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LIFE STYLE&BEAUTY MAY 08,2022

社会貢献をもっと気軽に。
新しい仕組み『Loopach』をみんなで考える

環境のこと、社会のこと、未来のために何かちょっといいことをしたい。そんな気持ちはあるけれど、何から始めたらいいんだろう? そんなあなたの心の芽を花咲かせてくれる、新しいシステム「Loopach」(ルーパック)が今、おもしろい。仕掛け人であるMILKBOTTLE SHAKERSの喜多さん、寺崎さんと、昨年8月から導入をスタートしたURBAN RESEARCH DOORSの武谷、今季別注アイテムも登場するTHE GOODLAND MARKETの下間が改めて対面。晴れの日のTHE GOODLAND MARKET 堀江店のテラスで、Loopachとは何ぞや? をみんなで話しました。


※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

エコバッグの先をゆく、Loopachとは!?

— まずは喜多さんにお伺いします。簡単に、Loopach(ルーパック)とは?

喜多さん(以下、喜多) ICOCAとか交通系ICカードに入っている電子タグが搭載された製品というか、仕組みそのものです。ちなみに洗えます。

— 洗えるんですね。名前は“Loop”というところからきてるんでしょうか?

喜多 そうですね。LoopとPackとTechでLoopach。実は最初は「Loopack」だったんですけどフランスに同じ名前のものがあって。いずれフランスに行くことがあるかもしれないし、Techのニュアンスが入ってるってことで「Loopach」にしました。

寺崎さん(以下、寺崎) 製品としては、アーバンリサーチ ドアーズ(以下、ドアーズ)さんとTHE GOODLAND MARKET(以下、TGM)さんで展開してくださっているバッグが3型あります。すべてに電子タグが付いていて、対象店舗でお買い物するときに仕組みを使えます。

奥左から、Loopach EcoBag L “Market Tote” ¥3,718 (税込)同M “Everywhere” ¥2,618 (税込)。手前は同S “Onemile” ¥1,628 (税込)
「マーケットトートは中に保冷バッグが入っていて、外と分離できて、外側が洗えるようになっています」と寺崎さん。
Loopachのタグ部分に電子タグが内蔵。

喜多 ユーザーはスマートフォンのLoopachアプリの中で自分で名前をつけて、その子を所有して管理できるような感じです。

— たまごっちとか、ポケモン的な!?

喜多 そうですね。バッグには名前をつけられます。ポチとか。まず無料でアプリをダウンロードできるんですが、ダウンロードすると「Loopach製品を登録する」というメニューがあって、そこでバッグなどの電子タグをスキャンすると所有したことになります。

寺崎 ドアーズさんやTGMさんのような加入店ではレジに端末があって、「レジ袋いらないです、Loopachで」と言っていただければ、Loopachをピッとスキャンできるようになっています。1回スキャンするとアプリ内で「この子がこの店で袋を断って使われました」っていうのが記録されて、ポイントとしてアプリの中に加算されるという仕組みです。

— なるほど。これが一連の流れですね。

喜多 はい。で、Loopachではこれをポイントと言わずフラワーと言って、花がもらえるデザインにしています。獲得したフラワーをためて、自分の関心のある・・・例えばこれはサーフライダーファウンデーションと言う海岸の環境保護団体とか、むすびえというこども食堂だったりとか、自分が興味、関心のある社会課題や環境問題に活動している団体に自分で寄付できるようになってます。

MILKBOTTLE SHAKERSの喜多さん。

— 自分で選べるってすごいですね。

喜多 そうですね、この仕組みは新しいと思います。アプリの中ではバッグが育っていく感じで、それこそたまごっちみたいに(笑)。

寺崎 最初は「スタンダード」なんですが次は「シルバー」にランクアップ。最終的には「ゴールド」までの3段階のレベルを設定しています。育てていくような感覚も得られるし、長く使いランクが上がるほど1回でもらえるフラワーが倍になっていくという仕組みです。最近はマップ機能を導入したので、近くの加盟店を検索できるようになりました。

— すごい!

喜多 僕らとしてはこの仕組みを使ってみんなで一緒に環境問題とか社会課題に取り組みたいっていうのがあって。例えばマイボトルとかマイカップとか、エコバッグとか、容器収納にまつわるものの代替製品に、このLoopachの仕組みを展開していくってことが目的です。・・・っていうこの流れって、説明するの結構難しいので、実はHowTo動画を作ったんです。

— 現在展開している加盟店はどれくらいなんでしょうか?

