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FASHION MAR 12,2022

AS2OV × EKAL スペシャル対談
共感し合う二つのブランドが見つめるもの


左上から時計回りに、UNBY 谷端 慎一さん、須藤 芙末さん、EKAL 平山 記子、坂上 法之

昨年3月に発売された第一弾では即完となった話題のAS2OV × EKALの別注アイテムが今年も発売します! 今回は別注の発売を記念し、AS2OVを運営するUNBY(アンバイ)のプレスルームにてUNBYの谷端さん、須藤さん、EKALの坂上、平山による対談を実施。今回のコラボのきっかけやAS2OVのものづくりへのこだわりなどをとことん深掘りしました!


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行っております。

レザーで防水? AS2OVのアイコンバッグをEKAL色に染めた別注アイテム

— 2度目となるAS2OVとEKALのコラボですが、コラボに発展した経緯やきっかけなどをまず初めに教えていただけますか?

坂上 もともとTINY GARDEN 蓼科を背景に、アウトドアシーン・タウンユース共に使える要素を取り入れたブランドとしてEKALを立ち上げるとなったときに、アウトドアを中心とした商材をアパレルをはじめギア関連も取り扱っていきたいというところで、UNBYさんにお声がけさせていただいたことがきっかけでした。

— EKAL立ち上げの初期に出会いがあったんですね。

坂上 その後、2020年の夏にTINY GARDEN 蓼科でAS2OVのポップアップをやっていただいたのですが、お客様からこのバッグの反応がすごくよかったんです。そのときはインラインの商品をセレクトさせていただいていたのですが、これは別注したいなと。このアイテムをEKALらしいカラーで作ってみたいと思ったのが別注の経緯ですね。

— AS2OVさんからみて、どういったところにEKALの面白さを感じていらっしゃったんですか?

谷端 実は僕らも兵庫県三田市にある青野ダムというところに旗艦店を作っていて、TINY GARDEN 蓼科でキャンプ場も運営しながら、お店を構えているアーバンリサーチさんやEKALさんに対して、面白いなと思うところや共感する部分がすごくありました。

— 別注アイテムは昨年の第一弾と同じウォレットショルダーと巾着バッグの2型となりますが、この商品の特徴についてご紹介をお願いします!

須藤 なんといっても、この見た目で防水というのが一番のポイントです。色をしっかり発色させるために染色を2回行っているのですが、通常この上から防水加工を施すと少しくすんでしまったりするんです。そういった変色を避けるために加工を内側に行うなど、デザインと機能性を両立するための技術的なこだわりが詰まっています。

— 少しくすみがかったスモーキーブルーがすごく綺麗に発色していますよね。カラーのこだわりについても教えていただけますか?

坂上 湖の「LAKE」を逆から読んで「EKAL」となっているように、TINY GARDEN 蓼科の情景である湖が僕らのブランドのテーマにあって、今回は湖の青と周囲の森林の色を混ぜ合わせて生まれた色としてスモーキーブルーを採用しました。実は別のブランドともこのカラーで別注のテントを作っていて、このバッグと同じ時期に発売を予定しています。

— 今日は実際に商品もご用意いただいているのですが、仕上がりはいかがですか?

谷端 インラインでもターコイズといったブルー系のカラーは出していたのですが、もっとパキッとした鮮やかな発色で、今回の商品のくすんだ感じやスモーキーさは素直にかっこいいと思ったのが第一印象です。

須藤 色味も落ち着いた雰囲気があるので、本当にどんなスタイルのお客様にも合わせやすいですし、どんな世代の方でも手に取りやすい気がします!

平山 女性目線でも色味の可愛さに目が留まりますよね! 私も初めてみたときにとても驚いたのですが、こういったスエード素材で防水というのはアウトドアはもちろん普段の洋服にも合わせやすいですし、突然の雨にも困らないので、男女問わずおすすめしたいアイテムです。

谷端 もともと僕らがスエードがすごい好きで、外でも気にせずに使えるものを作りたいという思いからこの商品ができたので、そう言ってもらえてすごく嬉しいです!

— タウンユースでもマッチするというのが魅力的ですよね。防水以外の面でのこだわりというのはどういったところでしょうか?

