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FASHION NOV 30,2020

今年の秋冬はセットアップが正解 !?
スタイリストと考える着こなしの法則。


大人服の一丁目一番地に位置する「きれいめ」の着こなし。音にするなら「ビシッ」「パリッ」といったところでしょうか。その大本命が上下揃いの「セットアップ」です。しかも、ニューノーマルな生活がはじまったこともあり、これまで以上に、仕事だけでなく休みの日でも着られるものを求める人が急増中。というわけで、本格的な冬の到来を前におすすめしたい「アーバンリサーチ」のセットアップスタイルを、雑誌や広告などでマルチに活躍するスタイリストの片貝俊さんと豊島猛さんを迎えて紹介します。

片貝 俊
1982年生まれ、愛知県出身。スタイリストのアシスタントを経て、2009年に独立。メンズファッション誌を主戦場に、カタログや広告など多方面で活躍中の人気スタイリスト。

Style 01
コーデュロイは余計な色を使わずシンプルに調理。

ジャケット ¥16,500 (税込)中に着たニットベスト ¥22,000 (税込)パンツ ¥12,100 (税込)シューズ ¥13,200 (税込)

— 普段セットアップは着られますか?

片貝: いわゆるカチッとしたものは着ないんですが、いま考えてみると、決まったブランド(South2 West8)のジャージの上下を毎日着てますね。色違いで10着以上持っていて、オンオフ関係なく、ちょっとコンビニまでっていうときもそう。もちろん、仕事柄ちょっとかしこまった場所に行くときはジャケット羽織って革靴履きますけど。

— たしかに、もはやアイコン化している気がします(笑)。

片貝: これまで色々な服を着てきましたが、やっぱり動きやすい服が一番いいんです。セットアップは堅苦しさや動きづらいイメージがありますけど、素材やサイズ選びさえ間違えなければ、セットアップほど悩まなくていいアイテムって他にないと思いますよ。上と下が決まっているってことは、あとはそれに合わせるインナーや小物を考えるだけでいいので。

— 1つ目の着こなしについてはいかがですか?

片貝:キャップ、インナー、シューズをすべてブラックに統一することで、セットアップが引き立つようにしています。ただ、コーデュロイという素材が少しいなたい印象を受けるので、あえてジャケットのボタンを閉めずに着たり、パンツもソックスがチラっと見えるぐらいの丈感にしたりして遊びを加えました。上下ともにシルエットがゆったりしているからこれくらいシンプルにまとめてもすんなり馴染みますね。

Style 02
モノトーン&引き算でつくるマイ・スタイル。

ジャケット ¥7,590 (税込)中に着たカットソー ¥4,950 (税込)パンツ ¥6,600 (税込)シューズ ¥23,100 (税込)

— このスタイリングも先ほどと同様シンプルですね。

片貝: そうですね。ゆったりしたシルエットが似ているのと、これに関しては色味に惹かれました。カラー展開として、ブラックの他にブラウン、ヒッコリー、アイボリーもありますが、ブラックが一番汎用性高いかなって思うのと、“ヒッコリー=アメカジ”みたいなイメージがついてないのがいいなって。セットアップ特有の堅苦しい雰囲気にはしたくないので、キャップを取り入れてハズしつつ、革靴を合わせてカジュアルになりすぎないようバランスをとっています。ジャケットは裏地がないので、シャツ感覚で羽織れるのもいいですね。

— セットアップで気をつけるポイントを挙げるとするなら?

片貝: サイズ選びに関してはさほど気にすることはないと思います。そもそも最近のアイテムはどれもトレンドを加味したサイジングでデザインされているので、普段Mサイズを着ているからってLサイズに変える必要はありません。Mサイズの人はMサイズを着ればいいんです。そう思うと便利なアイテムじゃないですか?

— 悩まなくていいのは楽ですね。シューズやキャップなど、小物選びはどうでしょう?

片貝: 個人的には、あまりジャラジャラ着けるよりはシンプルにまとめる方がいいと思います。それこそ、20代の頃はとにかく付け足す方に向いてましたけど、30代になって徐々に落ち着きました。アクセサリーも腕時計しか着けないかな。あっ、ちなみにキャップはカリフォルニアの本社で買いました(笑)。

Style 03
王道ジャケットタイプはネックが大事。

ジャケット ¥16,500 (税込)中に着たニット ¥16,500 (税込)パンツ ¥9,900 (税込)シューズ ¥13,200 (税込)

— 最後に3つ目のコーディネートです。いわゆるジャケット×スラックスの王道セットアップですが、ポイントとしては?

片貝: インナーにシャツを合わせると、“いかにも”なビジネススタイルになってしまうので、そこはハイネックのニットで差をつけつつ、キャップとスニーカーでさらにカジュアルダウンしています。これも他のコーディネートと同じで、なるべく色を使わずモノトーンでまとめるのがポイントですね。

— クルーネックではなくハイネックを選んだのには何か理由が?

