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FASHION DEC 17,2022

URBAN RESEARCHの25周年を記念したFREITAGとのコラボバッグが素敵すぎる

サッカー日本代表がW杯アジア最終予選を突破し、街ではポケモン、たまごっちブームに湧いた1997年。アーバンリサーチは、大阪のアメリカ村に1号店をオープンさせた。あれから25年が経過した今年、スペシャルなコラボレーションアイテムが発売となった。お相手は、もはやその歴史に欠かせないブランドでもあるフライターグ。そこで今回は、フライターグ セールスマネージャーの脇野友輔さんを迎え、バイヤーの村手、佐藤を交えたクロストークを実施。アイテムにまつわるさまざまなお話を語り合った。そこに感じられるのは、アイテムにおけるスペシャリティだけじゃない、ショップとブランドの理想的な関係である。


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

言葉の節々に感じられる互いへの敬意

ご存知のように、フライターグはスイスのチューリッヒに拠を構えるバッグブランド。素材は主に輸送トラックで使われなくなった幌(ほろ)なため、丈夫で、風雨や汚れに強くふたつと同じものはない。なによりアップサイクルの概念に基づくアイテム作りは設立当時から注目を集め、アーバンリサーチでも早くから取り扱ってきた。その始まりは、村手の前任者が買い付けを行ったところまでさかのぼる。村手は回顧する。

「たしか、2002年の渋谷店オープンのタイミングだったと思います。僕の前任が買い付けたのが最初で、そのとき、僕はまだ渋谷店で働いていました。実は、お店で取り扱う前から私物としていろいろ持っていたんですよ。それもあってか、やはり思い入れはありますよね。実際に本国の仕事現場にも足を運んでいますし、デザイナーのフライターグ兄弟ともお会いしました。アーバンリサーチの中では、もっとも長く取り扱っているブランドのひとつですから、どこよりもウチが理解している自負はありますね」

フライターグが設立されたのは1993年。国内初上陸を果たしたのは’96年のことである。以後、国内で徐々に知られた存在となっていくわけだが、その中で彼らが重視したのは独自のフィロソフィー。その点について、脇野さんは言葉に力を込める。

「まず、モノだけを売らない点にフォーカスしていますね。日本は、バッグにおいても世界有数の品揃えを誇り、いろんなブランドが参入している一大マーケット。そんな中でこんな使い古したような見た目で、しかも高額なバッグを誰が買うのか、となったときに、やはり伝える人がフライターグの正しいメッセージをしっかり届けてもらうことが重要になります。バッグだけでなく背景にあるストーリーまで持って帰ってもらうところを、僕らは重要視しているんですね。アーバンリサーチのスタッフさんは、洋服と着こなしにおける造詣も愛も深い。しかも、担当制という珍しいシステムにも相性の良さを感じました。専任の方を立てていただき、その方へ僕がレクチャーすることで一番のファンになってもらうんです。好きになると、自然と自分の言葉で伝えられるようになりますから。村手さんも佐藤さんもそうですけど、アーバンリサーチさんはそれを長い間、引き継ぎながら継続し、代は変われど変わらないストーリーをエンドユーザーに伝えてもらっている。フライターグとしては素晴らしいパートナーだと思いますね」

当時、公に環境への配慮を謳うブランドはそこまで多くはなかった。ただ、フライターグは頑なに創業当時の理念を貫き通し今に至る。まずはその点を知っておかないと、ブランドの価値を理解することはできない。「知れば知るほど好きになるブランドですよね」と佐藤。

「最初、全てを理解するのは難しいブランドだとは感じました。モノ作りから哲学から、背景に奥行きのあるブランドなので、アイテムを実際に使ってみるとどんどん知らないことが出てくる。だからこそ引き込まれるんですよね。スイスへ行かせていただいた経験もいい機会となりました」

「多くの方に伝えてもらうという意味では、パートナーはより重要な存在」と脇野さん。ただ、どこでもいいというわけではないと念を押す。

「やはり、信頼だったり伝える能力だったり、そのあたりがある程度担保されていなければお付き合いは難しいかもしれません。魅力的なスタッフが、魅力的な言葉で、魅力的な商品を伝えるというのは、どこでもできるわけじゃない。ありがたいことに多くの方からお声がけいただきますが・・・パートナーである取引先さんの選定はかなり慎重にやらせていただいています。ブランドとショップの関係において1シーズンだけ扱ってもらい、以降は関係が終了するケースをよく目にします。ただ、フライターグは長いストーリーを経てバッグになってさらに長いストーリーを紡いでいくわけですから、それを売るとなると長いスパンでお取り引きできることを感じられないとパートナーにはなれない。それはもう日本だけじゃなく世界共通ですね」

