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吉本 悠佑 AUG 12,2021

【LGBT人権教育】 『おもしろくなき世をおもしろく』


知り合いの高校教師にご依頼を受け、生徒さんらの前で講演させていただきました。テーマは『LGBT人権教育』。その内容を振り返り、書き起こしてみました。
・・・僕でよかったんか?(笑)

~こんにちは。吉本悠佑と申します。
本日は●●先生からのご依頼で『LGBT』について語って欲しいと言われ、ここに立たせていただきました。
ただ僕、「暗い話」がきらいなんです。ですので、今日はなるべく楽しく「当事者としてどんな人生を歩んできたのか」をお話ししたいと思います。

結局、自分の人生をおもしろくするのは自分自身。
この1時間が終わった後、みなさんが少しでも明るい気持ちで家に帰っていただければ、それが僕の目指すゴールです。

ということで本日のタイトル・・・
『おもしろくなき世をおもしろく』

~今日はこの3部構成でお話します。
まずLGBTについて軽く話します(①)が、その後は自分の考えや生き様について話します(②③)。

~さて、いきなり質問?私はどれでしょう?
『L or G or B or T?』→なんか口に出すとラップみたい。

その答えは…

~そう。『どうでもいい』んです。
「そんなこと興味ねーわ」→それでいい。

後で正解はちゃんと言いますが、とりあえず少し『どうでもいい』話をします。

~みなさんもこんなこと聞かれた事あるかもしれません。そしてこれから聞かれることが増えると思います。
——「結婚してるの?」「子供いるの?」「どこ出身?親は?」「いくつ?」「ナニジン?」「Lなの?Gなの?Bなの?Tなの?」——
全て、僕にとっては『どうでもいい』ことです。

もちろん、こういった話をすることがダメと言ってるわけではありません。話の“とっかかり”としてこうした話題から入ったり、流れの中で聞いたり、聞かれたり。そんなことは全然悪い事じゃありません。そこだけは理解しておいてください。
でも・・・

~「それを聞いたところで、何か変わる?」って思うんです。僕はね。あくまで僕の感じ方です。それをここでは『どうでもいいこと』と言いました。

~では、『その人がLかGかB かTか(もしくはヘテロか)なんてどうでもいいこと』と思った瞬間、どうするか?
大切なこと・忘れたくないことは『その人のことをじっと見ること』だと思うんです。
じゃあ『じっと見る』って何よ?

~左下『LGBTだろうかなんだろうがどうでもいい』のと同時に、偏見なく、その人のことをじっと見た時に何が残るか?
それがその人の持つ『キャラ(内面)』や『ストーリー(経験)』。ちょっとダサいけど堪忍してください。雰囲気で掴んでもらえたら。

その人が好きなことやハマってること、その人らしい考え方が『内面』となりその人の『キャラ』となる。
その人が『経験』してきたこと。『歴史』と言ってもいいかもしれません。それがその人だけの『ストーリー』。
それらが人から見たときに「こいつ、おもろい!」と思ってもらえたらイイ。もしくは「おもろそう!」という“期待”だけでもイイ。それが今、世の中に出ている『イイネ』だと思うんですよ。

別に『イイネ』を沢山もらうために生きなくてもいい。ただ、『どうでもいいこと』はさておき、好きなこととか考え方、経験に「イイネ!」って言われたら嬉しいじゃないですか。まったく会ったことのない人からでも。

既にそういう時代に突入していると思います。この中にもそういう振る舞いを自然にしている人もいると思います。何をわかりきったことを、って。
その感覚で僕はいいと思います。「LGBTかどうかなんてどうでもいいケド、お前おもしろそうだからもっと仲良くなりたい!」ってね。

~さて、LGBTの話はここで終わり。
ここからは僕が感じる『生きてくおもしろさ』について。

~こんな人がいたとします。何かのきっかけで話をすることになりました。
「どんなお仕事してはるんですか?」——「実は、料理をしてまして・・・」
さて、どんな料理を作るでしょう? 想像は自由です。

~じゃ~ん。ということで日本料理でした。
これね、僕が作った料理です。さっきの写真、僕です。わかりました? 桜の季節に合わせてピンクにしました。これで四条河原町歩いたら視聴率100パーセント(笑)
それはさておき、器が好きでね。全部私物です。これはジャワ島で買ってきたやつ。これはベトナム。海外旅行も好きでね。あちこちに行っては、器も見たり。それも僕のストーリーのひとつ。あとね……

