嬉野は「日本三大美肌の湯」と謳われる地。温泉好きなだけに、岸田さんの表情は自然と緩んでいるが、温泉と並んで有名なのがお茶。この地で40年ほど前から茶葉の無農薬栽培をしている「太田重喜製茶工場」を訪れると、太田裕介さんが細い山道を車で上った先に広がる茶畑へ、早速連れて行ってくれた。
「茶畑に入ったのは初めてですが、なんとなく平らな場所というイメージだったので、こんな山の上にあるとは意外な光景ですね」と岸田さん。江戸時代には欧米でも高く評価されていたという嬉野茶。最近増えている和紅茶も、太田重喜製茶工場では30年前から製造している。
「緑茶も紅茶も、原料となる茶葉は基本的に同じです。茶葉を蒸したり炒ったりして加熱し、青い状態にとどめておくのが緑茶。それをせずに水分を抜いて揉み込むことで、酸化させたのが紅茶です」(太田さん)
ちなみに紅茶は「発酵茶」と表現されることがあるが、正しくは発酵ではなく酸化。茶葉が紅くなっていく過程が発酵に似ているため、そう呼んだりもするのだとか。
「僕は茶飲みじじいなので、お茶は大概好きなんですけど(笑)、この紅茶は渋みが強すぎなくて、やわらかい感じがいいですね」と笑う岸田さんに、「うちの紅茶は7品種ほどをブレンドしていますが、緑茶用の品種で作っているので、まろやかな味になるんです」と太田さんが答える。
焼き物文化とともに中国から伝来したといわれるのが、茶葉を蒸さずに高温の釜で炒る「釜炒り茶」。近年は生産量が減ってしまったが、嬉野茶のルーツを残したいという思いで、太田さんは生産を続けている。
「たしかに日本の緑茶とはちょっと違う、中国茶っぽい味わいですね。香りもすごくいい。茶畑を見せてもらったから余計にそう思うのかもしれないですけど、どのお茶も自然のにおいを感じます」(岸田さん)
1/有田焼「JICON」の今村肇さん。磁土には好まれない土をあえて使うことで、独特の風合いを出しているだけでなく、限りある資源の有効活用も考えている。
2/今村さんのお子さんが描いたJICONの仕組み。デザイナー・作る人・売る人・宣伝する人がいて、ひとつのブランドになっている。わかりやすい!
3/JICONの工房。
4/有田焼の作家・西隆行さんの工房近くにある公園。有田町の南山地区は、有名な柿右衛門窯など古くから窯元の多いエリア。西さんの工房の裏庭を少し掘っただけでも、陶片や窯道具がごろごろ出てくる。
5/西さんの工房2階には、「型打ち成形」に使うさまざまな型が。
6/嬉野温泉「大村屋」のラウンジにあったレコードコレクションのなかから、くるりのアルバム『ソングライン』を発見!
7/ゆるゆると更けていく、嬉野の夜。
8/居酒屋で新鮮な魚をたらふく食べてからの……焼肉屋。
9/温泉にゆったり浸かってからの……布団へダイヴ。温泉旅館での正しい過ごし方。