教えてかぐれ先輩!
愛着あるものを長く使うために、日々の生活でできること

お気に入りのアイテムを大切に長く使い続けたい。着心地がいいから、合わせやすいから、体にしっくりくるから、さまざまな理由でワードローブになっている。そんな愛着を持っているモノは毎日のスタイリングに登場する頻度も多いはず。できるだけ長く、お手入れをしながら使っていきたいですよね。
今回は、好きな状態のまま長く着続けるためのお手入れのコツを日々のお悩みも解消しながらお伝えしていけたらと思います。
これまでの「教えてかぐれ先輩!」の連載はこちら
> ゆらぎやすいからだと心に寄り添うかぐれのシルクインナー
> 知っておきたい天然素材のケア方法
疑問、お悩み相談者と解説者
相談者
西川
かぐれ先輩に教えてもらってからシルクやリネンなどの天然素材の魅力にどっぷりハマり中。今回はオールシーズン愛用しているリネンアイテムの正しいお洗濯や取扱方法について知りたいな。
松田
社会人3年目=かぐれ3年目ですがまだまだお手入れ方法は奥が深くわからないことだらけ。座談会初参加でさらに丁寧なお手入れ方法を先輩方にアドバイスいただきたいです!
武谷
回を重ねるたびにシルクインナー・衣類ブラシ・中性洗剤と着々とかぐれ先輩アイテムが増えていき、今回も満を持して参加。愛着あるものが多いので、今回も新たな発見が楽しみです!
解説者
井上
お気に入りの服が年齢と体型の変化とともにしっくりこなくなってきている今日この頃。変化を受け入れながらも愛用品をずっと着続けるための着こなしを模索中です。
先輩 この企画も第3回目となりました! みなさん、今回もよろしくおねがいします。
西川・武谷・松田 よろしくおねがいします!!
先輩 松田さんは今回が初めてですよね! よろしくお願いします。
松田 はい! 1回目、2回目と読んで、すごく勉強になりました。そして参加できるということでとても楽しみにしていました!
先輩 今回の企画は「愛着があるものを好きな状態のまま長く着るためには?」について。私の周りでも、“すごく気に入っていて着ていた服があっても、着ていくうちに好きな風合いじゃなくなってしまって袖を通さなくなった”ということを耳にします。愛着もあるし本当はもっと長く着たいのだけれど、といったお悩みって皆さんありますか?
西川 あります!! 私はリネンの服が好きで、夏だけではなくシーズン関係なく着用するのですが、お手入れの部分で悩みがあります。洗いざらしの風合いが好きで購入することが多いのですが、お洗濯後のバリバリのシワ感が気になったり、それをアイロンにかけるときれいになりすぎて残念だなーと思ったりします。買ったままの自然なシワ感でどうやったら着続けられますか?
先輩 きれいになりすぎたくない! というのがリネンの服ならではの悩みですよね。そのお悩みを解決していくうえで、まずリネンの特徴を知ってもらえたらと思います。リネンは吸湿性と耐久性が非常に高く、繊維が伸びにくいという特性があります。また、肌に触れたときにひんやりとした冷たさを感じられるため、気温が上昇する夏に好んで着られる素材のイメージが強いですよね。
西川 はい。強い素材というイメージがあります。デリケートなイメージはないですね。
先輩 ですよね。でもどのお洋服でもリネンであれば強い! ということはなく、織り方や生地の厚みによっても変わってきますし、ニットなどになってくるとデリケートに扱ったほうがいいものが増えてきます。
西川 ニットはデリケートというイメージがありますが、シャツ地のものはガンガンお洗濯できるのかな? と思っていました。織り方によっても違うんですね。
先輩 まずは、「洋服の洗濯表示を見る!」ということが大切ですね。
西川 前回、前々回でそこはしっかり学びました!!(笑)
先輩 リネンが強い理由の一つに繊維が短くハリがあるということがあげられます。繊維が長いものは柔らかく滑らかでシワになりづらいものが多いというのとは逆ですね。
先輩 西川さんの悩みの「いい感じのリネンのシワ感」を洗濯後にもつくるためには、脱水が1番のポイントになります。脱水時にシワシワになってしまうことが多いので「1分脱水」と「濡れ干し」がおすすめ! どういうことかというと、1分脱水はその名の通り洗濯機の脱水コースで1分脱水するということ。取り出すと、まだまだ水分がすごく残っていて干すと地面に滴るくらいかと思います。それが「濡れ干し」です。



