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FASHION MAR 24,2021

シーン最前線で勇躍する 人気スタイリストたちから見たグラミチ別注
[小松嘉章の場合]

これまでアーバンリサーチでは、各業態ごとに数多くのブランドへオーダーし魅力的なアイテムを発表してきました。とりわけ、抜群の人気を誇ってきたのがグラミチです。両者の良好な関係は今季も健在で、継続して発表されているものから新色、新型とバリエーションも様々。今の時代に“ちょうど良い”それらの新作を、西村、三浦の両プレスと目利きのスタイリストたちとのトークやスタイリングと共に紐解く本企画。今回は小松嘉章さんが、アーバンリサーチ ドアーズとアーバンリサーチ ロッソ メン、それぞれの別注アイテムについて語ります。


※ 撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

スタイリスト
小松嘉章

1982年生まれ。秋田県出身。2009年に独立。ファッション誌だけでなく、広告やカタログ、CMなどでもセンス溢れるスタイリングを披露。アーティストや俳優などのコーディネートも担当するなど幅広く活躍中。

ロングセラーを更新し続ける別注が今年も!

「実は30歳過ぎるまで、あまりデニムを穿いてこなかったんですよ(笑)」

テーブルに置かれた一本を前に語られたカミングアウト。スタイリストになる以前からも、度々その着こなしを雑誌などで取り上げられていた小松さんだけに少々意外である。

「さかのぼれば、穿いていたのは中学の時ですかね〜。それ以降は、穿いたとしてもさわりでホワイトデニムぐらい。基本的にはスラックスが多かったのですが、最近になってよく穿くようになったんですよね。なぜ?と聞かれると困ってしまいますが(笑)」

その言葉に思わずプレスの西村もニンマリ。「そんな小松さんにぜひ」と話し始めたのが、アーバンリサーチ ドアーズで長く支持を得ている、マウントデザイン3776がグラミチへ別注をかけたデニムだ。

「シルエットをすっきりさせ、ポケットもフォワードセットに作っているので、スラックスのような雰囲気に仕上がっています。とはいえ、コインポケットや生地が重なる部分に補強としてあしらったリベットなどデニムらしさも忘れてはいません。面白いのは左右非対称にしたバックポケット。デニムライクなポケットと、グラミチで定番のポケットを採用しました。デニムでありながら、スラックスやグラミチの要素をミックスさせた三位一体の一本になりますね」

「なるほど。長らく愛されている理由がなんとなく分かります」と小松さん。これまで抱いていたグラミチのイメージを軽く覆されたご様子。

「グラミチのスタンダードなアイテムだと股下がわりと長いイメージがあります。やはり山登りやロッククライミング用のパンツなので、街で穿くとなると多少の野暮ったさは否定できないですよね。でも、ここ最近はシルエットが細くきれいになっている。クライミングパンツとしての“クセ”がいい意味で削ぎ落とされていますね。このアイテムを見てより実感します。全然、きれいめでもカジュアルでもどちらでもいけるんだろうなって」

まさしくその点が別注の良さとプレスの三浦。

「コラボを通じてだいぶイメージは変わったと思います。昔よりも今の方がリラックスしながらスマートに、おしゃれに穿けるようになったのではないでしょうか」

しかも小松さんは、見た目だけでなく穿きやすさも担保されているのは大きいと話す。

「股下のガゼットなどを見たらクライミングパンツかなって思うけれど、パッと見ただけでは分からない。コーディネートを組むうえでも今の方がやっぱり取り入れやすいですよね。しかも、一般的なストレッチ入りのデニムとは自由度が段違い。これを履いたら他のデニムが穿けなくなっちゃいそうですよね(笑)」

other collaboration

上記に加え、アーバンリサーチ ドアーズで扱うグラミチ別注のパンツはもうひと型。こちらはウェザーストレッチ素材を使用し、高密度で編みこんだことで生まれる適度なハリ感が品の良さを生み、優れたストレッチ性と強度も湛える。シルエットは細身で、右背後のポケットにはファスナーを搭載。お馴染みのウェービングベルトを、身頃と同色に仕上げているのも特徴だ。今回はアイボリーのほか、ブルーグレーとモカとブラックを用意。

実は…な人も惚れる!? ロッソ メンのグラミチ別注

的を射たグラミチ評に、「なるほど」と唸るばかりの西村、三浦の両名。「わりと穿かれてきたんですね」と水を向けるとこれまた意外な答えが。

「仕事ではかなり触れてはきましたが、実は…グラミチのクライミングパンツをこれまで一度も穿いたことがないんです(笑)。動きやすさを確保するためだとは思うんですが、お尻周りのゆとりがどうも気になるんですよね。それにより、後ろ姿があまりキレイに見えないというか…。かなり前にジョッパーズが流行りましたけど、あれとはまた違う見え方。とにかく、ボテっとしているイメージが昔のグラミチにはありました」

それを聞いて「ぜひともおすすめしたい」と三浦が手にしたのが、アーバンリサーチ ロッソ メンが別注を仕掛けた一本である。

「これは、グラミチのNN(ニューナロー)パンツをベースにしているのでウエスト周り、ヒップ周りのもたつきがなくすっきりしたフォルムです。ナチュラルなテーパードシルエットが無理のない美脚シルエットを演出し、くるぶしを覆うほどの9.5分丈によりそのまま穿いていただくのはもちろん、ロールアップさせてもハマると思います」

