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FASHION OCT 27,2023

【Barbour × STILL BY HAND for DOORS】DOORS 20周年を記念し誕生した、3社コラボ「TRANSPORT」の魅力を語る

URBAN RESEARCH DOORS(以下、DOORS)20周年記念アイテムに、またひとつ豪華なコラボアイテムが登場します。DOORSと英国の老舗ブランド・Barbour(バブアー)、そしてDOORSと縁が深いドメスティックブランド・STILL BY HAND(スティルバイハンド)の3社により、名品「TRANSPORT(トランスポート)」を大胆アレンジ! さらに、“ニュー・トランスポート”と一緒にこの冬着たくなる別注のニットとパンツもリリースが決定しました。気になるプロジェクトの全貌を知るべく、アーバンリサーチ ドアーズ バイヤー・陳内寛之と、今回のトリプルコラボのディレクションをお願いした、スティルバイハンドのデザイナー柳優介さんに、密なコミュニケーションの中で突き詰めたこだわりやアイテムの魅力について聞きました。


左から、スティルバイハンドのデザイナー柳優介さん、アーバンリサーチ ドアーズ バイヤー・陳内寛之

名品をどういじるか、いじらないかがキモ。

— 陳内さんがDOORS20周年のアイテムを作る上で、大切にしていることは?

陳内 ブランドの20周年の節目にあたり、シーズンに渡って長年お付き合いさせていただいているブランドと、別注にとどまらない、より特別なアイテムを作りたいという思いが強いですね。あくまでDOORSのフィルターを通しながら、一緒にアレンジして世界観を作っていただけるブランドやデザイナーさんにご依頼しています。そして今回、スティルバイハンドの柳(優介)さんにご協力をお願いして、バブアーのトリプルコラボが実現しました。

— 柳さんが今回の20周年記念コラボの話をもらったときの感想を教えてください。

 こんなことを言うのもなんですが、自分のブランドを精魂込めて作ることに徹していて、個人的に自分は別注がそれほど得意な方ではないかなと(笑)。ですが、長年お世話になっているDOORSさんの大きな節目で、私が何かお役に立てるのであればぜひ、という気持ちでコラボに参加させていただきました。

陳内 バブアーさんは、これまでも別注をさせていただいている大切なブランドで、20周年を機に特別なアイテムを作りたいと考えていました。そして、今回の企画にあたって、一人のデザイナーさんの独自の感覚でバブアーを俯瞰に見ていただいてアレンジをしてほしいと思ったんです。これまでのスティルバイハンドのコレクションを見ていた自分としては、ぜひ柳さんの感性と視点をお借りしたいとご相談しました。

 自分にもなじみのあるバブアーさんとともに、さらにディレクターの立場で企画に入るのであれば、自己満足的なプロダクトにならないようにしないとな、と。DOORSさんの多くのお客様に喜んでいただけるように、陳内さんとお話を重ねて進めていきましたね。

— 今回「トランスポート」をベースにアレンジしていこうと決めた理由は何ですか?

陳内 「トランスポート」は、定番モデルの「ビデイル」に比べて着丈が短く、身幅があってシルエットが今の気分にぴったりで。

 昨今のトレンドだとロング丈よりもショート丈のほうが良さそうですよね、ビデイルも色んなコラボでよく見かけますよね、みたいな普通の日常会話からモデルを絞っていきました。

陳内 選定はわりとお互いの感覚で決めていった感じがありました。私からのご相談としては、スティルバイハンドのアイテムで印象に残っているスタンドカラーや中綿を使ったアレンジ、他は色の構成など最低限のリクエストをさせていただき、そのほかは概ねお任せしました。

 スタンドカラーも、本国生産の「トランスポート」のアーカイブにある仕様だと教えてもらったんです。枠組みとなる外観を、無理にアーカイブにない形へ大きく作り変えてしまうのは、別注として文脈がないなと思っていたので、「それはいいですね」と。陳内さんが古着をすごく好きなことも知っているので、自分にないエッセンスをもらいながら、デザインを構築していって。