そして、両者の関係は今なお続いている。

妥協なき意志により生まれたスペシャリティ

そんな双方の関係値を表す例に、アニバーサリーアイテムが挙げられる。初めて試みられたのはアーバンリサーチ設立20周年。なので、今回が2度目になる。最初のモデルについて脇野さんは回想する。

「20周年のときにはケーキバックという名のミニショッパーを作りました。フライターグはケーキ屋さんではないので、お祝いのためのケーキは作れない。だけれど、お祝い用のケーキを入れるバッグは作れるよね、とのアプローチで、村手さんと相談しながら企画をスタートしました。実際にスイスにも来ていただき、アーバンリサーチさんのショッパーと近い色のトラックの幌を直接選んでもらいました」

話を受け、村手も「スペシャルでしたね」と当時を懐かしむ。

「ケーキバッグなんて、普通のバッグ屋ではなかなか思いつかない。そのアイデアやネーミングセンスが素晴らしいですよね。キャッチーですし、面白いし、楽しい。フライターグは、常にワクワクさせてくれるところも魅力としてあります。よりエモーショナルなストーリーがあるとそれ自体に特別感も出ますしね」

では、それらを踏まえ今回はどんなアイテムを製作したのか。担当した佐藤が説明する。

「最初はケーキバッグをまたできないかっていうところから企画はスタートしましたが、さすがに同じものを作っても驚きはないよねと。まずはコンセプトから詰めていきました。25年という時の中でアーバンリサーチもフライターグも独自の歴史があり、出会いや別れ、酸いも甘いも多くのことを経験してきた。そんなストーリーが人にもあるしトラックの幌にもあるよね、と脇野さんと話をしていて。本来は、同じトラックの幌からパーツをカットして一つのバッグが作られるんですけど、そうじゃないパターン、パーツすべてを異なるトラックの幌(異なる道、ストーリーを歩んできた幌たち)を組み合わせることにより25年という歴史を表現してみては? という発想から、クレイジーパターンで一個一個全く違うモノができないかと。そこで、シンプルなデザイン構造のマイアミバイスが、今回のコンセプトを表現しやすいのではと考えました」

アイテムのベースになったのは、インラインでも人気のF52マイアミバイス。そのチョイスは間違っていなかったと脇野さんも胸を張る。

「スイスのスーパーマーケットの袋をモチーフに作ったバッグで、’96年の初登場以降、形が変わっていません。とってもシンプルで、いろんなシーンに使える便利なバッグです。村手さんや佐藤さんをはじめ、アーバンリサーチのスタッフさんの多くが「持ってます!」と言ってくれる。みんなに愛されているモデルですね」

ただ、仕上げるまでにかなりの労力と時間を費やしたようだが、とはいえ「妥協はしたくなかった」と脇野さんは言葉を繋ぐ。

「佐藤さんとは、ただ物を作るのはやめようという話はしていました。25周年を表現する様にさまざまなストーリーを落とし込むべく、5枚の異なるストーリーを持つタープで作ろうと。でもそうなると、最初の生産工程であるタープを切るところから見直さなければいけない。スイスの現場からは当初、無理と断られました。彼らの声も理解できます。なにせ、非常に複雑で面倒な作業になりますから。ただ、根気強くミーティングを重ね、製作工程のルール作りから始めましたので時間はかかりましたね。結果として納期が年末ギリギリになっちゃいました、25周年の年に間に合って良かったです(笑)。完成したバッグを見たときは感無量でしたね」

「できないんじゃないかっていう話も出てたぐらいだったので」と佐藤。それほどにギリギリの中で完成に至った現状に安堵と満足感を示しつつ、そこにはやはり信頼があったと語る。

「僕らが生産の現場を見させてもらったからこそ、こういうことができるのではないかとか、もっとこうしたら面白いんじゃないかと思いついたところはありました。実際に見に行ってなければ、ほんとに普通のことというか、そういうものしかできなかったんじゃないかなとは思いますね」

