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FASHION MAR 13,2021

iI+iI People #1
スタイリスト早川すみれさんの“アイ”

気になる人の“iI(アイ)”を探して。


iIディレクター兼URBAN RESEARCH BUYERS SELECT(URBS)レディースバイヤー森口愛が“いま気になる人”をお招きし、ゲストのパーソナル(i)や仕事・趣味などの(愛)を通して世界観に迫ります。

第1回のゲストは『GINZA』や『SPUR』などの人気雑誌を始め、舞台や広告などで活躍する人気スタイリストの早川すみれさん。ファッションにまつわるトークだけでなく、今回は私服とミックスしてiIを着こなしていただきました!

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

左: 早川すみれさん / スタイリスト
武蔵野美術⼤学卒業後にスタイリスト長瀬哲朗氏のアシスタントを経験。
2011年スタイリストとして独立。2014年文化庁新進芸術家在外研修員に選抜され ベルギーでダンスカンパニーの舞台衣装に関わる。
広告、雑誌、音楽、シアターなど活躍は多岐にわたる。
http://kikiinc.co.jp/index.php/profile/sumirehayakawa/

右: 森口愛 / iIディレクター・URBSレディースバイヤー
バイヤー歴1年半。個性的なセンスを生かし、自身のブランドiIを立ち上げる。最近ハマっているものは漫画。オススメの漫画情報を毎日求めている。
インスタグラム @ aiboooon0622

早川すみれさんのアイ(i = PERSONA(ペルソナ))

森口 まずは早川さんの“今”に至るまでのお話を伺いたいです。幼少期はどんなお子さんだったんですか?

早川 子どもの頃はマンション住まいだったんですが、周りに洋服関係の仕事をしている方が多かったんです。すごく仲が良い子の両親が百貨店に勤めていたんですが、土日にそのお店に遊びに行ったりしていました。そこで洋服に触れる機会が増えて…。なので割とお洋服が好きと意識するタイミングは早かったですね。当時は着たいというより見ているのが楽しいという感じでしたが。

森口 そんなに早くからファッションに興味があったんですね。

早川 お店などに行くと、洋服に囲まれている空間=遊園地みたいで好きだなあと思った記憶があります。それと弟が二人いるので、おさがりにもできるようにって男の子っぽい洋服を着用することが多くて、“もっと可愛いものが着たいのに!”と思ってました。そこからどんどんお洋服が好きになりました。

中学時代はテニスをしていたのですが、あのレトロなスタイルが好きでしたね。
わたし、中高生の頃は成長が遅くて身長も低かったんです。でも周りはどんどん大人っぽく成長していくから、自分のコンプレックスをどうやったら補えるのかと考えたときに、洋服のことを考えると救われていました。

森口 早川さんにとって洋服は大きい存在だったんですね。その当時はどんなお洋服が好きでしたか?

早川 トラッドなものも好きだし、ビックサイズやボーイズの大きい服も好きでした。思春期は時にマッチ棒みたいな体型を隠すためにぶかっとした服を着ていました。

森口 その当時から将来の夢は洋服関係だったんですか?

早川 小学5年生までバレエを習っていたんですが、くるみ割り人形の演目でスカートの中からキャンディボンボン役の子ども達が出てくるシーンが好きだったんです。あの巨大なスカートを見て、いつかそういうものに関われたら良いなと思っていました。だからその頃は舞台衣装や舞台装置などに興味がありました。絵を描くのも好きだったし、何かをつくることが好きだったりしたので、ぼんやりとですがそういう仕事につけたらなあ、と。もう少ししっかりと“洋服にかかわりたい”と思い始めたのは中学生の頃です。

森口 大学ではテキスタイルデザインを学ばれていたそうですが、その経験がスタイリストのお仕事をされるうえで、活きているなと感じるときはありますか?

