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FASHION JAN 18,2021

<SDR通信Plus④>誰もが穿けるデニムを作ろう!
UR テラス発、ユニバーサルデザインデニム “any+easy denim pants”


株式会社アーバンリサーチ(以下、UR社)は、現在SDGs(持続可能な開発目標)に関連する取り組みを積極的に推進しております。その取り組み内容の紹介の場として始まった社内報<SDR通信>。
本来ならお見せすることのない社内報ですが、その中から皆様に広く知っていただきたい内容を、メディアサイト独自目線を加えた記事<SDR通信Plus>として不定期連載しています。

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テーマ4 「誰もが持っているものだからこそ、誰もが穿きやすいデニムを作ろう。ユニバーサルデザインデニムができるまで」

今では誰もが1本は持っている「デニムパンツ」。
デザインも豊富で、細身のものからワイドなもの、ショート丈にロング丈。様々な形のデニムパンツが登場しています。

ですが“誰もが持っている”のに、それが“誰もが穿きやすい”ものとは限らないのが現状でした。例えば硬くて留めづらいボタン。歩きにくいシルエット。困るのは身体に障がいがある人だけではありません。例えばひどく寒い日にかじかんだり怪我などで手や指に力の入らない時、膝や腰を痛めた時などに穿き辛さを感じたことはないでしょうか?

誰もが持っているアイテムだからこそ、“誰もが穿きやすい”デニムパンツがあったら素敵ですよね。

今回は義足スタッフの「かっこいいジーンズが穿きたい」という声から生まれた、誰でも、どこでも、いつでも楽に穿けるという意味を持つユニバーサルデザインのデニムパンツ“any+easy denim pants”をご紹介いたします。

デニムパンツを作成したのはUR社の子会社である株式会社UR テラス

障がい者雇用の推進と拡大を目的に設立されました。業務をマニュアル化したりフロアをバリアフリー化するなどして、働きやすい環境づくりを提供しています。働くスタッフによれば、とても穏やかで時には賑やかで楽しく、流れるラジオを聴きながら働ける、とても雰囲気の良いオフィスだそう。業務面でも常に新しいことに挑戦できる環境なので、それぞれの得意な分野の仕事をしたり、相談して新しいことを始める人も多いそうです。

誰もが穿ける、かっこいいデニムパンツ作りにチャレンジ!

今回は、ユニバーサルデニムパンツの発案・開発者であるUR テラスの木曽将士さんと、共に商品開発に携わった吉原夕香子さんに約1年半に渡ったという開発秘話や、デザインの特徴を聞きました。

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

左:木曽将士さん(UR テラス)、右:吉原夕香子さん(UR テラス)

木曽 UR テラスが設立するときに、アパレルの子会社として何かユニバーサルデザインの商品を開発しようとなったんです。アイテムを何にするか、となった時に義足の僕の「義足の特性上、細身のかっこいいジーンズを穿いたことがないんですよね」という一言がきっかけで「じゃあそれを作るしかないよね」とすぐに決まりました。会社からも“まずは身近なメンバーを幸せにしたい”という後押しもあって、“かっこよく穿ける”デニムパンツ作り」がスタートしました。

URBAN RESEARCH MEDIA 編集部(以下、URM) 実際に既存のデニムパンツではどのような部分が穿きづらかったのですか?

木曽 自分の義足は下部が膨らんでいるタイプのものなんです。幼い頃はワイドなパンツ自体が少なくて、特に子供用となると全くなかったんですよ。なのでデザイン度外視のルームウエアのようなストレッチ性が高いものを穿いていて。ダサいとかダルダルだな、なんて言われていました。今も細身のパンツだと途中で引っかかってしまうのでワイドなものや半ズボンを選んでいます。

URM 今回のデニムパンツ作りにおいて、大事にしたことを教えてください。

木曽 義足の方だけでなく、車椅子の方や不自由がある方、もちろん不自由を感じていない人でも関係なくいろんな人が穿けるようなパンツが作りたかったんです。アンケートを取りながらスタイルを決めていき、なおかつアーバンリサーチの名前がある以上はかっこいいものを作ることにこだわりました。

吉原 機能性だけを考えていくとカジュアルなものになりがちなので、いかにスタイリッシュな方向に戻すかの作業をよくしていました。

木曽 アンケートは車椅子に乗っている友達や、その友達にも聞いたんです。商品を買うときにどこを重要視しているか、服の着脱時に気をつけることや欲しい機能性など細かく情報を集めて。それをもとにアーバンリサーチの商品企画担当者とともにサンプル作成に入りました。

URM 開発で苦労した部分はどこでしたか?

木曽 初めはズボンのサイドを全てファスナーやボタンで開くようにした案がありましたが、デザイン性より機能性になってしまうし、アンケートでも「いかにも障がい者用」というようなデザインは嫌だという声が多くあり、それはボツになりました。そしてファーストサンプルが出来上がった時にもデザイン性のなさに愕然としました。かっこよくなかったんです(笑)。全ての縫い目がオレンジカラーのステッチだったのでごちゃごちゃしているし、どちらかというと可愛いデザインになっていたんです。そこからアーバンリサーチらしいデザイン、例えばデニムの色をブラックデニムにしようか、水色系デニムにしようか、それともネイビーにしようか。僕の考えるアーバンリサーチらしさとかっこよさを体現するにはやっぱりネイビーだな、ということで色味を決め、そこからどこまでステッチを効かせようか、アジャスターの紐の色は何がいいんだろう。そんな風にポイントごとに細かく修正を重ねたんです。ユニバーサルデザイン=どんな人でも気に入ってもらえるもの。それを頭に置きつつデニムパンツ作成を進めるのはやはり大変でした。

吉原 機能性とデザイン性の両立が一番大変でしたよね。機能性がありすぎてもよくないし、ないと普通の服になってしまう。機能性があるぶんには良い、と思われるかもしれませんが、機能性にこだわりすぎるとその人が自分でできることを全て取ってしまうことにもなります。できることを取り除いてしまうのではなく、障がいを持たれる方の“できる部分”を活かしていくような服を目指すことが、結果いろんな新しいできることを増やしていくきっかけになるのでは、というのは意識しました。

1年半の開発を経て、いよいよ完成!

