう。僕は被害者より加害者になることに精神的苦痛を感じてしまう。がしかし、被害者になるのも勿論嫌だ。そのどちらにもならずに、上手くこの場を切り抜けならねばならない。本を開いたまま、僕はあらゆることを考えた。彼女は咳をし続けている。
まず最初に考えたのは、喉に何かを詰まらせてしまっているという可能性。だとしたら店員を呼ぶなり、背中を叩くなりして彼女を助けなくてはならない。確認するためには彼女を目視しなくてはならない。僕の視界の端で咳をする小さな彼女からは何も情報を掴むことが出来ない。しかし今彼女を目視した場合、彼女は僕から安否確認をされたとは思わないだろう。疑われたと思うに違いない。この際どう思われても仕方がない。彼女の命を優先しよう。そう思い右方向にチラと顔を向けると、彼女と思いっきり目が合ってしまった。彼女は私の目をみつめながら咳をした。僕は本へと視線を戻した。ひとまず大丈夫そうだったので、安心。何故マスクをしないのか、何故顎にかけたままなのか、それが気になった。彼女の咳の理由なんてものはどうだっていい。本当に僕はどうだっていいと思う。ただ、今の世の中の流れから鑑みるに、「マスクを顎にかけたまま咳をする」というのはあまりにも逆行しているように思う。気遣えない彼女に僕は腹が立った。おかげで僕は、テーブルの上に置いてあるマスクを付けられずにいる。彼女はマスクを顎にかけ延々と咳をしている。私はそれを隣で受けている。気分はあまり良くない。マスクに手を伸ばしたら「コロハラ」にあたるだろうか。時には人を傷つけてでも自分を守らなくてはいけない瞬間があるのではないだろうか。てかこんなことで一々傷つくような人間であったら、人の真隣に座ったりしないか。と思い私はマスクをせず喫茶店を後にした。
おかげでいつもより1時間早くバイト先に着いてしまった。

VS EV

バイトが始まってからも訳の分からないことが起きた。教習車め。
エレベーターが開くと、中には大きな台車に手をかけた男性がいた。台車7割、台車を操作する男性2割、これはエレベーター内の占有率を表している。残りの1割の部分に僕は収まることを決めてエレベーターに乗ると、彼が一歩も動かない。彼がもう少し台車と共に右にずれてくれれば、僕のスペースは1.3割くらいにはなったかもしれない。実際何割だろうとどうだっていい。僕がムカつくのは、微動だにしない彼のマインドだ。
まずエレベーターに人が乗り込んできて、自分がその中央に立っていた場合、なんか少し避けるような雰囲気を全身から発するのが一端の社会人であったら当然のことだと思うのだけど、どうだろう。電車でもこのような人間をよく見かける。絶対に動かないことを決めているあの人達は、好きな食べ物とかあるのだろうか。
避ける雰囲気一つ出さず仁王立ちをする彼を横目に、僕はエレベーターの奥へと足を踏み入れようとした。男性の態度と同じように台車までデカく見えたのは不思議だった。実際にデカくなっていた気がする。その証拠に僕は台車に足をぶつけてしまったのだ。
「すいません。」
僕は咄嗟に謝まりました。ですます調で行きます。彼は無視をしました。彼の横に並んでエレベーターが2階に到着するのを待っていました。「あれ?2000000階押しちゃったかな?」と思ってしまう程それはそれは長い時間でした。この気まずさを覚悟した上で僕からの謝罪を無視したのであれば、大したものです。
エレベーターが開きました。僕は彼に分かるよう敢えて「開ボタン」を置きました。強制的に恩を売ってやったのです。彼は何も言わずスカしたような顔をして、エレベーターの扉に台車を激突させました。思わず「なんだこいつ。」とデカい声で言ってしまいました。

24時30分

もうこんな時間だ。結局ドリンクバーには1回しか行っていない。金の無駄をしてしまった。女子大生は15分くらい前に帰って行った。最近はずっと怒っている。とにかく腹が立っている。な~んか世の中がいや~な感じで、 今もTwitterみたら不安になるようなニュースばかりだし、ひたすらにかったるい。
斜め右前の席に座っている若い男二人が、出会い系アプリの話をしている。内容も下品極まりない。二人とも熱々のハンバーグ食ってるし。元気が出た。帰ります。

PROFILE

「お笑い芸人になりたい」と思い、新卒2ヶ月で勤めていた銀行を退社。
プールサイドというコンビ名で活動中。
毎週日曜21時からインターネットラジオ「プールサイドの25Mラジオ」を生放送中。趣味はラジオ投稿。
現在はコンビニでバイトをしながら。日々の生活を楽しんでいる。

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