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CULTURE TRIP MAY 02,2018

【踊れ!台湾】04 城市捜索青年 アランとサニーと雨の西門町

雨の日だって友達と遊ぶのは楽しい。趣味の合う友達となら映画館でわくわくする時間を共有したり、ね。ただしここでアルコールを飲むことは滅多にない。鑑賞後の映画談義も健康的にフルーツジュースやミルクを飲みながら。それが台湾スタイル。


アラン:Tops ¥15,000、Pants ¥20,000/BRAIN(かぐれ)

雨の台北。映画の余韻はミルクで楽しむ

今回の旅のアテンド隊長をしてくれたアーバンリサーチ台湾のプレス担当アラン(劉謹愷)は、カメラマンとしての顔も持ち、映像の仕事にも造詣が深い。

サニー:Outer ¥32,000、Pants ¥24,000/WORK NOT WORK、Tops ¥20,000/BRAIN(かぐれ)

彼がよく遊ぶ友達、俳優のサニー(孫陽)を紹介してくれた。サニーは中国版「深夜食堂」に出演している。イケメンだが気さくで、ユーモアにもあふれてた人物だった。彼は香港出身だが、母の故郷である台湾で十年前から活動している。

映像系の学校にかよっていたアラン。卒業制作の作品で、俳優としてサニーに出演してもらったのが縁で友達になったという。
「アランはグレートディレクターだったよ!厳しくてさ(笑)。でもすごく優しい人間だし、やりたいことをやる人だよね」。
「サニーはすごく情熱的な人。真面目だし、好きなものを追いかける友達としても最高!」
横でシャッターを切るカメラマンが思わずニヤッとするほど仲の良い二人。仲が良いを超えて、少しイチャイチャしているように見える。そういえば台湾人は友達同士の距離が近いように見える。男女問わず、肩に手を回したり女の子同士が腕を組んでいたり。そんな微笑ましい光景をたくさん見た。
普段は何をして遊んでいるか聞くと、たいていは映画を見たり、アウトレットに行ったりするそうだ(まるでデートのようだ)。
「あと日式(日本式の)ラーメンを食べに行く! 横浜家系ラーメンは最高だよね」(サニー)

ちなみに二人を撮影したのは、台湾の原宿とも呼ばれる西門町。ここにはシネマストリートと呼ばれるほど、大小さまざまな映画館がズラリと並んでいる。日本よりもチケットは安く(作品により価格は異なるが約300元:1000〜1200円程度)、若者でも気軽に見に行ける価格だ。だから友達と雨の日に遊ぶときなどは「映画でも観ようか」は、よくあること。ちょっと羨ましいなあ。

そうそう、もはやネタのようにされているが、アメリカなどでは映画館で「エモーショナル」に観る人が多いのは有名だ(例えばコメディで表現される「アメリカ人の映画鑑賞シーン」では劇場中にポップコーンが舞う。もちろんこれは誇張表現だが)。
映画館であっても自分の感情に動かされるままに笑い、泣き、驚く。

一方日本では「映画館ではお静かに」のマナー重視だ。もちろん同じように感情が動かされれば笑うし、驚くけれど音量など他の人の鑑賞の妨げにならない範囲で、というのがよしとされている。

台湾ではどうなのか気になった。
アランに聞いて見ると、基本的には日本同様「映画館では静かに」がルールらしい。
映画が始まる前には「電源をミュートに」というアナウンスが流れるし、映画館で売っているもの以外の飲食の持ち込みは原則禁止。この辺りは日本と全く同じ。

「だけどもちろん、コメディでは笑うし、ロマンスでは泣くし、ホラーではシーン…となります」とアラン。せっかく映画を見に行って、自分の感じた感情を抑え込みすぎるのは勿体無い。感情に突き動かされたなら、それだけその映画が素晴らしかったということ。台湾でもほどほどであれば問題なし、のようだ。