寺崎 全国で70店舗ほど。先日3店舗増えましたね。CHANTALさん(長野県茅野市)やKLASI COLLEGEさん(大阪市港区)。例えばTGMさんのつながりでご共感いただいた代官山青果店さんは代官山の本店で導入いただいていて、野菜を買ったらLoopachが使えたり。あとはヴィーガンクッキーのovgo B.A.K.E.Rさん(東京)で使えたり、grafさん(大阪市中之島)でも使えます。

MILKBOTTLE SHAKERSの寺崎さん。

エコを突きつめて気づいたこと

— 壮大なプロジェクトですが、きっかけは何だったんでしょうか?

喜多 2020年の7月からレジ袋が有料化になりましたが、その2年ほど前からなんとなく構想はあって。僕はアパレル企業さんが200~300集まるグリーンダウンプロジェクト*という、環境とファッションで新しい仕組みをつくるプロジェクトのディレクターを務めさせていただいていたんですが、この有料化のタイミングもあって、「うちのエコバッグ大量に売れる仕組みないかな」「サステナブルな素材でなんかいいアイデアないかな」っていうご相談を受けることが多かったんです。でも、それって本当にいいのかなって・・・。

*不要となった羽毛を回収し、きれいに洗浄・精製加工することで「再生羽毛」として羽毛循環サイクルを実現させていくプロジェクト。株式会社アーバンリサーチではこの取り組みに共感しプロジェクト発足当初から、Green Down Projectの一員として羽毛製品の回収とリサイクルされた羽毛での商品企画・販売に積極的に取り組んでおります。これまでの取り組みについてはこちらからご覧いただけます。

(右奥)URBAN RESEARCH DOORSの武谷、(右手前)THE GOODLAND MARKETの下間。

喜多 廃棄衣料の問題って、国連でも石油産業の次にファッション業界が地球を汚染しているとか議論されるくらいで、でも実際300円でエコバッグを作ろうと思ったら何万個とか大量に作らないといけないわけで・・・。環境に対してエコバッグってどうなのかなって。安くで売れても、業界として短サイクルを促すことになってしまう。それに例えば、今ここで売っているエコバッグでも地球の裏側で作られて縫製されている素材だと、何万回もレジ袋を断らないとエコバッグのほうが環境に優しいって言えないんです。企業のビジネス観点でみても、薄利多売から抜け出したいけど抜け出せない、という局面に来ていると思います。

左から、Loopach EcoBag S “Onemile” ¥1,628 (税込)同M “Everywhere” ¥2,618 (税込)同L “Market Tote” ¥3,718 (税込)

— 素材もこだわりが。

喜多 持ち手はオーガニックコットンを使っています。付属は強度と耐久性を検討しつつ、リサイクル素材を。化学染料で染めず、無染色白(Undyed White)で。本体の素材は生分解性のナイロンで、一定の条件下の土壌なら約3年で分解されます。こだわりを言い出すとキリがないですね(笑)。

寺崎 それにこれ、すごく小さくなるんです。

喜多 すごい軽いし。

— 空気くらいの軽さ。これで強度もあるんですね。

下間 これ私のです。

喜多 下間さんは自分で藍染めしてるんですよ。

— セルフ染めですか!? すごい!

下間 この電子タグもさすがに染めたら壊れるかなって心配しながら染めたんですけど、大丈夫でした。Loopachの素材表記はナイロンとなっていますが、植物由来原料のポリ乳酸が使用されています。本当だったらナイロンは染まりにくい素材なんですが、染められるんだったらもっとLoopachを長く使ってもらえるなって。選択肢が広がるなって試してみました。

喜多 TGMさんはこうやって新しいことを試してくれて、本当にありがたいです。僕らは製品を売りたいというより、スタイルとして「袋いらん、Loopach」っていうカルチャーがナチュラルになったらいいなって思います。

メリットは、“ちょっといいこと”

— ドアーズ、TGMから見たLoopachの魅力って何でしょう。

下間 汎用性がめちゃくちゃ高くて、いろんなことに使えるやんって思うんです。TGMでは食品の量り売りをしてるので、瓶とかボトルとか何度でも使える容器にLoopachの仕組みを使えるんじゃないかと。何より、それをポイントじゃなくて社会や地域に還元していけるっていう最後の着地点が素敵だなって思っています。

