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FASHION MAR 31,2022

ファッションを楽しみながら未来を考える。
MIDIUMISOLID × THE GOODLAND MARKET

手を通すだけでちょっと未来が良くなるかも・・・。そんな気持ちさえ纏うことができるGOODなコラボアイテムが、この春、誕生しました。社会環境に配慮したプロダクトを展開する「THE GOODLAND MARKET(ザ グッドランドマーケット)」が、ファッションブランド「MIDIUMISOLID」に別注。コラボだからこそ実現した特別なアイテム群を前に、THE GOODLAND MARKETの下間と、MIDIUMISOLIDからは榎本さんをお迎えして、その誕生秘話を聞きました。


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

コレクションはそのままに、新しい質感で

— まず、MIDIUMISOLIDはどんなブランドでしょうか。

榎本さん(以下、榎本) 自然から受ける力強さや美しさ、偶然の出会いから生まれる驚きやトキメキをインスピレーションの源に、ディレクターの“想い”を形にしていくブランドです。

— ブランド名の由来は?

榎本 MIDIというのがフランス語で「南方」という意味で、UMIが「海」。SOLIDがかっこいいとかそういったニュアンスです。リゾート感、リラックス感をスタイリッシュに、という意味も込められています。それを軸に、共感する人々がどんどん集まっていって発信していくというスタイルです。

— そんなMIDIUMISOLIDとTHE GOODLAND MARKET(以下、TGM)とのコラボレーションが発売されましたが、ラインナップを教えてください。

榎本 全11型作っています。MIDIUMISOLIDのコレクションデザインはそのままに、素材をオーガニックコットン、リサイクルポリエステルなどに変えています。コレクションをベースにしているからこそ、ファッションを楽しみながらちょっと環境のことを考えたり、サステナブルなことができる。そういう気軽さがコラボレーションの魅力になっています。

(右)リサイクルポリエステルを使用したセットアップ。「贅沢ですけどパジャマにしたくなる気持ち良さ」と下間。Vネックベスト ¥13,200 (税込)ショートパンツ ¥11,880 (税込)

下間 最初のコラボアイテムだったんで、型とかを変えたほうが別注感があるのかなって思ったんですけど、やっぱり榎本さんがおっしゃったみたいに「え、これで環境にも配慮できるんだ」っていう風に身近に感じていただきたくて、誰でも気軽に「おしゃれを楽しみながらでもできること」を今回の企画では提案しています。MIDIUMISOLIDさんとのコラボレーションだから実現できたラインナップになったと思います。

別注アイテムは素材だけでなくカラー展開も異なる。「MIDIUMISOLIDでは見られない色もあり、とても新鮮です」と榎本さん。(左)シャツ ¥16,500 (税込) (右)半袖Tシャツ ¥10,780 (税込)

— この11型のセレクトはどうやってしたのでしょう?

下間 もともとMIDIUMISOLIDさんに備わるシーズンレスでジェンダーレスという要素が、TGMとしても共感する部分ではあったので、みんながワードローブに1着持っていて、通年着回しがしやすく、流行り廃りがない、“永遠の定番”となるようなアイテムを1型ずつ選びました。

榎本 お客さまに楽しんでいただけるアイテムを選んでいただき、どんな生地が良いか考えていきました。デザインと生地ってほんとに密接なので、生地の風合いが変わるとデザインも相当変わって見えるんです。このテーブルいっぱいぶんくらいの生地を集めて・・・生地からデザインを考えることとは、また違った大変さがありました。

下間 たしかに(笑)。

榎本 でも、お客さまにコレクションのデザインを楽しんでいただきたいという想いから、それを実現させていくのは楽しかったですね。

— オーガニックコットンやリサイクルポリエステルって、その中でもかなりの種類の生地があるんですよね。

榎本 認証済みの中でもすごい種類があって。リサイクルポリエステルもリサイクルの背景までこだわって選びました。それだけでもすごい量なんですけど・・・。

下間 最近サステナブルって言われ出したこともあって、すごく認証の数も増えたんです。正直疑いたくなるような認証もあるんですけど、オーガニックコットンはGOTSの認証、リサイクルポリエステルはGRSという信頼性の高い認証がとれている生地から選んでいます。両者妥協しないところに着地できましたね(笑)。

