THE GOODLAND MAGAZINE Vol.07 THE RUGGY’S
サステナブルなハートを持ったGOODなアイテムをセレクトする<THE GOODLAND MARKET(ザ グッドランド マーケット)>。『アーバンリサーチ 堀江店』の1階の常設コーナーに、今年もかわいい“あいつたち”がやってきました。今回お話を伺ったのは、「THE RUGGY’S」を運営する「株式会社ヤギ」の上野さんと、アーバンリサーチで働いていた経歴を持つディレクターの喜多さん。元々交流があったというお二人に、作り手も買い手も自然と楽しくなってしまう、プロダクトづくりの裏側を聞きました。
こんなクリスマスがあってもいい。
クスッと笑えるネパールから届いたクラフトマンシップ
はじめに、ブランドが生まれたきっかけを教えてください。
ひとめぼれっていうのは…?
上野
温かいなって感じがしたんです。機械で作ったものとは違っていて、これをきちんと価値のあるものに変えていきたいと思いました。何より、パッと見て、「かわいい!!」って惹かれました。
それを喜多さんが形にしたと。
上野
そうです。喜多さんとは、アーバンリサーチに在籍されていた時からお付き合いさせていただいておりまして、当時からエコプロジェクトもご一緒させてもらっており、すごく尊敬している方でした。そんな喜多さんへネパール産ブランドを託したいと思い、お声掛けさせていただいて。心から共感できる、自分の思いやベクトルを向けられる人にって考えたとき、喜多さんしか思い浮かばなかったです。
クリスマスのアイテムでキーカラーがパープルですか!?
喜多
そもそもクリスマスって赤じゃないとダメなのかなって。そうじゃなくてもいいんじゃない!?っていうものを作りたかったんです。で、<ザ グッドランドマーケット>の掲げる“中性的な”という意味を込めたパープルに奇遇にもマッチしました。それに、クスッと笑えるクリスマスにもしたいっていうのがありました。
上野
こういうサンタもいるかもね(笑)っていうイメージですね。固定概念をなくして、いちキャラクターとして世の中に広めたいっていうことで、商品名もキャラクターの名前にしています。
喜多
赤じゃなくてショッキングピンクなサンタとか、ポップなサンタ。そんなキャラクターが住んでいるラギーズ村みたいな世界を想像して。
実際ピンクのサンタも取り扱いがありますが、売れてます。
上野
世の中にないものを作ったほうが反響があるときもあるんです。ないときはないけど…。
喜多
このサンタなんかはYEAH HO HOっていう名前で。アメリカエリア担当なんで、そこでスケートボードに目覚めたストリートサンタっていう設定で。ようはソリじゃなくてスケボーで移動するっていう。
なるほど(笑)! こういう笑いが起こることが大事ってことですね。
喜多
そうそう。大人も子どもと一緒に楽しんでもらったり。ただ使い捨てのオーナメントを安くで買うんじゃなくて、キャラクターを愛してほしいなっていう気持ちがあります。
上野
そのためにもパッケージにもこだわってて、持ち手があるから買ってお子さんがそのまま持って帰れますし、パウチで開閉もすぐできるから家でも保管できるっていうことも考えて。
喜多
パッケージもすごい悩んだんですよ。このパッケージはクリスマスじゃない時でもこの袋に入れてインテリアとして飾ってもらえるようにしてます。実際袋のまま飾っててもすごいかわいいんですよ。
このキャラクター設定は誰が考えたんですか? もしかしてお二人が!?
喜多
僕ら妄想癖があるんです(笑)。わりと時間かからなかったですよね。
上野
そうですね。わりとすぐ。
すぐできちゃうものなんですか?
喜多
なんか、わーってやってたら…
上野
なんか、できましたね(笑)
喜多
ね(笑)
これって絵を描いて渡してるんじゃなくて、もしかしてキャラ設定を渡してるんですか?
