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CULTURE TRIP DEC 12,2018

【ニュートラソウル!】Vol.4 音楽と人をつなげる パク・ダハム【恋しちゃったんだソウル 】

音楽好きなら、きっと名前を耳にしたことがあるんじゃないかな。韓国から音楽に関わるおもしろいことをいろいろと発信しているひと。でも実際は、どんなことをしているの? 恋しちゃったんだソウル Vol.4は、気になる存在パク・ダハムくんに会いにいった。


パク・ダハムくんの名前は、以前からよく耳にしていた。
遊びにいくライブイベントでも、日本人の共通の友人からも、韓国から音楽に関わるおもしろいことをいろいろと発信しているひとだって。

定期的に『NO CLUB』というイベントも開催してて、自らもDJプレイをしてる。
韓国アイドルの曲はナンセンスだとされがちなアングラ界で、アイドルの曲もカッコいいものはカッコいいと、DJリストの中にSHINeeの曲を織り交ぜて話題になったり、そしてSHINeeのメンバー・テミンさんの名前をカタカナでデザインしたTシャツを制作したりもしていたみたい。

だから今回、取材できると聞いて、とってもわくわくしていた。

向かった先は『宇宙萬物』。
パク・ダハムくんを含め、エディター・ファッションデザイナー・フォトグラファーなどの5人のクリエイターが共同運営する雑貨店だ。

乙支路3街にある雑居ビルの2階にある。

少しへんてこな扉を開けて中に入ると、そこはまさに小宇宙。

無造作に、でもぎゅぎゅ〜うっと陳列されているのは、趣味嗜好が濃厚に凝縮された彼らのとっておきのアイテム。
CD、レコード、カセットテープ、ビデオ、本、おもちゃ、ファッション雑貨……。
気になるもの(いろんな意味で)が多すぎる!

物色したい気持ちをおさえつつ、まずはダハムくんがどんなひとなのかを探らせてもらうことにした。

「僕は、自分で自己紹介するときは〝音楽にまつわる仕事をしている〟と言っています。音楽レーベル『Helicopter Records』を主宰したり、シンガー・ソングライターのツアーの仕事を手伝ったり。この店では日本や台湾などアジアにまつわるものを友だちと販売しています。〝売りたくないものを売ります〟というのがコンセプト。全員買い物が好きなんだけど家に溢れてしまっているので、処分できたらいいなという気持ちで(笑)。日本のものも好きなので多いですね。一年に6回くらいは日本に行きます」

ダハムくんが、初めてライブを観にいったのは1998年。韓国のNo Brain(ノーブレイン)という<FUJI ROCK FESTIVAL01>にも出演した韓国を代表するバンド。それから「公演の企画をしてみたい」と実際に主催したのは2002年。
「パンクバンドのイベントで10組に出てもらいました。14時スタートで22時くらいまでの長丁場。ちょっとブッキングを無理しちゃいましたね(笑)。
当時は僕も、少しだけパンクファッションをしてました(笑)」
以来ずっと企画制作を続けながら、2011年に初めて音源をリリース。2011〜2013年は友だちと文来洞(ムンレドン)という街でイベントを定期的に企画したりしていた。

初めてライブを見てから、ずっと音楽に携わっているダハムくんだけど、どのタイミングで音楽を職業にしていこうと思ったのか尋ねてみた。

「自分では今でも職業とは思っていなくて……かと言って、趣味とも言い切れない。初めてライブを観てから、公演の企画をして、じゃあ次は空間を作ってみようというふうに、流れで自然とここまできたんです。すべてがつながって、今になっている感じです」

ダハムくんは、日本にとってのアジアの音楽の架け橋的な存在でもある。その活動のきっかけはなんだったんだろう。

「日本と台湾でライブハウス『月見ル君想フ』を運営する寺尾ブッダさんと知り合って。アジアでツアーをおこなうミュージシャンのアテンドなどをしていたんですね。それが、台湾と韓国で活動していた自分とシンクロするところがあったので、連絡を取り合うようになって。より日本—台湾—韓国をつなげていくような役割をするようになったと思います」

「僕が一番最初に関わりのあった日本のミュージシャンは長野・松本の『p-heavy』。はじめて日本に旅をした時に、友だちに『Irregular Rhythm Asylum』を紹介してもらって。そこのオーナーの友だちが、『p-heavy』だったんです。CDを買ってきてずっと家で聞いていて、そこにメールアドレスが書いてあったので、ブッキングしてみたいなと思って。とりあえず連絡してみたら、向こうもポジティブに受け取ってくれて。僕にとって韓国に海外アーティストを初めて呼んだのは彼らで、彼らの初めての海外公演は僕のイベントでした」

新しいミュージシャンへのアンテナは常に張っていて、日本に行く前には、ネットでいくつか観たいバンドをピックアップしておいて、実際にライブハウスへ足を運ぶ。
昔はYouTubeで観てブッキングしたこともあったけど、実際のライブとのギャップがあったりもしたので、オファーをかけるときは実際に自分で観るようにしているそう。

そんなダハムくんから観た、日本の音楽のインディシーンってどうですか?

「僕は〝シーン〟だとは考えていないです。それは韓国でも一緒。シーンは見ずに、好きなアーティストがいたら、その周りやコミュニティを大事にしています。だからいわゆる〝音楽シーン〟みたいな感じでは、自分が関わっているところを見てないですね。おもしろいイベントはたくさんあって、たとえば岸野雄一さんがやっているDJ盆踊り。以前から新しい音楽に興味を持っているかたで、僕にも連絡をくれていて。ほかにもたくさんいろんな方にイベントによんでもらえるのでうれしいです」

好きだと思うことがつながって、それがどんどん仕事になっていく。
なんてすてきなことなんだろうと思う。

でも、ダハムくん的には、韓国にはいい環境で好きな音楽が聴けるライブハウスがあまりないという。「日本の雑誌の取材の時にほかのひとはホンデのライブハウスを良く言っていたけど、僕だけネガティブで(笑)。でも、『センギスタジオ』はいいライブハウスだと思います。それと空間『新都市』もおもしろいと思いますね。ここでは定期的にイベントを行っています」

余談だけれど、取材に同席していたもうひとりの編集者曰く、ダハムくんの手相がとっても珍しい〝マスカケ線〟で、とっても強運とのこと!
たくさんのひとを惹き付ける魅力は、こんなところにも表れていた!?

パク・ダハム(Park Daham)

ノイズ音楽家・DJ・『Helicopter Records』・雑貨店『宇宙萬物』共同運営

https://www.instagram.com/parkdaham
http://helicopterseoul.tumblr.com
http://cosmoswholesale.tumblr.com

PROFILE

松本 昇子エディター / ライター

愛知県出身。雑誌やカタログ、書籍、WEBサイトなどの編集、執筆、ときどきコピーライティングも手がける。

熊谷 直子Photographer

幼少期より写真を撮り始める。20歳で渡仏し、パリにて本格的に写真・芸術を学ぶ。2003年よりフリーランスフォトグラファーとして雑誌・広告などでポートレートや風景など多ジャンルにおいて活動し、個展での作品発表も精力的に行う。主な著書/二階堂ふみ写真集「月刊二階堂ふみ」、杉咲花1st写真集「ユートピア」、熊谷直子作品集「赤い河」

김세정 / キム セジョンEDITOR・COORDINATION

丁寧な暮らしが合言葉のカンナムOL。

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