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FASHION OCT 28,2021

Mizuno / URBAN RESEARCH DOORS
スポーツとカジュアルのおいしい関係性

革新的な製品を次々と発表する、大阪を、いや日本を代表するスポーツメーカー・Mizuno。あらゆるジャンルのスポーツ用品を手がけているのは周知の事実だが、スポーツ以外にもアパレルブランドとのコラボレーションでも多くのファッション狂を喜ばせてきた。そしてこの冬、URBAN RESEARCH DOORSとの新たなタッグで生み出すダウンジャケットが発売する。大阪・茶屋町にあるMIZUNO OSAKA CHAYAMACHIにお邪魔し、今回のプロジェクトチームであるMizunoの山本晋司氏、大西杏奈氏とURBAN RESEARCH DOORSの細川正人の3名に制作秘話を聞いてきました。


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

左から、URBAN RESEARCH DOORS 細川正人、Mizuno 山本晋司氏、大西杏奈氏

新しいことがやりたい。っていう思いから始まりましたね(細川)

URBAN RESEARCH MEDIA(以下、URM) 今回のMizunoとURBAN RESEARCH DOORSがコラボレーションしたきっかけを教えていただけますか?

URBAN RESEARCH DOORS 細川正人(以下、細川) 元々は、僕が今までやったことのないような取り組みをしてみたいなというところから始まったんですけど。その時にやっぱり打ち出すのであればアウターとかのほうが良いのかなというところから考えていまして。それで、ダウンをするとしたらスポーツブランドの機能やパターンなどを盛り込みつつ、カジュアルなダウンアイテムなどできたら絶対に面白いだろうなっていうところからスタートしました。それで、生地屋さんの方にMizunoさんを繋げてもらえないですかねって相談していたら、ちょうど展示会があるタイミングでお邪魔しました。その時、山本さんに1つ1つ丁寧に説明していただいて。そこで紹介していただいた生地も納得できるものだったので、是非ともやらせていただきたいという流れになりました。

Mizuno 山本晋司氏(以下、山本) Mizunoにはあらゆるスポーツのカテゴリーの製品があるのですが、その中でライフスタイルとしてスポーツウエアの機能を使ったアパレルというカテゴリーをやっていまして。その展示会に来てくださって。

細川 衝撃的でした。今回のダウンもそうですけど、いろんなオリジナルの機能素材が多数あって、一つ一つの機能面は申し分無いのですが、その複数の機能素材を組み合わせるのが凄い上手で流石だなって。テンションが上がりました(笑)

山本 やはりスポーツメーカーなので、いろんな選手をサポートするウエアであるとか、そういったものを開発しているので。きっちりと品質保証の部分で、エビデンスをとってしっかり機能性を謳っていかないといけないんですが、こういった機能があるだろうとエビデンス無しに伝えてしまって、それが実際に機能が無かったとなればMizunoとしての信頼を落とす一番の要因になるので、それは絶対にダメということで。そういう意味でも機能素材、設計というのはしっかりシーンで使ってもらえるものを目指して作っています。

URM アパレルラインはいつから始められているんですか?

Mizuno 大西杏奈氏(以下、大西) ライフスタイルアパレルとして始めたのは2017年からになりますね。最初は、Mizunoの直営店だけで展開していたものなのですけれども、そこから他のブランドさんやアウトドアショップさんなどで展開してもらえるようになりました。

URM セレクトショップとのコラボレーションは初めてですか?

山本 弊社もライフスタイル向きのアプローチはずっとやっていまして。Highland Parkの時代があったり、それぞれの編成の中でセレクトショップさんとの取り組みは今までもあったんですよ。それこそ、今回のGo to by mizunoになってからは初めてですね。

細川 Highland Parkはうちも仕入れさせてもらっていました。

大西 Highland Parkは、セレクトショップの方に今でも復活しないの? とか言われることは結構ありますね。

細川 是非(笑)

URM お互いにどんなイメージをお持ちでしたか?

細川 帰宅部の僕でも超有名なスポーツブランドという認識です。特に生地に特化しているイメージがありました。僕自体、企画の中で生地が一番好きなので、やらせてもらえたらと思っていました。

大西 URBAN RESEARCHさんってたくさんのブランドが展開されているっていうのはもちろん知っていたのですけど、その中でもURBAN RESEARCH DOORSさんっていうのは、男性女性問わず幅広い層の方に着てもらえるような服を展開しているイメージだったので。Mizunoでしたら、やっぱりスポーツをしている人とかスポーツをしていた人というところにしか接点が無かったんですけど、そこが狭くなっちゃうところをURBAN RESEARCH DOORSさんと一緒にできると、より多くの人にファッションとしてのMizunoを知ってもらえるきっかけにはなると思います。あとは、アウトドアブランドさんとの面白いコラボをたくさんやられているのも拝見していたので、もしMizunoと組ませていただいたなら、どういう面白いものが一緒にできるかなっていうのは個人的に楽しみではありました。

