外部サイトへ移動します
LIFE STYLE&BEAUTY OCT 08,2022

かぐれとわたし Vol.02 渡辺敦子さん

かぐれにまつわる女性たちに、ブランドの魅力を改めて語っていただくとともに、その人の生き方や考え方に迫るこの連載。第2回にご登場いただくのは、かぐれを立ち上げた、元ブランドプランナーの渡辺敦子さん。「あの頃は、『かぐれ=私』だった」―そう微笑みながら話す渡辺さんに、昨年移り住んだ長野での暮らしぶりと、現在生業としている金継ぎのこと、また生活に欠かせないものとなっているというかぐれのコスメについて、お話をうかがいました。


東京から遠野、鎌倉、そして長野県御代田へ

窓の外には青々と茂る木々。渡辺さん一家が暮らす可愛らしい家は、しんと静まり返った森の中にあります。2008年のかぐれ立ち上げ時、コンセプト作りから商品のセレクト、表参道の店舗のディスプレイなどすべてを託され、まさにブランドの象徴的存在だった渡辺敦子さん。2015年にかぐれを卒業後、遠野、鎌倉での生活を経て、現在は長野県御代田町で子育てをしています。

「もともと学生時代から、イシューとしての環境問題には興味がありましたが、正直その頃は『地球と共生したい』というような大きな想いは持っていませんでした。意識が変わったのは、益子のスターネットというセレクトショップで働くようになってから。自分も里山暮らしをする中で、『勉強してきた環境問題と生活って、これだけダイレクトにつながるんだ』と思ったんです。その後、かぐれの立ち上げなどで東京で10年ほど過ごしたころに、地方への想いが再燃。ちょうど上の子を妊娠し、もうちょっと自然の多いところで子育てしたいという気持ちもありましたし、逆にいうと、出産直後くらいしか思い切った田舎暮らしはできないなと思い立ち、出産ひと月前に岩手県遠野市に移住しました。ただ、選んだ場所が相当山の中だったので、これが結構大変で。どれくらい山奥かというと、いわゆる上下水道が通っておらず、水道管が直接沢に繋がっていて、蛇口をひねると沢水が出てくるくらい! でも、どっぷり自然に浸かり、同世代の方々とコミュニティを作りつつ生活した4年半ほどは、とても実りの多い日々でした」

そのあと、自然と都会双方の魅力を持つ鎌倉を経由して、次なる暮らしの基盤として選んだのが、長野県御代田町でした。

「上の子の小学校入学を控えて、ここで学ばせたいという学校の近くに越して来ました。私は子どものころ、学校が大嫌いだったんです。教室の中で意味もなく座らされていたり、やりたくないことをさせられるというのがすごく苦手で。だから、自分の子どもには、子どもが子どもらしく自主性を持っていられる環境で学んでほしくて。今通っている学校は、その想いが叶う場所で、スタッフの方々も素晴らしく、自然の中で過ごせるので大満足です。それに、何より同じような想いを持ってこの地に集まってきた家族が多いので、価値観が近くて心地いいんです」

子ども大人も心地いい居場所づくりがしたい

そんな同じ志を持った仲間たちと一緒に、現在渡辺さんが力を注いでいるのが、「みよたの広場」という大人も子どももが遊べる場所づくりです。

「通わせている学校には学童がないので、放課後も仲のいい家族で交互に子どもたちを預け合っています。けれどやっぱり、1人で子どもを4人も5人も見守るのは大変! そこで、子どもを安心して遊ばせる場所をつくれば、複数の子どもたちを、複数の親でみられるのではないか、という考えに至ったんです。そういう場所があれば、子どもはのびのび遊べるし、親は大人同士の会話ができますしね。まずは更地だった場所に緑を復活させるべく、『大地の再生』というメソッドにのっとって、土壌改良するところからスタート。土の中に藁や落ち葉、枝などを埋め、水と空気の通り道をたくさんつくることで、土地自体が持つ力を再生させようとしています。夏にオープンしましたが、今は巨大なウッドデッキとカフェがあるくらい。いずれはトレーラーハウスをいくつか増やし、象徴的な盛り土部分には大きな木を植える予定です。この場所を存続させるには、広場をつくって終わりではなく、利用者みんなで運営するという仕組みが必要。例えば、カフェでは『見守りコーヒー』というものを提供しているのですが、これは子どもを一緒に見守ってくれる大人に、コーヒーを一杯無料でごちそうしますというサービス。ほかにも、薪ストーブを利用した暖かいベンチを設置したり、来る人が快適に楽しめる仕掛けをつくって、地域の人を巻き込んでいきたいですね」

