BUYER’S ReSEARCH Vol.0
＜ReSEARCH＞をテーマに邁進
初心を忘れず更なる進化を遂げていく

佐藤祐輔

2013年からバイヤー職に就いて今年で10年目。商品は「この人が作った洋服を着たい」という自分の直感を信じつつ、またデザイナーの思いやパーソナリティな部分を重視して選んでいます。初めの頃はどうしても、どういうものが売れるのか、お客様が欲しているものは何かを考えた際に情報過多になり、処理しきれないことも多かったのですが、今はお客様も買う理由や購入に至る動機を大事にされていると感じるので、例えば自分がデザイナーと共にどういう商品を作れるのかと考えたときに、自分の思い、デザイナーの考え、作るきっかけなど、主観的なストーリーが大切なんだと気づきました。

20周年のときはコミュニティビジネスを念頭に、人にフォーカスをあててコラボレーションし、よりパーソナルなもの作りを行いました。バイヤーズセレクトという、バイヤー自らが本当にいいと思っているものだけを集めたEC専用のレーベルを立ち上げたばかりだったので、デジタルとリアルの融合＝フィジタルリアリティなポップアップを行いました。現在はコロナ禍もあり、基本的にはオンライン上でものは容易に手に入る時代になりましたが、そのぶん、お客様が実際の店舗に足を運ぶ理由、フィジカルでどういうエンタメを求めているかを、より考えるようにしています。25周年のテーマ＜ReSEARCH＞では、アーバンリサーチを再解釈、再構築していくことを考えています。25周年という記念のバイイングなので、これからのアーバンリサーチを好きになってもらうための、ひとつの分岐点になるよう意識しました。

2020年から、ファミリーマートとアーバンリサーチでアーバン・ファミマ!!というコラボレーションを行っています。コラボ商品の担当や、店内のディレクションに携わりましたが、異業種と交流する中で、自分たちが持っていないノウハウだったりインフラを、どう自分たち流にアレンジしたりインプット、アウトプットすればいいか、考えるのがとてもおもしろく感じました。たとえば競合のセレクトショップと一緒にまったく違うことに取り組んでみたり、コラボレーションや働き方もそうですが、壁を取り払った、もっと自由で新しいチャレンジをこれからもしてみたいと思っています。

川畑幸美（さちみ）

バイヤー職は2019年4月から、今年で4年目になります。バイイングでは、売れるか売れないかということよりも、自分がシンプルに欲しいと思うものや〝かわいいな〟〝素敵だな〟という直感を大切にしています。そのために、とにかくリサーチして、感度を高める努力をしています。特に今は海外へ行けないのでトレンドをつかみにくいのですが、自社だけでなく他社のショップへも足しげく通い、いろいろ見て、少しでも気になればファッション以外のものにも触れ、少し遠出をしてみたり、人に会ったり、ごはんを食べたり・・・そういった些細なことのすべてがセンスに繫がると思っています。中でも特に刺激を受けるのは、お店に立って接客すること。お客様との会話や、身につけていらっしゃるものから、もっとこうしようという気づきや発見がたくさんあります。いい意味でリアルな現場なので、参考になることが多いですね。

コロナ禍での25周年という記念のバイイングでは、普段の洋服に加えるだけでぱっと明るくなるような、少しでも気持ちが高まるような色合いのものに挑戦しました。今までの普通が通用しない時代に突入してしまい、ものの売れ方やお客様のニーズも変わりました。そういうときに、自分がどういうものを提案すればよいのか、かなり悩みましたが、逆に経験してよかったと思っています。25周年のテーマ＜ReSEARCH＞には、原点回帰の意味が含まれますが、個人的には初心を忘れず、トキメキを失わないよう意識しました。そのなかでも自分の個性をどこかに出していけるように試行錯誤していますが、個性を出すというのも本当に難しくて。基本的にベーシックでクラシックなものが好きなので、そこに色なのか柄なのか素材なのか、独自のフックをスタンダードの中に加えていきたいと思っています。

今後は自分の世界観を洋服や雑貨だけではなく、空間でも表現できたらいいなと思います。空間は、よりその人となりが表れると思うので、お店全体のディレクションをしてみたいですね。そしてより価値のあるブランドにしていけたらと思っています。