【アオハルの迷宮、下北沢へ。】スケルトンな街の遊び場 下北沢ケージへGO!

小さな街ゆえに“すきあらば”カルチャーが入り込む下北沢に、3年前突如として現れた高架下の鳥かごみたいな遊び場。様々な遊びを提供してくれたそのケージは、3年経った今はすっかり街の風景に溶け込んで、さよならの瞬間まで下北沢らしい風景を見せてくれる。
駅からすぐの高架下に、“ケージ”と名付けられた面白い場所がある。

その名の通り、鳥かごのような大きなフェンスで囲われたエリアと飲食店を併設した、3年間だけの期間限定のイベントスペースだ。
ケージの中は椅子やテーブル、そして子供が好きそうなウッドデッキなどがあり、日中は子連れの親たちが、夕方からは一杯飲みにきた大人たちが集まる“遊び場”になっていた。

まったくの夜になればアジアの屋台のようにざっくりとしたランプが点り始め、それはそれは異国的な雰囲気も醸し出している。

数多くのイベントを行うケージだけれど、中でも高架下にサウナスペースを作った時はそのユニークさからテレビなどでも多く取り上げられ、”サウナー”はもとより今までサウナに縁がなかった若い世代も虜にしたり、また若者の街だから…と下北沢を敬遠していた世代を逆に呼び寄せたりもした。
この楽しい場所を運営しているのは、 不動産サイト「東京R不動産」を運営するスピークと、クリエイティブカンパニーの東京ピストル。
どちらも東京カルチャーに深く関わるユニークな会社だ。
今回お話を聞いたのは、その東京ピストルの桜木彩佳さん。彼女はシモキタ在住3年目だそうだ。とはいえ大学生の頃からこの辺りで遊んでいたというからまさに今時のシモキタっこ。

「最初に下北沢に来たときは、“なにこれ!オシャレすぎる”なんて思っていました(笑)。
大学時代から、下北沢に住みだした3年前までの間に駅改札付近もずいぶん変わっちゃいましたね。学生時代に好きだった一軒家カフェがなくなったり、老舗のパン屋さんがなくなっちゃったりしたけれど、相変わらずヴィレッジバンガードや茄子おやじ(カレー屋さん)もあるし、飲める定食屋さんがあったりオオゼキ(スーパー)があったり。3年かけて街に馴染みました。ここで行なったサウナのイベントで、すっかりサウナにハマったのですが下北沢は銭湯がないのが残念…」
桜木さんにお話を聞いたのは、ケージに併設されているアジアン居酒屋「ロンヴァクアン」。当日は店内は定休日でテイクアウトコーナーのみ営業だったけれど、 夕方のまだ明るいうちから一人、また一人とお客さんがビールなどを買い、おもいおもいの席で飲み始めていた。


リラックスした表情で夕暮れ時をおしゃべりしながら楽しむ外国人も多い。聞けばこのあたりは民泊などの滞在型で遊びに来る外国人観光客が多いらしく、まるで地元民のように自然な雰囲気で1日の終わりを過ごしていた。
桜木さんも仕事終わりや休日、ここで飲むことが多いそう。メニュー看板にはエスニック料理のおつまみやオリジナルのモヒートなどが並び、今日が取材でなければうっかり手が出るようなラインナップ。



ケージができたのは3年前だけど、この雰囲気を眺めているとなんだか10年も20年も前からここにあったかのような雰囲気すらある。
“カルチャーの街”として長年愛され続けたこの下北沢と、このユニークなスペースとの親和性がバッチリだからか。
ケージでは上で挙げたサウナイベントの他にも、“シモキタらしい”イベントを数多く行なっているそうだ。その中でも特に“下北沢との相性が良かった”イベントはなんだったのか聞いてみた。
「スペースシャワーTVのフード&カルチャーイベント『GOOD VIBES NEIGHBORS』では、音楽好きなカップルが子供を連れて来てくれました! 外スペースでは爆音は流せないのですが、家族で遊べる気持ちいいイベントにしたくて外では子供とダンスワークショップをして、中ではDJイベントをしたり。“下北おしゃれカルチャー”の雰囲気がよくでたイベントだったので、通りすがりのかたに「下北っぽいね」なんて言われました(笑)。
TOKYO RECORD MARKETのイベント時は、とにかくみんなお宝を“掘り出す”のに夢中だったのが印象的でした。アーティストも気軽にエリア内をうろうろしているし、オープン前からコアな音楽好きが待機していたり。
通常営業の日は、ケージのフェンスを見て“ここは…入っていいんですか?”なんて聞かれることもあるんですが、そういったイベントの時は中も外も一体化するんです!
他にもTOKYO BOOK PARKのイベントでは3つの古本屋が参戦し、本に関わるカルチャー、便箋などを扱ったりもしました」

