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CULTURE TRIP SEP 05,2018

【ハッとしてグッドな田原市!】ネットサーファー、ついにサーファーになる。

サーフファッションが好き。波乗り的な音楽や映画も好き。もちろん海で遊ぶのも好き。だけどきっかけがなくて「サーフィンをやってみる」だけが未経験の人は多い。もしも遊びに行った先に、素敵な海があったなら。今度こそは思い切って波に乗ってみよう。


ネットサーフィンなら自信はあるんだけどね…

サーフィンはかっこいいよね。
…やったことはないけれど。

そういう人は多いですよね。もれなく「ネットサーフィンなら自信があるんだけどさ」なんていうジョークをつけて。

URBAN TUBEスタッフも半分以上はサーフィン未経験です。(そしてもれなくネットサーファーである)。

ファッションに関わる仕事柄、スタッフの“サーフィン愛”はとても強いです。
サーフファッションやサーフィンを題材とした映画やドラマ、音楽までカルチャーとして関わることは多く、ある意味“サーフィン”とは身近で、親しみすら覚える存在でもありました。

そう、ただ一つ残ったのは“サーフィンを実際にしてみる”ばかり。
そこで今回はサーフィン愛をコンプリートすべく、スクールに入ってサーフィン体験をしてきたいと思います。

さて、前回もお伝えしたけれど、サーファー達が移住してくるほど田原市とサーフィンの絆は深いんです。どのくらい深いかというと…

ジャーン!

ウエットスーツやボードは後述のミックさんが監修されたとか。細部までリアルです!

田原警察署のマスコットがウエットスーツを着てサーフボードを持っちゃうくらいなのです︎!!

愛知県の警察マスコットの「コノハ警部」ですが、ここ田原市の警察署のコノハ警部だけサーファースタイルなんですよ! 悪いことをしていなくてもなんとなく行きづらい警察署ですが、キュートでサーファーなコノハ警部がいるなら、ついつい会いに訪れたくなります。

01.警察署の入り口にもサーファーなコノハ警部! 
02.入り口にはジャンボスイカが飾られていました。なんでも来署者への交通安全啓発に役立ててもらおうと地元の農家さんから寄贈されたのだとか。ちなみに田原市はスイカも特産品です!
03.田原市は凧も有名。署内にも大きな凧が飾られていました。

見えない海の標識を知ろう

田原市には、美しい海水浴場はもちろん、有名なサーフポイントが何箇所かあります。なんと市役所のホームページにもサーフィンに関する情報が載っています!

初めてのサーフィン体験を前にドキドキしていたけれど、
「たくさんポイントがあるので、初心者もプロ級の人もそれぞれが楽しめるのがいいんだよ」と田原市を教えてくれたサーファーさんが言うので、きっと大丈夫。

おお! これがサーフボードかぁと初心者なりにテンションが上がりました。

今回スクール体験をしに行ったのはMIC GROWING SURF PRO SHOPという創立35年の老舗のサーフショップです。田原市の伊良湖と言われるエリアは特にサーフポイントが多く、その中でも広い海岸と力強い波が人気のスポット、ロングビーチ近くにお店があります。

お孫さんを抱いているのがミックさん。唯一マイボードを持っているスタッフには、ボードに滑り止めのワックスを塗る時のアドバイスもいただきました。

オーナーの加藤昌高さん(通称ミックさん)は、日本サーフィン連盟、オーストラリアのサーフィン連盟などを経て、ずっと独自ルールを採用していた日本サーフィンの基準を、国際基準に整えるために奔走したすごい人です。世界ルールを採用したことで、日本のサーフィンのレベルもぐんと上がったそう。現在はショップオーナーとしてだけでなく、日本で開催する試合に海外の一流選手を呼んだりと、プロモーター活動などもされています。

