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FASHION DEC 30,2021

“買談”新書 malamute編
デザイナーのコトバから紐解く マラミュートの引力のミナモト

世界で活躍するポテンシャルを秘めたファッションデザイナーを選出、サポートする目的で生まれたファッションアワード、「TOKYO FASHION AWARD」。応募総数最多を数えた今年、栄えある賞を受賞したひとりこそマラミュートの小高 真理さんです。これまでに、ニットを中心としたコレクションで多くの識者たちや女性たちを虜にしてきた彼女。URBAN RESEARCH BUYERS SELECTバイヤーの森口もご多分に洩れずで、今回はブランドPRの松沢も交え、素材へのこだわりやブランドとしてのターニングポイント、来シーズンのコレクションと、聞きたい、知りたいアレコレを伺いながらブランドの魅力に迫ります。


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行っております。

服作りの道へと背中を押したあるコトバ

ついそのアイテムに目がいってしまう。そんな不思議な引力が、マラミュートのアイテムにはあります。代名詞ともいえるニットアイテムからは、素材特有の優しげな空気とは裏腹に、大胆かつソリッドなデザインが絶妙なバランスのもと表現されています。ただ、ブランドの魅力はそれだけではありません。「何より人間性が素敵なんです」とバイヤー森口の言葉に、おそらくその本質があるのかもしれません。というわけで、まずはデザイナーの小高さんにファッションへ目覚めたきっかけから聞きました。

「小さい頃、祖母から花柄のフレアがふんだんに入ったワンピースをプレゼントしてもらいました。それを着ることが少し気恥ずかしくて、幼な心に着る服は自分で選びたいと思うようになりました。中学生にもなると、近所の本屋さんへファッション雑誌を見に行くのが習慣になっていましたね。当時はファッション雑誌しか情報がなくて、ちょうど読者モデルさんも活躍し始めていて。それもあって、当初は編集のお仕事に興味を持ちました」

「私もそうでした(笑)」とバイヤーの森口。

「種類もすごくありましたよね。いろんな雑誌が次から次へと出てきて、私もそれらをいち早く読んでいましたし、買ってました。なので、雑誌に関わる仕事も憧れの職業のひとつではありましたよね。すごく影響を受けました」

小高さんは、数ある本の対談で読んだ「編集者は服づくりが分かっていないといけない」という言葉に背中を押され、服作りを学べる学校へと進学。ただ当初は、ニットにさほど興味を示さなかったといいます。

テクスチャー表現のその先にあったニット

「大学の時はそこまでニットを意識していませんでした。きっかけは卒業後、BFGU(文化ファッション大学院大学)へ進学したときに受けたニットCADの授業でしょうか。当時、生地屋さんへ行ってはなかなか理想とする生地に出会えないというのを繰り返していて、その過程で、ニットにはいろんな表現方法があることを、あらためて感じました。編み方やゲージの違いで表情もさまざま。理想のテクスチャーを表現する方法を模索していったその先に、ニットという手段を見つけた感じですね」

小高さんが学んでいた学校と同系列の学校に通っていたのがブランドPRの松沢。だからか、その感覚はよく分かるとか。

「お話を聞いて「あ〜、分かるな〜」って思います。探していて見つからないなら自分で作ろうというアプローチですよね。私もいろいろな素材の授業は受けながら課題をこなしていましたから。確かにニットアイテムを作るというのはテキスタイルを作るという感覚だなって思います」

その後、ニット専門のOEMに就職。今振り返ると、そこでの経験が大きかったと小高さんは話します。ただ、意外にもそのときはまだデザイナーとして自分のブランドを立ち上げたいとは思っていなかったよう。

「ニットの全工程を目の当たりにできる会社で働けたことは、デザイナーとしてのキャリアにもつながる、貴重な経験となりました。多くの方に支えていただき、そこで得たことが今でもすごく活きていますね。でも、その時はまだブランドを立ち上げるなんて全く考えていませんでした。ただ、編み機やCADに触れる機会はあったので自分でスワッチは結構編んではいましたね。やっていくうちにプルオーバーも作ってみたいとか、コレクションのアイデアも膨らんでいき、働きながら学校へ通わせていただきました。その最終課題で、審査にいらしていた百貨店のバイヤーさんに声をかけていただいたのが、ブランドを立ち上げようと思った最初だったと思います」

布帛との融合によって広がった世界観

そして、2014-15秋冬でデビュー。最初は10型というコンパクトなコレクションでしたが、すべてのアイテムをニットで製作。ニットだけでコーディネートができることを示しました。ただ、シーズンごとにコレクションを展開していく中で、ひとつのターニングポイントを迎えます。そこで一気に世界観が広がったと小高さん。

「ありがたいことに、シーズンを重ねるごとに成長を実感できましたが、その過程でやはり見えてくるものも変わってきますよね。どうしてもニットだと伸びてしまう部分や、カチッと表現できない部分もありました。そこで、ニットをメインに布帛の利点を組み合わせてみたら自分の思い描いていた画を表現できた。そこは大きいかもしれません」

