外部サイトへ移動します
FASHION DEC 05,2023

【WILD THINGS × EKAL】 4年目に突入した人気の別注アイテム「モンスターパーカー」を要チェック!

アウトドアと街をつなぐアイテムを展開するブランド「EKAL(エカル)」と、優れた機能&デザイン性で街を席巻するアウトドアブランド「WILD THINGS(ワイルドシングス)」。両者の4度目となるコラボレーションアイテムがこの冬に登場します。今季はコラボのたびに高い人気を誇る「モンスターパーカー」の1型に絞った別注が実現。その詳細を深掘りすべく、EKALの商品MDである坂上法之と、初回より別注を担当されているワイルドシングスの企画チームの宮本悠平さんに、コラボに至った経緯から別注アイテムのポイントまでを聞いてみました。


左からワイルドシングス企画チーム・宮本悠平さん、EKAL商品MD・坂上法之

今年も実現したEKAL別注の「モンスターパーカー」

— 「WILD THINGS×EKAL」のコラボは今年で4年目となります。別注が始まったそもそもの経緯を教えてください。

坂上 EKALは2019年のA/Wシーズンに長野県・蓼科にある「TINY GARDEN 蓼科」という施設を背景にしたブランドとしてスタート。そのため僕らとしては、非常に寒い土地である蓼科でも耐えうるような、軽量で防寒性に優れた機能的な服を作りたかったんです。

そこでスタートの翌年、ポーラテックであったりプリマロフトのような素材を用いた服作りを追及されているワイルドシングスさんにご相談したのがきっかけです。

宮本 ワイルドシングスの方向性としても、タウンユースのほうがどちらかというとメイン。別注のお話をいただいたとき、EKALさんの掲げているブランドの方向性「アウトドアと街をつなぐ」をお聞きし、これは理にかなってるコラボなのかなと思いました。

坂上 ワイルドシングスさんはすでに世界観を確立されているブランドなので、お力添えをいただき、何か一緒に取り組んでいけないか、という提案からのスタートでしたね。そこから約7ヶ月かけて最初の別注が完成したんです。

宮本 もともとインラインのモンスターパーカーはメンズのみの展開。レディースを作っていなくて。2021年のA/Wに初めてレディースをローンチしたんですね。
その展示会にEKALのみなさんがいらっしゃり、メンズを含めたレディースを見ていただき、別注アイテムを作る運びとなりました。

— 2021年からモンスターパーカーのみの別注でしょうか?

坂上 いえ、ポーラテックのプルオーバーなども展開していました。パンツも含めて上下のセットアップとアウターなど、多いときは3型。今回のA/Wに関してのみ、モンスターパーカー1型のオーダーです。

— それはモンスターパーカーが特に人気があり、このアイテムの別注に注力していこうという意図なのでしょうか?

坂上 そうですね。僕たちとしても、まずアウターとしてここまで完成されたものはないと思っています。そのため「お客様にしっかりといいものを届けたい」と考えたうえで、モンスターパーカーに絞ったような形ですね。

あとは以前のシーズンに関しては、フリースのアイテムなどいろいろと試しながらやっていた部分もあり、ワイルドシングスさんにお力添えをいただいて初めて成立したアイテムが多かったんですけど、そこから「自分たちで何か別のことはできないか」という模索のなかで、今回は1型に絞らせていただいたという背景があります。

別注のたびに変化するディテールが見どころ。

— 今シーズンの別注では、どんな部分にこだわったのでしょうか?