~そば打ちにもハマってまして。うどんも打ちます。
麺打ち、いいですよ。日本料理ってとてつもなく広い。すき焼きも牛丼もうどんもそばも京料理も全部日本料理。まだまだ知らないことばっかり。

~「ほんとに打ってるの?」と聞かれるので、一応そば打ち風景の写真を。
福島県の会津若松ってところに僕のそば師匠がいるんです。4~5回は会いに行ったかな? もともとは北海道のそば祭りってイベントで見つけて、思い切って声を掛けたのがきっかけ。ナンパです。

~じゃあ料理人になる前は?
ということで私の歴史を、現在から過去にさかのぼっていきます。

~ドイツに家出してました~!
この人、怖そうでしょ!?あんま記憶ないんですけど(笑)ドイツのビール祭りのとき。だいぶ酔っぱらいました。

~タイトルがやばいですよね(笑) あーでも、全部合法です。僕、合法なことしかしないんで、先生方…(チラ見)…ご安心ください。

~日本を出て気付いたんですけどね、日本人ってやっぱりシャイなんですよ。そして周囲の監視がすごい。社会の圧力というか。必要以上に。

例えば今問題になってる「路上飲み」。本来は全然悪い事じゃない。合法。
ただ、「大勢で騒ぐのはよくない」「酔っぱらって道端にゲロを吐くのはよくない」…そんなこと多くの人はわかってる。「ゴミはちゃんと持ち帰りましょう」…小学生でもやってる。「なにがなんでも路上飲みはダメだ」なんて私は全然思いません。

一概には言えませんが、ドイツに限らず外国人って、遊ぶ力がすごい。それがいくつになっても。年齢とか性別とかどうでもいいことは一切関係なく。みんなやりたいことをとことんやってる。合法で、ルールを守れば、堂々と! その当たり前の度胸みたいなものを教わりました。

みなさんは将来、休日に何していいかわからない…そんな「遊ばない大人」には絶対ならないでくださいね。

~じゃあ、ドイツ家出の前は?

~名古屋でサラリーマンしてました。
6年間ほど営業の仕事をしてました。黒髪で。スーツ着て。
この時の貯金をドイツにぜんぶブチ込んだわけです。おかげでスッカラカンになりました(笑)

~ということで、全然違うことをやってきたんですよ。
一人の人が全然違うことをやっている。それが『僕の経験(ストーリー)』なんです。

日本では「一つのことを極めろ」みたいな風潮あるけど、それでもいい。でも、僕みたいな人生もある。別にマネしろとは言いません。「こんな人もいるんだ~」程度に思ってくれたらいいです。

ちなみにチャランポランに見える3つにも、それぞれに『理由』というか『きっかけ』みたいなのがありました。
サラリーマン生活で「もう日本社会、いやっ!」ってなって、世界に出てみた。せっかく行くなら“日本人が少ないところ”がいいなと思ってドイツを選んだ。
ドイツで遊んで、貯金が尽きてきて、「さぁどうしよう!?」ってなった。「せっかくなら次は世界に通用する仕事がしたい」と思って、日本料理の世界へ飛び込んだ。せっかく修行するなら“本場”に行きたかった。それで京都へ。

~振り返ると『人とちょっと違うこと』を選んできた気がします。
人を同じ選択をしたら安心するかもしれないけど、そこには競争相手も多いってこと。だってみんなその道を選んでるんだから。それがのちにしんどくなってフェードアウトする人もいる。
だったら最初っから『人が選ばなそうな道』を選ぶ。そこで精いっぱいやる。楽しむ。
イギリスやアメリカとかの英語圏でなくドイツ。老舗の料亭でなく金髪オッケーの割烹屋。ってね(笑)

周りは反対するかもしれませんよ? 大人ってそういうもんです。「あの子もあそこへ行くから、あなたも行ったら?」って。

でも僕はこうやって『人とちょっと違う』を重ねていくことで、人生がおもしろく仕上がってきたなと思うんです。全ての選択じゃなくてもいい。10のうちの1つでも2つでも。流されずに生きてみてください。

~さて、第三部は『私の生き様』として、僕がいま考えていることについてお話したいと思います。

~現在『フリーランス(自営業)』と書きました。要はなんでも屋です。会社にも行っていない。どこにも属していません。
主な肩書は『和食料理人』と書きましたが『コラムニスト』もやっております。

料理人の方の多くって、高校出て、調理師学校行って、そのあとお店に就職、修行するという道を歩む。高校卒業後に調理師学校行かずにそのまま修行に入る人もいます。でも僕はそうはいかなかった。