西川 そんなに短くていいんですね。濡れたまま干すとどうなるのですか?
先輩 この濡れ干しですが、かなり水分を含んでいるので、強いシワなどもつかず干すことができます。水分の重みでちょうどいいシワの伸び具合になり、乾いたときには洗いざらしのいい感じのシワ感が残ります。肩が出にくいハンガーをつかって形を整えて干してくださいね。
西川 すぐにでもできそう!! やってみます!!
先輩 ぜひ試してみてください。リネンは日光で色が変化しやすいので、陰干ししていただくか浴室乾燥などがあると便利ですよね。私は夜のうちに洗濯してベランダに干して、朝1番で取り込んで室内干しに切り替えています。麻は吸水性も高いですが乾きやすいのもポイントなので浴室乾燥がなくても大丈夫ですよ。
西川 リネンの経年変化を楽しみながら、好きな雰囲気で着ていこうと思います!!
松田 リネンの悩みに近いかもしれないですが、私はワンウォッシュのデニムが好きでよく穿くのですが、あたりや色落ちが気になります。育てるという考え方もあるかと思いますが、なるべく変化させずに着ていく方法はありますか? 洗濯方法とか?

ikkuna/suzuki takayuki painter pants ¥33,000 (税込)
HARI×かぐれ RANCH PANTS ¥25,300 (税込)
コットンデニムイージーパンツ ¥14,300 (税込)
先輩 デニムの洗濯ってちょっと勇気がいりますよね。色落ちしやすいのは周知の事実だし、でも洗濯しない、というのも嫌だし。まず知っておいて欲しいのは、デニム専用の洗濯用洗剤があるということ。これを使用すると過度に色落ちするのを防いでくれます。
松田 そんな洗剤があるんですね。単品で洗うことはしていましたが、洗剤にはこだわっていませんでした。
先輩 そして必ず裏返して洗うということ。ベストは水で手洗いですね。なるべく衝撃を与えないほうが色落ちはしにくくなります。そういう意味では洗濯の頻度はあまり多くないほうがよいです。染料の特性上、直射日光も避けたほうがいいので、干すときも裏返しがいいですね。
松田 勉強になります! 畳むときが面倒くさいので、干す時は表にして干したいところですがこれからは裏返しのまま干します。
松田 他にはデニムは膝が出てしまうのが気になります。どうにかする方法はありますか?
先輩 パンツの膝抜け気になりますよね! 特にデニムは。さっき洗濯の回数は多くないほうが・・・と言いましたが、膝が出るのを防ぐためにはある程度の頻度で濡れた状態にしてあげたほうがいいです。
松田 色落ちをとるか膝が出るのをとるかということですか?
先輩 いえいえ、そんなことはないですよ。まず膝が出ることに関してはデニムのシルエットにもよると思います。細めのシルエットだと歩くときや座るときの屈伸で膝に負担がかかりやすいですよね。逆にワイドなシルエットだとそんなことに干渉されづらいです。
先輩 膝が出やすいシルエットのものを着用する場合は、明らかに“めちゃくちゃ膝が出た”となる前に「水洗い」をしましょう。このとき汚れが気にならなければ洗剤を使わなくてよいです。織物は濡れた状態になると、着用時の負荷で緩んだ箇所(=これが膝が出る原因)が元の状態に近づきます。これも“めちゃくちゃ膝が出た”までほったらかすと繊維自体が伸びてしまって戻りづらくなるのでご注意を。
松田 水で洗えば色落ちはしにくいってことですね!
先輩 そういうことです! 干すときも少しポイントがあります。パンツは腰の部分を上にして干すことが多いと思いますが、裾口を上にして干すとデニム自体の重みで脚の部分がきれいに伸びた状態になります。乾いたときに膝のシルエットもより気にならなくなりますよ。