榎本 本当にそうですね(笑)。

下間 価格帯もだいたいコレクションと変わらないのもすごい。今回の企画は価格の部分でもお客さまに気軽に感じていただきたくて、本当にMIDIUMISOLIDさんも一緒にめっちゃがんばってくれました。

初めて2人で話した時の衝撃が・・・

— コラボレーションのきっかけは何だったんでしょう。

下間 もともとTGMの代表とMother’s Industry(MIDIUMISOLIDの会社)の代表に交流があって、以前行かせていただいた展示会で代表同士で「やりましょうよ!」って盛り上がったんです。そこから私と榎本さんのやりとりがスタートして、最初はどういう感じでやっていこうか手探りでした。でも私が初めての打ち合わせのときにめちゃくちゃ熱く語ってしまって(笑)。

榎本 いや~、あれは僕にとってかなり衝撃でした。最初はトップの2人の話し合いだけで、なにか始まるなって予感だけの状態だったんです。だけど初めて下間さんと2人で話したときに、サステナブルとかTGMに対する熱量と想いがより理解できて、今となっては自分から熱い思いで参加しています。

— 衝撃っていうのは・・・?

榎本 サステナブルって言葉は知っていて、だけどすごく僕自身の中では窮屈なイメージだったんですよね。なんていうか・・・サステナブルを意識するといろいろ制限されるというか、もっと遠い存在に感じていたんです。やってはいけないことしか思い浮かばないというか。それが下間さんと話したときに、熱意もそうなんですけど、自由に感じたんですよね。“環境問題”という固いイメージだけでなく、考えながらこれだけ自由にできるよねって。こういう未来が待ってるならすごい楽しいよねって。そのときすごくサステナブルって言葉を身近に感じて。興味がないわけじゃなかったので、すごく衝撃を受けました。

— ちなみにこのバッグもコラボアイテムですか?

榎本 これはコレクションにない商品です。企画を進めていく中で何か特別なことがしたいなと思い、今回ゼロから作りました。

下間 最初は全然この形じゃなかったんですよね。

榎本 そうですね。最初はパッチワークでもなかったですし。

下間 MIDIUMISOLIDさんで保管していた残布を使って何かしたいっていう方向性だったんですけど、別案で進んでたんです。サンプル上げてこれでいこうかってなっていたときに急遽変更して。

榎本 ほんとにギリギリで。

下間 ね。デザイナーさんが。

榎本 最初のサンプルをディレクターに見せたときに、「いや、もっと素敵なものができるからちょっと時間をくれ」って。その後、完成したのがこのアイテムです。

— すごい、2人の熱い気持ちが伝染したんですね。

下間 このタイミングでその提案がくるっていうのにめちゃくちゃびっくりしたんですけど、最後まで妥協しないMIDIUMISOLIDチームの企画への想いであったり、このプロジェクトへの想いがないと生まれてこないものなので。本当にスペシャルなバッグに仕上がりました。それにコレクションの生地を集めてくるって、ちゃんと材料とかをコントロールしてないと難しいと思うので、しっかりとしたものづくりをされてるんだなって改めて実感しました。

榎本 このバッグに関しては、数量に限りがあるのがおもしろいと思います。本当にオリジナルの生地なのでもっとほしいって言われても、生地がないんです(笑)。

過去のアパレル作品の生地を使ったトートバッグ ¥10,780 (税込)

— 生地のパターンはこれのみですか?