細川 だ、だ、だ、大丈夫ですか? 今回のは? すごいハードルが上がってきているんですけど(笑)

大西 いやいやいやいや(笑)。今まで見てきた他のブランドさんとのコラボも、どれもしっかりとしたコンセプトがあって作りたいものが明確だったんで。また違うものが今回一緒にできるのかなと思っていました。

細川 そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。

山本 URBAN RESEARCH DOORSさんっていうのは、アウトドアとの関連性が変わらず深くて、他のアウトドアブランドさんの仕入れをずっと続けているなと感じていまして。元々あったMIZUNO OUTDOORとの融合で進めているGo to by mizunoというのがあり、今回、採用していただいた素材もアウトドアの中から生まれてきたものです。そういう機能性を伝えるには、URBAN RESEARCH DOORSさんがターゲットにしているお客さんとの親和性は凄い高いんじゃないかなっていうのはありましたね。

URM URBAN RESEARCH DOORSでは、お客さんに機能性とかを詳しく説明するのですか?

細川 そうですね、ここ1、2年では機能性に対して聞かれることが多いですね。

大西 細川さんと打ち合わせをさせてもらってた時も、店頭で機能が体感できるものや方法とかないですかね? って相談してもらって。できる限り一緒にさせてもらう予定です。それがお客さんにしっかり伝わるような取り組みになれば、私たちとしてはありがとうございます! って感じですね。

細川 いえいえ、こちらこそです。

お互いの基準を尊重しながら新たなものづくりができたと思います(山本)

URM 今回のダウンジャケットを作成するにあたって、こだわった点を教えてください。

細川 まず1つ目は、展示会でも素材に関しては凄い! という印象でしたが、Mizunoさんの中でのカジュアルラインはURBAN RESEARCH DOORSのフィルターを通すとまだまだスポーティーに感じてしまうというのが正直なところだったんですよ。それで、スポーティーな要素は残しながら、いかにカジュアルにミックスされたものが作れるかなというところから商品開発は始まりました。今回は、Mizunoさんのインラインであるミドルウェイトダウンをベースに形を変更させていただきました。元々はフードが取り外しできない仕様だったのを取り外し可能な仕様にしスタンドカラーにしました。そうすることで、トレンド感のある着こなしや、防寒性を重視したシーンにも対応できるので、タウンウェアからアウトドアシーンまで幅広い用途で着用いただけると思います。

細川 2つ目は、ポケットの位置とサイズをこだわりました。どうしても街で着るってなると、僕も含めてなんですけど男性の方ってカバンとか持たなかったりするのでポケットがあると便利だなと思い。大容量に変更し、内側にもポケットを付けました。あとは、全体的にダウン量を増やしながら、URBAN RESEARCH DOORSで主軸となる、テーパードパンツに合わせやすいようにシルエットバランスを調整しました。

URM Mizunoさん側からは何か要望はありましたか?

山本 普段着の中でどこまでアウトドアで必要とされる素材を体感していただけるか、というのは難しいところなのですけど。このジャケットには、[GORE-TEX INFINIUM]それとMizunoの独自素材[ブレスサーモ]と[リフレクションギア]を搭載していまして。アウトドアって非日常の環境の中で身体を守ってくれるという設計を目指してものづくりをしているのですが、その非日常の中で身体を守るウエアは日常の中でもきっと快適であろうと思い。その機能性を担保するために設計基準はMizunoの中であるので、それもしっかり搭載してもらったものになりました。

細川 いろいろ対応していただきまして、好き勝手させてもらったなと思います(笑)

山本 出来上がったサンプルはMizunoの品質設計の検査があるのですけど、そこでかなり指摘されました。どうしてもスポーツ基準で見がちな部分がありまして。それで、ダメだと言われたことを通すためにいろいろやり取りをしましたね(笑)

URM それでは、先ほど山本さんの話にも出てきた素材について教えてください。

山本 それでは[GORE-TEX INFINIUM]からお話しします。水は通さないけど湿気は通すという防水透湿素材というのがあるんですけど、その中でも[GORE-TEX]は防水性、透湿性が非常に高い素材でして。[GORE-TEX INFINIUM]は、風を防ぎながら湿気を外に出すという快適性を追求した素材になります。

山本 それに対してMizunoの[ブレスサーモ]と[リフレクションギア]というものは保温素材になります。まず、[ブレスサーモ]っていうのは、1994年にあった世界的な大会のスキーのナショナルチームに提供するウエアに使ったものでして、湿気を吸ってそれを熱エネルギーに変えて発熱する素材です。詳しく説明しますと、1つの物質が動くことでエネルギーが他に分散します。綿であれば水を吸収して膨らむことでエネルギーを分散するのに対し、[ブレスサーモ]は水を吸っても膨らまないで、行き場を失った運動エネルギーが熱エネルギーに変わるという仕組みです。水だけでなく、体内から出ている水蒸気状の汗や衣服内の湿気を吸って発熱するのが特徴です。他の発熱素材とは違い、持続性があります。