陳内 この後、細かいアレンジもお話ししますが、柳さんのそのバランス感覚に脱帽しまして・・・。

 作り手としては、伝統のある名品を「どういじるか」「どういじらないのか」という塩梅を考えました。見た目やシルエットに関して言えば、襟に加え、着丈を少し長くしました。さらに、この見た目やディテールのバランスに合わせて、スナップボタンを小さくしています。

陳内 ボタンひとつで、スティルバイハンドさんの服を見たときに感じる、ミニマムなムードがプラスされる。改めて柳さんが、いかに商品を俯瞰で見て、どうしたらすてきになるかという目線で考えていることがわかりました。

 実は、スナップボタンをアレンジしているものはあまりない感じがしていて。

陳内 はい、それによって全体のバランスがさらに良くなりましたよね。着丈を長くした点に関しても、例えば普段Mサイズを好んで着ている方は「トランスポート」は着丈の短いモデルなだけに36ではなく、ワンサイズ上の38を選ぶ方も多いのかなと思うんです。でも、今回の“ニュー・トランスポート”では本来の36をそのまま選んでいただいても問題ないバランス感に仕上げています。

モデル名をより体現する機能性をプラス。

— 細かい差ですが、印象がぐっと変わりますね。さらに裏のディテールについても掘り下げていきたいのですが、柳さんが今回のアレンジで意識したことや着想源についてお聞きしてもいいでしょうか。

 ベースにするアイテムが「トランスポート」に決まったのが約一年前で、国内外の行き来がしやすくなった空気が戻ってきた時期でした。僕ら自身も、2017年からパリとニューヨークで展示会やっていたというのもあり、再び現地に行く機会が増えるだろうと思っていたんです。そんなタイミングで、「トランスポート」と私たち現代のトランスポーター、つまり国内外を移動する人や旅行者が結びついて、改めて「トランスポート」というモデル名に立ち返って発想していきました。

陳内 トランスポート本来の意味を深掘りしていったんですね。

 そうですね。自分のスティルバイハンドでは、アイテムにモデル名をつけていないので、そこにデザインする意味を見出すことってないんです。ただコラボ企画のディレクションをするならば、モノとしてのわかりやすさを付与した方がいいと考えて陳内さんに相談しました。個人的に、「トランスポート」という名前だけど、表にはポケットが2個しかないので、より“トランスポートっぽく”したいなと思ったり。

陳内 「確かに!」と思わされた、すごく新鮮な提案でした。

— 生地も変更されていますね。

 生地は、伝統的なオイルドクロスを参考にしながら、撥水性と微光沢の質感を取り入れた現代版を採用しましょうという話になって、私としては天然素材を使いたかったので探し回りました(笑)。結果、撥水加工を施したコットンギャバジンを選びました。海外で卸をしていて、現地のセールス担当によく聞かれるのが、「このアウターは撥水性がありますか」という質問。イギリス人はまず傘を差さないし、そんな本国のムードも入れられたらと考えて。

— 今回、色の展開はセージ、ブラック、ネイビーの3色。「オイルドクロスを参考にしながら」とのことですが、別生地ながらかなり近い色味です。

 セージの色の再現はかなりリテイクを重ねました。陳内さんの要望のハードルが高くて・・・(笑)。

陳内 本当にお手数をおかけしました・・・(笑)。バブアーといえばオイルドのセージの色をイメージする人が多いと思います。あの深い色味のセージはオイルドクロス特有の色ですが、どうしても使いたかったんです。そのために、柳さんには何度も染色にこだわっていただいて・・・。行き過ぎると緑が明るくなって安っぽく見えますし、逆に暗い色味を狙いすぎると緑味がなくなってしまうので、すごく難しい塩梅で成り立っている色なんですよね。

