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粟野 龍亮 DEC 20,2021

半径30kmの生産者と僕たちがつくる「顔の見える食卓」


鹿肉を焚き火で。いのちをいただく。
参加者も生産者も、みんな一緒になって火を囲みながら。

晩夏にTINY GARDEN 蓼科で焚き火ディナーのイベントを行なってから数ヶ月。早いもので2022年がもう手の届く先に迫ってきました。春から毎週のように有機農家のもとへ通い野菜の仕入れを行なってきたのも11月末で終わりに。最後にもらった野菜を大切に保存しながら、今年のさまざまな出会いやイベントを振り返り、来年以降の食のあり方について考えています。

今回はイベント「顔の見える食卓」のレポートとともに、現在募集しているTINY GARDEN 蓼科のシェフに関する情報をご紹介していきます。

2周年を記念して開催した「顔の見える食卓」。旅する料理人 三上奈緒さんをゲストに迎え、TINY GARDEN 蓼科が日頃お世話になっている生産者たちと一緒に、参加者を招いて一夜限りの焚き火 ディナーイベントを実施しました。

ここで登場する食材はすべて、半径30km以内の顔の見える生産者から仕入れたもの。
鹿肉は信州富士見高原ファームさん。鹿の獣害問題の解決策として鹿肉の解体加工を行っており、今回は特別に一頭の鹿をいただき焚き火で丸焼きにしました。

野菜および米は種to菜園さん・オーガニックファーム88さん、東城高太郎さん。そして日本酒は宮坂醸造さん、クラフトビールは8peaks BREWINGさん、PECCARY BEERさん。会場演出を担ってくれたツリーケアーを生業とする木葉社さん、花屋のC23さん。

それぞれが個性豊かな生産者なのですが、共通するのがこの土地や自分たちの仕事に誇りをもち、常に新しいチャレンジを続けているということ。現地に伺い、話をしているとついつい長居をしてしまいお互いの好奇心が尽きないんですよね。もちろん彼らの生み出す素材は健やかで滋味深く、口にするだけでも魅力的。ですが、それらは作り手の顔が見えることでまたさらに豊かなものになるので、今回は生産者にも調理・盛り付けやトークの場で登場いただきながら、食卓を囲み、過ごす時間全体をオープンにしての開催にしました。

そして、僕らの想いをオーケストラの指揮者のように一つの食卓にまとめあげてくれたのが旅する料理人 三上奈緒さん。当日に至るまでに何度も施設に足を運び、一緒に生産者の元にも訪れて、丁寧にその土地の食材や人をよく理解し、リスペクトする姿勢がとても印象的。さらに今回は開催の可否が揺らいでいた状況の中でも最後までベストを尽くして食の時間をプロデュースしてくれました。この場を借りて、三上さんには感謝したいと思います。

TINY GARDEN 蓼科は自然を感じる空間があり、僕らスタッフがいて、地域の仲間がいることで初めて成り立つ。これは今も、これからも変わらないのだろうと熱い想いに浸った1日でした。

そして、そんな地域の心強い生産者と彼らの生み出す豊かな食材を今後も活かし、さらなる高みを目指していくために、現在TINY GARDEN 蓼科では新たなシェフを募集しています。

なぜこのタイミングで新しいシェフを募集するのか?
現在の若きシェフ田村がこの春に卒業し、薪焼き料理の本場スペインへと料理修行に飛び立ってしまうことになったからです。都内のイタリアン・フレンチ料理店で経験を重ねた彼は、Uターンでこのプロジェクトに加わり約2年。僕と共に食の生産地を巡り、地域で採れた四季折々の素材に向き合いながら、メニューや調理方法に固執せず、その日に集まった食材から着想し、素材の味を最大限引き出すことに重きを置いた今の食のスタイルを築いてくれました。

