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FASHION NOV 19,2022

iI+iI People #7
スタイリスト・伊藤信子さんの“アイ”

iIディレクター兼URBAN RESEARCH BUYERS SELECT(URBS)レディースバイヤー森口愛が“いま気になる人”をお招きし、ゲストのパーソナル(i)や仕事・趣味などの(愛)を通して世界観に迫ります。


第7回のゲストはスタイリストの伊藤信子さん。肩の力の抜けた大人に似合うカジュアルなスタイリングは、女優やモデル、ファッション業界関係者からの信頼も厚く、雑誌や広告・カタログなどさまざまな媒体でご活躍です。森口も「素敵!」と思ってクレジットをチェックすると伊藤さんのスタイリングだったということが多々あったようで・・・。今回はそんな伊藤さんのスタイルがどう作られているのかお話を伺い、実際にiIのアイテムを使ったスタイリングを披露していただきました。

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行っております。

左)伊藤信子さん / スタイリスト
ファッション誌やカタログ、広告を中心に、アーティスト等のスタイリングも手がけるスタイリスト。女優やモデルにもファンが多く、ジャンルやテイストをクロスオーバーした独自のスタイリングや世界観で、ファッション関係者からの支持も厚い。
Instagram @ ito_nobuko

右)森口愛 / iI ディレクター・URBS レディースバイヤー
バイヤー歴約3年半、iIを立ち上げ2年。最近漫画に加えて、ポケモンとラジオとアイドルに夢中で、いろいろと忙しい日々を過ごしています。
Instagram @ aiboooon0622

伊藤信子さんの“アイ”(i=PERSONA(ペルソナ))

森口 雑誌のクレジットで長年お名前を拝見していたので、今回お会いできてとても嬉しいです。伊藤さんは、どのようにしてスタイリストになったのでしょうか。

伊藤 洋服にはずっと興味があってアパレル業界に就職したいと思っていたのですが、ことごとく落ちてしまって・・・。アルバイトで店頭に立とうかなと思っていたくらいだったのですが、親に「とりあえず就職してみたら」と言われて一般企業に就職しました。

森口 そうだったんですね! そこから、どのようにしてファッション業界へ?

伊藤 会社員をしている間に、頻繁にフリーマーケットに参加していました。あるとき隣のブースで出店している人のファッションや出しているものがすごく素敵で、話しかけたらスタイリストだったんです。雑誌『CUTiE』に出ているのを発見して、アシスタントを募集していることを知り、教えてもらっていた連絡先に連絡してみました。そうして「また同じ場所でフリマをするから、面接がてらおいでよ」と声をかけていただいて・・・。アシスタントに就くことになりました。

森口 すごい! フリマからのご縁なんですね。スタイリストという仕事への憧れはなかったんですか?

伊藤 高校生のときからスタイリストという仕事があることは知っていたけれど、自分はあくまで洋服屋で働きたいと思っていたので、そこまで興味を持っていなかったのが実際のところです。洋服が好きなのは間違いないけれど、服飾の専門学校に行っていたわけじゃないから、服を作ることはできない。服を作ることができるスタイリストもいるなかで、悩んだ時期もありましたが今はその点は割り切って仕事をしています。

森口 伊藤さんも、そんな悩みがあった時期があったのですね。スタイリストのお仕事が面白いと思うようになったのはいつ頃からなのでしょう。

伊藤 いつだろう・・・、おもしろいことはたくさんありますけれど、私はそのブランドや洋服のイメージに合うモデルを選んで世界観を作る行程が好きなんですよ。だから、自分でモデルを選べるようになってからはより、面白いなと思うようになりましたね。実際にモデルにブランドの洋服を着てもらって、思った通りの世界ができあがったときに「やっぱり似合った! 嬉しい!」と思います。

森口 なるほど。そうやって世界観を作っていらっしゃるんですね。その他に、お仕事のこだわりはありますか?

伊藤 どんな洋服でもチャームポイントを見つけることでしょうか。どんなにシンプルな洋服でも、例えば無地のTシャツ一枚でも、その服を作った人がいるからにはきっとこだわった点があるはず。そこを探し出して、スタイリングに生かしたいと思っています。

伊藤信子さんのファッション“アイ(愛)”

森口 伊藤さんのスタイリングって、カジュアルでベーシックなアイテムを使っていながらもどこかチャーミングさがあるバランスが素敵だなと思っていました。絶妙なバランス感はどのようにして養われたのでしょうか。

伊藤 言葉で説明するのが難しいのですが、“自分が着ていて気持ち悪くないバランス”は大切にしています。ベーシックなアイテムをプラスすると、そのバランスがとれることが多いんです。自分だったらあまり露出が多いと落ち着かないから胸元が開いていたら中にタートルネックを重ねたり、きちんとしたセットアップでもヒールではなくスニーカーを合わせたり・・・。もちろん、そのブランドが表現したい世界観を大切にしたうえで、自分のバランスはそういうところでプラスされているのかもしれません。

