<SDR通信Plus⑨>想いをのせて繋ぐ“古着バトン” 体験レポート
株式会社アーバンリサーチは、現在SDGs(持続可能な開発目標)に関連する取り組みを積極的に推進しています。その取り組み内容の紹介の場として始まった社内報<SDR通信>。本来ならお見せすることのない社内報ですが、その中から皆様に広く知っていただきたい内容を、メディアサイト独自の目線を加えた記事<SDR通信Plus>として不定期連載しています。
※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。
何かと社会環境問題として大きく取り沙汰されることの多い衣料品の廃棄問題。アパレル業界の企業責任が問われる一方で、国内で新規供給された衣料品の約9割が、家庭から手放されているという推計が2020年の環境省の調査により明らかになりました。(出展: 環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務 「ファッションと環境」調査結果)
株式会社アーバンリサーチ(以下、UR社)では、衣料品の循環を目指すため、2022年5月より古着の回収と販売を行う取り組み「古着バトン ※」を開始し、現在、お客様に古着の回収協力を呼びかけています。
今回はUR社のスタッフが「古着バトン」に参加する模様をお届けいたします。衣類の整理をする際に、ぜひご参考にしてください。
※ 古着バトン
「一般社団法人 ミライバトン研究所」によって国内の廃棄衣料問題の解決に向け立ち上げられた取り組み。この活動から得られるミライバトン研究所の利益は全て全国の児童養護施設で暮らす子どもたちの心のケア、教育・就業支援、居場所作りなどを行う「一般財団法人 みらいこども財団 」へ寄附される。
古着バトンへの参加は指定の「回収キット」を購入し、衣類を郵送するだけ。メッセージカードの同封ができるため、その服への想いや次に着る方へのメッセージなどを送ることが可能。
クローゼットで眠る服たち
今回初めて「古着バトン」に参加する、URBAN RESEARCH DOORS 二子玉川ライズ店 浪口 絵美。勤続年数は10年以上で、言わずもがな衣装持ち。衣類は収納スペースがなくなってきたタイミングで、古着屋へまとめて売りに出すことも多いのだそう。
「古着バトン」へ送り出す服たちを、一部ご紹介しましょう。
— もう着ない服を選ぶのは大変でしたか?
「私には中学生と小学生の子どもがいるのですが、子どもたちの幼い頃の服を3着と、私自身が着なくなった服を4着、計7着を選びました。子どもの服は誰かにあげようと別に保管していて、私の服も着られずにいたものをすぐに思いついたので、スムーズに用意できました」
— どんな服でしょうか?
「子どもの成長は早いので、あっという間に着れなくなるんです。このTシャツ(写真左)は、兄弟で着ていたもので、デザインが可愛いから捨てられなくて。それからこのスウェット(写真中央)も、兄弟で着ていたものですが思い出も多くて、知り合いにあげたいなと思って保管していました。よく見ると少し傷んでるんですが、まだ着られると思います。それからこのスウェット(写真右)は、色とデザインが可愛くて一目惚れで購入したのを覚えています。下の子が小学校低学年の時に2年間ほど着ていましたが、年がら年中半袖で過ごすような子で、雪の日でも、これ1着で過ごしていました。コート代わりでしたね(笑)」
— ご自身はどんな服を選びましたか?