今回、シェフ田村にここTINY GARDEN 蓼科での仕事について聞きました。

Q: 都会にはない地方で料理する上での楽しさや学びは?
A: 生産者と近い距離でキャッチボールができることですね。今、お世話になっている「種to菜園」さんは70種類を超える野菜を作っています。毎週たくさんの種類の野菜を仕入れるのですが、その中には農家自身が使い方を知らない野菜もあるんです。それらを調理してみてコメントしたり、逆に初めて出会う食材は生産者目線で食べ方を教えていただいたりと、お互い知らないことを補完し合える関係性ができているのがとても面白いです。
また、少しでも生産者を応援できればと規格外の野菜を仕入れているのですが、味は変わららず野菜としての自然の姿なのに、見た目で価値を判断されてしまうことへの問題意識も高まりました。これは個人としてもこれから何とかしたい問題だと感じています。

Q: 戻ってきて感じるこの土地の可能性は?
A: 一般的に長野というとりんごや野沢菜、この辺だとセロリなどのイメージが強いのですが、レストランで好まれるようなコールラビやビーツ、根セロリ、コリンキーなどヨーロッパ由来の野菜が多いことに驚きました。それらが普通に産直で販売されていて、僕からしたら食材の宝庫というか。この土地にはポテンシャルがあり、料理人の活躍できる場所があるなと感じますね。

インタビュー内容は一部でいい部分ばかりを抜粋していますが、まだまだこれから成長していかなければいけない部分も多いのは現状です。夏の繁忙期と冬の閑散期では忙しさの差があり、宿泊者から地元および別荘住民までお客様の幅も広い。そして食材もシーズンによって大きく変化するので決してルーティーンワークが続く仕事ではありません。それでも生産者と伴走しながら自身の料理経験を活かして、常に新しい食の時間を提供し続けていけることには刺激や楽しさがあるのではないかと感じています。新たなチャレンジにポジティブな料理長を迎え入れ、TINY GARDEN 蓼科の食のプレゼンテーションをアップデートしていければと思います。

> 詳しい状況や内容に関してはこちらをご覧ください

最後に、2年続けてきてまだまだやりたいことはたくさんあるけれど、事業を続ける中で地域の生産者に対しても新たな変化のきっかけを与えられていることに最近とても心が熱くなりました。前述の通り、規格外野菜を仕入れて微力ながら有機農家を応援してきたこと、そしてイベントを通じて生産者同士の横の繋がりもできたことで、ある有機農家から嬉しい相談を受けました。

「獣害に悩まされているので今はズッキーニやトマトに絞って栽培しているのですが、今年はいろんな出会いをもらって考えさせられることが多々あり・・今一度原点に戻っていろんな野菜を作ることにしました。なのでできた野菜はぜひTINY GARDENで使ってください。」

生産者としてのビジネスチャンスを広げ、また作り手としてのモチベーションを引き出し、仲間の新たな一歩を応援すること。これが料理人ではなく、TINY GARDEN 蓼科で地域コーディネーターとして働く自分自身のやりたいことなんだと感じた、思い出深いひとときでした。

今後も場所も手段も、スタイルも問わず、さまざまなかたちで自然や地域のもつ魅力を共有していきたい。そのために一番大切な「食」という部門を担ってくれるパートナーを新たに加え、これからも小さな庭を耕していければと思います。

PROFILE

粟野 龍亮 TINY GARDEN 蓼科 企画・地域コーディネーター

東京都大田区育ち。2年前より山の暮らしに憧れて長野県茅野市に移住。
アーバンリサーチの展開する「かぐれ」に所属後、結婚・出産を機に三重県伊勢市へ移住し、旅行業界へ転職。その後、2017年に長野県茅野市へ移住して、地域おこし協力隊として行政と連携しながら地域資源を活かしたツアー企画を行う。2019年夏より古巣アーバンリサーチの運営するキャンプ場「TINY GARDEN 蓼科」の企画・地域コーディネーターに就任。

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