 セージの色のチューニングが、今回いちばん難しかった作業かもしれません。セージという色はもともと淡い色で、バブアーさんのセージはいわゆるオリジナルの色の生地にオイルを染み込ませた結果表現されているカラー。その色を最初から別の生地で表現しようという試みは、確かに大変でしたが面白かったです。

陳内 展開する3つの色に合わせて、裏地は本国のオイルドモデルと同じ配色のチェック柄をそれぞれ使っています。防寒性を高めるためにシンサレートの中綿入りのキルティングを採用しているのですが、チェック柄のバランスを崩さないように縦のピッチで中綿を配置してくださっていて。また、ベストなシルエットを考えて、アームには中綿を入れず、本来のすっきりした見た目をキープしていただきました。

 やっぱり陳内さんのバブアーさんへのリスペクトも大事にしたいですから。

陳内 ありがとうございます。スタンドカラーは立てても折っても着られるように、セージの裏地はブラウン、ブラックとネイビーは同色のコーデュロイ仕様にしています。同様に、袖口の裏にもコーデュロイを施していて、折り返してニュアンスをつけることもできます。また、ジップもセージはゴールド、ネイビーとブラックはシルバーと、それぞれのオリジナルカラーにリスペクトを抱きつつ、重厚感や洗練された顔立ちを引き立てる配色で選びました。

— 原型を生かしたアレンジとして、内側の裾のナイロン部分に施したツールポケットが斬新、かつ新鮮です。

 これもトランスポートからの発想で、内ポケットを充実させたのは日本人っぽいディテールですよね。バブアーは本国で昔から作業着として着る服でもあってか、チェック柄の裏地の裾がナイロンで切り替えられている作りが多いんです。その見慣れたデザインをそのままに、実はポケットになっているという方がブランドらしさを生かせると思ったんです。

陳内 機能的にもファッション的にも理にかなっていますね。

 最近は大きい財布を持っている人を見なくなりましたし、キャッシュレス支払いによって携帯する現金も減っていって、服にいくつかポケットがあれば手ぶらで出掛けられますよね。あと、海外旅行をする時にセキュリティ面で、内ポケットがあると便利。口にニットテープやドローコードをつけることで、入れた小物も落ちづらくしています。

陳内 ちゃんと王道を守りながら、気が利いた編集をしていただいているところがさすがです。

バブアーと相性抜群のコラボアイテムも登場!

陳内 今回、「トランスポート」のリリースに合わせて、DOORSとスティルバイハンドとのコラボアイテムも発表します。本企画の「トランスポート」とのマッチングを想定したニットとパンツを3色ずつ展開予定です。

 今回の「トランスポート」のデザインや生地やカラバリが決まったタイミングで、一緒に着られるようなアイテムを作れませんかという相談をいただきました。発売時期の気候に合わせつつ、スティルバイハンドのスタイル感の中で、この「トランスポート」に合わせることをイメージして、ウール系のニットとパンツに決めました。

— ニットを作る上でこだわった点は?

 トラディショナルでバブアーさんが持っているイメージ、例えばアルチザナルで、特に男の人が好む武骨さにシンクロさせるというより、もう少し柔和な空気感を持つスティルバイハンドとの橋渡しをしてくれて、かつ英国らしい要素を感じられるものを意識しました。素材はシェットランドよりは、タスマニアンやラムの柔らかいタイプを使って、例えば「エクリュ」ならエクリュとベージュとブラウンといった3色のメランジの撚糸で編んでトラッドっぽい印象を出したり。どこかに懐かしさを感じながら、でも実際こういう商品ってないというバランスを探りながら作りました。

陳内 柔らかい着心地と詰まったリブのネックはすごく着やすい。エクリュの他にチャコール、ブルーネイビーをラインナップしています。カラーはどれもエクスクルーシブで、セージの「トランスポート」にはエクリュ、ブラックにはチャコール、ネイビーにはブルーネイビーを合わせていただく想定です。もちろん他の組み合わせでも違和感なくお召しいただけますが。

