【Hoodmart × URBAN RESEARCH】バイヤーやPRチームを虜にする「あのキーホルダー」は何? 「Hoodmart」の正体に迫る
URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)のバイヤーやPRスタッフの腰元、バッグに揺れる、どこかコミカルでエッジの効いたキーホルダー。ファッションギークたちを密かに虜にしているブランド、それが「Hoodmart(フッドマート)」だ。
今回は、URBAN RESEARCH KYOTOでの約1ヶ月に及ぶ長期ポップアップの開催を記念し、ディレクター松坂氏(以下、セイマさん)と、企画を仕掛けたバイヤー興山のスペシャル対談を敢行。
前職での12年間のキャリアを経て、コロナ禍をきっかけに自身の内面と向かい合った結果、「好きなこと」を具現化し始めたというセイマさん。謎に包まれたブランドのルーツから、あのアイコニックなキーホルダー誕生の裏側まで、独自の「コントラスト論」と共に語ってもらった。
「深い意味は全くなくて(笑)」 プロフィールは全部後付け?
興山 Hoodmartについては僕も正直知っちゃっているんですけど(おさらいというか)、改めてネーミングの由来や、どういった経緯で始まったのかを教えていただけますか?
セイマさん 改めて説明したこと、なかったもんね。
前職ではずっとアパレルのブランドに12年間いたんですけど、コロナ禍になってずっと家で仕事をしているときに、一度立ち止まってこれからの人生についてじっくり考える時間があったんです。「2022年くらいに、もう好きなことを全力でやってみようかな」と。おもちゃとか可愛いTシャツとか、自分が本当にコミカルで良いなと思うものをやりたいなと思ったのが始まりですね。
興山 12年働いている間は、自分で何かやりたいっていうのは特になかったんですか?
セイマさん いや、全くなかったですね。ずっとそのブランドに一生いると思っていました。だけどコロナで人に会わなくなって、考えがどんどん内側に向いていったときに、「自分が45歳、50歳になったときも……」って自問自答が増えて。コロナという大きなきっかけがなかったら、確実に前職は辞めてなかったと思います。
興山 ああ、そういうタイミングだったんですね。
セイマさん それで、最初は可愛い古着のTシャツがすごい好きだったから、古着の卸をやっている地元の友達に相談しに行ったんです。「こういうことやりたくて、ちょっと卸してほしい」って。そしたら「いいじゃん、好きにやってみなよ」と言ってくれて。地元(=Hood)の友達に相談して始めたから「Hoodmart(フッドマート)」って名前にしたっていうだけなんですよ。
興山 え、それだけですか!?(笑)
セイマさん そうです(笑)。「地元にあるお土産屋さん」っていうコンセプトは後付けで、正直、地元の友達のところに相談しに行って始めた店だからっていうだけなんです。そこに深い意味は全くなくて、今書いてあるプロフィールも本当のところは全部後付けなんですよね(笑)。
奥さんの「ガチャ詰め」を男の子仕様に。キーホルダーに宿る“コントラスト”
興山 今や僕たちもみんな財布や鍵につけている、あの「キーホルダー」をセットにするスタイル。あれを始めようと思ったきっかけは何だったんですか?
セイマさん 元々キーホルダーを集めるのが好きだったんですけど、セットにするようになったのは2022〜2023年くらいですね。当時、奥さんが「ガチャ詰め」をやりたいって言い出して。
セイマさん 奥さんに「いらないちっちゃいフィギュアある?」って聞かれて、見てみたら「あ、可愛いな」と。でも、あの形状のポーチをバッグにつけるのって、男の人はあんまりしないかもなと思ったんです。これを男の子がつけるならどうするかと考えたときに、「カラビナにつけて、キーチェーンの形状にしたら可愛いかも」と思って手元にあるやつでやり出したのがきっかけですね。
興山 だ からあの絶妙な組み合わせのセットが生まれるわけですね。
セイマさん 同じジャンルとか似たようなキャラでやっても全然面白くないから、自分の中で1つずつテーマをつけて、ちょっと受け狙い半分で楽しみながら始めたんですよね。
興山 僕はあの「オダギリジョー・セット」がめちゃくちゃ好きです(笑)。CMのキャラクターと、仮面ライダークウガがセットになってるやつ。
セイマさん 花沢君(CM)と仮面ライダークウガね(笑)。一見関係ないんですけど、実はどちらもオダギリジョーさんが演じているというテーマがあるっていう。そういうセットを作って、お客さんと「これ実はね……」って話すのが一番楽しかったりするんです。
興山 セットを作るうえで、大事にしているルールやコツはあるんですか?
