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永田 宙郷 NOV 20,2019

唐突に、夜の花屋。


ある夜に僕はばったりと花屋に出会った。友人に誘われたイベントへの移動中、自転車に乗り、山手通りを進み代々木を過ぎたあたりの交差点で信号に掴まった時、ふとそこに唐突に花屋があった。

数枚のベニア板を組み合わせて、机一個くらいのテーブルに、グレイッシュで渋く美しい花々が幾つかのガラス瓶や花瓶に入って並んでいて、それを街灯がスポットのように照らし出してる。物語りのワンシーンのような何か普段とは違う世界に迷い混んだ感じがする花屋だった。

いつでも現れて、いつでも立ち去れるような、その花屋のDIY感と、自分なりのビジネスをつくろうする、飾り気はないけれど、こだわりを持って試行錯誤してるところが組み合わりが、なんだか東京らしく、今らしく、他にはない感じで格好良く見えた。それに何より、夜に突然と道ばたに洒落た花屋(=夜のお店相手の派手な花屋ではないやつ)が現れるなんて、とても物語的で素敵だった。

滅多に花を買わない性分なので、一度は傍目に花屋を見たけれど、そのまま通り過ぎ、数百メートル行ったのだけど、ほんとにそんな花屋が実在した?見間違いじゃないの?のような不思議な疑問がわいて、思わず引き返すことに。

そして、やっぱり実在したその花屋で、どの花がよいか、その花は何か、なぜここで深夜に花屋をやっているのかと、話しかけ幾つかの花を選んで貰って買った。慣れない分、だいぶ迷いながらだったけど、何年ぶりに自分のために花を買っただろうか。

翌朝、部屋に花があるのを確かめたとき、不意な出会いはギフトのように思えて、なんだか嬉しもんだ。あと、たまに花を買って、部屋に飾るのも悪くない。
また、あの不思議な夜の花屋に唐突に出会って不意な出会いを楽しみたいと思う。

PROFILE

「ものづくりをつくる」をコンセプトにデザインディレクターとして新旧のものづくりに異なる視点を付け加える仕事をやってます。花火の打ち上げ師や大学の研究員もしています。

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