ずっと好きだった「金継ぎ」を長野での生業に  

これまで、ブランドプランナーやコミュニティづくりの一員として活動してきた渡辺さんですが、現在の肩書きは「金継ぎ作家」。なぜこの金継ぎを、長野での活動の主たるものにしていこうと思ったのでしょうか。

「モノをたいせつにしたいという想いが根っこにあるのはきっとそうなんですけれど、もっと単純な“好き”の気持ちからというのが大きいですね。もともと学生時代から焼き物が好きでしたし、一人でちまちまと手を動かす作業が何より大好き。鎌倉に住んでいた時期にそのどちらの魅力も楽しめる金継ぎを趣味としてやっていたところ、コロナ禍で在宅時間がぐんと長くなり。家にこもってできるこの作業に、本格的に取り組んでみようかなと思い立ったんです。そのあと、長野に移ってみたら、この場所は鎌倉同様にこういうカルチャーを好きな人が多い場所だなと感じて。器を直してほしいとか、金継ぎのやり方を教えてほしいという依頼は増える一方です。この土地と金継ぎはすごく親和性があるみたい。今は、隣の隣の山小屋を借りてアトリエとし、そこで金継ぎ作業に没頭しています」

金継ぎが人と人をつなぎ、また人との関係を修復してくれることも

金継ぎというと、家庭で壊れてしまった器を預かり修復するのが一般的ですが、渡辺さんの場合、作陶家のアトリエに行き、焼きのタイミングでヒビが入ったり割れてしまったものを買い取り、それを金継ぎして商品として売ることも。

「私と同じように、廃棄予定の器をどうにか生き返らせて、誰かに届けたいと考えていた作家さんもいらして、ちょうどお互いのニーズが合ったという感じです。今の仕事は、スターネット、そしてかぐれ時代に培った作家さんたちとの“つながり”を、存分に生かすことができるのがうれしいですね。金継ぎをした器は、オンラインで細々と販売しているほか、ロンドンのジャパン・ハウスという日本文化を紹介するお店で取り扱っていただいています。日本で購入されるのは、やはりエシカルなことに興味があるという方が大多数。毎日暮らしの中で使ったり目に入るのが、リサイクルされたものだということに、大きなよろこびを感じてくださっているみたい。ほかにも、結婚祝いにいただいた大事な器を割ってしまったけれど、それを直すことで夫婦の中も修復できたという方も(笑)。そういう声を聴くと、改めて金継ぎをしていてよかったなと実感します」

御代田ではかぐれのコスメが前以上に必須に

昨年御代田に越して来た渡辺さん一家。現在は、年始にリフォームが完了した小ぢんまりとした一軒家で生活をしています。

「ここはかつて、美術評論家の故中原佑介さんの奥様が暮らしていた別荘だったそう。無垢材や漆喰を使ったとても趣味のいいおうちで、その雰囲気をそのまま生かしつつ、キッチンを広げたり、収納を増やしたりしました。今は子どもの個室がないので、気付けばこのキッチンや暖炉がある広いLDKに、家族全員が集まります」

そんなお気に入りのキッチンの脇の棚には、かぐれの定番コスメ「KAGURE holistic beauty」が。かぐれを離れてかなりの年月が経つ渡辺さんですが、いまだに毎日のように愛用しているもののうちのひとつが、このシリーズなのだとか。