脇野さんもこれまでの道のりを振り返る。

「会社と会社の取引ではありますが、やはり重要なのは人と人。最終的に突き動かしたのは、そこかなと感じます。スイス側も、一般的にビジネスライクな呼び方「Mr.佐藤」「Mr.村手」とは呼びません。“ケン”や“ユースケ”と親しみを込めて呼んでいます。それだけスイスの担当者も信頼をおいていますし、良い関係値ができている。ただ、僕もユースケで佐藤さんもユースケなんで、たまに会話が変なふうになっちゃいますけど(笑)」

スペシャルコラボ、三者三様の選び方と取り入れ方

やっとのことで完成した特別なコラボアイテム。今回は、その一部を前に各々好きなように選び、着こなしに取り入れてもらった。それがまた、三者三様で実に面白い。村手が選んだのは発色のいいイエローが気持ちいいモデルだ。

「色のバリエーションにブランドらしさを感じるので今回は鮮やかなイエローを取り入れた一品を選びました。ダウンベストと色をリンクさせてはいますが、色の印象が強い分、全体的にごちゃごちゃし過ぎるよりはトーンは抑えている方が大人っぽくなる。それに、フライターグの楽しさも同時に表現するならこんな感じかな〜と」

ストリート色をほのめかしながらも、幼稚に見えない気遣いが村手らしい。

「ストリートは僕の好きな部類でもあるのですが、ストリートすぎない方がいいとは思います。だからボトムスはスラックス。これが、デニムやチノパン、ワイド目のボトムス、カーゴパンツになってくると子供っぽくなっちゃうので。あくまで僕はモード、カジュアル、ストリートの中間ぐらいが好きだからそこを目がけた感じですね」

片や佐藤は、清々しいホワイトとブルーのマルチカラーを選んだ。

「僕はフライターグのアイテムでいくと白が好きで、ケータイケースもそうですけど白が入ったコンビの物を選ぶ傾向にあります。だから今回も。しかもこちらは、僕の好きなモダン、クリーンな洋服とウマが合う。発色のいいブルーだったりクラシックな色味だったりがフライターグらしいと感じるので、みなさんも自分のスタイルに合った一品を探してもらえたらと思いますね」

さらに、そのマルチカラーが着こなしにおいても威力を発揮するという。

「バッグ自体、前後で異なる色になっているので、どちらが表側に来るかで印象が変わって見えますよね。それがクレイジーパターンの良さでもあると思います」

そして、脇野さんが選んだのはやや落ち着きのある配色。そこにも彼独自の見解がある。

「スイスの人は日々のスタイリングで落ち着いた色の組み合わせを好む人が多い感じがします。そこへヴィヴィッドなカラーの小物、例えばフライターグを取り入れ、色で遊んでいる印象を受けます。自分も感化されてか、そんなスタイリングが多いです。僕は、この幌の風合いだとか落ち着いた雰囲気が、モノトーンスタイルのいいスパイスになってくれるかなと思いこの色を選びました」

たしかに秋冬カラーが全体にすんなり馴染んでくれる。

「ちょうど赤と茶色の中間カラーというか。青と赤のタープが、元々ヨーロッパでトラックに使われるタープの中では多めなんです。ブルーはクリーンなイメージがありますし、赤は警告色ですし、ストリートでもよく目立つんですよ。そういう色のパワーを利用するのもいいですよね。トーンやツヤなど、自分に合ったものを選ぶのは楽しいです」

マルチカラーでありながら、それがワル目立ちせずそれぞれの着こなしにすんなり収まっている。その理由を問うと脇野さんは「色味や汚れなどの適度な抜け感、風合いがいいのかもしれない」と話し、村手は「サラッと無機質な素材の特性がそう見せるのでは」と説く。それもまた、ブランドの強み。そして、両者の取り組みによるモデルは海外のバイヤーからの興味をひき、どうやって作ったのかとよく聞かれるそうだ。
そうなると5年後も期待したくなるのが人のサガ。ただ、3人ともどうでしょうね、と煙に巻く。ひとまず、次回作に期待しつつ、今は、出来上がったオンリーワンのアイテムを存分に堪能しようではないか。


F52 MIAMI VICE UR 25th anniversary edition
価格: 20,900円 (税込)
サイズ: 330 × 160 × 400 mm (L × W × H)
容量: 20 L

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