「これまでと全然違いますね」と驚く小松さんに満足気の三浦。さらに話を続ける。

「素材はクールマックス®のチノ素材なのでドライタッチで履き心地はいつでも快適。ベルトの先端に取り入れたオレンジカラーもさりげないアクセントになりますね」

さすがの小松さんもこれには、グッと惹きつけられた模様。

「ここ最近、動画撮影のためにいろいろとリサーチしていたんです。そこでタイミングのいいことにグラミチも穿いてみました(笑)。これがすこぶる動きやすくてラク。しかも、街での着用も違和感がないほどにスタイリッシュに見える。こちらも同様ですよね。ベージュなんてチノパンと遜色ないほどに合わせやすそう。初めての人でも手に取りやすいかもしれないですね」

スマート、ラク、体型フォロー。まさに美味しい一本

決してアウトドアを毛嫌いしているわけではないんですと小松さん。これまでにも、ザ・ノース・フェイスやパタゴニアといったブランドのアイテムには等しく袖を通してきたという。

「やはりアウトドアブランドの経験則に基づく機能面やデザインは街でも十分頼もしいですよね。これまで何度もお世話になってきましたから」

とはいえ、アウトドア派というわけではない小松さんにとって、山っぽさをどう街へと落としこむかは最大のハードル。グラミチも例外ではなく、だからこそこれらの別注はまさに渡りに船だという。

「やはりベルト付き、というところもミソなのでしょうか。今ではノーベルトが基本ですし」との三浦の考えに同意しつつ、小松さんも自身の見解も述べる。

「確かにそれもあるでしょうけど、僕はワタリと生地もポイントかなと思います。細身ですっきりとしたシルエットに改善されているけれどめちゃくちゃ動きやすい。どちらの別注もコンパクトにまとまっていてスタイリングしやすそうです。いつもだったらかぼちゃパンツみたいな形になりますもんね。ガゼットクロッチやウェービングベルトなど、根っこはクライミングパンツですが、これだけ今に寄り添ってくれるとスタイリングの幅も広がります。例えば、落ち着いた色のシャツともマッチしそうですよね」

西村もまた小松さんの意見に賛同。汎用性に加え、立ち姿もサマになることも魅力のひとつにあげる。

「どちらの別注も、幅広い大人の方がはけるグラミチとしてアウトドア感をそこまで全面に出さずに作っています。普通に立っていても綺麗に見えますから。クラシックやヴィンテージも素敵だと思うんですけど、現代的にアップデートされているものはやはり時代背景も考えられているためか、すんなり入ってくると思います」

さらに「小松さんは最近どんなパンツを穿かれているんですか?」と素朴な疑問をぶつける西村。

「最近はフレアが多いかも。若い頃に流行ったんですよね。90年代ぐらいでしょうか。その時は、とにかくいろんなものが流行っていました。フレアパンツにチビTとか、今じゃ考えられないかもしれないですけどね(笑)。結構アクの強いアイテムだとは思いますから一般的には難しいかもしれませんが、ドアーズの別注のようなシルエットだと、例えば、スウェットとの1、2コーデでも“カタチ”になる。脚が長くも見えますから、体型に自信がない人にもいいパンツだと思いますよ」

スタイリスト・小松さんが考えるグラミチ別注の合わせ方

●グラミチ×アーバンリサーチ ロッソ メン

「今回は街をとことん意識し、グレイッシュにまとめてみました。それにより、ベルト先のオレンジも嫌味なく効いてきます。とはいえ、セットアップのような同色同トーンというよりはグラデーション調に合わせることで、淡白さを回避しながら立体感を生む奥行きや変化を意識しました。さらに、濃淡をつける際にあえてトップには濃い色を。そうすることで全体的に大人っぽい印象に仕上がります」

Pants:GRAMICCI×URBAN RESEARCH ROSSO COOLMAXチノNN-PANTS ¥13,970 (税込)
Jacket:GRAMICCI×URBAN RESEARCH ROSSO DRY-XポケットTシャツ ¥6,380 (税込)
Shirts:URBAN RESEARCH ROSSO 丸井織物レギュラーシャツ ¥12,100 (税込)
Sneakers:私物
Watch:CASIO×URBAN RESEARCH G-SHOCK 別注DW5750E ¥19,800 (税込)

●グラミチ×マウントデザイン3776

「インディゴブルーも捨てがたいですが、大人っぽさを意識しブラックを選択。別注の一本は、程よく色落ちしているためそこまで重たく見えませんよね。そのトーンに合わせ、季節感も意識してペールトーンの爽やかなスウェットシャツで。直球的なアメカジの合わせではありますが、デニムのシルエットがキレイなので洗練さが漂います。オーセンティックな黒のローファーで引き締めれば、誰もがアプローチしやすい大人カジュアルが完成します」

Pants:Mt Design 3776×GRAMICCI 別注デニムMountain Pants ¥13,200 (税込)
Sweat:URBAN RESEARCH DOORS ヘビーウェイトカラースウェット ¥6,600 (税込)
Shoes:G.H BASS LARSON MOC PENNY ¥18,700 (税込)

editor / writer 菊地 亮

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