下間 Loopachを買ってくださるお客さんはすごくこの考え方に共感してくださる方が多いですし、増えてきている実感があります。若年層の方とか、お子さんがいらっしゃる30代の方を中心に共感の輪が広がっていってるなって。消費者の考え方が変わってきているので、いろんな企業さんにとっても、Loopachの考え方や仕組みを取り入れやすくなる時代が近づいてきてるんじゃないかなって思います。

武谷 ドアーズとしても寄付するっていう着地点が魅力を感じる部分で。実はLoopachが始まる前からエコバッグは2~3型展開していて、そのうえでLoopachの導入はどうしようかなって思ってたんです。でも単に環境負荷を減らす、資源を減らさないっていうところだけじゃなく、それに付随して寄付という循環する仕組みがあるというのがお客さまにも体感いただける一番のポイントで、導入を進めました。グリーンダウンプロジェクトや1% FOR THE PLANET*にも参加させていただいてて、もともとドネーションの文化っていうのがあったうえでLoopachの取り組み自体を受け入れるのは自然だったかなと思います。
*年間の総売上の1%を地球の環境保全のために活動する非営利団体へ寄付するプロジェクト。

武谷 世の中がサステナブルの関心が強まる一方で、スタッフが入れ替わったりとドアーズの中で環境に対する意識を見直したい部分もあったりしたので、Loopachを取り入れることで、これまでのドアーズの取り組みも踏まえて、スタッフに社会環境を考えてもらえるきっかけになればいいなって思います。

喜多 単純に、Loopachを持ってたらいいことができるっていう。それを発信することで輪が拡がり、社会を変える後押しになれば。最近「Loopachでちょっといいこと」って言ってるんですよ。これを持つことで自分が何かに貢献できるっていうことが、使うことの意味になればなって思います。

さあ、みんなでサステナブルを考えよう

LoopachのTHE GOODLAND MARKET別注Washing Loop Bag ¥6,820 (税込)

— これがTGMとの別注アイテムですか?

下間 そうなんです。Loopachの既存製品とは違う素材になっていて、Loopachさんが独自にリサーチされていたものを一足先に採用させてもらっています。

— ちょっとテカテカしてますね。

下間 これはトートバッグにもなるし、洗濯時に衣類から発生してしまうマイクロプラスチックの海への流出も防ぐことのできるウォッシングバッグにもなるアイテムです。

— ウォッシングバッグ?

下間 いわゆる洗濯ネットですね。海やジムなどに行ったりしたときに、中にタオルや服を入れたまま洗濯機に入れられます。で、ここが輪っかになっているんですけど、ヨガマットとかレジャーシートも入れられます。

— すごい! ジムとかヨガのルーティンに取り入れられたらいいですね。

下間 TGMはエコバッグはほぼ展開していないのですが、これだったらLoopachの仕組みを使って、TGMらしいエコバッグの提案ができるなって。他のブランドさんともLoopachタグを活用して、Loopachの仕組みを活かせる企画を一緒に考えています。こういう形で共感が広がって人と人がつながって、考え方がシェアされたらいいなって思いますし、ブランドとしても、Loopachの意義をしっかりと一緒に伝え、広げていけるよう取り組み続けたいです。

— これからのLoopachの展望は?

寺崎 カップや容器に付けられる防水の電子タグシールのようなものがリリースできそうです。マイボトルやマイタンブラーの底にLoopachのシールを貼って、そのタンブラーがLoopach化するものです。

— お店の方はリユースボトルの自社製品に導入しやすそうですね。

寺崎 そうですね。ビールやコーヒーなどクラフト系のショップさんから注目いただいてます。

喜多 あと、5月中あたりを目処に、おそらく大阪の一部地域のコンビニエンスストアで使えるようになります!

— コンビニで! すごい。日常的に使える場所であればあるほどいいですよね。

喜多 アーバンリサーチさんもやってるプロジェクトっていう理由で、他業種さんからの信頼にもつながったりして。うちとしてもありがたいです。

— 最後に。喜多さんにとってサステナブルってどういうことだと思いますか?