「昔から、私の肌には化学物質が合わず、いわゆるケミカルコスメはダメ。怖がらずに使える化粧品が限られていました。そこで、安全性が担保され、効果もきちんと感じられて、しかも気持ちがいいものをほしいと、ナチュラルコスメプロデューサーの小松和子さんに監修をお願いしてスタートしたのが、こちらのシリーズです。遠野で過ごしていたときは、なかなか手に入らずほかのものを使った時期もありましたが、やっぱりほかのナチュラルコスメでは得られない満足感があります」

実は渡辺さん、もともと敏感肌だったことに加えて、長野に移り住んでからさらなる肌悩みを抱えることになったそう。

「実はこの御代田は、日本でもっとも日照時間が長い土地の一つで、とにかくお天気がいいんです。そのため、夏は紫外線の強さが半端じゃないし、冬の間は室内で湿度20%を切る日もあるほど空気がカラッカラ。“御代田砂漠”などと呼ばれることもあるほど(笑)。さらに、水道水は硬水なので、本当に肌が渇くんです。だから、前以上に保湿が欠かせなくなってしまって。常に手の届くところにこうしてコスメを並べて、小まめに肌をうるおすようにしています。インテリアにすんなりなじむパッケージもお気に入りです」

シンプルで潔いからこそ、使い方を調整できる

中でも特に手放せないのが、スマートフォンやパソコンなどのブルーライトなどによる光老化を防ぐ「IG ビューティーオイル」。

「いつもは、朝の洗顔をしたら、『KAGURE holistic beauty』のモイスチャーローション、ボタニカルエッセンス、エンリッチクリームを塗り、最後にIG ビューティーオイルをハンドプレスしてうるおいを閉じ込めるようにしていますが、ひどく乾燥を感じるときは、オイルを二度づけする『ミルフィーユ使い』を実践。洗った肌の上にまずオイルをつけて、そのあとローション、エッセンス、クリーム、そして最後に再度オイルを重ねるんです。こうすると、肌の水分が逃げず、しっとり感が長く保たれる気がします。また、日差しをたくさん浴びたあとは、化粧水をいつもより多めに肌に入れるように。このシリーズは、アイテムが少なくてわかりやすいからこそ、そんな風に肌の状態に合わせて、量や使い方を調整しやすいんですよね。ある程度、使う人に委ねられている点が、私には合っているみたいです」

わたしの「かぐれ」

IG ビューティーオイル
¥5,500 (税込)

> その他のKAGURE holistic beautyコスメシリーズ商品

ローションはかるめ、エッセンスは伸びがよいジェル状、クリームはコクがあってやわらか。アイテムによってさまざまなテクスチャーが楽しめるのも、このシリーズの人気の秘訣のひとつ。

「肌ざわりや香りって、とても大事な要素。植物の自然な香りや、肌の負担にならない気持ちのいいテクスチャーが、自分を癒し高めてくれるから、思わず使い続けたくなりますね。とても敏感だった私の肌も、10年近くこのコスメを持続して使うことで、リカバリー力がついてきた気がします。少し肌トラブルが起こっても、特別なことをしなくてもいつの間にか治るようになったし、加齢によるたるみなどはありますが、基本的に肌がとても元気に。これから乾燥と寒さが厳しい冬がやってきますが、かぐれのコスメとシルクインナーをお守り代わりに、健やかに乗り切りたいですね」

PROFILE

渡辺敦子(わたなべ あつこ)
Zen(繕)主宰。栃木県益子町の「STARNET」に勤務後、(株)アーバンリサーチにて「かぐれ」を立ち上げ、ブランドディレクターを務めた。
2015年、出産を機に岩手県遠野市に移住し、山暮らしを経験。鎌倉と遠野の二拠点生活を経て、現在は長野県御代田町に居住。
陶芸に魅せられ、関わること20余年。

> 公式ホームページ
Instagram @ zen.kintsugi

▼金継ぎ修理オーダー方法
ホームページからメールか、InstagramのDMにてご依頼ください。

取材・文/栗田瑞穂

page top