松田 ひと手間かけることが重要ですね。まだ買ったことはないのですが生デニムも同様ですか?
先輩 いわゆるリジットデニムですね。またこれはちょっと扱いが違います。洗うことでの変化がとてもあるので、“どういう風に穿いていきたいのか”で扱い方が変わってきます。まさに育てるといった感じですね。
松田 なんだかまだ手が出せなくて。育てるというのもピンとこないです・・・。
先輩 今後すごく気に入ったものに出会ったときに向き合ってみるといいかもですね! 育て方の相談にのりますよ。
松田 そのときは相談させてください!
武谷 私の悩みは革靴についてです。表革の靴が好きで、一通りのお手入れはしているのですが、あっているのかな? ということと、頻度はどれくらいがベストなんでしょうか? 少しでも長く履きたいと思っています。

先輩 お手入れはどうされてますか?
武谷 汚れを柔らかい布で落として、靴用のクリームを塗って防水スプレーをしています。
先輩 丁寧にお手入れされてますね。全ての革靴に共通する完全マニュアルというものはないのですが、まず買ったときに乳化性クリームをしっかりと塗り込むのは大切ですね。新しい靴は革が乾いている状態にあるので、乳化性クリームをムラなく塗り込み、余分な油分は拭き取った上から防水スプレーをかければ膜となって保湿効果も保ちつつ汚れも防げます。肌と同じで保湿されている状態が続くことが劣化や履きシワを防ぐ重要なポイントです。
先輩 靴は着用によるストレスをいたるところから受けます。外からはホコリや汚れ、雨などの水分。内側からは歩くときにかかる足からのストレスや汗。1回履くだけでさまざまなストレスが一度にかかるので、できるだけ3日は開けて使用するのがよいでしょう。
武谷 やっぱりそうですよね。改めて言われると履く頻度は気をつけなくちゃと思いました。
先輩 お手入れをする頻度ですが、①ブラシでホコリを落とす ②クリーナーで汚れや古いクリームを落とす ③乳化性クリームを塗り込む ④油性クリームで艶出し(補色)、といったスペシャルケアは履く頻度にもよりますが週に1度履くくらいであれば月に1度行えば優秀だと思います。私は日々のお手入れとして、ホコリを専用のブラシで落として変なシワが入っていないかを確認しています。黒い革靴が好きなので、ツヤ感がなくなってきたら乳化性クリームとは別で黒い油性クリームも塗り込みブラシで仕上げてツヤを出します。




武谷 防水スプレーは履く前に毎回したほうがいいですか?
先輩 防水効果、防汚効果の持続性に関しては、使用するスプレーの種類や靴を履いた状況によって左右されます。なので状況に応じて使用するほうが良いですね。防水スプレーは薄い膜を作って汚れや水分を防いでくれるのですが、その前に必ず汚れを落としてから行ってください。汚れの上に重ねるのはおすすめできないので、保湿などのお手入れの仕上げに行うのがベストです。履くときはスプレーをふってから30分は乾かしてムラのないように最後に布拭きすると完璧ですね。
武谷 効果を長持ちさせることができたらいいですね。
先輩 そうですよね。なるべくであれば雨が降ることがわかっている日は履かない。とか、アウトドアのシーンや公園など土埃が多い場所には履いていかないなど、気をつけてもらえば1日で効果がなくなるといったものではないので効果を持続させることができますよね。
武谷 突然の雨は避けられないけど、大切に履きたいからこそTPOもわきまえていきます!
先輩 今回のお悩みは「お気に入りの状態を持続させたい!」といった視点でしたが、服や靴、その他バッグやアクセサリーなども着用して全く形状が変わらないということはないです。使用する際に、自分がどういうところが好きでそれを買ったのかを認識して「着たくないなー」といった状態の変化をしてしまわないように、少しだけお手入れに気をつけてもらえたらと思いました。長く、大切に使う。ということがかぐれが大切にしたいサステナブルだと思っています。
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