宮本 まずインラインについては、元来のベースモデルに倣って、メンズの前立てはベルクロで留めるんですね。ただし、レディースは別。ベルクロだとニットにくっついたりするのがタウンユースのなかで使いにくいという女性の意見も多く、ドットボタンにしました。そのあたりもEKALさんとのコラボに受け継がれています。袖口もレディースを踏襲し、インナーカフス仕様で防寒性をアップさせています。

坂上 実は本来のモデルに近いものを作りたく、それまで別注でドットボタンだったフロントを2022年シーズンはベルクロに戻したんです。ただ、実際に製品化して展開してみるとEKALのユーザーからドットボタンのほうがいいという声が挙がりまして。それで再度、今季はボタンに軌道修正し、別注させていただいています。

宮本 なので、今シーズンのインラインも、レディースはドットボタン。さらにいえばファスナーのスライダーもレディースはずっとリングタイプなので、EKALさんもそれを踏襲されていますね。

— いろいろと試行錯誤されているんですね。

坂上 ええ。ただ試行錯誤というか、「これがいい」と思うものを僕たちが継続させてもらっている感じですね。たとえばドットボタンやインナーカフスなどのディテールは、レディースの形をメンズに流用したというよりは、女性でも着やすい機能を随所に採用したというイメージです。

宮本 EKALさん別注にある袖部分のタックも、インラインのメンズにはなし。このあたりも、レディースのアーカイブから引き継いだディテールですね。

坂上 EKALのユーザーにはユニセックスで着用してもらいたいので、サイズはS、M、Lのスリーサイズ展開。最近は女性のオーバーサイジングでの着こなしもよく見受けられますよ。

— そのほか、これまでの取り組みで試したポイントは?

宮本 そうですね・・・。2022年A/Wからフードをなくしました。そういう意味では、回を重ねるごとに洗練され、ミニマルなデザインになってきているのかな?

坂上 そうですね。モンスターパーカーは丸みのあるシルエットなので、もう少しスッキリさせたらいいのに、と個人的に思っていたんです。だからいっそのこと、フードをとってしまおうと。

EKALがテーマに掲げるように、街にもなじんで、アウトドアフィールドのなかでもしっくりハマる。そこを目指したときに、なるべく余計なデザイン性を削ぎ落とす、という作業をさせてもらいました。

もともとモンスターパーカーはレベル7(※)で、レイヤリングの一番外側に着用するアイテム。デザイン的に要素が多かったので、少しミニマルな路線にシフトチェンジしたイメージですね。

(※)PCU(Protective Combat Uniform)のレイヤリングシステムにおける最高段階を表すレベル7

— 去年と比較で言うと、どのあたりが異なっていますか?

坂上 先ほどお伝えしたフロント部分のドットボタンもそうですし、細かいところだと、前たての幅を2cmほど細くしました。これは結構、印象が変わるんじゃないかな。

坂上 あとはもっと細かい部分で、これまで裾部分のストッパーのゴムは1つの穴に通していたのですが、2つの穴に通す方式にしました。こちらの方が絞りやすいですし、簡単にシルエットを作り出すことができます。

宮本 あとインラインにない仕様という意味では、首の内側。起毛したあて布を配して、保温性をアップさせました。ボリュームのあるスタンド襟も、防寒性の向上と綺麗なシルエットを演出するのに一役買ってくれますね。

— インラインにないというお話が出ましたが、着丈の長さもインラインのものとずいぶん違いますね。

宮本 そうですね。インラインの着丈はEKALさん別注のものよりもかなり長いです。昔に比べると気温の下がる季節が後ろ倒しになったこともあり、長丈よりも短丈のアウターが増えてきていますよね。そういう意味でEKALさん別注の丈感は本来のモンスターパーカーに比べると短いんですが、デザイン的にミニマルで、ユニセックスでも着られる雰囲気があり、上手に”引き算”をされているな、という印象です。

坂上 元来の男らしいイメージよりは、もう少しデザインを削ぎ落としたミニマルな雰囲気を目指しました。女性でも男性でもゆったり綺麗に着られるコクーンシルエットが特徴かと。着丈をやや短めに、袖は肩幅をコンパクトにしたラグランスリーブ仕様になっていて、インラインとはまた違ったシルエットが楽しめます。

僕たちが運営する「TINY GARDEN 蓼科」という場所に行く際にイメージできるのが、車移動。たとえばそのタイミングで長い着丈のものはあまり着ないという想定のもと、短丈のようなディテールを採用しています。

— TINY GARDEN 蓼科のようなアウトドアシーンでの着用を意識されているということですよね?

