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FASHION SEP 18,2020

そろそろ丈を長くする。2つの丈、6本のパンツから考える秋コーデ

“トレンドはパンツの丈に表れる”といいます。わずか数センチにその時々の時代感が宿るもの。ショーツもオフシーズンとなりつつある今こそ、その正解を探ってみましょう。


パンツ丈の微差で着こなしの印象は大きく変わる

地域によっては最高気温が30度を下回る日が増えてきました。体感的にもスタイリング的にも、猛暑の心強い相棒だったショートパンツもそろそろ出番が減ってきていることでしょう。そうなると、ワードローブに秋冬用のロングパンツを加えていきたいところです。夏から秋への端境期となる今、どんなパンツを選ぶべきか。その答えは、“丈感”にあります。

素材も季節感を表現するうえでは重要ですが、脚が隠れるフルレングスを選ぶか、足首が見えるクロップド丈をセレクトするかで着こなしの雰囲気は見違えます。ここにセレクトしたのは、今季買い足すにふさわしいトレンド感も備えたフルレングス3本と、ロールアップによる調整も視野に入れた9分丈パンツ3本の計6本。自分にとってどちらが好みか、ファッションのプロの着こなしテクニックと共に見定めていきましょう。

基本のフルレングスは小技で遊ぶ。プロのスタイリングに見る、その着こなし方

靴に乗せるようにクッションを設けることでリラックス感を演出したり、ストンと落とすことで縦のラインを強調したりと、実は遊びを効かせられるのがフルレングスの良いところ。足首が隠れる分落ち着いても見えるため、大人の着こなしにも有用なんです。3本の新作に紐付くスタイリングから、そのテクを盗むべし!

アイテム 1:デイリーにガシガシはけるワークパンツを、フルレングスで

ハリ感があって、ラフにはけて、ちょっと太めなワークパンツはいつの世もメンズファッションの基軸。チノやカーゴパンツも良いですが、今年らしいリラックス感も演出するならこんなシェフパンツがおすすめです。素材はワークウェア然とした顔つきですが、ウエストがゴムなので履き心地は快適そのもの。ゆったりした太さと相性の良い、裾にクッションが入る程の長さなら持ち前の力の抜けた雰囲気もより強調できます。合わせるなら、ボリュームを抑えたローカットシューズがベターです。

[着用アイテム]
URBAN RESEARCH Sonny Label CHEF PANTS

“厨房でシェフが作業しやすいように”と作られたシェフパンツはストレスフリーながらタフさも兼備。色や柄のバリエーションも他のワークパンツに比べて豊富なのが特徴で、ついついこんなヒッコリーストライプも試してみたくなります。ヒップにゆとりを持たせつつ裾にかけてゆるやかにテーパードしていく形は、武骨さを程良く薄め、すっきりした空気を後押ししてくれます。

アイテム 2:とろみのある素材は、足元でクッションを持たせてゆったりと

ひとたびはけば着こなしに季節感を落とし込めるコーデュロイは、秋冬のパンツにうってつけ。アンコン仕立てのテーラードジャケットと合わせれば、エフォートレスで秋めいた雰囲気が漂います。脚の線を拾わないフルレングスのワイドシルエットなので、大人の余裕を感じるAラインシルエットを楽しめます。そんな太めコーデュロイパンツの丈は、フルレングスがおすすめ。足元に溜まったときに、美しい光沢を放ちます。

[着用アイテム]
SENSE OF PLACE by URBAN RESEARCH コーデュロイワイドパンツ

昨年の秋冬に『センスオブプレイス』から登場して大ヒットを記録したコーデュロイパンツが、サイズとシルエットを微調整して再リリース。トレンドを汲んだゆとりのあるシルエットと淡いカラーの相乗効果で、大人っぽい雰囲気を漂う1本に仕上がっています。やや畝の太いコーデュロイも、良い意味で“いなたい”クラシカルな印象。ベルトループ付きですが、ウエストにゴムが入っているので好きな丈感で着こなせます。

アイテム 3:脚長効果に期待。スリムパンツはフルレングスで“縦”を強調

ワイドシルエットのパンツがもてはやされがちな昨今ですが、普遍的な人気を誇るスリムパンツも着回し力において要注目。際立った特徴はないですが、その分ゆったりしたボーダーロンTも、はたまたかっちりしたジャケットも受け止める器の大きさがあります。トップスを主役に考えるなら、脇役として渋い働きをしてくれるのがロングのスリムパンツです。スラッとしたシルエットを強調するなら、足首を見せないフルレングスがおすすめです。

