グレーの可能性/アドオンの精神
グレーの可能性

僕は世の中を三色に分けている。
白。グレー。黒。
ある日、おすぎさんかピーコさんがLGBTを表現するのに「白と黒の間には沢山のグレーがあるのよ」と言っていたのが凄く印象的で、それがずっと心の中に残っていた。
今回はそれを『可能性の話』に展開して、僕の今年の振り返りに繋げたいと思う。
世の中には「白い世界=僕のできる世界」と「グレーの世界=僕のできるかもしれない世界」と「黒い世界=僕のできない世界」で構成されていると思う。
白い世界って実はすごく小さくて、でもそれは確実にあって、そして人を幸せにすることができる。
僕は一昨年に祖父(享年95歳)が亡くなったときに、葬儀場の控え室で悲しみに塞ぎ込んでいる祖母(90歳)に何かできないかと周りを見渡したら、急須と湯飲みと煎茶があった。僕は急須に茶葉を入れ、そしてそこに少し水を入れて(こうすると茶葉へのストレスが減る)、ポットの熱湯を入れた。急須の中でその水温はちょうど80度くらいに成り、1分程で湯飲みに注ぎ入れ、祖母に出す。
気が気じゃなかった祖母も、僕が出したお茶を啜り、そして言う。
『よっちゃんの入れてくれたお茶は美味しいね』と。
これが僕のできる世界。僕の中の白い世界。
黒い世界はといえば言い出せばキリがない。
トランプの暴走を止める。
地球温暖化を阻止する。
シリアの難民を救う。
死んだ人を生き返らせる。
僕一人でそんなことはできるはずがない。黒い世界。一寸先は闇とはこういうことか。
そしてグレーの世界も確実にある。
僕は今年、ポップアップとして「イケ麺バー」という企画をホーム京都で立ち上げた。それ自体も最初は「グレーの世界(=できるかどうかわからない世界)」であったけど、一度やってみた時点でそれは『白い世界』になり、僕に内在した。
そうするとグレーの世界から声が聞こえた。
「大阪でもやってみたら?」
「東京でもやってみなよ。」
それは真っ黒な世界ではなかったし、白い世界でもなかった。でも行ったことも無いエリア。もしかして傷ついてまた白い世界へのこのこと帰ることになるかもしれない。
でも「グレーの中には黒に近いグレーもあるし、白い近いグレーもあるのよ」とも、師は仰っていた。
僕はグレーの世界に飛び込んでみた。そしたらグレーが白くなった。
『よっちゃんが作ってくれた麺は美味しいね』
でも気付くとそこにはまた真っ黒な世界がある。ニュースや新聞なんて見ると真っ黒な世界の話ばかりでげんなりする。でも、そことは違う小さな“色”の変化は僕の中で確実に起きている。
世界は常に動いているし、黒・グレー・白は常にマーブル模様や玉虫色のようにぐるぐるとまぐわっている。師の教えのように『沢山のグレー』があるし、黒はグレーになるし、白だと思っていたことはグレーになったりもする。
グレーの美しさ。グレーの脆さ。グレーの楽しさ。
そんな変化を来年も楽しんで生きていきたい。
「アドオン」の精神

「今年の目標は?」
もう一度聞きたい。
僕は今年初めに「京都で6回(2カ月に1回)は自分だけでポップアップ企画をまわしてみたい」と目標を立てた。それは幸いにも、京都6回+大阪1回+東京1回という形で、回数実績だけでいうと計8回(達成率133%)の実績を残せそうです。(※ホーム京都で年末12月29日・30日の今年最後のポップアップ「年越しそば」を予定しているので、まだ終わってはいないのですが。ぜひお待ちしています!)
こんな達成感に浸らせてくれるなんて僕を取り巻くみなさんには本当に感謝。ありがとうございます。
僕は営業時代はまったく売れなかったのに、そのくせに当時の上司が口をすっぱくして言っていた「教え」は、今でも骨の髄まで沁み込んでいるようで、今となってその「教え」を昔覚えた呪文のように使うなんて自分は本当に“強かな人間”だなと思う。
振り返るとやはり9~10月の動きがよかったと思う。
僕は、人間は本来「怠け者」であって目標なんてものは100%達成できたらよしと思っている、と思っている。そのためには頑張る。けどその先は心の持ちよう。
「大阪どう?」「東京どう?」というお話を頂いていたのがちょうどこの9~10月くらいで、あと3~4カ月で今年が終わる時期。
僕があくせくしたところで“黒い世界”はそんなに変わらないだろうけど、僕が動けば白とグレーの境界線は変わるかなと思った。それは立派な『世界の変化』。幸い僕にはまだ余力があった。だからグレーの世界に飛び込んでみた。
結果として僕は満足いく形で令和元年・フリーランス元年を終えられそうで、今はすごく穏やかな気持ちでいる。涙した日、悔しい日もあったけど、充実した一年とはこういうものだと思うし、師走はこうでありたいと思う。
「いかにアドオンするかや。」
僕は今、水面に顔を出している。
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