— パンツもモダンなデザインですね。

 パンツもデザインの考え方は、基本的にニットと同じ。少しストレッチが効いたサキソニー生地(起毛感のある柔らかいウール生地)で上品な印象ですが、裾を絞れるテーパードシルエットでスウェットパンツのようなイージータイプ。こういう素材感であまり作らないデザインにするというアプローチで仕立てています。

陳内 クラシカルな雰囲気のトップスと合わせると、ぐっとモダンな着こなしになります。膝にダーツが入っていて、裾のドローコードを絞ることでシルエットもアレンジ可能。一見かっちりした印象だけど、抜け感のあるスタイリングにもできる。ちなみに、セージの「トランスポート」にはチャコール、ブラックにはブラック、ネイビーにはネイビーを想定しており、ニットと合わせて大人っぽい上品なワントーンスタイルを作れるんです。

 パンツはしかもウォッシャブルでシワになりづらい特徴も。私が出張や旅行でいちばん悩むことって、パンツ選びなんです。展示会に参加したり、誰かと食事に行ったりすることを考えると、シチュエーションに合わせてパンツのバリエーションを用意しないといけない。そんな私の裏テーマとして(笑)、裾を絞らなければ、ジャケットと革靴を合わせてトラットリアには行けるぐらいのドレッシーな見た目を作れるなと。

陳内 イージーパンツですが、生地も上品なのでそういったシチュエーションも全然問題なさそうですね。

 もちろん、旅先で散歩したり、レンタサイクルを借りて街を巡ったりする時には、ボリュームのあるスニーカーを合わせてもいい。

陳内 着る人をアクティブにしてくれる、まさにトランスポーターにぴったりのアイテムたちですよね。

別注 STILL BY HAND×DOORS 20th 7Gサドルスリーブプルオーバー

別注 STILL BY HAND×DOORS 20th Wo/Pu イージーパンツ

【コラボアイテムの3つの着こなしサンプル】

Barbour×STILL BY HAND for DOORS 20th TRANSPORT(セージ) / 着用サイズ:36
×
STILL BY HAND for DOORS ニット(エクリュ) / 着用サイズ:48
×
STILL BY HAND for DOORS パンツ(チャコール) / 着用サイズ:48

Barbour×STILL BY HAND for DOORS 20th TRANSPORT(ブラック) / 着用サイズ:38
×
STILL BY HAND for DOORS ニット(チャコール) / 着用サイズ:48
×
STILL BY HAND for DOORS パンツ(ブラック) / 着用サイズ:48

Barbour×STILL BY HAND for DOORS 20th TRANSPORT(ネイビー) / 着用サイズ:40
×
STILL BY HAND for DOORS ニット(ブルーネイビー) / 着用サイズ:48
×
STILL BY HAND for DOORS パンツ(ネイビー) / 着用サイズ:48

Barbour×STILL BY HAND for DOORS 20th TRANSPORT

価格:¥53,900 (税込)
サイズ:36 / 38 / 40
カラー:SAGE / NAVY / BLACK
発売日:2023年11月3日(金・祝)

Barbourの名品でもある「TRANSPORT(トランスポート)」をベースにしたアイテム。従来のモデルよりも着丈を少し伸ばし、裏地はシンサレートの中綿入りのキルティング仕様にすることで軽さと防寒性を兼ね備えています。襟はSTILL BY HANDらしさのあるスタンドカラー仕様で襟裏と袖裏にはコーデュロイを使用しているので折り返してもアクセントになります。表地には上質で毛羽の少ないコンパクト糸を縦横両方に使い、限界まで打ち込んだ コットンギャバジンに撥水加工を施した素材を使用しました。内側にはツールポケットを装備し収納力にも、撥水性、保温性にも優れたまさにトランスポーターのためのトランスポートジャケットに仕上がっています。たっぷりとしたサイジングも相まってトレンド感溢れる一着です。

Text:Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y)

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