早川 受験前には毎日絵を描いたりしていました。特に物を陳列する絵をよく描いていたので、全体のバランスの取り方などは今の仕事の、特にブツ撮り(商品を単品もしくはコーディネートを組んで撮影する)に活きているかもしれません。大学時代は生地や柄が好きで、そういうものに携わる仕事もいいなあと思っていました。“スタイリストになりたい”と思うようになったのはもう少し後かな。

森口 “スタイリスト”になろうと思ったきっかけはなんでしたか?

早川 洋服のデザイナーや衣装さんになりたいと思っていた時期もあるけれど、スタイリストという仕事は“この人にこう着てもらいたい”という、着せる相手に対しての思いがダイレクトに繋がることに気がついて。“こういうキャラクターの人はきっとこういう風の生活してて〜”などを妄想して、そこに洋服をはめていくのが面白いと感じたんです。

森口 わたしも洋服にまつわる仕事ではありますが、誰か個人のためにバイイングやデザインをするのってなかなか難しいと思っていました。だからそうやって誰かのパーソナルに対してそういう風に思ってスタイリングするのは素敵だなあって思います。 人と人の繋がりに、スタイリストさんの個性が合わさって…自分では思いつかないスタイリングが見られることにワクワクします。

早川 ワクワクしてもらえるように頑張ります(笑)。去年から今年はコロナ禍などもありますが、どういう社会でも、“こういう時代だからこういう服が楽しくなれるのでは”って考えるのが好きです。ただおしゃれやただトレンドを考えるのではなく、多様性=いろんな人が着られるものなど社会と繋がりながら生まれる服は面白い。今回拝見してiI自体もそんな印象がありました。

森口 わ! ありがとうございます(嬉)。
早川さんは雑誌だけでなく舞台でもお仕事されていますよね。そこに違いはありますか?

早川 舞台だと作品、雑誌だと企画にもよるので一概に言いにくいですがスケジュールや関わる時間が違うと仕事の進め方は違います。雑誌は未来のことや、こういう人になりたいなど個人的なポジティブな欲望や希望がイメージを膨らませる糧になっていることが多いです。
舞台だと作品のドラマに沿って着る出演者のキャラクターを妄想していきます。悲しさや絶望、怒りなど、自分の感情とはかけ離れた人物を想像することも多いです。どちらの仕事も自分の人生では味わえないことをスタイリングや服を通して妄想していくことが楽しいです。

早川すみれさんのファッション“アイ(愛)”

森口 振り返ってみて、好きなテイストなどに変化はありましたか?

早川 わたし、結構好きなものがコロコロ変わるんです。一つのブランドだけにはまったこともないですし。
最近はデザインのこったものを、アクセサリー少なめでさらっと着るのが好き。
ベーシックにはまるのは年を重ねてからでいいかなと思います。
20代の頃はお金もそんなにないし古着も着ていたけど、今の黒髪の自分に合うかというと違ったりします。
そうやってその気分によってもパッと変えられるからお洋服は好きなんです。あ、最近色がある服好きです。気分が落ちたときはブルーを着たり、ショッキングピンクとかを着たり…派手な色を着ると気分が上がりますよね。
そうやって1日の中でも自分の気持ちをあげられるのが洋服だと思っています。

森口 わかります! コロナ禍などいろいろなことがあって、でもそういうご時世だからこそ色で気分を示すことが高まってきている気がします。ちなみに最近買ったものがあれば教えてください!

早川 バニティーナップのビスチェです。ちょっとフェティッシュなアイテムなんですがカジュアルなものと合わせたいなと思って。
後はロエベの新作…すみれ柄の服は何かしら手に入れたいと発売を待ち望んでます。

森口 今日のギンガムチェックのワンピースも素敵ですが、早川さんの毎日の服選びのポイントを教えてください!

