iI+iI People #4
スタイリスト濱本愛弓さんの“アイ”
iIディレクター兼URBAN RESEARCH BUYERS SELECT(URBS)レディースバイヤー森口愛が“いま気になる人”をお招きし、ゲストのパーソナル(i)や仕事・趣味などの(愛)を通して世界観に迫ります。
第4回のゲストはスタイリストの濱本愛弓さん。ファッション誌などで見せるモードでパワフルなスタイリングはもちろん、本人の私服やライフスタイルにも注目が集まる彼女に、プライベートで交流があるという森口がファッション愛やiIの印象についてお話をお伺いしました。また濱本さんがiIのアイテムの中から気になるものをセレクトし、私物とミックスして着こなしたセルフスタイリングもご紹介します。
※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行っております。
濱本愛弓さんの“アイ”(i=PERSONA(ペルソナ))
森口 濱本さんとは共通の知人の紹介で知り合い、フリーマーケットをやったりお食事に行ったりしていましたが、今日は改めてお話を伺いたく、ゲストに来ていただきました。
濱本 プライベートだと、こうして向き合って自分自身について話すことってあまりないから、今日は楽しみにしてきました。今日も森口さんらしいビタミンカラーのスタイリングが素敵ですね。
森口 濱本さんこそ、いつも私服がとっても素敵で……。お会いする度に、ファッションへの愛を感じます。でも、はじめは美容の道に進もうとしていたのですね。
濱本 そうなんですよ。美容師になりたくて、地元・大阪の美容学校へ進学しました。でもほどなくして、「自分はそこまで美容師になりたいわけじゃないかもしれない」と気付いてしまって……(笑)。卒業後はアパレル企業に就職。ショップの販売員を経験しました。でもその当時から人と同じファッションをすることに抵抗があって、だんだん違和感を感じるようになってきたんです。
森口 その当時から今の濱本さんのベースができていたんですね。そこからどのようにスタイリストになったんですか。
濱本 「人と同じ格好はしたくない」と感じて、モード誌をよく読むようになったんですね。そこで目にするファッションストーリーを作るスタイリストの仕事に憧れを持ち、上京を決意しました。お金を貯めるために会社員とバイトを掛け持ちした後に、運良くスタイリスト・仙波レナさんのアシスタントに就くことになり、4年勉強させてもらいました。
森口 さまざまな経験を経て、スタイリストの道へ辿り着いたんですね!
濱本 そうなんですよ。でもそのどれもが必要な経験だったなって思います。根底には、ファッションが好きだという思いがずっとあったから、頑張れました。
濱本愛弓さんのファッション“アイ(愛)”
森口 濱本さんといえば、ファッション愛に溢れたモードなスタイリングや大胆なアイテムをデイリーに着用しているのが印象的です。一見難しいアイテムもいつも素敵に着こなされていますが、何かスタイリングのコツはあるのでしょうか。
濱本 思い切ることですね!ドレスも好きですし、鮮やかな色合いのアイテムやコレクションアイテムも日常着として着ているので、やはり地元では浮きます(笑)でも堂々としていれば、慣れてくるもの。色使いや肌見せのバランスなどで抜け感を出すのも、自然とやっていることかな。自分のスタイリングや、今日のように私服を披露する機会を目にしてくれた人に、少しでもファッションの面白さを感じてもらえたらうれしいと思っています。
森口 きっとそういう人がたくさんいると思います。一緒にフリーマーケットをしたときも、濱本さんファンの方が多くいらっしゃって、影響力を感じました。ご自身がモデルになる機会も多くあると思いますし、ご自身のブランド「HIROSAI」のディレクションもやっていらっしゃいます。これからさらに挑戦したいことはありますか。
濱本 色々やらせてもらっていても、やっぱり私の軸は“スタイリスト”であることはずっと変わらないんです。この仕事がとても好きですし、スタイリストだからモデルもやらせてもらえて、スタイリストだからブランドもできている。肩書きを変えるつもりはありませんし、これからもスタイリストとしての仕事でさまざまな挑戦をしていきたいですね。
森口 好きなお仕事でご活躍されているのは、本当に素晴らしいですね。スタイリングや「HIROSAI」のデザインのインスピレーションは何から受けているのでしょうか。
濱本 花が好きなんですよね。花器も集めていて、必ず何かしら生活には花を取り入れるようにしています。色や造形から、たくさんのインスピレーションをもらっています。あとは海外のモード誌や写真集もよくチェックしています。
森口 Instagramや雑誌などで垣間見えるおうちのインテリアもとても素敵ですよね。最近のお買い物で、何か印象的だったものはありますか?
