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LIFE STYLE&BEAUTY JUN 04,2021

THE GOODLAND MAGAZINE Vol.02 MONOEARTH

2021年4月、『アーバンリサーチ 堀江店』内に常設オープンした<THE GOODLAND MARKET(ザ グッドランド マーケット)>。新しい取り組みを行うブランドやプロダクトをセレクトしています。そんなGOODなブランドを、にいやん編集部がグイグイ深堀りしていくTHE GOODLAND MAGAZINE。第2回目の今回は、<MONOEARTH(モノアース)>をピックアップ。代表の渡邊さんにアレコレ聞いてみました。サステナブルやエシカルについてのお話です。


実用的で環境にGOOD! 合理的でポジティブなエシカルブランド。

さっそくですが、<モノアース>というブランド名の由来は…?

モノがひとつでアースが地球。地球にひとつ、これだけあればいい、というものを作ろうって意味があります。生活雑貨、日用品を作っています。

一番最初に作ったプロダクトはフレグランスのディフューザーとシャンプー・コンディショナー

かっこいいですね。はじめられたきっかけは何だったんでしょう?

もともと会社を作った当初は相方の田中と2人で、お客様からオーダーを受けて生活雑貨をつくるという企画開発の会社だったんです。今のようなブランドになったのは、日本人のものづくりを海外で展開したいという思いを持っていたことと、あるお客様からインドフェアをしたいという要望を受けて、インドを10日間ほど回ったのがきっかけでした。

インドですか。

はい。カルカッタからダージリンへ行って、何十種類も紅茶を味見したりとか(笑)、デリー近郊の縫製や、インドファブリックの工房を回ったり…アーユルヴェーダの聖地で施述を受けて、顔にゴマ油を垂らしてもらったり、南インドのイスラム教徒の人たちが住んでる地域で牛革のなめしや工場を見たりと、とにかくインドのものづくりを見て回りました。
その時に知り合ったのが、スパイス&ハーブ会社のガネサン・ソーマサンカールさん(僕らはソーマサンと呼んでます)で。彼が紹介してくれたのが「モリンガ」だったんです。

モリンガの木(タイ東部・サケオ県)。ぶら下がった実(ドラムスティック)は1m以上にもなる

モリンガは<モノアース>のプロダクトにも使われてますよね。

その時、モリンガから採ったオイルと葉っぱを粉砕したパウダーをもらって、使ってみるとこれが良くて、日本に持ち帰って相方に見せました。それで、内外の文献とかいろいろ調べてみたらやっぱりすごくいいってなって。モリンガって、2018年のアメリカのトップスーパーフードに選ばれているのに未だに日本に入ってきてないんですよ。これは僕が思うに、日本人がインド人との商売がうまくないからじゃないかなと。僕、最初に勤めた会社の時ドバイで60人ぐらいのインド人の部下と働いて苦労したので、インド人たちのクセとか特性をわかってるんです(笑)。信用できるインド人ってこういう人って。ソーマサンはあまりに人が良すぎる、インド人に騙されるインド人(笑)。この人は信用できるインド人だなと確信して(笑)、彼からモリンガを買って一緒に商売したいなと思いました。

モリンガオイルを使ったアイテムはほぼフルラインナップで揃う

モリンガがブランド立ち上げのきっかけだったんですね。

はい。タイとカンボジアの国境の畑と南インド・エロードの畑、どちらも移動にすごく時間がかかる場所なんですが、2人で実際に行って畑の農家の人たちにいろいろ話を聞いて、循環農法で有機栽培であることを確かめました。

南インド・エロードの畑と、タイ・サケオ県農場のみなさん(右から2番目がソーマさん)

タイとかインドの農家の人って貧しいけれど本当に素朴なんです。手も土で本当に真っ黒だし、歯も欠けちゃってるし、でもみんな笑顔で。

彼らの元には、キャッシュバックを条件に化学薬品(農薬や化学肥料)を勧めてくるメーカーがよく来るそうです。一度化学薬品を使った土地は有機栽培の畑に戻すのに10年くらいかかるから、使いたくない。でも栽培するものが売れなければやっていけない…。僕たちは、そんな彼らの畑から採れるモリンガを使わせてもらって、日本でモリンガの市場を作るから有機栽培を続けてほしいと約束しました。

モリンガって食べることもできるんですか?