もちろんISAl公認インストラクター サーフコーチ(国際ライセンス)を持つなどサーフィンの腕前もすごいのですが、でも何よりもすごいと思ったのが、海での車上狙いを防止する活動、水難事故を防ぐなどの地域の安全のための活動を行っていること。「安全波乗隊」を地元サーファーを中心に結成して、長年伊良湖の海を健全に守っている人なんです。

少し話は変わりますが、10年ほど前にサーファーの知人に“サーフィンやってみようかな”なんて気軽に相談した時に、「サーフィンやるなら、どこでもローカルルールは守ろうね」と言われたことを思い出しました。その時は正直にいうと“地元ルールとかあるんだ。うわっなんか怖そう・めんどくさそう”と思って結局サーフィンをやるのを諦めたことがあります。
今回、ミックさんの活動や他のサーファーさんたちの話を聞くと、ローカルルールとは私が思い込んでいた「地元民の言うことを聞け!」ということではなく「(それぞれの)地元で安全に波を楽しむために」あるってことを知りました。

ミックさんは普段はニコニコしていてダンディで、すごく優しい人ですが、海で危険な行為をしている人を見ると鬼のように怒るそうです。

それは本当に危ないから。
当たり前ですがサーフィンの場合、相手は大自然です。
潮の流れ、風の強さ、波の大きさ。ポイントによってそれぞれ違う特徴があるし、そこにサーフボードという自然物ではないものを持ち込んで遊びます。
ぶつかれば怪我をするし、牙を剥いた自然の力には人間はかないません。
だからこそ、安全に遊ぶためのルールが必要ということ。

誰でも入ることができて、誰でも楽しめる海。

それを叶えるために、ミックさんをはじめ海を愛する地元のサーファーは、
「目には見えないけれど、安全のための標識」を海の周りに立ててくれている。
それがローカルルールってことなのだと理解できました。

ちゃんと胸に刻みたいと思います。

いざ海へ!! 伊良湖の波はでっかいどー!

こういったでっかい波を抜ける方法もちゃんと教えてもらえるので安心です!

ちなみにMICではウエットスーツもサーフボードもレンタルすることができます。
タオル・着替えさえ持参していれば手ぶらでOK(店内でタオルも販売しています。ほか、保険証などは別途必要になります。詳しくはHPをご覧ください)。

ちなみにロングビーチではコイン式のシャワーもあるし、トイレも完備でした。

さて、スクールにエントリーしたら、まず身長・体重を申告し、体のサイズにあったボードやウエットスーツを借ります。
実は以前グアムに行った時に、サーフショップでセールをやっていて「いつか着るかも」とフルレングスのウエットスーツを衝動買いしました。
帰国後家で着てみたら、着にくいのなんの。10分くらい悪戦苦闘してようやく着られたほど(脱ぐのにもまた一苦労)。

今回も「うわーまた大変な思いをして着るのか」と思ったのですが、ミックさんのサーフショップのウエットスーツはものすごく着やすい!
スルスルっとすごく楽に着られたので、“ウエットスーツを着る”初心者でもストレスなし!
(ちなみにあまりの着やすさに、MICでオーダースーツを作る人も多いんだとか)

「今日の先生は、海童先生と優光先生です」
いよいよ今日のスクールを担当する二人の先生を紹介され、緊張は高まります。

練習に使うのはソフトボードと言って、スポンジ製の軽くて丈夫なやつです。
浮力もあって乗りやすさも抜群なので、初心者にはかなり心強いボード。

ちなみに本日は、前回紹介したサーフィン準備室の一人、杉浦宏紀さんも一緒に参加してくれました。
「実は今日が初サーフィン体験なんです! トライアスロンやマラソンは経験があるのですが…」とこちらのスタッフ同様の緊張の面持ち。

各々レンタルしたボードを片手にいざ海へ!