榎本 今はこれだけです。この生地だからこの形というだけで、今後はベストな組み合わせでいけたらなって思います。企画に関しては、次は何が始まるんだろうと楽しんで待ってもらえたらって思いますね。

— ということは次もコラボがあるんですね!

下間 はい! 次シーズンもめちゃくちゃかわいくなりそうなんです。晩夏~秋立ち上がりくらいのアイテムなのでイメージはガラッと変わります。

やっぱり一番大切なのはハート

— MIDIUMISOLIDさんは、今まで環境問題などの社会活動をされたことはありますか?

榎本 企業としての取り組みのひとつで「ハートシェアリングプロジェクト」という活動を行っています。

— いつ頃からでしょう?

榎本 弊社の代表が3.11の震災が起こった日、ちょうど海外から帰ってきたタイミングで、日本の被災状況を目の当たりにして自分にも何かできないかなと思い立ったのがはじまりです。震災の翌月に寄付からスタートしてから今に至ります。「小さな活動からでもみんなの気持ちをつなげていきたい」そんな想いから始まっている企業としての取り組みです。

— オリジナルのプロジェクトなんですね。

榎本 あの震災って、人のつながりをすごく感じた瞬間だったなって。みんな協力したいけど、何をしたらいいかわからない状態だったと思うんです。自分たちにできることは何か、身近なところから始めてみようという想いからハートシェアリングプロジェクトを立ち上げ、取り組みを続けています。その時その瞬間、必要な人・場所によって、寄付活動も続けています。

下間 そうそう、今回のコラボアイテムのペーパータグでもハートシェアリングプロジェクトをご紹介させていただいていて。QRコードが付いてて、その動画がめちゃくちゃいい動画なんで、ぜひチェックしていただきたいです。

榎本 このハートシェアリングプロジェクトは今回のコラボレーションのもうひとつの軸ですね。TGMさんの環境に対する想いを受け、何ができるかを考えて出した発信のひとつです。

— これはもともとの商品には付いてないんですか?

榎本 付いてないです。

下間 (ハートシェアリングプロジェクトのことは)Mother’s Industryさんのオフィシャルサイトで探したら出てくる感じですよね。

榎本 そうですね。

— じゃあお客さまでも知らない方がたくさんいらっしゃいますよね、きっと。

下間 そうなんです。この機会にMother’s Industryさんが長い間すばらしい取り組みをされてきたことも伝わったらなって思います。

下間 ブランドとして、どういったアプローチで社会や環境問題・課題と向き合い、取り組んでいくかという点で、どんな企画であっても妥協したくないっていう思いがすごくあって。納得してないとやりたくないんです。でも初めてのときに榎本さんとすごくいいお話ができて、一緒に考えてくださって、MIDIUMISOLIDさんの取り組みのことも知って。3.11のときに代表が当時したいと思ったのと同じように、私たちも今ある課題や問題に対して、ファッションでできることをしたいなって思います。

— 妥協したくないっていうのは、ものづくり、気持ち、どちらの面でしょう?

下間 両方・・・だと思います。でも、まずは一緒に進んでいけるっていう気持ちが一番大事。そこからできることを探していくってなったとき、エネルギーもいりますし時間もかかりますし、根気強さが求められるので、やっぱりハートが一緒じゃないと続かないかなと。一番そこが大事なのかなって思ってます。

1日で木が生えるわけじゃないから

— 今後のMIDIUMISOLID × THE GOODLAND MARKETの展望は?

榎本 このご時世でどこまでできるかわからないですが、僕らが発信していきたいことを、よりもっとお客さまに伝わりやすくするためのイベントも開催できないかなと考えています。

下間 ハートシェアリングプロジェクトとかもそうなんですが、単純に販売してペーパータグでお伝えしてっていうより、やっぱりリアルの場でみなさんにお伝えしていくというのが一番伝わる方法なのかなって思います。あと今は生地替えでやってますが、今後はもっと違う形でやっていけたらなとも。

榎本 話すたびアイデアが出てきますよね、ほんと(笑)。

下間 いえいえ(笑)。実際それをいかに継続してやっていくかっていうのが大事で、お互い考えながらやっていけたらなって思います。

— ということは、プロジェクトは継続的に・・・?