喜多 このLoopachをアーバンリサーチさんが導入して、まったくの新しい仕組みのものをこうして一生懸命動いてくださって、で、新たにまた違う業界が動こうとしてくれてたりして。このプロセスというか・・・。責任、レスポンシビリティっていうのが大事かなって思います。企業がちゃんと責任をもって調べて考えていくこと。下間さんだってこれが無駄にならないようにって、TGMでやる意味って考えて、責任をもって企画とか物事を考えてくださってる。これがサステナブルにつながっていくんじゃないかなって。10年後これがサステナブルだって神様じゃないから断言できないですけど、さまざまなデータや課題を見極め、今を責任もって考えていくってことじゃないかなと、思います。ごめん・・・めっちゃ語ってもうた(笑)。

一同 (笑)。

— 大事なことですよね。武谷さんは最近気づいたことだったり、Loopachを扱う中で感じたことってあったりしますか?

武谷 無理なくできることが一番大事って思うので、自分の生活の流れの中で取り入れられることが大事だと思います。TGMのウォッシングバッグみたいに、帰ってきたらそのまま洗濯ができて、とか、生ゴミを乾燥させてゴミの量を減らしたり、土に混ぜて還したりとか。いつもの流れの中でできることがサステナブルかなって思います。それを自分でチョイスできたらいいなって思います。

— 寺崎さんはどうでしょう。サステナブルって何だと思いますか?

寺崎 いろんな人がいるので、多様性も尊重しつつ、押し付け過ぎないことが大事かなって思います。これがこうだから絶対こうじゃないとダメ! じゃなくて、その人が生きる環境とか社会とか場所とかで取り組めることも違ってくると思うので、その人が心からよいと思うことで、なおかつ続けられることのほうが、各々にフィットするんじゃないかな。もちろん世界で解決しなければいけない課題や期限は決まっていますが、無関心な人でも続けやすい選択肢が多くあってもいいかなっていうのが、私の意見です。

— 見事な締めをありがとうございます。

寺崎 あ、そういえばTGF(TINY GRDEN FESTIVAL)が。

武谷 そうそう! 5月28日(土)と29日(日)にあるんですけど、Loopachさんにも協賛していただいていて。フェスに行くと入口でリーフレットをまとめたビニール袋を渡されるじゃないですか。それをビニールじゃなくてLoopachが搭載されたエコバッグを配ろうって。

喜多 で、使って会場のLoopachブースに来てもらえたらポイント(フラワー)を付けられるようにしてます。

武谷 まずはこの仕組みをフェス会場で気軽に体験して、楽しく貯めていただけたらうれしいです!

喜多 TGF、ようやく開催ですし盛り上がるといいですね。


Profile

喜多泰之(キタ ヤスユキ)
昭和62年生まれ。アーバンリサーチを退職後、「MILKBOTTLE SHAKERS Co., Ltd.」を立ち上げる。自宅の電気は「みんな電力」の再生エネルギーを使用。

寺崎美緒(テラサキ ミオ)
生活雑貨や工芸品を取り扱う会社で、企画展のディレクションやバイヤーを経験し、2021年より「MILKBOTTLE SHAKERS Co., Ltd.」に入社。モノを大切にする日本の文化をもっと日常にできたらと日々模索中。

武谷優子(タケヤ ユウコ)
アーバンリサーチ ドアーズに勤務して10年。なんばパークス店、堺店、札幌ステラプレイス店、グランフロント大阪店、西宮ガーデンズ店と転々と店舗配属を経て、現在ブランドPR兼サステナビリティ推進課として奮闘中。この夏は添加物フリーのお菓子作りにチャレンジ。

下間祥子(シモツマ ショウコ)
愛知教育大学卒業。2019年入社の3年目。KBFの企画を担当した後、2020年2月にSBU(Small Business Unit)部内のTGM事業部へ異動。入社前から環境や社会問題に対する意識は高く、TGMだからこそできることを常に模索している。好きなブランドはヴィヴィアン・ウエストウッド。趣味は畑活動。

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THE GOODLAND MARKET 堀江店
住所:〒550-0015 大阪府大阪市大阪市西区南堀江1-20-9
TEL:050-2017-9002
営業時間:11:00~19:30 / 定休日:第2・第4水曜日 ※月により変動する場合あり

Text/Mio Wajima

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