と行きたいところですが、スクールではいきなり海には飛び込みません。
まずは準備体操の後、サーフボードの部位の名前や、砂浜で、砂を海の上に見立てて「テイクオフ」と言われる、ボードに立つポーズの練習をします。

このテイクオフの練習だけでヘトヘトでした。

「パドリング(両手で水をかく)して、両手をボードにつき、腕を使って体を持ち上げると同時に、利き脚の反対側の足を前に出しつつ立って。腰は落として…」

どうにも文字だとイメージが伝わりづらくて申し訳ないです。
(スクールでは動作ごとに見本を見せてくれるのでとてもわかりやすいです)

ヨガをやったことのある人なら、ベイビーコブラのポーズから、プランク、ダウンドックしながら片足を両腕の間に差し入れながら体を起こす、を同時にやる感じ。

…余計わかりずらかったらごめんなさい。

01.胸の横に手を付きます。
02.体を起こすと同時に足を前に出して腰をかがめます。
03.波に乗ったら、腰を落として弓を弾くようなポーズをとります。こうすることでスピードが出るんだとか。

初心者でも、砂の波の上で何度か練習すると、なんとなくコツみたいなのがわかってきました。

みんながコツをつかんだところで、いざ本物の海の中へ。

波は腰から胸の高さほど。足がつくので怖くはないけれど、次から次へと大きな波がやってきてその力強さに圧倒されます。

スクールでは先生が後ろからボードを押してくれるのでとりあえずは先ほど習った「テイクオフ」をいざ実践。

両手をバンッとついて…
同時に片足を差し込んで…
立つ!

奇跡的にも1回目で立つことができました(ドヤ顔)。

ドヤ顔してますが、99%は乗りやすいボードと先生の押すタイミングの良さのおかげっていうのはええ、ええ分かっていますとも。

それでも“波の上”に立って、そこからの眺めはなんとも言えず気持ちよかったです。

ですが、想像以上にものすごいスピードで板が走るのが怖くてすぐ落下してしまいました。

その後も、時々うまく立てたり、時々ボードの上に立つ前に転がり落ちたり。
先生の場所までパドリングをしながら戻る途中に力尽きてみたり。
そんなことを繰り返しながらも2時間みっちり練習しました!

01.先生が後ろから押してくれるので、自力で立つだけ! 
 02.バランス感覚の良いスタッフはすぐ乗れていました。
03.杉浦さんもコツをつかんだ様子。

一波一会

ともかく、スクールの2時間の間にすっかりサーフィンの虜になりました。

何が楽しかったか。
もちろん全身を使ってスピードに乗る爽快感も楽しかったし、波の上という高い位置からの海の眺めも素晴らしい。

でも個人的に一番ビビっときたのは、

「ひとつとして同じ波はない」。

と言うところでした。

今自分が乗った波は、世界でただ一つの自分だけの波なんです。
もしその波が気持ちよく乗れたら、それは私だけの気持ちよさ。

それがとても特別なことのように感じてすっかりはまってしまいました。

上手くなりたい、のもあるけれど
上手くいかなくても、それがとても面白いと思う。
うまくいかなかった波もまた、私だけの波。

ボードからころがりおちるのも案外楽しかったです。写真右は海童先生。今回の動画用のためにGO-PRO片手に波乗り動画を撮ってくださいました!

サーフィン準備室の杉浦さんも
「サーフィンをしている間は他のことが考えられないほど夢中になってしまいました。今度は準備室のみんなと来たいです」とすっかりはまったようです。

同じくこの日初サーフィンだったURBAN TUBEスタッフは「スクールで教えてもらうとすごくわかりやすくて面白かったです。ただ普段使わない筋肉を使うから早速筋肉痛ガガガガ」と生まれたての小鹿のように足をプルプルさせていました。かくいう私も足と腕がバラバラになりそうなほど筋肉痛ガガガガガガ。