片貝: クルーネックでもいいんですが、どうしてもラフというかカジュアルになりすぎてしまうので、そこをカバーしてくれるのがハイネックやタートルネック。それこそキャップを外して、スニーカーを黒い革靴に変えるだけでビジネスシーンにもハマると思います。そういう意味で、オンオフもどちらもって考えると、このセットアップが一番使えるんじゃないでしょうか。

豊島 猛
1983年生まれ。甲斐弘之氏に師事した後、2009年に独立。メンズファッション誌を中心に、カタログや広告などで活躍中。新婚ホヤホヤ。

Style 01
ワークテイストはインナーと革靴でスタイルアップ。

ジャケット ¥22,000 (税込)中に着たニット ¥10,450 (税込)パンツ ¥16,940 (税込)シューズ ¥25,300 (税込)

— セットアップはよく着られますか?

豊島: ここ1年くらいよく着てますね、それまではまったく(笑)。セットアップってどうしてもジャケパンのイメージが強いと思うんですが、最近はワークっぽいアイテムやコーデュロイみたいに、これまであまりなかったタイプのセットアップスタイルが、いろんなブランドを見ていて多いような気がします。

— 豊島さんが普段着ているのはどういったタイプですか?

豊島: リジッドデニムのセットアップが多いですね。パンツもトップスもゆったりしたサイズのものを着ています。あとは、スエットのセットアップ。野暮ったく見えがちですけど、それに革靴履いてコートを羽織るだけで成立するっていう手軽さもいいんですよね。

— セットアップを着る上で意識しているポイントはありますか?

豊島: セットアップの種類にもよりますけど、1つ目のコーディネートに関しては、素材やデザインがワークテイストなので、ユニフォーム感が出ないようにタートルネックのインナーをはさみつつ、足元に革靴を合わせて品が出るよう意識しています。タートルネックのアイテムはどんなジャケットにもすんなり馴染むし、それだけで上品に見えるのでかなりおすすめです。

Style 02
素材合わせで着こなす変型セットアップ。

ジャケット ¥8,690 (税込)中に着たシャツ ¥11,000 (税込)パンツ ¥6,490 (税込)シューズ ¥30,800 (税込)

— コーデュロイのセットアップの着心地はいかがですか?

豊島: 見た目通りのソフトな風合いと温かみのある起毛感が良いですね。ワードローブにあれば、つい手に取ってしまいそうな魅力があります。ジャケットもパンツもビッグサイズにつくられているので、どんな体型の人もハマるんじゃないでしょうか。あとはこの光沢感がリッチなムードをまとっていて素敵ですね。もちろん上下同じ色で着るのも悪くないんですけど、素材で合わせる(だけの)セットアップは、少しハードル下がるのでトライしやすいと思いますよ。

— たしかに、コーデュロイで上下同じ色のセットアップだと主張強いですね。

豊島: そうなんです。なので、共地だけど上下で色が違うっていう、素材だけ合わせるセットアップも、ひとつ提案としてありだなと。

— 着こなしについてのポイントはどうでしょう?

豊島: ミントグリーン(ジャケット)とサックスブルー(シャツ)とオフホワイト(パンツ)の合わせ、つまり全体的に淡いカラーリングでまとめることが最大のポイントですね。白いパンツって春夏のイメージが強いと思うんですが、これで上下ともに白だと季節感が出ないので、暖色(ミントグリーンのジャケット)をもってくることで上手く調和させています。

— セットアップにおける小物の取り入れ方のコツはありますか?

豊島: 例えばインナーの色とソックスの色を合わせるとか、キャップのディテールとソックスの色を合わせるとか、あえて蛍光色を入れてみるとか、ふとしたときに見える部分に遊びを持たせられるといいですね。セットアップの場合、トップスとパンツが決まっているので、小物で遊んでも変に浮かないので安心です。

Style 03
きれいめカジュアルを体現した王道セットアップ。

ジャケット ¥72,600 (税込)中に着たシャツ ¥15,400 (税込)トップス ¥9,350 (税込)パンツ ¥29,700 (税込)シューズ ¥27,500 (税込)

— 最後は、艶のあるジャケットとパンツのセットアップですね。

豊島: いわゆる“きれいめ”のセットアップです。ジャケットはダブルで、パンツも太くて、ともにリラックスムードのあるシルエット。なので、それに合わせて、他のアイテムも艶のあるものをチョイスして素材感を統一しています。例えば、トーマスメイソンの生地を使ったシャツや起毛感のないツルッとしたパーカー、スニーカーがそうです。ただ、アイテム選びはカジュアルなんですけど、野暮ったく見えないようにするのがポイントですね。

— なかなかセットアップにチャレンジできない人に向けてのアドバイスがあればお願いします。

豊島: 着方によってはコスプレっぽく見えることもあるセットアップも、張り切ってる感を出さないように、ジャケットの前を開けてセットアップ感を薄めるとか、ものによってはインナーをタックインしてみたりとか、自分なりに試してみるのはありですね。そもそも上下決まったアイテムなので、着るだけで様に見えるし、1セット持ってれば、あとはインナーを変化させるだけで印象も変わるので、これまで敬遠してきた方にこそ取り入れてほしい万能アイテムだと思います。

ライター/中田 潤

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