早川 毎日違う場所にいくので、お天気や行動と、どのパワーが欲しいかで決まります。機能面と気分両方を考えつつ、気分の面ではなんの色が欲しいか?などを考えて取り入れることが多いですね。例えばリラックスや清潔感が欲しい時は白、判断力が欲しいときは黒、熱みたいなエネルギーがほしいときは赤やオレンジなどを選ぶことが多いです。

あとは一枚で様になる服、レイヤードしない服、さらっと着る服が好き。
ブルーでデザインがされているとか、一枚で着やすい服・完結する服が好きですね。iIのお洋服は日本人の肌に合いやすい良い塩梅の鮮やかな服が多くて、森口さんの色への思いに共感できます。

森口 わーい 褒められた(照)! 今回iIのアイテムと私服をミックスしてコーデイネートしていただいたのですがどれも素敵でキュンとしました!

早川すみれさんのiIスタリング

STYLE1

iI gather blouse ¥29,700 (税込)
他、スタイリスト私物

早川 ワンピースっぽく着るのも可愛いですが、ショート丈パンツを合わせたり、ヒールのブーツなどすこしだけピリッとできるものを加えたいと思って。
ワントーンにするとほっこりしすぎちゃうので、今回はクロエのブーツでピリっと感を。大きめのアクセを投入してさらにアクセントをプラスさせました。

STYLE2

iI gather onepiece ¥41,800 (税込)
他、スタイリスト私物

早川 さらっとスニーカー合わせました。身につけるアイテム数をいかに減らせるかが最近のブームです。アクセサリーも減らしたり、マニキュアもヌーディーなものを選んでいます。身に付けるものは2〜3アイテムにまとめて“ややこしく着ない”のが今の気分。

STYLE3

iI knit cape ¥25,300 (税込)
他スタイリスト私物

早川 カジュアルな動きやすいスタイルに合わせたいですね。寒暖差にも対応できるケープだし、あえて真っ赤なものを選んでみました。バックプリントTを着るのが好きなんですが、ボタンを後ろにしたときに前が短くなるケープなので、エルメスのベルトでベルトマークを使って前後差を楽しめるスタイリングにしました。

森口 ブラウスの袖のアレンジから、色合わせ、シューズやアクセサリーのバランス…こだわりが詰まっていて、ブラウスの新しい世界観を魅せていただいたなぁと感動です。ワンピースにスニーカーの合わせかたは個人的に、すっごく共感できました。こんな風にリアルに着ていただきたいなーという密かなわたしの妄想を具現化していただいて嬉しい! そしてケープ…プリントTとのバランスやベルト使い、赤のブーツなど今すぐ真似したい!! ベーシックなアイテムの組み合わせの中でのミックス感。カジュアルなアイテムなのに、こんなかっこよくなるんだ…。リアルに真似したくなる、新しい、バランス感と合わせ方、最高です。

さて、名残惜しいですが、最後に“これから”のファッションについてメッセージをいただけますでしょうか!

早川 今までの人生で戦争も体験していないですし、世の中がここまで大きく変わることがなかったのですが、コロナを体験してファッションというものがいかに時代とリンクしているかを実感しました。人々が実用面でも精神的にも何が必要なのか…それがどの時代でもファッションに表れていて、ファッションが人々にパワーを与えているなと。これからのファッションについて大切なものは、今までもこれからもかわらず、それぞれのアイデンティティーを軸にして時代とコミュニケーションすることだと思います。
環境問題や社会問題を意識するから、サステナブルファッションもいま急激に成長していますし、ファッションはとても柔らかく変化しやすいものだから、人の気持ちより一歩先に時代が欲するニュアンスを具体化してくれているように感じます。

森口愛から早川すみれさんへの“アイ”

自分の気持ちに素直な方で、それでいて柔軟性ある雰囲気がお人柄にも表れているなと感じました。これ着たい!これしたい!という好奇心がずっと色々なかたちで繋がって、お仕事に通じているのではないかと。
お会いする前はかっこいいクールなイメージを想像していましたが、チャーミングな方でスタイリングのイメージ通りなんだ!と感激の嵐でした。

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