もちろんできます! モリンガの葉っぱはパウダーにして健康食品として食べたり、オイルは肌に塗ったり、食べることもできます。モリンガ自体栄養価が高くて、地球上の食べられる植物の中で最も栄養価が高いと言われています。基本的にモリンガって砂漠みたいな環境で育つんです。しかも、1本の木に、1日1滴の水でOK。栄養価も高いし年間8回くらい収穫できるので、国連食糧農業機関から発展途上国へモリンガの栽培が推奨されているほどです。

天日干ししたモリンガリーフ

へー! それはすごい。味ってどんな感じなんですか!?

えっと、味はまさに抹茶(笑)。ちょっと青みがあって。オイルはミネラルが豊富で、ミネラルが多いと旨み成分も多いので、サラダにそのままかけて食べるだけでめちゃくちゃおいしいです。ただ、高価になってしまうので、まだ食用オイル含め、食品は開発中です。

2018年にモリンガに出会って、翌年からプロダクトを販売されたと。

はい。モリンガを広めたいというのがきっかけで、それを美容プロダクトに落とし込んでいこうと進めていき、翌年2019年8月には銀座三越でポップアップとして初めて販売をスタートすることができました。

初めての販売はどうでした?

環境に優しいとか人に優しいとか、当時はそういうマーケットは日本では小さいだろうなと思ってたんです。台湾なんかはエシカルの意識がすごく高くて、日本は遅れてるって思ってたんですけど。そしたら「こういうのって今まで海外で買ってたんです、でも日本にこんなブランドがあるんだったら絶対リピートしたい!」っていう声が多くて。実際販売してみたら、ちゃんとユーザーがいて、そういうものがないから海外で買ってたんだ、みんな買い物難民状態だったんだってわかりました。

それから今ではこれだけのラインナップに。

はい。誘われるがままにポップアップを年間80カ所とかやりました(笑)。最初の頃は僕と田中2人で店頭に立って、このアイテムってこんなものが入っててってこういう農家さんたちがっていうのを自分たちで説明して。

2人で…!

でも、そうやって自分たちが立ってポップアップを続けていく中で、お客さんのあんなものほしいこんなものほしいっていう直の声を聞いていってアイテム展開が増えていったんです。ポップアップをしていく中で、日本のメーカーさんとのつながりもできて。トレーサビリティ(生産者や過程が追跡できる)や消費されるだけじゃないものづくりを、というマインドを共有して、どんどん仲間を増やし、ラインナップを増やしていきました。

ちなみに、一番最初に作った商品は何ですか?

フレグランスのディフューザーとシャンプー・コンディショナーです。シャンプー・コンディショナーはモリンガオイル配合。モリンガオイルには何種類もの脂肪酸が含まれていて、オレイン酸は肌馴染みが良く保湿力がある脂肪酸。ベヘン酸はモリンガ特有の脂肪酸で、天然の乳化剤と呼ばれてて、肌の水分に馴染むんです。いわゆる保湿タイプで、シャンプーはしっとりと洗い上がります。

最近はハンドクリームも人気なんですよね!

はい、まさにモリンガオイルの良さを活かして作ったのがハンドクリームで、ベタつかずスマホに指紋がつきにくい。1分もしないうちに肌に馴染んじゃいます。これもお客様の要望からできた商品です。

ビタミンEがアルガンオイルの約1.5倍あり抗酸化作用も期待できるそう
(ビタミンE量は、α-トコフェロール換算)

<ザ グッドランド マーケット>との出会いは?