谷端 ウォレットショルダーはその名の通り、財布をイメージした作りとなっていて本体前面にコインポケット、内部には紙幣が入るポケットが2つ、カードが入るポケットが2つなど、細かな収納が充実しています。普段使いはもちろん、キャンプのときなどは使う分だけ入れておけばこのバッグだけで動けるので本当に便利です。

— フェスのときにも重宝しそうですね。

須藤 そうですね。あと、開閉部がベルクロになっているので、ドリンクとかで手が塞がっているときもパッと開けることができて、簡単に中身が取り出せるのがいいですよね。

— 確かにありそうでなかった機能が詰まっていて、さまざまなシーンで重宝されそうです。

谷端 うちのデザイナーが「こういうものがあったらいいな」とか、世の中にないというところからものづくりをする人で、AS2OVもそういった視点から生まれたものが多いんです。この商品もその一つ。バッグに財布をそのまま入れて出し入れするのが面倒臭いというところから、使う分だけ入れて身軽に動けるバッグが欲しいのに世の中にないというところから作ることになったんです。

— あったらいいのにが形になっていること、商品からもすごく伝わってきます・・・! こちらの巾着タイプは女性にも人気が高そうですね。

谷端 こちらはウォレットショルダーよりも大きいものが欲しいというリクエストから生まれたもので、手持ちもできて斜めがけもできるので自分の使いやすいように調整できるところが人気です。

須藤 持ちやすいサイズですが、絞らなければ化粧ポーチも丸っと入るほど大容量なので、荷物が多い人にもおすすめです。あとは、外側や内側にポケットがついているので、ケータイや小物も迷子にならずにすぐに取り出せます。

谷端 どちらのバッグもファスナーは止水ジッパーになっており、ドローコードにはオリジナルで編み込んだ組紐を使用しています。ドローコードのスライダーもストレスなくスルスルと調節できて、止めたい位置でスパッと止まるのも気持ちがいいですね。

— ショルダーの部分が補強されているので肩も疲れにくそうですね。

谷端 そうですね、コードだけだとやっぱり痛いですし、レザー部分も両面ともレザーだと摩擦を気にされる方もいらっしゃるので、裏側はテープに変えたりと見えにくいところも工夫しています。

坂上 いつもコラボのときにこのテープの色や側面のレザーの色は何色にしたら一番合うんだろうってすごい悩むんですよね。最終的に今回とてもいい感じに仕上がったのでよかったです。

須藤 EKALさんとの別注のカラーリングはいつも可愛いです。同系色とかを求めるバイヤーさんとかもいらっしゃるんですけど、EKALさんはちゃんとコンビにしてばっちりハマっているので、社内でも人気が高いんですよ!

使い込むほどに違いが出る、AS2OVのこだわりが詰まったアイテムを一挙紹介!

— AS2OVならではの機能性や考え尽くされたところにEKALのカラーなどのセンスが組み合わさって、ここにしかない商品ができているんですね。今日はせっかくUNBYさんのプレスルームにお邪魔しているので、EKALで取り扱いのあるAS2OVのインライン商品の特徴についても教えていただけますか?

谷端 分かりました! まずは、アルバートン キャンバストートからご紹介します。こちらは、1930年代にアメリカで実際に使われていたヴィンテージシャトル織り機で織り上げられた丈夫な生地が特徴で、裏地をつけなくても直立するほど打ち込みが強く、分厚いのでヘビーに使えます。キャンプのときってコンテナに道具を入れて持ち運びをされる方も多いのですが、意外と毎回綺麗に収納するのって面倒なんですよね。これだとそこまで気にせずに詰め込んで、そのまま車に持っていけるし、型崩れしにくいので車のトランクとかに荷物を詰め込んだりしても大丈夫。取り出しやすいように側面にフックがついていたり、地べたにどかっと置いても汚れがすぐに取れるように底にはPVC加工してあったりと細部にまでこだわりが詰まっています。

AS2OV CANVAS TOTE M ¥25,300 (税込)

須藤 Mサイズは取り外し可能な蓋がついているので、雨のときも中の荷物を守ってくれますし、中にも取り外せるポケットがついていてカスタムもできるので、そういう細かいところは女性にも嬉しいポイントかなって思います。

坂上 確かに! 僕はL.L.Beanのビンテージの大きなトートバッグを持っているんですけど、中がなんにもないんですよ。ポケットとかもなくって、そのまま入れるしかない。これを見たときにもちろん打ち込みとか生地の厚さとか、外側のPVC加工とかも気になったんですけど、実際にお客さまが使ったときの使いやすさとか、取り出しやすさといった細かいディテールがしっかりと考えられている商品だなと感じました。

— 収納もしやすいし、ガシガシ使える。使い込むほどに味も出てきそうですよね。では、こちらのバックパックとサコッシュはいかがでしょうか?

