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LIFE STYLE&BEAUTY MAY 12,2021

進化を遂げる“フェムテック”。 バイヤーが語る「sign for URBAN RESEARCH」の可能性


アーバンリサーチ初のフェムテックライン「sign for URBAN RESEARCH」が、4月22日にローンチ。第1弾として登場したのは、生理中の煩わしさを解消しながら環境にも配慮ができる、9層構造の吸水ショーツ。こちらのデザインと仕様のディレクションを手がけたバイヤー・川畑幸美が、開発までの経緯とその魅力についてじっくり語ります。

環境問題への興味が吸水ショーツを知るきっかけに

— こちらのショーツをリリースするに至った経緯には、川畑さんご自身の意識の変化も関係しているとか。

川畑 コロナ禍の自粛中にSNSでSDGsに関するポストを多く目にしたことがきっかけで、環境問題にぐっと興味が出てきました。一番気になったのがゴミの問題。レジ袋が廃止になってからは特に身近に感じるようになり、廃棄されたペットボトルがどういう末路をたどるのか、実際に世界でゴミが一日にどれぐらい出ているのか、といったことを詳しく調べるように。そこからサステナブルな吸水ショーツの存在にたどり着きました。

— 一度の生理で、確かにものすごい量のゴミが出ますよね。

川畑 私も調べるまで全く知らなかったのですが、女性一人が一生のうちに消費する生理用品は1万枚ほどで、年間120億個がゴミとして埋立地行きとなっているとのこと。繰り返し使えて、ゴミを出さない吸水ショーツは、そういう意味でとてもエコなんです。

sign for URBAN RESEARCH MOON SHORTS ¥5,280 (税込)

一番の強みは、安心の吸収力を誇る9層構造

— 吸水ショーツは“フェムテック”という言葉とともに、昨年からよく聞くようになりました。

川畑 FemTech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性特有の病気や生理現象などをテクノロジーの力で解決していくサービスやアイテムのことを指します。生理の話って今までどうしても語りにくい分野でしたが、その快適性を追求することを含めて、オープンにできるようになったのはとても喜ばしいことだなと。
吸水ショーツは実際に自分でも使ってみたいと思っていたところ、タイミングよく吸水生地を開発されたメーカーさんから声をかけていただき、商品として弊社でリリースすることが決まりました。

— 「sign for URBAN RESEARCH」の吸水ショーツはどのような商品になりますか?

川畑 吸水構造を備えたナプキンがショーツと一体型したようなデザインになります。吸水ショーツの構造で特許を取得されているメーカーさんと作っているのですが、一番の特徴はクロッチ部分の9層構造。9層と聞くとかなり分厚いイメージがありますが、実際はナプキンをつけているのと変わらない薄さと軽さです。肌に直接触れる部分はメッシュを2枚重ねて通気性よく仕上げているので、ムレも気になりにくいんです。

ナーバスな時期の女性の体に、優しく寄り添う工夫が満載

— 発売するまでに、かなり時間を要したとのことですが、一番こだわったことは何ですか?

川畑 生理中は腹痛があるうえ体が浮腫んで、かなりストレスフルですよね。そんな憂鬱な日でも明るい気持ちでいられるように、快適な着心地を優先しました。
まず生地はやわらかな、ポリウレタンを含むコットンベースの素材を選び、ウエストのゴムは太めにして、跡がつかない優しい穿き心地に。洗濯表示も肌に負担をかけないように、染み込みプリントにしています。大きめの吸水パッドは黒にすることで、使用中でも生々しく見えません。既存の吸水ショーツはクロッチ部分がつるんとしているものが多いのですが、こちらはふんわりと肌触りがいいのもポイントです。また足の付け根があたる部分にはパイピングを配して、横漏れを防止する作りに。繰り返し使用できる耐久性も魅力です。

— 出来上がった商品を、実際に使用してみていかがでしたか?

川畑 生理が一番重い日に一日中着用して、タイトなパンツを穿いてみたのですが、私の場合、漏れはもちろん、ごわつきも気になりませんでした。私はアレルギー体質で肌が弱いため、生理前後は肌にかゆみが出てしまうんです。でもこちらを着用しているときは、肌荒れがなく、そんな悩みを忘れていたぐらい。また通気性があるパッドが水分を少しずつ蒸発させるので、臭いがこもりにくいんですよ。

— 経血量は個人差があり、吸水力に関して、やや不安を感じる方もいると思うのですが、初心者はどんな使い方をするのがおすすめですか?

川畑 経血量がそこまで多くない私は、ナプキンやタンポンを一切使わず、生理の時期はずっとこれ一枚で過ごせています。経血量が多めの方や初めて使う方は、まずは生理が始まりそうな時期か、終わりかけの時期にトライしてみてください。

— お手入れの仕方について教えてください。

川畑 水、または30〜40℃のぬるま湯の流水で汚れを落としてから、ネットに入れて洗濯機で洗うか、手洗いをしてください。手洗いをしても汚れが気になる場合は、つけ置きしておくのがおすすめです。私はいつも入浴前にお風呂場ですすいで、そのまま洗濯機で洗ってしまいます。洗濯するのに少し手間取りそうというイメージがありますが、このひと手間に慣れてしまえば意外と簡単ですよ。

色や形、パッケージにも独自のこだわりを反映させて

— とてもシンプルなショーツですが、デザインに関してこだわった部分は?

川畑 今までのサニタリーショーツって、ピンクを使っていたりレースを効かせていたりと、いわゆる“女性らしさ”を押し出したデザインが主流でしたよね。今回、こちらを製作するにあたって目指したのは、男性の心をもつ方でも気負わずに使える商品であること。ジェンダーを限定してしまうようなデザインはどうしても避けたかったんです。色は黒だとあまりにも無機質に見える気がしたので、少しやわらかさのあるグレーをセレクトしました。年齢、ジェンダー含め、様々な方が気持ちよく着用できるショーツに仕上がったと自負しています。

— 一見、ショーツが入っているようには見えない、イエローのパッケージも印象的ですね。

川畑 そうなんです。ショーツを取り出した後も、何か別の大切なものを入れる箱として使っていただきたくて、お部屋のインテリアにもなじむデザインにしました。イラストはアパレルのお仕事も多く手がけているイラストレーターの山口奈津さんに依頼して、外装には女性の象徴とされる月やタツノオトシゴなどのモチーフを、中には「自分の体のサインを聞いてね」というメッセージをあしらっています。

第2弾はオーガニックコットンで、より肌にも環境にも優しく

— 今後、川畑さんが新たに挑戦してみたい商品はありますか?

川畑 次はよりサステナブルに、肌に優しい無染色のオーガニックコットンでショーツを作ってみたいと思っています。あとは生理中はできるだけ体を締め付けないアイテムを身につけたくなると思うので、ショーツとペアで楽しめる、リラックス感のあるブラもいつか作れたら。とにかく今はこの吸水ショーツの快適さをできるだけたくさんの女性に体験してもらえたらうれしいです。今後の展開をどうぞお楽しみに!

Composition & text/Kumiko Nozaki
構成・文/野崎久実子

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