上野
そうです。
喜多
もともと日頃の妄想から形になったというか。雪だるまがアイスでもいいやんっていう、子どもだったら思い浮かびそうなことじゃないですか。大きい方が上にのってたらすぐこぼれちゃうとか…。現地含めメンバーみんなが童心を取り戻しながら作り上げた感じです。
上野
ある意味リフレッシュというか。仕事に追われる中でのこの時間…私からすると癒しでした。
楽しんでやってるのがプロダクトに現れてますよね。
喜多
うちの子どもに見せたら絶対笑うんですよ。カップルとかでもあげたら絶対ウケるし。クリスマスにちょっとユーモアを添えるというか。そういうものじゃないかなって思います。
ネパールの社会背景を知ったこともブランド立ち上げのきっかけなんですよね。
上野
私は仕事上海外出張が多くて、インドネシアだったり、ネパールだけじゃなくて他国の貧困や格差っていうのをひしひし感じてまして。そういった社会に対して、自分が何かできればなって常々から思っています。今回はネパールでしたけど、それで少しでも社会の問題が解決できるならって。
喜多
カースト制度の名残もあって、ネパールでは女性自体の地位が低いんですよね。
上野
働く女性が社会的立場として認められづらかったり。
喜多
それに国としても貧しい。向こうでは女性で技術を持った方がけっこう多くて。そういう技術を持った方に、継続的にやりがいを持って取り組んでもらえたらなと思います。
ラギーズのことを知って、ネパールの社会問題をちょっと調べちゃいました。
喜多
差別ってさまざまなケースや根深さがあって簡単に解決できる問題ではなく、宗教や歴史的な背景もありすごく難しいところだなとは思ってるところです。でも、少しでもそういった問題を自分なりに考えてもらえるきっかけになったならすごくうれしいです。
包装を「URテラス」で担当していただいているのも、新しい取り組みですよね。
喜多
最近、こういうパートナーシップもSDGsという意味で大事だと思うんです。アーバンリサーチの<ザ グッドランドマーケット>が「ヤギ」さんから商品を買う。それを「ヤギ」さんがアーバンリサーチの中の多様な就労機会を作る会社「URテラス」に依頼するっていう。この構図もおもしろいですよね。この中からも新しい価値が生まれるかもしれません。
上野
URテラスさんから作業するのが楽しいっていうお声をいただいていて。今年はないんですか!?って言ってくださったり。うれしくて、私たちの活力になります。
喜多
あとはネパールから届いてるっていうのを伝えたいですね。「Made in Nepal」っていうのを大きめに記載しています。よくある「生産国:ネパール」じゃなくて、現地の人たちが日本の僕らと一緒にラギーズっていうブランドをやってるんだって自信を持ってものづくりしてもらえるように…。
上野
ちなみに、見てもらったらわかるんですけど、フェルトだけじゃなくてYEAH HO HOのスケボーの車輪とかも全部手作り。ひとつずつくり抜いて…。検品基準はあえて厳しく設定していません。個体差もハンドメイドの魅力。今まで返品は一度もありません。
喜多
機械で作られてるんじゃなくて、人の手で作られてるということに魅力を感じて買ってくださってるってことなんじゃないかなと思います。
キャラクターがあるから、モノというより「この子」みたいな感じになるのかも…!?
上野
そうですね。だから違いをかわいさって思ってもらえるのかも。
喜多
これって難しいところですよね。「量産」という世界でいったらはじかれるのに、個性っていったらネパールの人もクラフトマンになる、評価をしてもらえるという。そういう価値が生まれるっていうのが紙一重でおもしろいなと思います。
キャラクターはずっと固定なんですか?
喜多
今のところ固定なんですが、これからはもっと増やしていきたいですね。
上野
あとはフェルトってクリスマスのイメージですけど、それこそ固定概念を覆していつでも使えるようなものっていうのを考えていきたいです。常に仕事があるっていうのは誰にとってもいいことだと思うので。
喜多
ラギーズは決してクリスマスだけのアイテムじゃないんでいろんなキャラクターやサンタを出していきたいですね。クリスマスに関連する現在のシリーズは「ウィンターキャストコレクション」と表記しています。
サーファーとか!?
喜多
サーファーね! そんなサンタがいても良いですよね。クリスマスじゃなくてもいいし。それに、海の生き物のフェルトっていうのもおもしろいかも。
上野
今はたくさんのキャラを作って、そのシーズンや年ごとに、今回はこのキャラって選んでもらえるように揃えていけたらなと思っています。
こういう風にみんな並んでたらわくわくしまね~。どの子を連れて帰ろうって(笑)
上野
目が訴えかけてきてますもんね。
最後に、<ラギーズ>のこれからの展開は?
上野
現地のリサイクルウールを使った商品を作れたらおもしろいなと思っています。あくまで展望ですが…。
喜多
ゆくゆく現地で仕組みを作れたら最高ですよね。あとは、フェルトの特徴を生かした何かをしたいなと。まだ秘密ですが、五感を刺戟する何かをラギーズでできたらなって思っているので、乞うご期待ください!
上野友幹
平成2年生まれ。商社「株式会社ヤギ」営業。<ラギーズ>の営業および生産管理業務を担当する。最近はLoopach(ルーパック)を使うことにはまっている。サステナブルとは「未来への恩返し」。今年のクリスマスは家族とパーティーをする予定。
喜多泰之
昭和62年生まれ。アーバンリサーチを退職後、「MILKBOTTLE SHAKERS Co., Ltd.」を立ち上げる。<ラギーズ>ではブランドデザインを担当。自宅の電気は「みんな電力」の再生エネルギーを使用。クリスマスの予定は家族とラギーズとおうちディナー。
THE RUGGY’S
HP : ruggys.stores.jp
Instagram @ the_ruggys
上野
私が元々お付き合いのあった会社さんがネパールのフェルト商品を扱われていて、それを見たときにすごくかわいくてひとめぼれとしたというか、忘れかけてた子ども心をくすぐられました…。しかもネパールの社会背景を聞いたときに、ネパール産ブランドとして広めたいと思ったのがはじめです。