立地や雰囲気からするとここで大音量のライブをやったら、さぞかし気持ちいいだろうなあと素直に思うけれど、やはり小さな街。しかもある程度の住宅街の中にあるがゆえにそこには配慮が必要となる。
だから音楽系のイベントをするときは、基本的には音を出す部分はロンヴァクアンの中で行い、ケージ部分ではワークショップやマーケットなどを行なっているそうだ。
でもなぜだろう、ケージ部分に音楽が流れていなくても、人の声、場所の雰囲気、そんなものがあいまって脳内にはその場面に合わせた音楽が流れ始めてきた。やっぱりそこは「カルチャーの街」ならではの感覚。

「下北沢は昔からライブハウスや劇場があって、趣味の空間がたくさんある街だったけど、地下や建物内など閉じた空間でした。
それをあえて“スケルトンの空間”でやったらどうなるんだろう。そんな実験的な場所でもありました。
昔は駅前にも弾き語りの人がたくさんいたけれど今は減っていて…。でも下北沢にはそういう文化は絶対必要だと思っています。
音楽は居心地に関わるもの。そこから会話が広がっていくし!」
他にも“若者が集まる街”らしく企業のサンプル配布イベントがあったり、レモンサワー飲み放題イベントがあったり。何十年も前から下北沢が担っている「多種多様な楽しいカルチャー」を存分に発信してきたケージ。あと少し、今年の9月で終わってしまうのが本当に残念だ。
「下北沢に限らず、最近の街中は駐車場などばかりで、 “人が留まる場所”がないと感じていました。もし同じようなスペースを運営する機会があれば、この“スケルトン”な感じはまたどこかでやってみたいですね」
少し古い記事だけど、「墨田区」特集の回で“(マンションや建物などの)1階”を地域とつながる場にすればもっと楽しい街になる、という活動をしている人たちに出会った。ケージのこのスケルトンな雰囲気は、まさに“街の1階”であり、人と街を繋げるスペースである。またいつかどこかで…できれば下北沢でもう一度、この小さくてユニークな遊び場に出会えるといいなあと思う。
最後に桜木さんから面白そうなシモキタ情報ももらった。
「今下北の街を題材にした“謎解き”が流行ってて、時々ヒントなどを聞きに来る人もいます。あと“シモキタと言えばカレーの街”っていう人もいますがここ数年、カレー食べ歩きイベントの『下北沢カレーフェスティバル』も人気です(今年は10月10日から開催予定だそう)。カレーをだしていなかったお店も、このフェスの間はカレーメニューを出したり。ハシゴ酒ならぬハシゴカレーが楽しめるんです!」
ハシゴ カレーをしながら謎解き。
うん、なんだかとっても魅力的すぎるじゃないか!

7月27日、「TINY GARDEN FESTIVAL2019」が下北沢ケージに現る!?

さてさて、もうすぐ営業期間が終了してしまうケージだけど、終了するその日までは楽しいイベントが目白押し。実はURBAN TUBEを運営するURBAN RESEARCHも参戦しちゃいまーす。
7月27日(土)に、アーバンリサーチが毎年行う音楽イベント、TINY GARDEN FESTIVALのプレイベントが行われることが決定!
本イベントが行われる8月30〜9月1日の直前に、下北沢でTGFのワクワクするような雰囲気を味わうことができちゃいます。
去年のTGFで大好評だったほっほさんのスペシャルマジックショーをはじめ、キッチンカーやワークショップなど内容も盛りだくさん。
TGF常連さんも、ケージ常連さんも、どちらにも行ったことがない人もぜひ遊びに来て、下北沢でハッピーな時間を過ごしてください!
次回はそのイベント潜入ルポをお届けします。
開催日程
2019年7月27日(土)
開催時間
11:00〜20:00
開催場所
下北沢ケージ
入場料無料
※ワークショップにご参加される場合参加費を頂戴する場合がございます。
内容
・ ほっほさん マジックショー クロースアップマジック
・ Penfield ワークショップ・出店
・ COBMASTER ワークショップ・出店
・ 里山ハンモック ワークショップ・出店
・ LandSup アクティビティ
・ Lee ワークショップ
・ Alpaca Caravanワークショップ
・ ROSSO presents “John Derian” Garage sale
・ TINY GARDEN KITCHEN キッチンカー
・ TINY GARDEN FESTIVAL 2019 オフィシャルグッズ発売
… and more!!
※雨天決行 (天候によっては内容が変更・中止になる場合がございます)
> 詳しくはこちら

下北沢ケージ / ロンヴァクアン
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目6−2
営業時間 : <下北沢ケージ営業時間>
13:00-24:00
*開催のイベントによって異なります
<ロンヴァクアン営業時間>
17:00-24:00
*店内・店外客席ともにフード・ドリンクL.O.23:00
TEL : 03-6407-0707