濱本 陶作家の林志保さんのオブジェを購入しました。展示をしていると知って、「この機会を逃しちゃいけない!」と駆けつけて、私からすると思い切った値段でしたが購入して良かったと思っています。
森口 ファッション以外でも美しいものを愛でていることが、濱本さんのスタイルを作っているんですね。お洋服で、好きなブランドはありますか。
濱本 「Dries Van Noten」はやはりずっと好きで、1シーズンに最低1点は必ず購入しています。鮮やかな色合いや大胆な花柄のテキスタイルには惚れ惚れしてしまいますね。
森口 お似合いになりそうです。毎日のお洋服は、どのようにして選んでいるんですか。
濱本 その日会う人やシーンもイメージしますが、一番は朝起きて服を選ぶときの直感です。ひとつ「今日はこれを着たい!」というアイテムを決めて、それに合わせてコーディネートします。ファッションって気持ちをアゲてくれるものだから、着ていてワクワクするような格好をしていたいんですよね。
森口 ファッション愛が一貫していますね。濱本さんの、iIの感想も聞かせていただきたいです。
濱本 森口さんのキャラクターがそのままお洋服に現れたような、明るくてハッピーな色使いに心惹かれました。ニットのアイテムもカラーバリエーションが豊富で、スタイリングを考えるのも楽しいですね。
森口 濱本さんにそう言っていただけるととてもうれしいです。今回は、セルフスタイリングをしていただけるということで、とても楽しみだったんです。それではそろそろお着替えをしていただきましょうか。
濱本愛弓さんのiIスタイリング
STYLE 1
濱本 ボディラインが出るお洋服が好きなので、まずはこのニットワンピースをシンプルに着てみました。他ではあまり見ない鮮やかな発色のピンクが良いですね。
森口 濱本さんのスタイリングだと、ニットワンピースもモードな仕上がりになりますね! 新鮮です。
濱本 クルーネックの首元には大振りなゴールドアクセサリーを。シンプルなお洋服もモードな印象に導いてくれるので、日頃からデコラティブなアクセサリーが好きなんです。
森口 裾からちらりと覗く花柄のブーツも素敵です。トーンの違うピンクのワントーンコーディネートですね。ブーツはどちらのものですか?
濱本 「Dries Van Noten」のものです。お洋服がタイトでシンプルなラインなので、ブーツでボリュームを出してみました。
STYLE 2
森口 iIのシャツのこんな着こなしがあるんですね。自分では考えない着方で、濱本さんらしく素敵に着こなしていただけてうれしいです。
濱本 良かったです!シャツは襟を抜いてうなじを見せる着方が好きで、普段からよくしていますね。首元のアクセサリーとスカート、シューズまでブラックのワントーンで仕上げたので、重くならないように肌見せを計算しています。
森口 大きく開いた背中やシューズのレースにドキッとしますね。肌を見せている面積はそこまで広くないのに、さすがです。
濱本 ヘルシーに肌見せすると、スタイリングに抜けが生まれるんです。
STYLE 3
森口 ニットのセットアップなのに、モード! 先ほどもおっしゃっていた、ヘルシーな肌見せですが何かポイントはありますか。
濱本 自分の体型をよく知ること、でしょうか。いやらしくならないバランスを、ご自身の体型に合わせて探ってみると良いですよ。このスタイリングではボタンの掛け方で、肌の見せる面積を調整しています。
森口 胸元を飾るアクセサリーやピンヒールなど、“ほっこり”しないポイントがたくさん散りばめられていますね。
濱本 大胆なアクセサリーや7cm以上のヒールが、私のスタイリングには欠かせないんです。今日はブラックの10cmのピンヒールですが、おっしゃる通りこれを合わせるとスタイリングが引き締まりますね。
森口 濱本さんの手にかかると、iIがモードに生まれ変わってとても楽しかったです。スタイリングにも、モードのヒントがたくさん見つかりました。
濱本 そう言っていただけて嬉しいです。私も、森口さんのお洋服を着られて楽しかったです。
森口愛から濱本愛弓さんへの“アイ”
思っていたとおり、iIのイメージをガラッと変えていただけて嬉しいです。濱本さんがスタイリングを終えられて、フィッテングから出てこられる度に、新しい世界をスタイリングから感じさせていただきました。モードかつ華やかで、真似してみたいポイントもたくさんあり、凝り固まっていた自分の趣向をほぐしていただき、パッと新しい扉が開けた気持ちです。女性としてかっこいいなぁと。(語彙力不足ですが)そして対談中のお話の中で、「わかります!」と共感できる部分がたくさんあり、ファッション業界での熱い気持ちや、ここまでの道のりなど、さまざまな経験をされているからこその言葉、多くの人に読んでいただきたい対談内容になったのではないかと思います。
フォトグラファー/紫前拓郎
スタイリスト・モデル/濱本愛弓
編集・取材・文/平井莉生