柔らかい質感で、伸縮性と通気性、吸水速乾性が高い生地を使用。

URM 実際に出来上がったものを拝見すると、パッと見た感じでは本当に普通のかっこいいデニムパンツですよね。このデニムパンツならではのポイントを教えてください。

① デニムパンツの前面がフルオープン

ウエストの両サイドはフルオープンになるファスナー仕様。

木曽 まずパンツの前面が開くようにしました。これはアンケートでズボンに足を入れる時に、片足立ちになって穿かないといけないし、穿き口が狭いと大変という声があったんです。そこから前面が開くタイプになりました。

② 体に当たっても痛くなりにくいアジャスター

ウエストのアジャスターはパンツがずれてきたときなどに素早く引き上げることが可能。また両サイドにアジャスターをつけたことでどちらの利き手でも使用できる。

木曽 紐につけたアジャスターは、初め普通の丸いタイプで進んでいたのですが、平たいものがあるならそちらの方が体に触れた時に痛くなさそうだよね、ということで平たいアジャスターを探しました。

③ ずれにくい深い後部股上

後ろの股上を深く取ることで、しゃがんだり車椅子を漕ぐなどの前後運動をしてもずれにくい。ポケットにはUR テラスのロゴタブ付き。

木曽 これもアンケートの中で、車椅子の方から、座っていると背中の部分がずり下がってくる、という声があったんです。そのため後部の股上を深くし、ゆとりを持たせることで幅広いウエストに対応できるようになりました。

④ 可動域を広げる膝のダーツ

ダーツを3本入れたことで可動域にゆとりを持たせ、穿きやすさを高める。義足でも足を入れやすく、かつダボっとならないシルエットに。

木曽 これは僕の左足の義足が出っ張っているのでゆとりをもたせたくて作ったということもあるのですが、座っていることが多い方なども膝の部分が伸びてしまったり、擦れるという声もあって、取り入れました。

⑤ 安全性を高めるリフレクター

折り返すと夜道でキラリと光るリフレクター。自転車に乗る方などにも便利な機能。

木曽 これはデニムの耳(端の処理)をどうするか、という話になった時に、UR テラスの社長が言った“リフレクターをつけたら夜道でも安心だしかっこいい”という一言から付けることに。実際この白のリフレクターに黒の縁取りが入っていて、穿くと本当にかっこいいんです!

URM  義足の木曽さんの思いからスタートしたデニムパンツですが、障がいのある方だけでなく、例えば指の力が弱いお年寄り、お腹周りが気になる人、怪我などで一時的に服の着脱がしにくい人など、些細でも生活に困ったことのある人にも優しいデニムパンツですね。

密かなポイントとして、左ポケットの裏地に“UR Terrace”のロゴ入り。これはスタッフが一つ一つ手作業で押したそうです。

木曽 はい、障がいあるなしに関わらずデザインがとてもいいし、どんな人でも穿けるように心がけてデニムパンツを作りましたので、本当にいろんな人に穿いていただきたいです! 僕自身、今まで穿けなかったタイプのデニムパンツが穿けたことに感動したので、もちろん似た境遇の方にも感動が訪れればいいなと思います。
またこのデニムパンツをきっかけにUR テラスにも興味を持っていただき、同時にアーバンリサーチの商品にも興味を持っていただければ嬉しいです。

吉原 UR テラススタッフはもちろんですが、アーバンリサーチの店舗スタッフの方にも穿いていただきたいなと思います。ウエストがフルオープンでアジャスターもついているので、妊婦の方にもオススメなんです。また障がいを持つ若い世代の方の、おしゃれへの興味のきっかけになればいいなと思います。

UR社の“色々な人”が穿いてみました!
ユニバーサルデザインデニムパンツSNAP

若いスタッフからお腹周りが気になる副社長まで! 幅広い年代・体型の方に実際に着用していただきました。

竹村圭祐 / アーバンリサーチ 副社長
「お腹がぽっちゃりしているので、デニム系はウエスト周りが苦しくて敬遠しがちだったのですが、これはかなりスキニーなのにウエスト周りは奇跡的に圧迫感がゼロ! 少しオーバーサイズのトップスと合わせてどんどん穿きたいです」

石田祐子 / アーバンリサーチ ドアーズ WEBスタッフ
「ストレッチが効いているし、股上が深いのと膝のダーツのおかげでアクティブに動きやすいですね。ウエストのアジャスターでサイズ調整が細やかにできるのもいいと思います!細身のすっきり綺麗なテーパードシルエットなので、チュニックやロングシャツと組み合わせたいと思います!」

木曽将士 / UR テラス
「ストレッチ性のあるデニム地と膝のダーツのおかげで左足の義足が動かしやすいです。裾を折り返した時のリフレクターが唯一無二のかっこよさがあってお気に入りです」

辻本笑子 / UR テラス
「ウエストが自分で調節できるので、緩すぎずきつすぎずちょうどいいサイズで穿けました。膝が立体的になっているので歩きやすい! 身長153センチの私には少し丈が長かったのですが、折り返した時のデザインが可愛いので問題なし!」

any+easy denim pants
¥19,800 (税込)
サイズ:SS / S / M / L

▼お問い合わせはこちら
株式会社 UR テラス
TEL:06-6445-7033
Instagram @ urterrace

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