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LIFE STYLE&BEAUTY NOV 04,2020

<URBAN RESEARCH DOORS × PAPERSKY> 日本のつくり手 “陶芸家 佐々木康弘”

URBAN RESEARCH DOORSが共感し取り組みを続けるメディア “PAPERSKY”。
「地上で読む機内誌」をコンセプトに、世界各地の自然や文化、暮らしのなかから生まれるストーリーを伝えるPAPERSKYとDOORSが、その土地に根ざしたつくり手を共に紹介する企画 “CRAFTSMAN SERIES”。
今回はDOORSも繋がりが深い栃木県の芳賀郡を訪問した。


栃木県芳賀郡、その中でも焼き物の里として有名な益子町の、その隣に位置する茂木町の山の中で佐々木康弘さんは作陶に励んでいる。

益子の焼き物学校で基礎を学んだという佐々木さんはその後小さな工房を構えて陶芸の道に入った。

2台のガス窯。下には色々試してきたのがわかる試作品たち。

工房の外にはガス窯が2台並び、左側の貫禄がある窯は、ここの自宅兼工房に越してきた際に元の住人から譲り受けた窯だそう。
陶芸が根付くこの土地ならではのお下がりだ。

佐々木さん曰く、いただきものの古い窯の方が火入れが早いらしい。
きっと長年積み重ねた職人技のように、窯にも経験による個性がしっかり出るのだろう。

早速工房の中にお邪魔すると、次の個展への出荷を待つ出来たての器たちがずらりと並び、器好きな撮影班はよだれを隠すのに必死になる…。

せっかくだからマグカップを作る工程を見せてくれるという。

まず最初に作るもののサイズごとに陶土を練り出して準備。
そこからろくろで成形していくのだが、さっきまでただの塊だった土が次々とカップの形になっていく。

取っ手が魔法のように付いていく様も見ていて気持ちが良い。

器を作るまでにたくさんの工程がある中、佐々木さん自身も好きな工程の一つと言っていた“鎬(しのぎ)”※ を削る工程。
小気味良いリズムで均一に削られていく小さな音が工房に響く。

※鎬(しのぎ)とは…日本の伝統的な陶芸技法のひとつ。ヘラやカンナなどの道具を使い、素地の表面を削って作る稜線文様の装飾のこと。 立体的に削り出した鎬文に釉薬をかけることで、色の濃淡が生まれて独特の味わい深い表情になります。

最初から最後まで自分で完結できる仕事を

佐々木さんの器が形作られる工房内のろくろ場

佐々木さんは、最初から陶芸家になろうと考えたわけではなく、“最初から最後”までをすべて自分で完結できる、そんな仕事がしたいと考えたそう。
その上で陶芸は理想的だったようだ。

単調な作業も飽きない性格で、むしろ性に合う。
焼き物学校卒業後に弟子入りや製陶所に入る者も多い中、“続けていけばなんとかなるだろう” という考えで作陶がスタートしたという。

釉彩プレートに色を載せていく工程。
パズルのような柄にスポイトのようなもので釉薬を載せていく。

益子焼をつくるということ

柿釉、糠白釉、青磁釉、並白釉、本黒釉薬といった益子伝統の釉薬と地元の土を使う佐々木さん。
益子の伝統を守りながらも、色んな手法を組み合わせたり新しいことに挑戦し続けている。

益子の伝統釉を使用した掛け分けの様子。
壁には大事な手書きメモと飛び散った釉薬が味を出す。

若い頃は焦りなどもあったそうだが自分に出来ることはとにかく手を動かすこと、試行錯誤し色んなことを試してその結果を次の作品に繋げていくことが大事だと信じてきたそう。

「益子焼と呼べるものをつくりたいと思っています。気負いなく使えるものがいい」

益子焼らしいぽってりしたフォルムにモダンな配色。
佐々木さんのうつわには益子の伝統と風土が確かに宿っていた。

PROFILE

佐々木康弘

1981年秋田県角館町生まれ。
2006年益子窯業指導所修了、築窯独立。
2012年栃木県茂木町にて制作

Instagram @ rokuroboys

〜Special Movie〜
URBAN RESEARCH DOORS “CRAFTSMAN SERIES” 陶芸家 佐々木康弘

PAPERSKY #63
KYUSHU|Kyushu’s National Parks
大地の恵みをいただきに 九州の国立公園へ

2020年10月30日(金) 発売
HP:https://papersky.jp/

CRAFTSMAN SERIESとは?

私たちはPAPERSKYの取り組みに賛同すると共に、PAPERSKY誌面にて、その土地に根ざしたモノづくりを続ける職人の方々を“日本のつくり手”としてクローズアップし、職人の方々の作品とモノづくりに対する情熱を伝えています。

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