森口 ご自身の好きなものがはっきりしていらっしゃるんですね。それがスタイリングからも伝わってくる気がします。

伊藤 そうですね。10代のときなんかはたくさん失敗しましたけれど(笑)。背伸びをして買ったものが全く似合わなかったり・・・。今では安くて良いものも選べるようになったと思うし、直感的にスタイリングを組めるようになりました。

森口 伊藤さんは雑誌に出ていらっしゃるときなど、いつもかわいいプリントTシャツを着ていらっしゃる印象です。

伊藤 プリントTシャツはだいたい古着です。昔から好きで、キッズのものでも気に入ったら買ってしまいますね。今でこそ、会う人や場所に合わせて洋服を考えることもするようになりましたが、昔は、「ちゃんとした格好をしなさい」と言われるのがすごく嫌だったんです。

森口 そうなんですね! どういうことですか?

伊藤 私の中では、Tシャツでも自分が好きでちゃんと選んだものだったら「ちゃんとした服」だから。その格好でどんな場所に行っても、どんなに偉い人に会っても恥ずかしくない、という気持ちでいました。“場に合わせる”ということを意識するようになったのは最近です。

森口 それだけ、ご自身が選んだ洋服に愛情があるということですね!

伊藤 そうかもしれません(笑)娘も洋服へのこだわりが強くて、気に入らない服を着るくらいだったら「下着でいる!」と言い張っています。

森口 親子ですね〜!

伊藤信子さんがスタイリングしたiI

森口 今回、伊藤さんにiI 6th collectionのアイテムを使ったスタイリングを披露していただけるということで、とても楽しみにしていました。アイテムチェックの場ですごいスピードでスタイリングを組んでくださって、本当に早くてびっくり! またスタイリングごとに、“ちょい足し”のアイディアもご提案いただいて、iIのいろいろな表情を引き出してくださいました。

伊藤 色も素敵だし、さまざまな着方ができるアイテムが揃っていますよね。組み合わせ次第で表情が変わるのがスタイリングを組んでいておもしろかったです。

STYLE 1

伊藤 セットアップをそのままシンプルに着てもかわいいけれど、私自身はあまりこの丈のスカートをそのまま穿くことがないので、スラックスを合わせるとしっくりくるなと思いました。厚手のタイツでも可愛かったかもしれないですね。ダウンで色を足すのも、コーディネートのポイントになります。

iI glitter v neck pullover ¥34,100 (税込)
iI glitter knit skirt ¥33,000 (税込)
il down vest ¥48,400 (税込)

STYLE 2

伊藤 カッティングがおもしろいワンピースは、冬にはこのスタイリングのように中にタートルを覗かせても表情が変わって素敵になります。柄から色をピックアップして小物をプラスすれば、多色使いでもまとまりが出ます。

iI cross onepiece ¥41,800 (税込)
iI glitter knit cardigan ¥35,200 (税込)
iI down hood scarf ¥17,600 (税込)

STYLE 3

伊藤 印象的なダウンを生かしたスタイリング。ダウンの下はIラインにまとめたので、大胆な柄を合わせました。テンションの違う柄物と柄物を組み合わせて、靴を黒にすることで全体の印象を締めています。

iI square collar blouse stripe ¥35,200 (税込)
il down vest ¥48,400 (税込)
iI down hood scarf ¥17,600 (税込)

森口 どのコーディネートもとても新鮮で、伊藤さんらしさが溢れていて素敵です! 真似したいアイディアがたくさんありました。

森口愛から伊藤信子さんへの“アイ”

インタビューの中でも触れましたが、昔から雑誌を見ていて「好きだな」と思うスタイリングのクレジットを見ると伊藤さんのスタイリングということがとても多かった、憧れのスタイリストさんです。
ミックス感のあるスタイリングの、絶妙なバランスが大好きです。
お話ししていても、本当に雰囲気が柔らかくてチャーミングな方でした。
昔からコレクションされているというライオンのぬいぐるみのお話になったり、伊藤さんのバッグについている缶バッチや、恐竜がプリントされたポーチなど持ち物ひとつひとつが気になってしまって・・・。私もぬいぐるみを集めていたり、伊藤さんの好みに少し共通しているものを感じて、とても嬉しくなりました。伊藤さんのフィルターを通してセレクトされたアイテムでのスタイリング、好きに決まっている・・・と妙に納得しました。
組んでいただいたスタイリングも「このスタイリングをしてみたい!」と真似したくなるものばかりでした。
「このアイテムをこう合わせるんだ!」 という発見もあって、しっかり吸収させていただきたいと思います。

フォトグラファー/紫前拓郎
編集・取材・文/平井莉生

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