山本 次に[リフレクションギア]というのは、薄い芯地にアルミニウム薄膜を特殊コーティングしたものになります。これの発想は、アウトドアグッズにあるエマジェンシーシートなんです。それを被ることで身体から出ている熱を反射して保温する効果があります。それを輻射熱効果というんですけど、そのシートをウエアの中に入れてしまえばそれだけで単純に温かいだろうなという考えです。この3つの素材はそれぞれの効果を高め合う、非常に相性の良い組み合わせになります。

URM 凄い。なるほどですね。

細川 こんな感じで展示会でも説明していただいて、これはやるしかないってなりますよね(笑)

URM はい(笑)。非常に勉強になりました。

山本 [ブレスサーモ]に関しては、体感キットを販売店に置かせていただいて一般ユーザーさんにも訴求していた時期があったんですけど。ここ最近は限定してやっていたのですが、今回、URBAN RESEARCH DOORSさんでやっていただけるみたいで。そこは非常にありがたいと思っています。

細川 はい。展示会で体感してから店頭でもやりたいと考えていました。

URM 楽しみです。次に、カラー展開はどういう経緯で決まったのですか?

細川 カラーに関しては、Mizunoさんはブルーのイメージがあり全体的にパキッとしたカラーがインラインでは多かったので、あえて差別化するためにニュアンスっぽいグレイッシュなカラーを選びました。ブラックはインラインでもある同じ色を使わせていただきました。表地で使わせてもらった[GORE-TEX INFINIUM]はマットでしっとりした質感だったので、ニュアンスカラーがマッチしたと思っています。色味的にもトープやアンバーのようなオレンジ系はトレンドの傾向的にも良いので。あまりパンツやシャツなどには使いにくい色なので、今回はダウンで採用しました。

大西 Mizunoでもこういった色を展開したことはあるのですけど、その時は光沢のある素材で使ったことがありまして。このマットな素材でこの色というのはMizunoでは無かったですね。こういった見え方になるのだって、ちゃんとカジュアルになるのだって。素材と色の選び方っていうのが、やっぱり流石だなって思いました。個人的にはこのトープっぽい色が好きです。

将来的には生地から一緒に取り組めたら素敵だなと思います(細川)

URM 今後、ブランドとして考えていることや今回のコラボレーションをきっかけに新たにチャレンジしたいことなどあれば教えてください。

細川 今回はダウンジャケットをやらせていただきましたが、今後はもうちょっとカテゴリーを広げていろんなアイテムをやらせていただきたいなと思っているのが1つ。それと、これはいつか実現できれば良いなと思っていることなのですけど、生地を一緒に開発できないかなと。僕自身がどちらかと言えば、生地メインで企画をすることが多いので。でも、機能性に関しては疎い分野だったので、今回凄い勉強させてもらったなというのがあります。そういったところから取り組めたら素敵だなと思います。これはあくまでも僕の希望です(笑)

山本 アパレルメーカーさんで一社、そういうお話はあったんですよ。ハードルは高いんですが、それをやったほうが本来のコラボレーションの意味が出るというか。どうしても、自社開発した生地はMizunoで販売するものなのでスポーツ目線の仕上がりになるんですが、それが売り場が変わると求められる素材感も変わってくるので。一から素材を供給していくってことは今のMizunoでできないことだなと思う部分ではあります。そこは、私もトライしたいなって思いますね。

細川 それが会社で通るように頑張ります!!!

山本 それとMizunoには、スポーツ、アウトドアで培われた機能素材がたくさんあるので、その中からURBAN RESEARCH DOORSさんの企画に対して響くようなものを発見していただいて、また面白いものができれば良いですね。

Profile

山本晋司 Mizuno アパレル企画
スキー企画からアウトドア企画を経て、2018年よりライフスタイルアパレル企画を担当。ゴルフとフットサルが趣味のアクティブ派。

大西杏奈 Mizuno アパレルマーケティング
女性向けのヨガウエアのプロモーション担当を経て、ライフスタイルアパレルのマーケティング&プロモーションを担当。趣味はバスケ観戦。

細川正人 URBAN RESEARCH DOORS 企画
生産管理アシスタントを経て、メンズウエア企画を担当。アウターからパンツ、靴下など全カテゴリーに携わる。趣味はアニメ、ゲーム、漫画。

商品情報

Mizuno ダウンジャケット for DOORS
品番:DR17-17H709
価格:¥39,600 (税込)
カラー:Orange / Taupe / Black
サイズ:M / L / XL ※WEB限定
発売予定時期:2021年12月中旬、現在オンラインストアで予約受付中

Mizuno
1906年、水野利八が弟利三と大阪で「水野兄弟商会」を創業。長年にわたり、スポーツ振興に力を注ぎ、小さなスポーツ大会から国際大会にいたるまで幅広く協力。世界屈指の総合スポーツ用品メーカーとして、国内外から高い評価を受けている。

> 公式ウェブサイト
> Go to by mizuno

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