「このシャツ(写真左)は季節の変わり目に使えると思って、当時勤務していた福岡の店舗で即決して購入しました。とにかく着まわしがきくし、使いやすいです。店頭でもたくさん着たし、なかなか手放せなかったです。もっと濃いカーキだったんですが、着すぎて色が全体的に薄くなっているような気がします・・・(笑)。このニット(写真右)は、私には珍しく色物に手を出して購入したものです。何年か着ましたが、おそらく自宅で洗濯した際に丈が縮んでしまい、自分の体型に合わなくなってしまったので、サイズの合う方に着てもらえたらと思います」
次に着る人へのメッセージ
「古着バトン」では専用のメッセージカードを使用して、次に着る方へメッセージを贈ることができます。何を伝えるかはそれぞれの自由です。
浪口のメッセージをこっそり覗いてみます。
“兄弟でたくさん着た思い出のスウェットです。大事に着ていただけたら嬉しいです。”
“色がかわいくて即決でした。1枚でかわいくまとまるので下に合わせるアイテムはシンプルで大丈夫です。”
と、思い出を振り返りながらペンを走らせます。
こうしたメッセージとともに、7着の服を指定の住所へと送ります。
想いのバトンタッチ
「古着バトン」へ送り出された服はミライバトン研究所で検品され、販売可能な服のみ店舗で販売されます。今回の7着は、URBAN RESEARCH Store 東京スカイツリータウン・ソラマチ店にて販売すると聞いた浪口は早速店舗を覗きに行ってみることに。店長 永田にそれぞれのメッセージやエピソードを直接伝えることができました。
さらに「古着バトン」の店頭での反応を教えてもらいます。
— 7着全て商品化されているようです。ご自身の服が店頭に並んだ感想はどうですか?
浪口 「正直値段がつかないかもしれないと思っていたので、こうしてきちんと商品化されていてびっくりです! なんだか不思議な感じですね」
— 「古着バトン」コーナーのお客様の反応はどうですか?
永田 「古着バトンコーナーに並ぶブランドは多岐に渡りますし、値段も通常商品より安価なものが多いからか、興味を持ってくださるお客様が多いです。取り組み自体、収益が支援を必要とする子どもたちの寄付にまわるという仕組みになっているのですが、その点についても関心の高いお客様が多いですね。取り扱いが開始してから数ヶ月が経ちましたが、販売も好調のため、現在は担当者をつけて商品管理をするようにしています」
— 浪口さんの服に込められた想いや次の方へのメッセージを聞いてみて、どんな感想を持ちましたか?
永田 「こうして服に対するメッセージや想いを直接聞くと、受け取り方も全然違いますね。今回提供してくださった服は全てURBAN RESEARCH DOORSの商品ですが、お子様2代にわたって使える丈夫さ。飽きがこないデザイン。これらのモノとしての良さも、浪口さんの想いと一緒にお客様に自信を持ってお伝えできそうです」
服に想いをのせて
— 「古着バトン」へ参加してみての感想をお願いします。
浪口 「衣料品廃棄の問題は、以前から自宅のマンションのごみ捨て場に大量の服が捨ててあるのを目にする機会も多く、いい思いはしませんでした。年齢を重ねている方って、モノを大事にするところがあると思うんですが、私の母や祖母もモノを捨てられない人で。特に祖母はモノをすごく大事に使うタイプの人なんです。私もその影響を受けてか、捨てられないタイプではあるんですが、“もっと大事に使う”というのを見習わなければならないと感じています」
— 今回提供した服は、次の方も大切に着て欲しいですね。
浪口 「今回の企画では、自身のクローゼットで眠っているものが、メッセージとともに次の方へ渡っていくという体験をさせていただきました。買ってくださった方に、大事にしていただけたら嬉しいです。そして、アパレル業界に勤めている方は眠らせている服も多いと思うので、ぜひ参加してみてほしいですね」
— 最後に一言ずつ、お願いします。
浪口 「この取り組みに参加することで、児童養護施設の子どもたちに、今までと違った何かが起きるかもしれないですよね。目に見えないかもしれないですが、私たちのアクションで何かひとつでも子どもたちに良い変化があればいいなと思います」
永田 「一人でも多くのお客様にこの取り組みを知ってもらうのが店舗での役割だと感じています。取り組みに参加された方々の想いのバトンを、私たち販売員が次の方へ繋げられたらと思います」
さて、こうして店頭に並んだ古着たちは、これから誰の手に渡り、どんなストーリーを刻んでいくのでしょう。季節が巡るとき、あなたも想いを馳せつつクローゼットで眠る服たちを呼び起こしてみては?
UR社では、現在衣類ごみの削減を目指すため、お客様に古着の回収協力を呼びかけています。指定の「回収キット」をご購入のうえ、ぜひ「古着バトン」をご利用ください。
あなたの大切な古着と想いを、未来に繋ぎます。