ちなみに台湾ではアニメや子供向けの映画は「吹き替え」、そのほかの海外映画は「字幕」方式だそう。だから例えば日本映画を台湾で見るときは、私たちはそのまま見ることができる。
日本では(予算的に)たくさんは見られない映画も、台湾ではちょっぴりお得に見られる。これはぜひ次回の訪台のために覚えておかないと。

01.賑やかな西門町。
02.さすが俳優、どんなカットでも様になるサニー。雨の西門町がまるで映画のセットのように見える。
03.「目がよく見えてる状態だと撮影恥ずかしいから」とメガネをはずすも、「でもアランはメガネ似合うから」とみんなから説得されて結局メガネをかけるかわいいアラン。
西門町で人気のパパイヤミルクのお店「600cc 木瓜牛乳」。このサイズで60元程度。男性の手にも余る大きさ!

途中で「600cc 木瓜牛乳」という西門町で人気のパパイヤミルクのお店に寄った。

ここの牛乳と果物のジュースがとても美味しいんだそう。日本にもフレッシュジュースを飲ませるお店は多いが、総じて高い…。果物が安い台湾ではとても気軽に美味しいフレッシュジュースが楽しめるのもまた羨ましい。また台湾の若者は「とりあえずビール」的なお酒の飲み方はしないので、映画や遊んだあとはカフェやこういうジューススタンドで健全に語り合う。

ちなみにアランは苺ミルク、サニーはパンプキンミルクをオーダー。

確かに牛乳の味が濃くて美味しい。パンプキンはまるでかぼちゃスープのようにコクがあり、これ1つで食事になりそうなボリュームだった。

ちなみに店名の600ccは、そのままドリンクのサイズのこと。そういえば台湾では全体的にドリンクサイズが大きい気がした。”中”や”小”サイズでも日本のLサイズくらいあるときもある。ちょっとだけ飲みたい、なんてときはシェアがおすすめ。

二人を撮影した後、アランのお気に入りの古着屋に連れて行ってもらった。

そういえば台湾には古着屋が少ない。中華系の人々の特徴に「新しいものが好き」というのを聞いたことがある。なのでブランド物などの流行には敏感だが、古着屋は少ないんだとか。そんな中でも老舗の古着屋がある。お洒落なエリア忠孝敦化にある「A ROOM MODEL」。一見洋服屋さんが入っているようには見えないビルを上がると、そこには宝の山があった。

東京から来たアーバンリサーチスタッフにかなり古着にうるさいタイプがいたのだが、彼曰く「状態も、セレクトも非常に良い」そうだ。そしてこちらが取材をしている隙にミリタリージャケットを買っていた。

01.アランのお友達の店員さん。おしゃれな古着の着こなしはさすが。
02.2階はレディース、3階はメンズ。小物類も種類豊富だった。

笑顔の可愛い店員さんに話を聞くと、日本とアメリカメインで買い付けをしているそうだ。しかし日本でもなかなか見ない逸品がここにはある。

台湾の魅力に惹かれて、服もまた日本からやってきたのかしらん。

600cc 木瓜牛乳

108台北市萬華區武昌街二段122號

営業時間 : 11:30–22:30

A ROOM MODEL

106台北市大安區敦化南路一段161巷6號3樓

営業時間 : 15:00–22:00

開催日時 : 無休

TEL : 02-2751-6006

PROFILE

Naoko Kumagai
Photographer

幼少期より写真を撮り始める。20歳で渡仏し、パリにて本格的に写真・芸術を学ぶ。2003年よりフリーランスフォトグラファーとして雑誌・広告などでポートレートや風景など多ジャンルにおいて活動し、個展での作品発表も精力的に行う。主な著書/二階堂ふみ写真集「月刊二階堂ふみ」、杉咲花1st写真集「ユートピア」、熊谷直子作品集「赤い河」 

松尾 彩Columnist

フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。小学館kufuraにて旅エッセイ「ドアを開けたら、旅が始まる」連載中

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