坂上 ええ。ただ、実際に蓼科のマイナス10°Cの環境下でアウターとして着用する人はあまりいないと思います。それでも敷地内には「キャビン」と呼ばれる外で宿泊ができる部屋があり、たとえばそこから温泉までの道中などで羽織ってもらったり・・・。そういった想定は可能ですね。

あとは、スキーやスノボへ向かう中間地点としてTINY GARDEN 蓼科を使われるお客様もいるので、車に乗るまでの間とか。実際にスキーをするタイミングというよりかは、ポイントごとの軽量アウターとして使っていただくのが理想かと。自宅でも洗えるので、汚れても問題ないですし。撥水性も備えています。

宮本 そのへんのスペックはやっぱり安心できますよね。

坂上 あとは、腰位置にあるポケットはサイズも大きくダブルジップで、アウトドアフィールドで着用した場合に使いやすく、ポケットから小物が落ちる心配もありません。

— 今季のカラーも別注でしょうか?

坂上 はい。インラインにはない2つのニュアンスカラーです。カーキグリーンとチャコール。

宮本 いい色ですよね。カラーもそうなんですが、EKALさんは別注の当初からずっと同じ表地を使っていただいていて。そこは変えていないんです。実は今、もうインラインでこの生地は使っていないんですけどね。

坂上 別注カラーはシーズンごとに、ユーザーから反響があった色を継続しています。

今後もユーザーの求める別注を生み出していければ。

— 今回の別注で特に意識した点はありますか?

宮本 EKALさんのユーザーに手にとっていただくための別注なので、彼らがどういったものを望んでいるかという点をヒアリングし、「じゃこういうのはどうですか」とか「逆にそれはいらないのでは?」など、そういった提案をするような関わり方をさせてもらいました。

坂上 ベンチレーションとかはまさにそうですね。ユーザーから「それって必要なんですか?」というご意見をいただきまして。もちろん機能的な意味はあるんですが、デザインとして削ってみるのもありなのかなと思い、宮本さんに相談させていただきましたね。

手にとってもらった人から「こうしてほしい」とか「前のほうがよかった」などのお声をいただくことがあるので、なるべく意見を汲み取って反映することは意識しています。

— アウトドアシーンにおけるリアルな声はどういった形で集めていますか?

坂上 実際、蓼科でEKALのショップを運営しているので、そこにお越しいただくお客様の声もあります。もちろんそれだけではなく全国の店舗で取り扱っていますので、スタッフの反応を聞いてみたり。僕自身も蓼科のショップに立つことがあるので、そこでヒアリングすることもありますよ。

— もし次の別注があるとすれば、今後やりたいことはありますか?

坂上 今季のアイテムがリリースされたばかりで、今の段階ではベストな状態なので、特になしかと(笑)。

宮本 毎年お声がけをいただくということは、EKALさんのユーザーに一定数響いているものがあると思うんです。なのでアイテムをより幅広く展開するという意味では、別注を始めた頃のように、フリースやインナー、パンツなどもまた手掛けられたら嬉しいですね。

坂上 確かに。アウター以外にも、レイヤードできるアイテムをこちらから提案してみるのもいいかもしれませんね。

▼アイテム詳細

別注 WILDTHINGS×EKAL モンスターパーカー
価格:¥55,000 (税込)
サイズ:S / M / L
カラー:チャコール / カーキグリーン
発売日:2023年11月中旬

米軍特殊部隊で採用されている「PCU LEVEL7」を元型とする、ワイルドシングスのモンスターパーカー。その名作に別注をかけて誕生した今回のアイテムは、元来のスペックを踏襲しつつも、ミニマルな雰囲気をまとった一品に仕上がりました。タウンユースでもアウトドアユースでもマルチに活躍する1着なので、ぜひお手にとってみてください。

Edit & Text/Kotaro Tsuji

page top