谷端 この2アイテムに使われているUNBY – TEXというオリジナルの生地は耐水性と耐久性の高さが特徴で、普通のビニール傘などは耐水圧性能が500mm以下と言われているんですけど、これは20,000mmまで耐えられるんです。さらに、サコッシュは中にもシームテープが貼ってあり、ファスナーは止水ジッパーを採用するという完全防水ぶり。また、ストラップの当て布にはゴムボートの側面に使われる素材を使っていて、この生地自体もすごく強いです。

— このロックもマグネットタイプで開け閉めがすごくスマートですね。

谷端 このドイツ製のフェデロックというパーツもこだわりの一つで、横からの力にはすごく強いのですが、外すときはワンタップで外せるので着脱しやすいのが特徴です。

平山 本当に簡単! しかも、両アイテムともとても軽いですね。

須藤 生地やマテリアルって防水にしようとすると、通常はビニールを上に重ねてコーティングしないといけなかったりするのでどんどん重くなってしまうのですが、これは特殊生地で三層構造のラミネートをしていて軽さと防水性を両立しているんです。

坂上 この商品はポップアップでもとても反応が多かったです。使い勝手のいい見た目だけでなく、細かいところまで深く考えられていて、副資材にフェデロックを選んでいるところやシームテープの使い方など、コストがかかっても分かってくれる人には絶対に伝わるという確信があるんだなと。僕自身、大阪にいた頃によく客としてお店に行かせてもらっていて、ものづくりをするうえでのお客様目線での意識の高さというのはその頃から強く感じていた部分ですね。

— スタイリッシュな見た目からは分からないほどさまざまな性能が詰め込まれているんですね・・・! 最後にこちらのプレートセットについても教えてください。

谷端 このシリーズの特徴として、メラミンという素材を使っていて、プラスチックよりも割れにくく、汚れがつきにくいというところでガシガシ使えるので、お子さん連れのキャンパーさんたちからもとても人気があります。

坂上 割れないし、軽いし、デザインもいいですよね。アウトドアのギアってかっこいいものが多いのに、食器とかはあまりデザインのいいアイテムに出会えないので、ついつい揃えたくなってしまうと思います。

AS2OV FOOD FC CAMPING MEAL KIT ¥12,980 (税込)

— こちらはメラミン素材のマグ、スープ皿、平皿がそれぞれ4セットとケースがセットになっているんですね。一揃いになっているところも特別感があっていいですね。

谷端 バッグだけでは売っていなくて、このセットを買わないとつかないのでそこも特別ですね。

平山 ファミリーキャンプみたいなイメージはEKALのお客様とも通じる部分があるので、ブランドにもすごく合うなと思いました。あと、セットになっているのがいいですよね。食器って一つずつ選ぶ楽しみもありますが、テーブルに並べたときのデザインに統一感があるとよりテンションが上がると思うので!

共感と相違があるからこそ調和する、二つのブランドのこれから

— 今回のコラボしかり、さまざまなお取り組みを経てそれぞれのブランドへの印象などに変化はありましたか?

坂上 個人的にUNBYさんのお取り組みの中でも衝撃的だったのが、兵庫県三田市にある青野ダムに旗艦店を作られたこと。うちもそうなのですが、実際に商品を使ったときにどうなのか、お客様がどう感じるのかをしっかりと体感して、そこからまた新たな発想に変えるというのはすごく似ている部分だなと思っていて。僕らもそういったフィールドを大切にしているし、おそらくUNBYさんも同じだろうなと感じていて、そこに強く共感しています。

谷端 そうなんです。昨年5月に兵庫県の三田市という市が持っている青野ダム記念館という施設を改装させてもらい、UNBY GENERAL GOODS STORE SANDAとしてオープンして、大阪にあった本社ごと引っ越しました。三田市と一緒に行う取り組みということで、ご近所さんも気軽に足を運んでくださっていて、ほのぼのとしたローカルな雰囲気のお店です。