下間 はい、続けたいなって思います。スピード感は具体的に決めすぎず、適度に。

榎本 環境問題もそうですけど、継続することが一番大事。今突発的にやって次やめました、だったら何も意味がない。1日で木が生えるわけじゃないですし、ずっと続けられることを考えています。

— お2人にとってサステナブルってどんなことだと思いますか?

榎本 難しい質問ですね(笑)。でもサステナブル=未来のことを考えるってことだと思っています。長く継続していくことがやっぱり大事ですし。ゴミを拾うとか、長く同じ物を使うとか、言えばそれはサステナブルですし。じゃあそれは何のためってなったときに、未来がよくなるためにっていうことなので、僕は・・・凄く考えたんですけど、それしかなかったです! すみません(笑)。

下間 私もこんなブランドに携わっているので、日々SDGsとか考えるんです。“Sustainable”ってもともと“持続可能な”って意味なので、榎本さんがおっしゃったみたいに、継続すること、継続できることをみんなでそれぞれの場所で考えて、取り組みを続けていくことなのかなっと思います。大きくいうと環境や社会に対してって話になりがちですが、身近な友達・家族・飼っている動物・育てている植物・地元の風景など、自分以外のところに思いやりとリスペクトの心をむけて行動を変えていく、それを継続していくっていうのが持続可能な社会への一歩なのかなって思ったりしてます。

榎本 MIDIUMISOLIDを購入された人にはずっと着て欲しいですね。ずーっと着られるんで。

— ずっと着られる、ですか。

榎本 合わせやすいデザインですし、あとは、そのお客さまが「着たい」気持ちに届くデザインを作っています。捨てられないものってあるじゃないですか。母親に「いつからの?」って聞かれる服がクローゼットから出てきたり、たぶんそれって思い出があるから捨てられないんだと思うんです。そういう風になっていったらいいなって思います。TGMさんは店頭のスタッフさんも熱いので、そうなるんじゃないかなって。

— 思い出があると+αがつくっていうのはありますね。

下間 私、めっちゃハイテク系を持ってそうにイメージされるんですけど、10年くらい前に友達から誕生日プレゼントでもらったコード付きヘッドフォンをずっと使ってて。お洋服もそういう風に楽しんでいただけたらうれしいです。

榎本 確かに、そういう服ありますね。はじめて原宿で買った服とか今も持ってますもんね。

下間 どんな服ですか(笑)。

榎本 すごく欲しくてがんばって買った服なんです。そういう思い入れがあるものって大切にしたくなるじゃないですか。

下間 わかる(笑)。アーバンリサーチでは店頭で衣類のお修理や染め直しやアフターサービスを受け付けていて、TGMで買っていただいたこの商品はお直ししていただけるので、そういったサービスも利用しながら、ずーっと長く楽しんでいただきたいです。

榎本竜斗(エノモト リュウト)
1991年生まれ、東京都出身。MIDIUMISOLIDホールセール担当。ちょうど2016年のMIDIUMISOLIDの立ち上げの頃にMother’s Industryに入社し、店頭で販売を担当した後現職に。

下間祥子(シモツマ ショウコ)
愛知教育大学卒業。2019年入社の3年目。KBFの企画を担当した後、2020年2月にSBU(Small Business Unit)部内のTGM事業部へ異動。入社前から環境や社会問題に対する意識は高く、TGMだからこそできることを常に模索している。好きなブランドはヴィヴィアン・ウエストウッド。趣味は畑活動。

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THE GOODLAND MARKET 堀江店
住所:〒550-0015 大阪府大阪市大阪市西区南堀江1-20-9
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営業時間:11:00~19:30 / 定休日:第2・第4水曜日

Text/Mio Wajima

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