今回、海の中の写真も欲しいと無茶振りをしたため、水中用の写るんですを片手にカメラマンくんも海の中へ。おかげで躍動感のある写真がいっぱいです。

海から生まれた生き物は、やっぱり海に帰りたくなるのかもしれない。

海童先生曰く、最近またサーフィンを始める人が増えて来ているんだそう。
「ロンハーマンなどのサーフィンカルチャーから影響されて始める若い人たちも多いけれど、昔のサーフィンブームの世代が定年を機に再び始める…という人も多いです。昔に比べてボードも進化して乗りやすくなったのもありますし」

その話を聞いて、以前出会った人のことを思い出しました。

少し前、バリスタのバイトをしていたのですが、ある年配のお客様が大きな本を大事そうに抱えてコーヒーを飲みに来てくれました。
少しお話ししていると、
「昔からサーフィンが好きだったんだけどね、今日は近くの本屋さんに往年のサーファーが来日しているんだ! どうしてもサインが欲しくてすごく早く来すぎちゃったよ」と。
抱えていた本はそのサーファーが書いた本なんだそう(当時はサーフィンとは縁遠い生活だったので、サーファーのお名前は失念)

“サーフィンといえば若者”、の勝手なイメージがあったので、正直、目の前のおじさまが波乗りしている姿が想像できなかったのですが、幾つになっても目をキラキラさせて楽しそうに語る姿がとても印象的でした。

確かにスクール中も、中高年のサーファーを見かけることが多かったです。
こうやって何才まででも楽しめる(同じ日には小さな子供も楽しんでいましたよ)スポーツっていいですよね。

そういえば生物の授業で、人間を含め生き物は“海”から生まれたと習いました。「母なる海」なんて呼び方をしますが、一度海の魅力にとりつかれるとなかなか離れ難くなるのは、そんな太古のDNAが騒ぐのかも。

サーフィンの世界大会までもうすぐ!

前回もお伝えしたように、サーフィンは2020年の東京オリンピックでも正式種目になったこともあり今、注目を集めています。
そんな中、サーフィンのワールドカップと呼ばれるISAワールドサーフィンゲームスの2018年大会がここ田原市の伊良湖で開かれます!

ちなみに2017年開催の世界ボディーボード大会(2017APBワールドツアー)も開かれたほど、波のコンディションにも定評のある伊良湖。
サーフィン大会も盛り上がること間違いなしです。

何と言ってもプロサーファーたちの選手たちのかっこいいこと!
健康的に日焼けしていて引き締まったボディとサーフボードだけを駆使してどんな波でも軽々と乗りこなす姿が目の前で見られるなんて初心者の私でもドキドキしてしまいます。

完全にミーハー気分ですがURBAN TUBEも大会本番お邪魔してきたいと思います! お楽しみに。

MIC GROWING SURF PRO SHOP

〒441-3502 愛知県田原市赤羽根町明神6-3
営業時間 : 8:30~19:00(通常営業)
8:00~19:30(夏季営業)
TEL : 0531-45-4577
URL:http://www.facebook.com/MicGrowingSurfProShop

2018 URBAN RESEARCH ISA WORLD SURFING GAMES (2018 ISAワールドサーフィンゲームス)

愛知県田原市
開催日時 : 平成30年9月15日(土)〜9月22日(土) ※予定
お問い合わせ : 2018 ISA ワールドサーフィンゲームス実行委員会 広報事務局 (株式会社ニブリック内)
担当:大⽵
Tel:03‒6264‒1621 (平日 10:00〜18:00)
Fax:03‒5825‒4811
E‒Mail:otake@niblick‒tokyo.co.jp
URL:http://www.wsg-tahara.jp/

PROFILE

松尾 彩Columnist

フリーランスのエディターとしてファッションからアウトドアまで幅広い雑誌・ムック・カタログなどで活動。現在はコラムニストとして主に旅紀行を執筆。小学館kufuraにて旅エッセイ「ドアを開けたら、旅が始まる」連載中

木村 巧Photographer

1993年茨城県生まれ。在学中より、写真家青山裕企氏に師事。春からURT編集部へ。

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