須藤 本当に一面田んぼだらけのところにポツンとあり、クラシックな建物の目の前に千丈寺湖という湖があったりとどこか海外のようなロケーションです。田舎ならではの環境の中で、バーベキューやサップ、サイクリングといった遊びをお客様と共有しながら、ついでに商品を見ていってもらえるといいなというような遊びの部分が少し先行した空間になっていると思います。実際にアクティビティを通してうちの商品を使ってもらうことができ、このブランドはこういうところで使ってもらいたいと直接伝えられる店舗モデルができたので、それは私たちにとっても大きなことでした。

— そういったフィールドを持つという動きもアーバンリサーチとリンクする部分ですね。

坂上 合っている所は合っているけど決して同じではなくて、それぞれのブランドがちゃんと異なる個性を持っていて、お互いを共通認識できる。だからこそちゃんとブランドとしても取り扱いができるし、尊重できるのかなと思っています。

— 最後にお互いのブランドとしてのビジョンや、これからどういったことをお客様に届けていきたいか教えていただけますか?

谷端 今後のビジョンとして三田市のお店の関東バージョンを作りたいというのはあるので、また攻めた場所でご縁があるといいなというのはあるのですが、それ以外はあまり変わらないかもしれません。ものづくりの姿勢に関しても、どんどん新しいものを作っていくということはなく、デザイナーや企画チームが欲しいと思えば作るし、欲しいと思わなかったら作らないというのは結構徹底している。その一方で、アウトドアグッズの分野では自分たちが縫製までできるという強みを生かして、今までになかったアイテムを作るというチャレンジはいつも探しています。

須藤 カバンって毎日使うものも多いし、どんなシーンでもよき相棒のようになってくれる存在だと思うんです。だからこそ入り口はかっこいいとか、見た目のファッション感でも全然よくって、使っていくうちに使いやすさや日本人デザイナーならではの気の利いた部分を自然と分かってもらえたらいいなと思っています。きっとEKALさんのようにファッションブランドを通して知ってくださる方も多いと思うので、お二人のように背景まで理解してお取り組みしてくださる方達と一緒にやっていけるのはブランドとしてもすごく嬉しいことだなと改めて感じました!

坂上 僕らは、今ある長野県の茅野市という場所と地域密着型でしっかりと取り組みをやっていくということ。今後、その地域に根付いたお客様と一緒に施設とブランドを盛り上げていくということが変わらずに軸となっているので、そこに向けてこれからも走り続けていきます。そのうえで、ライフスタイルの中でのお洋服やアウトドアを楽しむこと、例えば、旅行にいくこととか、家で休むとといったときにもそれぞれのスタイルに通じたギアやアイテムを提案していきたいという思いがあるので、そこをちゃんと考えたうえでの商品構成ができたらいいなと思っています。さらにその中で、よりこだわりの詰まった商品をお客さまに一つ一つ知っていただけたらいいなというのが個人的な想いです。

平山 これまでアウトドアっぽさとか、言葉の表現としてなんでも“っぽさ”で済ませちゃうことが多く感じることがあったのですが、皆さんのお話を聞いて、本当にAS2OVはAS2OVとしてブランドの世界観に全くブレがなくて、芯があって、そういう何にも例えることのできないブランドの背景というものをとても感じることができました。EKALはアパレルを通じて、アウトドアなどを楽しみながら提案していきたいというブランドで、個人的には自然と街をゆるーくつないで距離を縮めていけるように提案をしていきたい。そこではAS2OVのような本物をしっかりと伝えていきたいですし、その魅力も伝えたい。蓼科のEKALやEKALを取り扱うアーバンリサーチの各店舗で、お客様にも本当に楽しみながら自分の好きなものを見つけていただきたいなと改めて思いました。

AS2OV
バッグブランドmaster-pieceデザイナーチームによって2013年に設立されたUNBYから立ち上げたバックブランド。名前の由来は、価値観の共有を意味する「A SHARED SENSE OF VALUE」から取った造語で、日本語の「遊ぶ」という単語にもかかっている。機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムが特徴で、コーディネートの一部として、ファッションとしてバッグを楽しむ日本独自のミックス感覚を活かしながらどんなファッションテイストの人たちにも手にとってもらえるようなデザインのバッグを世界に発信している。

AS2OV HP:https://www.unby.jp/
Instagram:@ as2ov

Photo/Takuro Shizen
Text/Mikiko Ichitani

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