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永田 宙郷 JAN 11,2020

ててて商談会の話し〜フェイスブックに書いた雑文の続き


人とモノはどこで出会うだろうか。

大昔はもちろん自分で作るわけだから、素材が自分の手の中で道具に変わり、自らの手の中でモノとして生まれ機能した。次第に作る人と使う人が分業されるようになってからは交換の場がモノとの出会いの場になった。この交換の場が市場になったり、オンラインになったりと時代毎に変わってきたけれど、ずっと続いてその中の傍流のひとつが商談会や見本市というものになった。

もう一度、人は自らの手の中で道具を生み出せとは言えないけれど、誰かの手の内で生まれたモノと丁寧に出会い機会をしっかりと作りたくて、僕は2012年から『ててて見本市』という展示会を主催してきた。僕らが出展基準として扱うのは縁や由縁を大切にし、かつ「中量生産」「適量流通」を目指す品々。少しかみ砕いて説明すると、効率や経済性を優先した作り手の顔の見えないものづくりでもなく、作品や一点物のような再現が不可能であったり希少性で訴える商品でもない。もう少し顔は見えるけど最低限の量産は可能で、それなりにお店を通じても売り買いできるような品々である。その中でも特に地域性や素材感を大切にしたものをメインに取り扱いながら僕らのててて見本市は開催してきた。

お陰さまでここ数年は、毎回4000名近いバイヤーやプレス関係者やものづくり関係者で賑い、他のゆっくり見られる展示会とは裏腹に、狭い会場と狭い通路の左右にいろんな小振りなブースを並べる演出は、予算がないからからの工夫ではあるけれど、まるで神社の縁日の境内のようだと好評を得た。出展者同士にもそれぞれの手の内を少しずつ見せながら共に何ができるかを考えてくれる流れが生まれ、他の展示会とはひと味違う出会いと発見の場になってきたようで、主催メンバーとしてはこの活動をちょっと誇りに思っている。

とは言えども、ここしばらく考え続けていることがある。そもそも見本市は今の時代に必要なのだろうか?という根本的なことだ。

いまモノとの出会いを探すには、いろんな便利な方法がある。売れ筋のものは検索で分かるし、これから来そうなものはSNSをしっかり見ていれば何となく読み解ける。作り手の情報発信も盛んになってきたので直接、連絡をとって会いにもいける。選ぶ方のセンスも重要ではあるけれど、何となくモノを選ぼうと思えば、そのための労力は非常に少なくて済む時代になった。となると、必然的にそれらしい商品が立ち並び、作り手が一方的に伝え、一応のプロだったら誰でも見れる見本市というスタイルはもう要らないかも知れない。(おおかた、実際に必要とされなくなるだろうという確信すらある)

もし、これからも見本市が必要とされるのであればどんな形なのだろうか?それをずっと僕は考えている。何でも見つかるデジタルの効率性と、直接会いにいったりする超アナログな不便さの間にはどんな価値が残されているのだろうか。ほんと、こればかりを考えている。

考えまくった結果に出て来た答えのひとつは、「情報発信ではなく対話の場」ということだった。幾人の考えと同時に向き合え、話し合える場はそうない。オンラインにありがちな一方的な情報発信でもなく、個々との対面では生まれない複数の視座との対話。これがいま展示会という場だからこそ出来ることなのかも知れない。対話が生まれれば、共感や共有が生まれ、その先には「共鳴」と言えばいいのか、作り手と伝え手がそれぞれの立場からそれぞれの個性で響き合うことが出来るかもしれない。

そんなことを考えて、対話を生みたいという思いを表すために『ててて見本市』から『ててて商談会』と名前を変え、そして、幾つかだけれど対話が生まれる仕掛けを会場に忍ばせることにした。

人がモノと出会うだけでなく、その作り手であるヒトとも出会い、共鳴しあえる場になるようにこれからのててて商談会を形にしていこうと思うので、バイヤーやスタイリストの皆さん、もし良かったら2月5〜7日の3日間、スパイラルホールに来て下さい。シャツや器をはじめいろんなものづくりと、それに関わる人達が皆さんとの対話を楽しみに待っています。

入場証の受付はこちらから
https//tetete-show.jp

PROFILE

「ものづくりをつくる」をコンセプトにデザインディレクターとして新旧のものづくりに異なる視点を付け加える仕事をやってます。花火の打ち上げ師や大学の研究員もしています。

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