全く違う仕事から料理の世界に入った人。英語のしゃべれるシェフ。こういった人も少なからずいます。
だけどいろんなかけ算として、私の場合、『サラリーマン経験があって』×『英語とドイツ語がしゃべれて(海外に住んでて)』×『京都で修行してた』×『料理人さんが』×『なんかコラムも書いてるらしい』=『私』という変わった仕上がりになった。

~仮に『吉本商店』という店があったとしましょう。亭主は私です。いらっしゃいませ~
料理もしてて、コラムも書いてて、それだけでも「アイツ、おもしろそう」と思ってくれたらうれしい。そこに、『+ゲイ』というのが最後に出てくるくらいでいい。別に前面に出す必要ないと思ってます。たまたまその亭主がLGBTだった。それだけのこと。

~これは私の考える『人との関わり方』の図です。「人と違う変わったやつ」がいたとしましょう。

世の中には3パターンの人がいます。変わったやつのことを『①すきな人』『②きらいな人』そして『③どちらでもない人』

① 『すき』の人とは相思相愛を強めるのみ。この矢印を太くするのみです。

② 『きらい』の人の中には「悪口」を言ってきたり、知らないところで「かげぐち」を言う人もいるでしょう。そういう人はシンプルに『無視』したらいい。生きてる世界が違うんだなと、なるべく関わらない。

③ 『どちらでもない』人にはざっくり「(僕のことを知ってて)無関心な人」と「(僕と)まだ出会っていないだけの人」の2種類がいます。こういう人達は基本的に何も危害を加えてこないので放っておいても大丈夫ですが、ここがおもしろいところで、こういう人を自分の世界に『誘うも誘わないも自分次第』。誘ってみたら『①すき』になってくれたら嬉しいし、もちろん『②きらい』になられることもある。

この関係性において、2つ付けた『★』矢印になるべく注力するようにしています。相思相愛矢印と、誘う誘わない矢印。

人のエネルギーってちゃんと限られていて、『きらい』な人にエネルギーを使うくらいなら、なるべく建設的なこと・前向きなことに使いたい。それがこの『★』です。
今、SNSなどで「すき」も「きらい」も出放題の時代になったからこそ、自分が「誰のためにエネルギーを使うか」はとても重要。それは自分を守るためでもある。自分にとっての良き理解者を増やす努力。

人に対してだけじゃなく物事に対してもそう。「苦手なことに取り組む努力」も大切ですが、「好きなことをもっとできるようにする努力(能力を上げたり幅を広げたり)」——そのために自分のエネルギーを使う。これが楽しい。楽しいってハッピー。なるべくハッピーに生きていたいじゃないですか。

~やりたかったらやってみる。そのエネルギーは惜しまない。
少し話を戻せば、『どうでもいいこと』に費やす時間はもったいない。それなら好きなこと・やりたいことに使ってほしい。

応援してくれる人はきっといます。
自分の世界に飛び込んでみてください。

きっと楽しいですよ。

~あとがき~
日本では『どうでもいい』なんて言うと「投げやり」とか「真剣に考えてない」と批判がきそうですが、前向きな『どうでもいい』ってあると思うんです。例えば英語では、何か悩みを打ち明けたとき「It doesn’t matter.(どうでもいいじゃん)」とか「Who cares?(誰がそんなこと気にすんの?)」と言われた(←和訳は僕の感性)ら、それはとてもポジティブなどうでもいい」。『そのままでいいよ』と言われたようで何度救われたことか。
LGBTかどうかなんてどうでもよくて、そっから先の恋愛相談とか結婚できない問題とか、場合によってはケアが必要なこととか、それは「どうでもいいこと」ではないのでちゃんと聞いてあげたいものです。

今回の講演。生徒達にどう伝わったかなんて正直わかりません。
でも、終わった後に職員室でたまたま話した女の子に「何か質問とかなかった?」と聞いたら、「質問はないですけど・・・最後のところ。カレシできてよかったですね」と。
最後に『あ、ちなみに今好きな人はいます。最近彼氏ができたんです』という話をした。それに対して「あれ、キュンとしました。よかったですね」と。
——うん、ありがとう。
それがいい。そういうシンプルなやりとりが、世の中にもっと増えたらいい。

PROFILE

吉本 悠佑 POP-UPイケ麺バー主宰

京都在住『流しの料理人』 Pop-Upイケ麺バーを主宰し各地で手打ちの蕎麦や饂飩を出す傍ら、ライター、金継ぎなどをマルチにこなす。京都の割烹屋・全国の麺処で修業経験有。旅した国は世界40か国近く。大学卒業後、大手の人材会社・広告代理店での営業経験やドイツ在住経験も。gayデス。

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