セイマさん 一番意識するのは「コントラスト」です。これはキーホルダーだけじゃなくて、自分の服装やインテリア、人生においても昔からずっとキーワードにしていて。対極するものが合わさるハイブリッド感や、明暗がはっきりしているコントラスト。人間でいう「ギャップ」みたいなものに人って興味を惹かれると思うんですよね。
キーホルダーは、それを出せば出すほど面白いセットになります。可愛い女の子のキャラの隣に、悪役のえぐいキャラを合わせちゃうとか。
興山 だからあんなに目が留まるんですね。
セイマさん インスタでもよくフィギュアの「3点置き」を提案しているんですけど、あれも延長線上ですね。フィギュア3つじゃなくても、フィギュア2つに花瓶と花でもいい。3点をギュッとまとめる。そこにコントラストがあると、自分だけの面白い世界ができるんですよ。
なぜ京都? スタッフの熱量が成功を決めるポップアップの流儀
興山 Hoodmartは定期的にポップアップをやられていますよね。場所選びや開催頻度で意識していることはありますか?
セイマさん 初年度は月3回くらいやってたんだけど、キーホルダーの制作も物集めもあって「もう月3は無理だな」となりまして(笑)。今は月1〜2回、オフラインのポップアップ1回に対してオンライン1回がベースですね。
あと、「知り合いじゃないところとはやらない」というのはずっと変わってないですね。
興山 たくさんオファーが来ていそうなのに、そこはブレないんですね。
セイマさん 全く知らない方だと、いいバイブスが生まれるかわからないですからね。今までの中で成功しているポップアップって、共通して「現場のスタッフの人の熱量がめちゃくちゃ高い」んです。スタッフ自身が楽しんでくれているポップアップが一番盛り上がります。だから、かおる君がいる店舗でやる、という方が熱量が生まれやすい気がしています。
興山 嬉しいです。今回、僕のわがままで約1ヶ月という長めの期間をやらせてもらうことになりました。
セイマさん 期間が短いと行けない人も多いもんね。今回は全部置きっぱなしにするんじゃなくて、期間中に3回、4回来ても内容が変わって見えるように、新しい商品を投入しようと色々考えています。京都店で初めて販売開始する雑貨や、キッズアイテム、初出しのアイテムも仕込んでるから楽しんでもらいたいですね。
謎の看板娘「macoちゃん」の正体。人が立たないエンタメの世界
興山 Hoodmartといえば、アイコンキャラクターの「maco(マコ)ちゃん」ですよね。アイテムのバリエーションも増えていますが、彼女はいつ、どうやって誕生したんですか?
セイマさん 立ち上げ当初、最初からキャラクターを作るというのは決めていました。未確認生命体にするか、動物モチーフにするか、人間か……ディグりまくって「この人に書いてもらいたい!」というイラストレーターさんを見つけて、思いを伝えて生まれたのがmacoちゃんです。
興山 なぜそこまでキャラクターを立てることにこだわったんですか?
セイマさん かおる君はプライベートの僕を知ってるけど、世間的にはHoodmartって「誰がやってるかよくわからない店」だと思うんですよね。それは、あえてそうしているんです。
興山 匿名性、ということですか?
セイマさん 格好つけてるわけじゃなくて、ブランドが長く続くことを考えたとき、生身の人間が立っていると、例えば「60歳のおじさんがやってる店」になったときに20代、30代の人がちょっと行きづらくなっちゃうかもしれない。でも、macoちゃんがやってるお店なら、何年続いても年齢も雰囲気も変わらないでしょ?
興山 ああ! それこそ「ひとつの完成された世界観」として、キャラクターそのものを楽しんでもらうシステムだ。
セイマさん そう、徹底してエンタメっぽく見せたくて、僕は裏方に徹する立ち上げ当初からの作戦です。ちなみに、なんで「macoちゃん」かっていうと、「Hoodmart」の文字の並びを名前っぽくしたら「ふどう まこ」になったからなんです(笑)。
興山 ふどう まこ!(笑)
セイマさん でも「不動(ふどう)まこ」だとめちゃくちゃ強そうだから、苗字は抜いて、アルファベットもmakoよりmacoの方が柔らかくて可愛いから「macoちゃん」になったんです。Hoodmartのイメージカラーの青い髪にしてね。
今回の京都店では、macoちゃんがずっと一緒に寝てたというコンセプトのキャラ「フーディ君」のぬいぐるみキーホルダーも初めて販売開始します。
興山 フーディ君、めちゃくちゃ可愛いですよね! すでにファンが多そう。
セイマさん そう、元々はね、僕が書いた落書きから始まったんですよね。最近はフーディだけのファンでキーホルダーも見ないし、まこちゃんも見ないけど、フーディをすごい求めてくる方もいるから、フーディもなんか人気者になりそうな予感です!
20年前のクローゼットから引っ張り出した「ダサ格好いい」地元着
興山 そして今回、別注として作っていただいたウェアは「Hoodwear(フッドウェア)」のスウェットとボーダーTシャツ。これもかなりこだわりが詰まってますよね。
セイマさん Hoodwearは、直訳すると「地元着」。地元で着る服というよりは、「実家のクローゼットに眠ってた服」がコンセプトです。
興山 クローゼットに眠ってた服、ですか?