[着用アイテム]
Mt Design 3776×GRAMICCI 別注デニムMountain Pants

バラエティ豊かな『グラミチ』コラボですが、今年においては『Mt Design 3776』が別注をかけたこちらの1本がおすすめです。片手でも調整可能なベルトの仕様や180度自然な開脚を可能にするガゼットクロッチといった『グラミチ』らしいディテールを継承しつつ、コインポケットやバックポケットにリベットをあしらって、よりジーンズらしい表情を生んでいます。素材はストレッチ性により快適な着心地を約束するポリウレタン混コットン。スリムな形でも脚さばきは楽々です。

手軽にこなれを獲得。手っ取り早くおしゃれになるなら9分丈がキモ

足首が見える、それだけでなぜかおしゃれに見えるのがファッションの不思議なところ。シンプルな着こなしでも、パンツを9分丈にすることで洒脱な空気が生まれます。また、程良いハズし感が着こなしに柔和な印象と力の抜けた印象を与えてくれるので、ハードなアウターとの相性も良いんです。元から9分丈のパンツも良いですが、フルレングスを軽くロールアップすることでよりカジュアルな雰囲気が強調されますよ。

アイテム 4:ハードなイメージに柔らかさを生むアウトドアな9分丈

男らしさが際立つダブルのレザーライダースは存在感があり主張も強いですが、テイストも素材感も異なるアウトドアシーンでの使用を考えて作られたスラウチパンツが“ハズし”として抜群に効きます。全体で色を統一することで、テイストのギャップによる違和感も払拭。さらに、足首が見える9分丈なのもハードなイメージを和らげる要因に。硬軟併せ持ったコーディネートこそ、洒落見えする近道です。

[着用アイテム]
EKAL ストレッチスラウチフィットデニムパンツ

モデル名にある“スラウチ”とは、英語で「前かがみの姿勢・だらしない」という意味で、肩肘張らずにリラックスしてはけるパンツというニュアンスで使われています。腰周りはゆったりしていて、裾にかけてキュッとすぼまっていくシルエット素材にはデニムの名産地・岡山産のストレッチデニムを使っていて、脚の動きを妨げません。アンクルカットなので、ボリュームのあるシューズとも好相性を見せます。

アイテム 5:素材から軽快感を生み出すパンツは、9分丈ロールアップでこなれ感を

上で紹介した『Mt Design 3776』×『グラミチ』のパンツはスリムフィットでしたが、『アーバンリサーチ』とタッグを組んだモデルは、太すぎず細すぎないリラクシングなフォルムにアレンジ。タイプライタークロスのシャリ感ややさしい色味と相まって、肩の力が抜けた雰囲気を演出しています。ちょっとしたテクニックですが、パンツの裾をロールアップして足首を見せるとこなれ感が伝わります。こちらのコーデのようにパンツの色とメリハリを効かせたシューズやサンダルと合わせれば、より効果的です。

[着用アイテム]
GRAMICCI×URBAN RESEARCH TYPEWRITER STRETCH PT

友好的な関係を続ける『グラミチ』と『アーバンリサーチ』の2020年秋冬モデルは、素材にストレッチタイプライタークロスを採用。肌離れの良いドライな質感で、残暑厳しい9月から真冬になる手前までロングシーズンの活躍が見込めます。日本人の体型に合わせたテーパードシルエットやアンクルカットで、丈つめの心配もなくはいた瞬間からスタイルにスッと馴染みます。野外でのアクティブなシーンからビジネスカジュアルまで、幅広く使えるのが魅力でしょう。

アイテム 6:程良い武骨さが心地良い。ベイカーパンツはロールアップで軽さを演出

ワークパンツの中でもカーゴパンツほど男っぽくなく、ペインターパンツほどワーク然としすぎていない、グッドバランスなのがベイカーパンツ。フロントとバックに大きな外ポケットが付いているのが特徴で、クセが強すぎないのでワークウェアの入門パンツとして最適です。それがさらにテーパードシルエットであり、ロールアップされていれば“シャツイチ”スタイルをクリーンなムードに導きます。量感のある『ニューバランス』のスニーカーとも好マッチ。

[着用アイテム]
URBAN RESEARCH DOORS テーパードベイカーパンツ

パン職人(ベイカー)がはいていたといわれるベイカーパンツは、利便性を考慮してフロントやバックに大きな外ポケットが付いているという特徴があります。故にワーク感も強く打ち出せるのですが、こちらの1本は『アーバンリサーチ ドアーズ』の視点でよりモダンにブラッシュアップ。裾に向かってシルエットを絞ることですっきり見える、テーパード型に仕上げました。一方で、厚みのある13オンスのデニムと柔らかな風合いのカツラギの2種をそれぞれ素材に抜擢するなど、ワークウェアらしさは残しています。バックポケットのフラップには、古着のような挟み込みタイプのオリジナルタグをセット。

構成/TASCLAP編集部
執筆/名知正登

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