そして、2020春夏のコレクションでは“The Restless Waves”をテーマに製作。寄せては返す波を想起させるデザインをアイテムへ落とし込みました。それに感銘を受けたのが森口です。

「アーバンリサーチで扱わせていただきたい旨を連絡する前に、2020春夏のコレクションを拝見したんです。もう一瞬で魅了されましたね。すごく素敵でした。お披露目されていた屋外のランウェイショーでは雨が降っていましたよね?」

「そうですね。この時はグリーンを基調にし、そこから違う色に派生したり、反対色を用いたり。さまざまな色を組み合わせることでグリーンをを軸に行ったり来たりするイメージで作りました」

つい触れたくなる、2021秋冬コレクション

アーバンリサーチでも展開している2021秋冬コレクションは、“touched”がテーマ。つい触れたくなるような、そんなテクスチャー感のあるアイテムが揃っています。実は、今回の対談では各々が注目のアイテムを着用。まずは、森口が着ているアイテムから、小高さんに詳しく教えてもらいました。

「これは手編みで仕上げています。このコレクションの中でも一番強いピースでしたが、森口さんに「とても可愛い」と言っていただけたのをすごく覚えていて、とても嬉しかったです」

「もう大好き。これはバイイングしなきゃいけないと思いましたね(笑)」と森口。「ありがとうございます」と頬を緩め小高さんは続けます。

「手編みなので、職人の感覚で編んでいるゆったりとした網目のアイテムですね。チューブみたいな、不思議なぬめり感のあるナイロンのリリアン糸にモヘアやウールを組み合わせ、さらに金属のような質感の和紙で作られた糸も編み込みました。グラデーションのある色味で、グランジっぽい雰囲気のあるニットですね」

松沢が着ているのもまた手編みで仕上げたクロシェ編みのニットビスチェ。その可愛さに松沢もテンションが上がります。

「こちらもかわいいですよね。シルエットもすごく良くて、バックショットもきれいです。お花の編み込みも素敵ですね」

そして、小高さん自身が着ているのは度詰めの厚手生地で仕上げたカーディガン。タックを入れ「ジャケット感覚で着られる」といいます。それに森口もすかさず共感。

「立体的なパターンが素晴らしいですよね。絞りを入れることで生まれるブラウジングもエレガントです。そこはやはり女性ならではと感じますね。こういったデザインアプローチもマラミュートの魅力だと思います。そのインスピレーションはいったいどこからくるんですか?」

「2021秋冬コレクションは、とある日常の出来事がきっかけでした。本屋さんへ足を運びアルコール消毒をして店内に入ったんです。消毒をしたけれど、時勢的に並んでいる本に触れるのに少々ためらいがあって。だったら、思わず手に取りたくなる、触れたくなるものはなんだろうと考え、そこからイメージを広げていきました。だから“touched”。でも、それだけじゃなくて、職人さんをはじめいろんな方々の手が入ることでアイテムは作られていくのでその意味も込めています。基本的には、普段の他愛もない会話が発端となることが結構ありますね。友人、知人と話していて、さっきの会話のあの内容が気になるなとか、後々その会話をふと思い出したり。それらがだんだん蓄積されてカタチになっていくことが多いと思います。私の周りには作家の方々が結構いらっしゃいますし、ファッション業界以外の方とお会いする機会も多いので、そういった方々との出会いがインスピレーションの源になっていますね」

気になる2022春夏コレクションは……

そして、気になる2022年春夏コレクションは、建築を媒介にあらゆる要素が絡み合ったテーマになると小高さん。

「2021秋冬は私の中で落ち着いた雰囲気のあるコレクションだったので、次は開放感いっぱいのコレクションにしたいなというのが最初にありました。まずはリゾートのようなマリンボーダーをマラミュートなりに解釈して表現したいなと。それで調べていくうちに、プロダクトデザイナーであり建築家のアイリーン・グレイにたどり着きました。彼女の事はもともと好きてしたし、建築にも興味がありましたから、初期のときは自分が気になった建築物をロケーションにルックを撮影したこともあります。別の軸で色味を考えていた時に、現代アーティストのス・ドホが表現する作品がすごくピンときたんです。彼もまた、建築物を独特な手法で表現する方。そこで、彼らの共通点を結びつけてコレクションを製作しました」

malamute 22SS LOOKより

「それを聞いただけでも2022春夏コレクションがとても楽しみです」と森口。当日は、早速仕上がったサンプルの一部に触れながら期待感に胸を膨らませていました。ここからまたどのようなコレクションへと仕上がっていくのか、次シーズンもマラミュートから目が離せません。

「1月末には2022年秋冬シーズンのセールス展を開催する予定で、3月中旬には東京ファッションウィークで2022秋冬コレクションを発表させていただきます。久しぶりのファッションショーなので、成長した姿を皆さんにお見せできたらと思っています」と小高さん。今後は、世界も視野に活動していくとか。マラミュートの今後の動向にも注目です。

URBS(URBAN RESEARCH BUYERS SELECT)

URBSでのmalamute 2022春夏新作の発売は2022年2月頃を予定しております。
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photo/Takuro Shizen
edit & text/Ryo Kikuchi

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