セイマさん 例えば実家に帰ったとき、地元の友達に飲みに誘われたとする。でも着る服がないから、昔の自分の部屋のクローゼットを漁って「あ、もうこれしかないから、これでいいや」って着てみたら……「うわ、なんか今の気分にめっちゃ合うわ!」っていう、あのテンションを目指してるんです。
僕が今37歳だから、15〜19歳くらいのときに着ていた服を、20年ぶりに今着るようなイメージですね。
興山 だからこのボーダーも、どこか懐かしいピッチなんですね。
セイマさん そうです。今流行りのマルチボーダーじゃなくて、僕が中高生の頃にみんなTシャツの下に着てショーツと合わせてたような、ちょっとスケーターっぽい、ヨーロッパの子供みたいなピッチにあえてしてるんです。
別注のスウェットも、ダメージを入れているんだけど、よくあるボロボロの古着加工じゃなくて、リアルな「引っ掛け傷」や「虫食い」をイメージした穴にしてるんです(笑)。使っていくと、その人の生活に合わせてちょっとずつ広がっていくような感じですね。
興山 ネットとかだと、パッと見の良さが全盛の今の時代に、そのストーリーはめちゃくちゃニッチで最高です。
セイマさん 正直、ネットだとめちゃくちゃ売りづらいと思います(笑)。アーバンリサーチのたくさんあるブランドの中にポンと置いても、全然目立たないし売れない。でも、Hoodmartの世界観とこの「クローゼットに眠ってる服」っていうコンセプトを説明して、やっと理解してもらえる。今の服の売り方とは真逆をいきたかったんですよね。服自体にキャラクター性は全然ないから、着る人次第です。
興山 今回、僕の要望で半袖スウェットにしてもらったんですけど、めちゃくちゃいい感じに仕上がってますね!
セイマさん 最初、かおる君と中橋さん(DOORS バイヤー)が提案してきたのって、もっと小洒落たデザインだったじゃん? 僕、それ止めましたもんね。「そんなお洒落な切り返しはいらない!」って(笑)。
興山 止められましたね(笑)。
興山 京都店のスタッフがどう着こなすか楽しみです。期間中はセイマさん自らシルクスクリーンの刷り作業もやってくれるんですよね?
セイマさん やりますよ! 今回は新デザインのロゴを2つ用意してるから、がっつりやろうかなと。スウェットやボーダーTに、自分でシルクスクリーンを刷る体験もしてもらえます!
興山 自分だけの1着が作れるの、めちゃくちゃワクワクします!
セイマさん お勧めは、シンプルな「HOOD」のロゴ。それを入れるのが一番可愛いです。バランスを見て、楽しんでほしいですね。
興山 僕もじゃあ、今回は「HOOD」ロゴでマイ・スエットを作ります! 本当に実家にありそうな、あの絶妙なインダストリアル感というか、ちょっと懐かしいバランスを楽しんでほしいですよね。
セイマさん そういう感覚のアイテムにして欲しいなと思います! 本当にお洒落に仕上げすぎないのがお勧めです。
Hoodmartの奥にある、どこまでもブレない「自分が本当に好きなこと」を貫く熱量。
一見コミカルでありながら、緻密なコントラスト論と時代の一歩先を見据えた戦略から生まれるアイテムたちは、私たちが忘れかけていたファッションやカルチャーの純粋な「楽しさ」を思い出させてくれる。
ネットの画面越しでは決して伝わりきらない、そのリアルなバイブスと「クローゼットに眠る服」のストーリー。ぜひURBAN RESEARCH KYOTOに足を運んでみてほしい。

Hoodmart
2022年にスタートした、架空の「地元のお土産屋さん」をコンセプトにするセレクトショップ。ディレクターのセイマ氏が描く脳内を具現化し、異色なキャラ同士を合わせる「コントラスト」の効いたキーホルダーセットがバイヤーやPRチームの間で話題に。看板娘の「maco(マコ)ちゃん」や「フーディ君」といったキャラクターを前面に立て、近年は地元着をイメージしたアパレルライン「Hoodwear」も展開するなど、独自のエンタメ世界を発信し続けている。
Instagram @ hoodmart

アーバンリサーチ バイヤー 興山(おきやま)
URBAN RESEARCH KYOTOのスタッフ/バイヤー。ストリートからヴィンテージ、独自のニッチなカルチャーまで、独自のフィルターを通したお洒落で遊び心のあるスタイリングが、感度の高いファッションギークたちから支持を集める。今回の「Hoodmart」との長期ポップアップを熱量高く仕掛けた発起人であり、プライベートでもディレクターのセイマ氏と親交が深い
Instagram @ kor_1217
Hoodmart POP UP SHOP
【開催期間】
2026年6月13日(土)〜7月7日(日)
【開催店舗】
URBAN RESEARCH KYOTO 2階
〒604-8082 京都府京都市中京区寺町通円福寺前町285
営業時間:平日12:00~20:00 / 土日祝 11:00 〜 20:00
6月13日(土)、14日(日)には松坂氏が在店。
Hoodmart関連アイテムをご購入の方にシルクスクリーンのサービスを実施予定。
URBAN RESEARCH KYOTO
Instagram @ urbanresearch_kyoto




