<ザ グッドランド マーケット>さんが、僕らのこのスタンスを見つけてくれたんですよね。サステナブルとかエシカルって、どうしても大きな会社がするにはキレイごとだけじゃすまないし、難しいことを知ってるだけに、この取り組みってすごいなって思います。僕らも応援したくなるし、まさに永く付き合えるパートナーになれたらと思います。

そもそもエシカル、サステナブルってどういうことでしょう。

僕らがスタートした時って、まだエシカルっていう言葉がまだ日本にはなかったんです。サステナブルって持続可能な社会に貢献するっていう意味で、どちらかというと天然資源を使って循環させようっていうのが主で、そこに人間にもいいっていうニュアンスがないんです。僕らはやっぱりサステナブルなだけじゃなくて、人にも良くて関わる消費者がそれを続けていけるっていうのが大事だなって思うんです。

環境にいいけど人がすごく我慢して使ってるブランドって…そういうのはやりたくない(笑)。「なんかこれかっこいいし、使いやすいし、でも地球環境にも人にもいいんだって!」みたいなこと。ヨーロッパの友達がそういうのがエシカルって言うんだよって教えてくれて。

誰も意味わからないだろうなって思いながら、1年半前からエシカルブランドって名乗ってます。でも最近エシカルって言葉も定着してきてて…もしかして広めたかな…!?(笑)

おおっ!(笑) そもそも、渡邊さん自体がエシカルな意識を持ったきっかけってあったりするんでしょうか?

26歳から仕事で中国に住んでたんです。で、僕アトピー性皮膚炎で、喘息持ちで、アレルギー体質で、中国で水で顔が荒れちゃったり、食べ物が悪くてのたうちまわったり、本当死ぬんじゃないかっていうくらい(笑)。当時90年代半ばの中国ではいかに危ない中で生きていくかっていう処世術というか、そういう生き残りの必死さがあって、人のことや地球のことを全然考えられない環境で、そのうち世界中がうまいこと中国で商売を始めちゃって……。でも相変わらず人のことも地球のことも考えず…。なんかこれじゃないよなって途中で思ったんです。これって結局何かになったかなって。

なるほど。ご自身の経験があったからこそなんですね。
ところで、常設は<ザ グッドランド マーケット>が初めてですよね?

はい。実は<モノアース>のファンが一番多いのは大阪なんです。人にも良くて環境にも良いものが堀江にいけばあるらしいっていう、HOTな場所になればいいなって思います。日用品を、中身もルックスも良いから買うっていう、ファッションを買う感覚で接してもらうっていうのが<ザ グッドランド マーケット>から発信できたらな、そういう人たちが集まる場所になればいいなって思います。

ちなみに新商品って何か構想中だったりするんでしょうか?

もちろん(笑)。これもお客様からの声なんですが、モリンガのフェイスパックシートとかいろいろ企画してます。

確かに女性だけじゃなく男性もほしいです。手軽に使えますし。あと、大きな洗剤とか。ほら、ボトルってすぐゴミになっちゃうじゃないですか。

ぜひ、いち消費者としてどんどんリクエスト出してください(笑)。なんか今までの経験で、必要とされてないものって90%OFFにしても誰も買ってくれないんです。あー、ゴミ作っちゃったってすごい罪悪感があって。それだったら、にいやんが言ってくれたみたいな「これほしい!」っていう意見ってめっちゃ重要だと思うんです。なのでこういうのがほしいってのがあったら、どんどん言ってください(笑)

遠慮なく言います!(笑)

僕らが実際やってきて思うのは、ユーザーの素朴な意見って、技術革新のヒントだと思うんです。これからも、顔が見えるものづくりを心がけていきたいです。それこそ<ザ グッドランド マーケット>でポロっと言ったことが商品になるかもしれないですから。

渡邊庸介
モノアース代表
26歳から大手メーカーの中国支社で働くなど、海外での豊富な勤務経験を持つ。消費社会の大量生産・大量廃棄のサイクルに疑問を持ち、2018年に共同代表の田中さんと<モノアース>を設立。
「最後にもう一度モリンガを推しときます(笑)。本当に“スーパーフード”の一言で片付けられない奇跡の木なので、ぜひ試してみてください!」
> Website
Instagram @ monoearth_lifestyle_design

一部アイテムはアーバンリサーチ オンラインストアでも取り扱いがございます。

PROFILE

にいやん編集部

THE GOODLAND MAGAZINEを発行するにいやん編集部。にいやん編集長は常にGOODLANDを担うブランドやアイテムを探し求めている。その中でも今一番HOTなTHE GOODLAND MARKETのスクープを狙い、365日24時間、情熱を燃やし続けている。
※将来発刊を目指す架空の雑誌

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